休み方改革とは?目的や日本で進みにくい理由を解説
更新日: 2025.2.2
公開日: 2025.2.2
OHSUGI
「休み方改革とは?」
「日本で進みにくい理由は?」
上記のような悩みを抱えている人事担当者もいるのではないでしょうか。休み方改革とは、働く人が休みやすい環境にするための取り組みです。
休み方改革をおこなうことで、生産性や企業イメージの向上、離職リスクを低下するメリットがあります。
今回は、休み方改革の目的や日本で進みにくい理由を解説します。休み方改革に取り組むポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
人事労務管理のペーパーレス化には、以下のメリットがあります。
- 入社手続きがオンラインで完結し、差し戻しなどやりとりにかかる時間を削減できる
- システム上で年末調整の書類提出ができ、提出漏れや確認にかかる工数を削減できる
- 人事情報がひとつにまとまり、複数のシステムやエクセルファイルで管理する必要がなくなる
このように、システムによってペーパーレス化を進めると、人事労務管理にかかる工数を削減し、注力したい業務に時間を割くことが可能です。 システムを利用したペーパーレス化について気になる方は、こちらからクラウド型人事管理システム「ジンジャー人事労務」の紹介資料をご覧ください。

1. 休み方改革とは?
休み方改革とは、働く人が休みやすい環境にするための施策です。
お盆休みやGWなどの休暇が集中しやすい時期を見直し、休みをずらしたり有給休暇の取得率を高めたりするための取り組みです。
休みを分散化させることで、公共交通機関や宿泊施設などの混雑緩和が見込めます。飲食店や宿泊業者なども閑散期の集客が可能になるため、どちらにもメリットがあるでしょう。
2014年に「休み方改革ワーキンググループ」が開設され、2017年6月には「休み方改革官民総合推進会議」が発足し、さまざまな取り組みが現在も進行しています。
2. 休み方改革を推進する目的
休み方改革を推進する目的は、労働者の働き過ぎを改善するためです。平成26年には、厚生労働省による労働時間の調査がおこなわれています。
調査の中で、週60時間以上働く30代男性は17.6%と高い水準であることがわかっています。
法定労働時間は1日8時間を5日間働く、週40時間です。週に60時間働いている場合は、週に20時間の残業をしており、月で換算すると80時間以上の残業となります。
一般的に、80時間の時間外労働が2〜6ヵ月続くと過労死ラインに抵触します。
過労死ラインに到達する労働者を減らすためにも、休み方改革は必要な施策といえるでしょう。
3. 日本で休み方改革が進みにくい理由
日本で休み方改革が進みにくい理由は、次のとおりです。
・有休制度そのものが整備されていない環境
・長時間労働の文化
・有休が取得しづらい職場体質
それぞれ詳しく解説します。
3-1. 有休制度そのものが整備されていない環境
従業員に付与されるのが有給ですが、企業によっては正しい日数が付与されなかったり、日数をカウントしていなかったりするケースもあります。
有給を消化する制度が整備されていないと、休み方改革が進みません。
結果として取得率の増加が実現できず、休み方改革が進まなくなります。
3-2. 長時間労働の文化
長時間労働の文化も、休み方改革が進まない原因です。日本の一部では長時間労働を美徳と考える文化が根付いており、長時間労働が正しいことだとイメージしている人もいます。
「残業している人に対する上司の評価」について、内閣府が調査していました。
残業している人に対して上司が「頑張っている人」や「仕事ができる人」などのポジティブな評価をするだろうと考えている人が3割以上います。
つまり、長時間働く方が上司からの評価がよくなると考えている人が一定数存在します。
一部で長時間労働が良いことだと捉えられている現状も、休み方改革が進まない要因といえるでしょう。
参考:「ワーク・ライフ・バランスに関する意識調査」結果速報について|内閣府
3-3. 有休が取得しづらい職場体質
有休が取得しづらい職場体質も、休み方改革が進まない要因です。日本人は、ほかの国と比較して有給休暇の取得に罪悪感を感じやすいとされています。
年10日以上の有給休暇が付与される場合は、年に5日取得することが義務付けられており、企業側は取得を推進する必要があります。
しかし、労働者としては有給休暇を取得することでほかの人へ迷惑がかかったり、多忙になると心配したりするケースも多いです。こうした考えが、自発的な有給休暇を取得する妨げになります。
4. 政府が取り組んでいる休み方改革
政府が取り組んでいる休み方改革は、次のとおりです。
- プレミアムフライデー
- ゆう活
- プラスワン休暇
- 仕事休もっ化計画
- キッズウィーク
それぞれ詳しく解説します。
4-1. プレミアムフライデー
プレミアムフライデーとは、個人が幸せや楽しさを感じる体験を作るための時間を創出する施策です。
毎月、月末金曜日の勤務時間を15時までと定めています。
目的としては、ワークライフバランスの実現や消費の促進です。プレイアムフライデーの実例は以下が挙げられます。
- 2.5日旅
- アーリーディナー
- 午後ブラショッピング
- 夕飲み
- アフタヌーン町歩き
上記のように、仕事を早く切り上げて旅行を楽しんだり、ショッピングを楽しんだりすることが推奨されています。
4-2. ゆう活
ゆう活(ゆうやけ時間活動推進)とは、夏に「フレックスタイム制」や「朝型勤務」などを推進し、夕方早くに帰宅する生活スタイルを推奨する施策です。
長時間労働を抑制することで、帰宅後の生活を充実させる目的があります。
ゆう活では、朝は早くから働き、夕方からは以下のようなプライベートな時間に充てるスタイルを推奨しています。
- 早めに帰宅して保育園へお迎えに行く
- 一人暮らしの母に会いに行く
