「業務プロセス・業務フローの違いは？」

「業務プロセス・業務フローを改善する理由は？」

「業務プロセスと業務フローをわかりやすく可視化したい！」

業務プロセス・業務フローの改善を命じられたけど、2つの違いを知らない方は多いのではないでしょうか。

業務プロセス・業務フローの違いは、「範囲」と「改善する目的」です。2つの違いを正しく理解していなければ、それぞれの目的を達成することはできません。

本記事では、業務プロセス・業務フローの異なる点や改善が重要な理由についてわかりやすく解説します。また、業務プロセスや業務フローの改善に取り組む方法や図の描き方についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

1. 業務プロセスと業務フローの違い

業務プロセスと業務フローの違いは「範囲」と「改善する目的」です。2つの違いについて、以下の表にまとめました。

	範囲	改善する目的
業務プロセス	・全部門を通した業務全体の流れ	・経費の削減 ・利益率の向上 ・リスク管理
業務フロー	・各部門の業務の流れ	・業務内容の可視化 ・業務の平準化 ・生産性の向上

まず、業務プロセスを示す範囲は、企業の「全部門を通した業務全体の流れ」です。一方、業務フローを示す範囲は、「各部門の業務の流れ」であるため、それぞれ全く異なる範囲を示しています。

また、業務プロセスを改善する目的は、企業の経費削減や利益率の向上、リスク管理などです。一方、業務フローを改善する目的は、各部門の業務内容の可視化や平準化、生産性向上が挙げられます。

2. 業務プロセスと業務フローを改善する重要性

業務プロセスや業務フローを改善する重要性として、企業の課題や問題点を把握しやすくなることが挙げられます。

日々業務をこなすだけでは、最適化された業務内容なのか、無駄な業務工程であるのかなどに気づけません。業務プロセスやフローを可視化することにより、業務の全体像を把握できます。

業務の全体が可視化されると、客観的に問題点・課題点を洗い出しやすくなります。その結果、業務効率や生産性が改善され、無駄な経費を削減することで、企業の利益率向上につながるでしょう。

3. 業務プロセスと業務フローを可視化する図の作成手順

業務プロセスと業務フローを可視化する図の作成手順は、以下のとおりです。

1. 可視化する業務範囲を選定する
2. 詳細な業務の過程・内容を従業員に調査する
3. 調査結果を元に順序を組み立てる
4. スイムレーンを作成する
5. フロー図にタスクを当てはめる
6. 可視化した図の公開・運用実施

3-1. 可視化する業務範囲を選定する

図の作成に取り掛かる前に、図として可視化する業務範囲を選定しましょう。明確な範囲を定めていないと、改善に取り組むための部門や作業内容が判断しにくいからです。

例えば業務プロセス図の場合、「製品の種類・サービス」を明確にしなければ、全部門を通した業務を判断できません。また業務フロー図の場合は、「部門・部署」と「業務」を明確に選定しなければ、詳細な業務内容の調査が難しいでしょう。

だれが見ても理解できるような図を作成するために、業務範囲の選定をおこなってください。

3-2. 詳細な業務の過程・内容を従業員に調査する

図に表示する業務範囲を選定したうえで、詳細な業務の過程・内容を従業員に調査しましょう。業務に携わっている従業員に直接ヒアリングすることで、より詳細な業務の過程や内容を把握できます。

なお、業務プロセス図を作成する場合は、業務に携わっているクライアントや他部署・部門も確認しましょう。どの過程でどの部署やクライアントと関わっているかを把握することで、プロセスの全体像を可視化できます。

3-3. 調査結果を元に順序を組み立てる

可視化する範囲の業務過程・内容を把握したあとは、調査結果をもとに、業務フロー表を作成するためには、まず全てのタスクを以下の2種類に分類します。

● フロー表に記載が必要なタスク
これらのタスクは業務の核心をなすものであり、プロジェクトの進行に欠かせません。例としては、プロジェクトの開始時に行う計画策定や、各フェーズで必要な承認作業が挙げられます。これらのタスクは時系列に並べて業務フロー表に記載し、関係者全員が一目で理解できるようにします。

● フロー表に記載が不要なタスク
一方で、フロー表に記載が不要なタスクは、例えば会議のアジェンダ作成や細かい調整作業など、業務の全体的な流れには直接影響しないが、効率的な進行には必要な裏方作業が含まれます。これらは主にメモとして保管し、必要に応じて参照します。

このようにタスクを明確に分類し、時系列に並べることで、業務フロー表が具体的で詳細かつ分かりやすくなり、効率的な改善が可能となります。

3-4. スイムレーンを作成する

スイムレーンを作成することで、各担当者や部門ごとに業務内容を視覚的に区分けできます。これにより、誰がどの部分を担当しているのかが一目で理解でき、業務プロセスの効率的な改善に繋がります。スイムレーンを利用してフロー表を作成することで、業務の流れを明確にし、部門間のコミュニケーションをスムーズにすることが可能です。また、業務フローの全体像を把握することで、スイムレーンは視覚的に分かりやすいため潜在的なボトルネックや改善点を発見しやすくなり、企業の管理職やプロジェクトマネージャーにとって有益です。

