要員管理とは?具体的な方法やツールの選び方を解説
更新日: 2024.7.2
公開日: 2023.12.27
OHSUGI
要員管理とは、プロジェクトを成功に導くため、要員の持つ能力を考慮しつつ適切な人材配置をおこなうことです。
「要員管理の方法を具体的に知りたい」「要員管理のためのツールの選び方は?」など、疑問を持っている方も多いでしょう。
本記事では、要員管理の具体的な方法やツールの選び方を解説します。最後まで読むと、人事業務やプロジェクトにおける要員管理の方法、システムやツールの選び方を把握可能です。
目次
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
1. 要員管理とは
要員管理とは、プロジェクトの進行や目標達成のため、必要な能力を考慮して適切な人材配置をおこなうことです。ふさわしい人材配置ができれば、要員の能力やスキルを活かし生産性を向上できます。
プロジェクトに適した人材配置をおこなわなければ、要員の能力が発揮されなかったり、スキルが不足したりするおそれがあるでしょう。
要員管理は、プロジェクトの成功に欠かせないプロセスといえます。
2. 要員管理と人員計画の違い
要員管理と人員計画の違いは、以下のとおりです。
要員管理 | プロジェクトの進行や目標達成のために適切な人材配置をおこなうこと |
人員計画 | 人事異動や採用活動など、人材を適切なポジションに配置するための計画のこと |
要員管理は、プロジェクトを成功させるための人材配置であるため、人員計画よりも狭い範囲の意味を持ちます。
一方で人員計画は、人材の確保や適した部署に配置するための計画を立てることです。人事部が実施している企業も多いでしょう。
3. 要員管理の2つのメリット
要員管理のメリットは、以下の3つです。
- 効率的にプロジェクトを進行できる
- 従業員のモチベーション向上が期待できる
- 人件費を節約できる
- 生産性を向上させられる
3-1. 効率的にプロジェクトを進行できる
要員管理をおこなうことで、一人ひとりの能力が最大限に発揮されるため、効率的にプロジェクトを進行できます。
適切に要員管理しなければ、以下の問題が生じやすくなるでしょう。
- 能力が不足したり、別の人材を配置したりするなどの再調整が必要になる
- 能力の高い人材に配分が偏ることで、プロジェクトの進行に時間がかかる
要員管理をおこなうことで、一人ひとりの負担を減らせるため、プロジェクトの円滑な進行が可能です。
3-2. 従業員のモチベーション向上が期待できる
要員管理は、従業員のモチベーション向上が期待できます。各従業員が能力を発揮でき、成果を上げやすい環境に身を置けるためです。
能力やスキルが偏らず、一人ひとりの役割が明確になるため、チームワークも強固になるでしょう。
3-3. 人件費を節約できる
要員管理によって従業員一人ひとりが持つスキルを把握できるようになります。要員管理によって適材適所の配置が可能になれば、人件費の節約が期待できるでしょう。人員のスキルを無駄なく配置することで、人件費の節約につながります。
3-4. 生産性を向上させられる
生産性向上も要員管理がもたらすメリットです。従業員のスキルを把握せずに配属してしまうと、モチベーションが低下しかねません。モチベーションが低下してしまうと生産性も低下する恐れがあります。一方、要員管理によって従業員がスキルを発揮できるようにマネジメントすれば、モチベーション、さらには生産性を向上させられるでしょう。
4. 要員管理の前に把握すべきポイント
要員管理に取り組む前に次のような項目を把握しておきましょう。
- 従業員個人の能力を把握
- 従業員から理解を得る
- 定期的な再配置を計画する
4-1. 従業員個人の能力を把握
要員管理にあたっては従業員個人の能力を把握しておきましょう。スキルや所有資格などだけでなく、どのようなプロジェクトに携わってきたか、どのような実績を残しているかなどを把握しておきます。能力を把握する際に大切なのはストロングポイントだけでなく、従業員のウィークポイントにも目を配ることです。もし苦手な業務を任せる場合であっても、モチベーションを維持するためには従業員のウィークポイントを把握しておきましょう。
4-2. 従業員から理解を得る
要員管理は従業員からの理解を得ることも大切です。従業員の理解が得られなかった場合、要員管理をスムーズに進められません。従業員から理解を得るためには要員管理を実施する目的や重要性、概要、計画などを伝えましょう。
