相対評価と絶対評価の違いや使い分けのポイントを解説
更新日: 2023.11.17
公開日: 2023.5.11
OHSUGI
相対評価や絶対評価は、人事評価の手法として多くの企業で採用されています。それぞれにメリット・デメリットがあるため、導入するときは違いをしっかりと理解しておきましょう。
この記事では、相対評価と絶対評価の違いや使い分けのポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
1. 相対評価とは?
相対評価とは、所属するグループの中で、他者と比較することによって評価を決定する手法です。相対評価を実施する場合は、あらかじめランクごとの人数や割合を決めておきます。たとえば、優10人・良20人・可30人というイメージです。優は上位10%の層、良は上位10〜30%の層、可はその他とするなど、割合で決定するケースもあります。
相対評価の大きな特徴は、バランスのよい評価分布になることです。各ランクに偏りが出ることを防げるため、企業の人事評価や学校の成績評価などで使われてきました。
1-1. 相対評価のメリット
相対評価の主なメリットは、以下のとおりです。
1-1-1. 評価の手間がかからない
評価の手間がかからないことは、相対評価の大きなメリットです。グループの中で順位を付け、上から順に優・良・可などのランクを割り振っていけばよいため、評価者の負担は少ないでしょう。明確な評価基準を作成する必要もないため、導入の手間もかかりません。
1-1-2. 評価者の主観が入りにくい
評価者の主観が入りにくいこともメリットのひとつです。一定の基準で順位を付けるだけであるため、評価者が変わっても基本的には同じ評価になります。相対評価の場合は、厳しい上司か甘い上司かによって評価が変わってしまう、といった状況を防げるでしょう。
1-1-3. 昇給や昇格の人数をコントロールできる
相対評価には、人件費をコントロールしやすいというメリットもあります。相対評価においては高評価を獲得できる人数が限られているため、昇給や昇格の対象となるのはグループの一部の人のみです。一方で絶対評価の場合は、極端には全員が高評価を得ることもできるため、昇給や昇格が増え、人件費が高騰してしまう可能性もあります。
1-2. 相対評価のデメリット
相対評価にはさまざまなメリットがありますが、以下のようなデメリットもあるため、評価方法を見直す企業も増えてきました。
1-2-1. 頑張っても報われないケースがある
頑張っても報われないケースがあることは、社員にとっての大きなデメリットです。相対評価では所属しているグループ内での順位によって評価が決まるため、それなりによい成果を出していても、ほかの社員より劣っていると評価が下がってしまいます。社員のモチベーション低下につながる可能性もあるため注意が必要です。
1-2-2. 頑張らなくても報われるケースもある
逆に、頑張らなくても報われてしまうこともあります。グループ全体のレベルが低い場合は、成果が出ていなくても他者との比較で高い評価になるケースもあるでしょう。頑張る必要がなくなってしまい、働く意欲の低下につながる可能性もあります。
1-2-3. 小さなグループでは評価を実施しにくい
グループ内の人数が少ない場合は、相対評価がうまく機能しないこともあります。たとえば2〜3人というグループの場合、中間値がブレてしまうケースも多く、適正な評価を実施できないでしょう。
2. 絶対評価とは?
絶対評価とは、グループ内の順位とは関係なく、個人の能力や成果を評価する手法です。目標数値や評価項目を決めておき、どのくらい達成できているかを個人ごとに判断します。日本の企業では主に相対評価が採用されていましたが、成果主義の導入などにより、絶対評価に変更する企業も増えてきました。
2-1. 絶対評価のメリット
絶対評価には次のようなメリットがあります。
2-1-1. 社員の納得感を得やすい
評価される社員側の納得感を得やすいことは、絶対評価の大きなメリットです。相対評価の場合は頑張っても報われないケースもありますが、絶対評価の場合は、基本的には頑張った分だけ高い評価を得られます。評価の理由までしっかりと説明すれば、社員の納得感をより得られるでしょう。
2-1-2. 社員のモチベーションアップを期待できる
モチベーションの向上を期待できることも、絶対評価のメリットのひとつです。自分の成果を正当に評価してもらえることで、社員の満足度や働く意欲が向上するでしょう。
2-1-3. 優秀な人材を把握しやすい
相対評価においては、優秀な人材を見落としてしまうケースもあります。他者との比較により評価が低い社員でも、実は十分に優秀で成果を出している可能性もあるからです。絶対評価の場合は、個人にフォーカスして評価を行うため、各社員の能力やスキルをしっかりと把握できます。
2-2. 絶対評価のデメリット
絶対評価のデメリットは以下のとおりです。
2-2-1. 評価者の主観が入りやすい
評価者の主観が入りやすいことは、絶対評価のデメリットのひとつです。とくに、コミュニケーション能力や仕事に対する意欲といった数値化しにくい評価項目については、評価者によって判断が異なります。同じような態度で働いていても、上司が変わると異なる評価をされるケースもあるでしょう。
2-2-2. 評価基準を設定するのが難しい
絶対評価を採用するなら、適切な評価基準を設定しなければなりません。達成しやすい基準にすると高評価を得る社員が増えすぎてしまい、逆に達成しにくい基準にすると低評価ばかりになってしまいます。過去のデータなどを参考にしながら、バランスのよい評価基準を設定することが重要です。
3. 相対評価と絶対評価を使い分けるポイント
相対評価と絶対評価には、ともにメリット・デメリットがあり、どちらが適しているかは企業の状況や目的などによって異なります。
3-1. 評価者の負担を減らしたい場合は相対評価
相対評価であれば、順位を付けるだけで評価できるため、評価者の負担を減らせます。社員が納得感を得られるよう、しっかりとコミュニケーションを取るなどの対策をしておけば、相対評価がうまく機能するでしょう。
3-2. モチベーションアップを狙うなら絶対評価
絶対評価を採用すれば、社員のモチベーションアップを期待できます。他者の成績には関係なく、自分の努力によって評価がアップするため、自己研鑽に励む社員も増えるでしょう。
3-3. 2つの評価方法を組み合わせるのもおすすめ
相対評価と絶対評価を組み合わせる手法もあります。たとえば、1次評価は絶対評価、2次評価は相対評価など、複数の視点で評価を実施することでバランスを取ることが可能です。
4. 相対評価と絶対評価の違いを把握して適切な方法を選ぼう!
今回は、相対評価と絶対評価の違いや使い分けのポイントを解説しました。2つの評価手法には、それぞれメリット・デメリットがあるため、組織の人数や状況に合わせて最適な方法を選択することが大切です。
相対評価と絶対評価を組み合わせるのもよいでしょう。どの方法で評価を行う場合でも、社員の納得感を得られるように評価基準を明確にしたり、適切なコミュニケーションを取ったりすることが必要です。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
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