- 夫婦でテニスを楽しむ
子どもや親、夫婦との時間などを作れるのがゆう活の魅力です。
4-3. プラスワン休暇
プラスワン休暇とは、労使協調のもとで以下の連続休暇を実現させるための施策です。
- 年次有給休暇を合わせて土日+1日以上の連続休暇
- 土日祝日+1日以上の連続休暇
年次有給休暇の計画的付与制度を利用し、本来よりも長く連休を確保する目的があります。
4-4. 仕事休もっ化計画
仕事休もっ化計画は、飛び石連休の平日に有給休暇の取得を推奨し、長期休暇を作ると同時に有給休暇の取得を促す施策です。
プラスワン休暇やキッズウィークと共に、働きやすい職場環境を作り出すための施策として勧められています。
令和2年のゴールデンウィークでは、「4月29日」「5月2日〜6日」「9日〜10日」の飛び石連休がありました。
そこで「4月30日」「5月1日」「5月7日」「5月8日」の平日を有給休暇とすることで、長期休暇となります。大型の休みを企業から推奨することで、労働者の満足度も高まっていくでしょう。
4-5. キッズウィーク
キッズウィークは、夏休みを始めとした子どもの長期休暇を分散化させる取り組みです。
子どもの休日を分散化し、親である大人も休暇を取得しやすくなる環境を作るために生まれました。
有給休暇を取得しやすい環境を作ることで、親子で過ごす時間を増やしたり、観光や旅行の消費需要を喚起したりする効果が期待されています。
5. 休み方改革のメリット
休み方改革のメリットは、次のとおりです。
- 生産性の向上につながる
- 企業のイメージが向上する
- 離職リスクを下げつつ人材を確保できる
それぞれ詳しく解説します。
5-1. 生産性の向上につながる
休み方改革には、生産性を向上させる効果があります。休みやすい環境を作るには業務の効率化が必須であり、休むことで必然的に生産性が高まるためです。
業務効率化の例は以下が挙げられます。
- 不要な業務を削減する
- 反復作業を自動化させる
- 社内情報を一元化する
- アウトソーシングを活用する
また行き詰った状態で仕事をするよりも、一度休暇を取ってリフレッシュした状態のほうが頭がすっきりして、仕事に集中できる可能性もあります。
生産性が高まると、経費削減の効果や従業員のモチベーション向上が期待できます。
5-2. 企業のイメージが向上する
休み方改革により有給取得率が高まれば、企業のイメージが向上します。「働きやすい職場である」とのイメージがつくためです。
企業HPに掲載することで、求職者へのアピールポイントになります。
募集人数が増えることで、優秀な人材の確保につながるでしょう。
5-3 .離職リスクを下げつつ人材を確保できる
休み方改革には、離職リスクを下げつつ人材を確保する効果が期待できます。有給取得率が低い職場は離職率が高くなりますが、取得率を高めると離職率を下げられるためです。
人材不足は業績悪化の要因にもなるため、働きやすい環境にすることで離職リスクを抑えることが大切といえます。
6. 休み方改革のデメリット
休み方改革のデメリットは、業務が回らなくなる可能性があることです。休む従業員が増えると、人手が足りず効率的に業務を進めることが難しくなります。
単純に休みを増やすのではなく、仕事の進め方や従業員それぞれの負担も見直した上で、問題のない形で休み方改革を取り入れることが大切です。
そのためには、業務やプロセスを可視化したり、コミュニケーションを活性化させたりするなどの環境整備が重要になります。
働き方改革も同時に取り組むことは、適切な休み方改革を実現させる上で必要です。
7. 休み方改革に取り組む際のポイント
休み方改革に取り組む際のポイントは、次のとおりです。
- 目標や方法を選定する
- 休み方改革の必要性を周知する
- サポートツールの導入を検討する
それぞれ詳しく解説します。
7-1. 目標や方法を選定する
休み方改革に取り組む際は、目標や方法を選定します。目標や方法が曖昧な状態で取り組んでも、効果につながりにくいためです。
まずは自分の企業の休暇取得状況を確認し、ほかの企業と比べて休めているか、休みやすい環境であるかを検証しましょう。
アンケートなどで得た従業員の意見や検証結果から、具体的な目標や方法を決めていきます。
業種によって休暇に関する課題は異なるため、状況に合った目標設定や方法の選定が必要です。
7-2. 休み方改革の必要性を周知する
休み方改革の必要性を周知することも大切といえます。周知によって休暇を取りやすい企業風土を作り上げられるためです。
社内研修などの機会を利用し、従業員へ休み方改革の必要性を浸透させましょう。
メールなどのメッセージで周知する場合は、一度だけ発信するのではなく繰り返し伝えることで従業員の休暇に関する意識を高められます。
7-3. サポートツールの導入を検討する
休み方改革に取り組む際は、サポートツールの導入を検討しましょう。自分の力だけで休み方改革に取り組もうとするのは効率的ではないためです。
なかでもスケジュール共有ツールは、休暇を取る従業員の業務を調整したり、フォローしやすい体制を作ったりする際に役立ちます。
与えられた休暇を知らずに取得できない事態を防ぐため、休暇日数の確認ツールを利用するのもおすすめです。
労務管理ツールを用いることで、休み方改革の進捗を確認できます。
8. 休み方改革を取り入れて社員の生産性を高めよう
休み方改革は、働いている人が休みやすい環境を作るための施策です。休み方改革に取り組むことで、生産性や企業イメージの向上につながります。
業務が回らない恐れがデメリットとして挙げられるため、働き方改革を一緒に取り組んで適切な休み方改革を実現することが大切です。
明確な目標設定や従業員への周知もおこなうことで、理想的な働き方改革の実現につながるでしょう。
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