4-3. 定期的な再配置を計画する
要員管理を実施する前に定期的な再配置を計画しておきましょう。要員管理に基づいて再配置をすることで、人員不足や余剰を防止できます。また、足りないスキルを習得させる、あるいはスキルを引き延ばすためにも定期的な再配置が効果的です。
5. 要員管理の具体的な2つの方法
要員管理の具体的な方法は、以下の2つに分けられます。
- 人事業務における要員管理
- プロジェクトにおける要員管理
5-1. 人事業務における要員管理
人事業務における要員管理には、以下の3つのプロセスがあります。
- 要員を調達する
- 人材を活用する
- 人材を育成する
それぞれ詳しく解説します。
5-1-1. 要員を調達する
要員を調達する際には、必要な人材を過不足なく集める必要があります。
人材が足りないと、計画通りにスケジュールが進みません。反対に人材が過剰になれば、従業員同士で齟齬が生じやすくなり、人件費も高くなります。
以下のポイントを意識すると、要員の調達が円滑に進められるでしょう。
- 必要な人材の基準を明確にする
- 雇用形態ごとに確保したい人材を検討する
- 適宜要員の過不足をチェックする
5-1-2. 人材を活用する
要員を確保したあとには、一人ひとりが能力を発揮できるように人材を活用する必要があります。
人材を活用する際には、以下のポイントを意識してください。
- 人材の能力や性格を的確に把握する
- 本人の意向も積極的に取り入れる
本人のスキルや希望と社内の状況をすり合わせ、生産性を最大化できる配置をおこないましょう。
5-1-3. 人材を育成する
従業員の能力をさらに引き出し、伸ばすために人材を育成しましょう。
以下は育成方法の例です。
OJT | 上司の指導を受けながら業務を通じて習得する |
OFF-JT | 研修を通してスキルや知識を習得する |
SD(自己啓発) | 自発的に資格取得のための学習をしたり、書籍を通して知識を習得したりする |
本人の性格や業務内容、人員構成を考慮して、適した育成方法を選択するといいでしょう。
5-2. プロジェクトにおける要員管理
プロジェクトにおける要員管理は、PMBOKに基づいて考えると、以下の4つのプロセスに分かれます。
- 人的資源マネジメント計画を立てる
- プロジェクトチームを編成する
- プロジェクトチームを育成する
- プロジェクトチームをマネジメントする
5-2-1. 人的資源マネジメント計画を立てる
まず要員の調達先やコスト、役割などにおける「人的資源マネジメント計画」を立てます。
計画書を作成する際の具体的な項目の例は、以下のとおりです。
要員調達 | 要員の調達先や費用 |
要員ヒストグラム | 横軸を月日、縦軸を作業時間や要員数にしてグラフを作成 |
役割と責任 | プロジェクトを進行する上での役割や責任 |
コンピテンシー | プロジェクトに必要なスキルや能力 |
法令遵守 | 法令と運用方法 |
計画書を作成する場合には、以上の項目を明確にします。具体的に計画することで、プロジェクトの円滑な進行が可能です。
5-2-2. プロジェクトチームを編成する
作成した計画に基づき、プロジェクトを進行するためのチームを編成しましょう。
要員は主に以下を通して調達し、チームを編成します。
- 該当者が所属する部署のマネージャーとの交渉
- 外部からの調達(業務委託など)
5-2-3. プロジェクトチームを育成する
プロジェクトを成功させるためには、チームを育成する必要があります。
以下のようにチームの現状を把握した上で、適切なマネジメントが必要です。
- チームの信頼関係
- メンバーごとの役割
- チーム全体のパフォーマンス力の有無
チームを編成すると、メンバー間での衝突や認識の齟齬が生じ、信頼関係を築けない場合があります。プロジェクトの進行では、メンバー同士が互いを信頼し協力することが必要です。
そのため、マネジメントの際には以下を意識してください。
- メンバー同士の関係に問題が起きていないか確認する
- 役割のバランスが取れているか確認する
信頼関係を築き、相乗効果が生まれれば、チーム全体の生産性にもつながるでしょう。
5-2-4. プロジェクトチームをマネジメントする
チームの現状を把握し、パフォーマンスや進捗を確認する中で、発見した課題を解決していきます。
チームでプロジェクトを進行する際には、メンバー間でトラブルが生じる可能性もあるでしょう。報告書を用いて、問題が発生していないかチェックしてください。