3-5. フロー図にタスクを当てはめる

図を組み立てるときは、大まかな業務過程を配置した後に、詳細な業務内容を当てはめるとスムーズに作成できます。
図を組み立てる際の注意点として、図に用いる記号や図形の大きさ・種類を揃えましょう。また、図に記載する単語の表現を揃えることで、統一感のある視認性の高い図を作成できます。
実際の業務タスクをフロー図に組み込み、最適なゴールを設定することで、サイクル全体の効率を改善します。まず、各タスクを具体的な図形に落とし込み、時系列に沿って配置します。スイムレーンを利用してタスクの担当部門や責任者を明確にし、それぞれの流れを視覚化します。この段階で曖昧な部分を洗い出し、適切な修正を加えることが重要です。これにより、業務プロセスの可視化が進み、全体のサイクルがスムーズに機能するようになります。結果として、業務フローの効率が向上し、企業の目標達成に向けた体制が整います。

3-6. 可視化した図の公開・運用実施

業務プロセス・業務フローを可視化した図を組み立てたあとは、図を用いて業務改善に取り組みましょう。配置する人員数は適切なのか、簡略化できる過程や不必要な業務がないか、図を見ながら確認してください。

また図の運用を続ける中で、間違った業務過程や内容があれば、随時ブラッシュアップを実施しましょう。最新の状態を保つことで、早急な業務改善が必要になったときに、図を活用しながら業務改善の検討ができます。

4. 業務プロセスと業務フローを改善する4つのステップ

業務プロセスと業務フローを改善するステップは、以下のとおりです。

1. 業務プロセス・フロー図を用いて改善点を確認
2. 改善点の優先順位をつける
3. 目標を設定する
4. 改善策を検討・実行する
5. 改善策の検証をおこなう

4-1. 業務プロセス・フロー図を用いて改善点を確認

業務を可視化した図を用いて、業務プロセス・フローの改善点を確認しましょう。

業務プロセスの場合、業務時間の負荷が大きい部門や人件費がかかっている箇所などを確認します。業務フローの場合は、一人の業務負荷や作業内容を見直しましょう。

また、従業員から直接ヒアリングした内容を改善点として取り上げるのも効果的です。

4-2. 改善点の優先順位をつける

業務の過程・内容の改善点を把握したうえで、改善を実施するための優先順位をつけましょう。改善に必要なコストや時間などを検討したうえで、優先順位を定めてください。

優先順位をつける方法として、緊急度や重要度を示したポジショニングマップの活用がおすすめです。ほかにも指標をポイント化し、合計ポイントが高い内容から改善に取り組む方法などがあります。

企業として判断しやすい方法を取り入れて、改善点の優先順位をつけてください。

4-3. 目標を設定する

業務プロセスの改善を行うにあたり、まず具体的な目標を設定することが重要です。目標設定には、SMARTの基準（Specific: 具体的、Measurable: 測定可能、Achievable: 達成可能、Relevant: 関連性がある、Time-bound: 期限がある）を使用することが推奨されます。例えば、業務フローを見直す際には「業務Aにかかる人件費を3分の2まで削減する」や「業務Bに費やしている時間を1時間まで削減する」といった具体的で測定可能な目標が役立ちます。このように具体的な数字を設定することで、改善施策がどれほど効果的であるかを明確に評価できるようになります。業務フローや業務プロセスの違いを理解した上で目標を再検討することで、効率的な改善策が導き出されるでしょう。

4-４. 改善策を検討・実行する

業務の改善点を確認したら、改善策を検討したうえで実行します。改善策を実行する際は、従業員が混乱しないように、なぜ業務改善をおこなうのか説明しましょう。

また改善策の内容によっては、ITツールを導入したり、業務内容が一部変更になったりする場合もあります。従業員の様子を見ながら、現場のフォローを実施してください。

4-5. 改善策の検証をおこなう

業務改善に取り組んだ後は、改善策の検証も実施しましょう。目的とする業務改善が達成できれば、次の改善点に取り組みます。

もし達成できていない場合は、問題点を洗い出したうえで、再度改善策を検討してください。

5. 業務プロセスと業務フローの改善にはワークフローシステムも有効

ワークフローシステムとは、組織や業務の意思決定をおこなう一連の流れを効率よく申請・承認できるシステムのことです。

書類を郵送やメールでやり取りせずに済むため、業務時間の短縮につながります。また申請書の改ざんや不正を防ぎ、企業コンプライアンスの強化が可能です。

人事労務に関わる申請・承認をリアルタイムで反映できるワークフローシステムもあります。承認ルートを自由に設定できるため、各企業に合わせたシステムの構築が可能です。

業務プロセスや業務フローを改善する手段として、ワークフローシステムの導入を検討してはいかがでしょうか。

6. 業務プロセスと業務フローの違いを理解して可視化・改善しよう

業務プロセスと業務フローは、「業務を示す範囲」と「改善する目的」に違いがあります。2つの違いを正しく理解することで、適切な業務改善の方法を検討できるでしょう。

業務プロセスと業務フローを改善するためには、業務の可視化が欠かせません。理解しやすい図を作成するために、可視化する業務範囲を設定したうえで、従業員にヒアリング調査しましょう。

調査結果を元に業務の順序を組み立てることで、理解しやすい業務プロセス・フローの図を作成できます。

また業務プロセス・フローを改善するには、ワークフローに特化したシステムの導入もおすすめです。企業の業務効率化を実現するために、ぜひワークフローシステムの導入も検討してください。