定量評価とは?定性評価との違いや具体的な方法を紹介
更新日: 2023.5.17
公開日: 2023.5.17
OHSUGI
人事評価で使われる「定量評価」とは、どのような評価方法を指すのでしょうか。定量評価は、人事担当者の主観が評価に反映されないため、人事評価制度の客観性を高めるといわれています。定量評価と定性評価を組み合わせることで、より公平な人事評価制度を構築することが可能です。本記事では、定量評価の意味や定性評価との違い、定量評価を実施するときの流れをわかりやすく解説します。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
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1. 定量評価とは?数値や数量で表せるものを評価すること
定量評価とは、従業員の行動や成果を数値化し、客観的に評価する方法を指します。辞書で「定量的」という言葉を引くと、以下の意味が出てきます。
【定量的】
- 数量に関するさま。ある物質にその成分がどれだけ含まれるかを表す場合などに用いる。「―測定」
- 数値・数量で表せるさま。「―な目標を設定する」
人事評価制度における定量評価は、売上や案件獲得数、コストの削減率など、数値や数量で表せるものに着目するのが特徴です。従業員の目標設定を行うときは、数値化可能な「定量目標」を設定し、その達成度を数字で評価します。そのため、定量評価は人事担当者の主観が評価に反映されず、客観性が高い評価方法だとされています。
1-1. 定量評価の具体例
定量評価に使われる主な項目として、たとえば以下のようなものがあります。
- 売上
- 利益率
- 新規発注数
- リピート契約の件数
- クレームの発生率
- 人件費の削減率
- 材料費の削減率
- 経費の削減率
- WebサイトのPV数
- TOEICなどの資格の点数
- 業務にかかった平均時間
定量評価というと、成果を数字で表しやすい営業部門やマーケティング部門で採用されているイメージがあるかもしれません。しかし、最近は事務部門や管理部門などでも定量評価が取り入れられています。たとえば、事務職の場合、書類作成にかかった平均時間や、ミスや手戻りの削減率、消耗品費などのコストの削減率といった項目を定量評価として設定することが可能です。
2. 定量評価と定性評価の違い
定量評価と対照的な評価方法が「定性評価」です。定量評価と定性評価の違いを表にまとめると、以下のとおりです。
– | 定量評価 | 定性評価 |
定義 | 数値や数量で表せるものを評価すること | 数値化できないものを評価すること |
強み | 評価者の感覚に左右されず、客観的に評価できる | 定量化しにくい項目も人事評価に反映させることができる |
ここでは、定性評価の定義や、定量評価と定性評価の違いを詳しくみていきます。
2-1. 定性評価は数値化できないものを評価すること
定性評価とは、勤務態度やコミュニケーションなど、数値や数量で表せないものを評価する方法を意味します。辞書で「定性的」という言葉を引くと、以下の意味が出てきます。
【定性的】
- 性質に関するさま。ある物質にその成分が含まれるかどうかを表す場合などに用いる。「―検査」
- 数値・数量で表せないさま。「人事の―評価」
たとえば、顧客満足度という評価項目に対して、「クレーム件数を●●%削減する」「アンケートの満足度●●%以上を達成する」という数値目標を設定する場合、定量評価に当たります。一方、「明るく元気に接客し、お客様を笑顔にする」といった数値化できない目標を立てる場合は定性評価に当たります。
2-2. 定量評価との違いは評価者の感覚に左右されるかどうか
定量評価と定性評価のもっとも大きな違いは、評価者の感覚に左右されるかどうかです。さきほどの顧客満足度に関する例でいうと、「クレーム件数を●●%削減する」「アンケートの満足度●●%以上を達成する」といった目標を達成できたかどうかは、客観的な数字で測ることができます。しかし、「明るく元気に接客したかどうか」「お客様を笑顔にしているかどうか」は、評価者の感覚に左右され、判断がわかれる可能性があります。そのため、人事評価の客観性という点では、定性評価よりも定量評価のほうが優れています。
2-3. 定量化しにくい項目も定性評価なら評価できる
しかし、勤務態度やコミュニケーション、主体性、積極性、チャレンジ精神、チームワークなどの項目は、数値化が難しく、定量評価ではうまく評価できません。そのため、定性評価は定量化しにくい項目を評価するために使われています。定量評価と定性評価を組み合わせ、両者のよいとこ取りをしながら人事評価制度を構築することが大切です。
3. 定量評価の具体的な方法
定量評価を行うときの流れは以下のとおりです。
- SMARTの法則を活用し、定量目標を設定する
- 目標の達成度をフィードバックする
- 3カ月ごとに定量目標を修正する
定量評価では、定量目標の設定とフィードバックを繰り返し、目標の達成度を数字で評価していきます。定量目標は3カ月を目安にしてリセットし、前回の取り組みをもとにして修正することが大切です。
3-1. SMARTの法則を活用し、定量目標を設定する
定量評価を設定するときは、SMARTの法則を意識しましょう。
- 具体的な(Specific)
- 測定可能な(Measurable)
- 実現可能な(Achievable)
- 企業の目標と関連した(Relevant)
- 期限が決まった(Time-bound)
定量目標は、具体的で測定可能であり、十分に実現可能なものの必要があります。また、目標を具体的な数字で表すだけでなく、達成までの期限を決めることが大切です。自社の事業と関係のない目標を設定しても意味がないため、企業の目標と連動させることも大切です。
3-2. 目標の達成度をフィードバックする
定量目標を設定したら、目標の達成度について必ずフィードバックを実施しましょう。定量評価は「数字がすべて」の人事評価ではありません。成果を追求することも大切ですが、目標の数値を達成するための努力やチャレンジの部分を評価するのも人事担当者の仕事です。目標の数値に届かなかった場合は、うまくいかなかった原因を探し、フィードバックを通じて改善点を伝えましょう。
3-3. 3カ月ごとに定量目標を修正する
従業員に課す定量目標は、定期的にリセットし、現在の能力やスキルセットに合わせて細かく修正することが大切です。少なくとも、3カ月を目安に定量目標を見直しましょう。従業員に合った適度な目標を設定することで、より意欲やモチベーションを引き出し、スキルアップにつながります。
4. 定量評価の特徴や具体的な方法を知り、人事評価に取り入れよう
定量評価とは、売上や利益率、契約件数など、数値や数量で表せるものを評価する方法です。定量評価とは対照的に、勤務態度やコミュニケーションなど、数値化できないものを評価する方法を定性評価とよびます。定量評価を実施する流れは、まず数値化可能な定量目標を設定し、達成度の評価とフィードバックを実施します。定量目標を設定する際は、SMARTの法則を活用し、具体的で実現可能な目標を選びましょう。3カ月を目安に定量目標をリセットすることで、より従業員の成長につながります。
定量評価は人事担当者の主観が反映されず、客観的に従業員の行動や成果を評価できる方法です。定量評価の特徴や定性評価との違いを知り、人事評価制度に取り入れましょう。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
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