6. 要員管理を進める際の2つの注意点
要員管理を進める際には、以下に注意しましょう。
- 要員の能力やスキルを的確に把握する
- 要員の配置後も定期的に見直す
6-1. 要員の能力やスキルを的確に把握する
要員管理を進める際には、各従業員の能力やスキルを的確に把握する必要があります。要員を管理する側が人材の能力を的確に把握していなければ、プロジェクトを円滑に進行できません。
能力やスキルを把握するため、以下を意識すると良いでしょう。
- プロジェクトに必要な能力を洗い出す
- 候補者の働きぶりについて、直属の上司や先輩社員に聞き出す
- 過去の実績や成果を参考にする
6-2. 要員の配置後も定期的に見直す
要員管理する場合には、人材の配置後も定期的に見直しましょう。適切な人材配置をしたつもりでも、1度で十分な要員管理が実現できるとは限りません。
不足している能力は、実際にプロジェクトが開始されてから発覚する可能性もあります。
見直しをおこなう際には、以下を意識してください。
- プロジェクトの進捗状況が悪くないか
- 業務配分が偏っていないか
- 能力やスキルのバランスは悪くないか
7. 要員管理におけるツールやシステムの選び方
要員管理はExcelで要員管理表を作成することで管理可能です。しかし、よりスムーズに管理するのであればツールやシステムを導入しましょう。要員管理におけるツールやシステムの選び方は、以下のとおりです。
- クラウド型かオンプレミス型を選択
- 料金や機能の検討
- 従業員の使いやすさを確認
7-1. クラウド型かオンプレミス型を選択
要員管理におけるツールやシステムを選ぶ際は、クラウド型とオンプレミス型のどちらにするかを選択しましょう。
両者の違いは以下のとおりです。
クラウド型 | オンライン上のサービスをインターネットを介して利用する |
オンプレミス型 | 自社にサーバーを設置して運用する |
クラウド型は導入コストを抑えられ、メンテナンスを自社でおこなう必要がないため、手軽に導入しやすいでしょう。
オンプレミス型は、カスタマイズしやすくセキュリティも強固ですが、導入コストが高い傾向があります。
メリットとデメリットを比較しながら、自社に合う運用方法を選択しましょう。
7-2. 料金や機能の検討
要員管理ツール選びでは、料金や機能を検討しましょう。
要員管理に利用できるツールの中には、フリーのものがあります。料金がかかるツールは、月額料金制を採用している場合が多いです。
具体的なツールの相場は、以下を参考にしてください。
月額料金のタイプ | 相場 |
従量課金制 | 500〜2,000円/ユーザー |
月額固定制 | 1〜5万円/ユーザー |
ツールを使用する従業員が多いほど、月額料金も高額になるため、事前に料金を検討しておくと良いです。
また、要員管理に役立つシステムやツールの機能は、以下のように幅広くあります。
- プロジェクト管理
- スケジュール管理
- タスク管理
- ワークフロー
- 分析
必要のない機能が多く備わっていると、従業員も使いにくく感じるかもしれません。従業員に必要な機能を聞き出したり、課題解決や目的の達成につながるか検討したりすると良いでしょう。
7-3. 従業員の使いやすさを確認
要員管理におけるシステムやツールを選ぶ際には、従業員の使いやすさにも考慮する必要があります。
自社の既存のフローに合う使いやすいツールでなければ、導入しても社内に浸透しない可能性があるでしょう。
そのため、導入前や導入後には以下を意識してください。
導入前 | ・お試しで利用してから決定する ・使用ルールやマニュアルを定める |
導入後 | 社内で導入ツールの説明会や講習などを実施する |
積極的に従業員の意見を取り入れ、使いやすいツールを選びましょう。
8. 適切な要員管理で人事業務やプロジェクトを成功に導こう
人事業務やプロジェクトにおける要員管理は、いくつかのプロセスに沿って進行するとスムーズです。システムやツールを利用することで、より抜け目なく管理できます。
要員管理のツールは幅広くあるため、料金や機能、使いやすさなども考慮して選んでください。
要員管理を適切におこない、人事業務やプロジェクトを成功させましょう。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
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