成果主義とは?能力主義との違いや導入時の注意点を紹介
更新日: 2023.4.11
公開日: 2023.4.6
OHSUGI
成果主義は従来の年功序列や学歴、職歴を基準とする評価に対して、存在する人事評価制度のひとつです。仕事の成果に応じて評価する制度ですが、詳しい内容や評価の基準についてはあまり知られていません。
導入する会社も増えつつあり、会社をより成長させるためのポイントになり得る制度です。
本記事では成果主義について詳しく解説します。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
1. 成果主義とは?
成果主義とは、会社における人事評価の考え方のひとつです。成果主義を採用している会社では、社員が仕事であげた成果や成績、実力などを参考に評価を行っています。会社によっては学歴や職歴、経験などを重視して評価を行っているケースもあり、成果主義は対極の存在です。
成果や成績を評価に反映させるのは当然のように思えるかもしれません。しかし、従来の会社は学歴や経験などを重視して評価をしているケースが多く、成果主義という考え方は比較的珍しいものでした。
1-1. 成果主義が導入された背景
成果主義の考えが普及した背景には、1990年代に起こったバブル崩壊にあります。それまではどの会社も業績が好調であり、年功序列で給料を支払っていれば、不平不満が出ることはありませんでした。
しかし、バブル崩壊によって業績が悪化すると、仕事をしている社員に給料を支払うべきという考えが一般的になります。勤続年数が長く、仕事をしていない社員に対する人件費の増加は大きな問題でした。
このような背景から成果主義が生まれたと考えられています。現在では成果主義をベースにして、フリーランスや派遣、請負といった働き方が生まれており、給料を支払う基準が「会社に所属しているか」ではなく「給料に見合う仕事をしているか」に変わっていきました。
1-2. 成果主義の特徴
成果主義において勘違いされやすい点に「成果のみが判断基準となる」というものがあります。成果は評価のポイントのひとつですが、それだけが判断基準になるわけではありません。
成果に至るまでにどのようなプロセスがあるのかも評価されます。そのため、成果主義において数字だけを参考にするということはほとんどありません。
数字とは社員の成果が正直に表れます。成果主義で社員を評価する場合は、数字だけで判断してもいいように思えるでしょう。
しかし、数字だけを基準に社員を評価すると、数字で評価できない部分に対しての取り組みが蔑ろになってしまいます。具体的には、勤務中の態度や素行などが数値で評価できない部分です。
成果を出していればいいと社員が思うと、そういった部分への意識が薄くなってしまう可能性が考えられます。そのため、成果主義の場合も、成果だけに頼って評価するケースは少ないと覚えておきましょう。
2. 成果主義と能力主義の違い
成果主義と能力主義は似ている点が多くありますが、異なるポイントもあります。混同されやすいため、どういった点が異なるのかは正しく理解しておきましょう。
2-1. 能力とは成果に限らない
能力主義における「能力」の定義は考え方によって異なります。しかし、一般的には成果に限らず仕事を遂行するうえで有用である知識や技術、仕事に取り組む姿勢なども能力に含まれると考えられています。
一方で成果主義における「成果」とは、一般的に該当期間の個人の業績のことです。成果主義と能力主義では、社員を評価するための判断の軸が違うといえます。
2-2. 若手社員が評価されやすいのは成果主義
一般的に能力主義は、等級や役職で区切られて評価されることが多いです。成果が評価されないわけではありませんが、等級や役職で区切られている以上、評価には限界があります。
しかし、成果主義には立場による区分けは存在せず、どのような業績を残したかで判断されます。つまり、会社での立場が低い若手社員でも、成果主義であれば評価されやすいです。
3. 成果主義を導入するときのポイント
成果主義は導入すれば必ず効果が出るというわけではありません。ポイントを押さえてより高い効果が期待できるようにする必要があります。
3-1. 社員に納得してもらう
成果主義を導入する際は、社員からの納得感を得ることが欠かせません。今まで評価されなかった人が評価されるようになる一方で、自分にとって不利な評価制度であると感じる方もいるでしょう。
とくに勤続年数の長い社員の立場からすると、年功序列で評価を受けたほうが都合がよいケースもあります。成果指標も部署によって異なるため、明確な基準を定めておかなくてはいけません。
曖昧な基準によって不当に評価されていると社員に思われないような工夫が必要です。評価結果に応じて、給料がどのように変化するかも明らかにしておきましょう。
3-2. 数値化が難しい業務の評価方法を定める
仕事にはさまざまな種類があり、そのすべてが数字で評価できるとは限りません。事務職やバックオフィス部門などは、数値化が難しい業務があります。しかし、その業務がなくてもよいというわけではありません。
そのため、何をもって成果とするのかはよく考えておく必要があります。具体的な評価基準について定めておかないと、社員はもちろん、管理する側も混乱する結果になってしまいます。
数値で判断できる業務だけを評価するのが成果主義ではありません。一部の方だけが有利になるような評価にならないようにすることが大切です。
3-3. 評価者の訓練
成果についての基準を定めたとしても、それを判断するのは評価者です。そのため、評価者の個人的な感情が入ってしまう可能性は否めません。理想としては、評価者が変わったとしても同じ基準での評価が受けられる状態です。
その状態にするために、評価者を訓練することは欠かせません。
4. 成果主義を導入するときの注意点
成果主義を導入する際には、注意しなければならないポイントがあります。実際に有名企業でもこれらのポイントがおろそかになった結果、成果主義の導入を失敗したというケースがあります。
4-1. 一部の業務のみに注力される
自分がどれだけ成果をあげたかが評価の基準になると、実力本位になりすぎてしまう可能性があります。
具体的には人材育成を行ったとしても、評価をされずほかの仕事に注力したほうが評価されやすいだろうと社員が感じてしまい、一部の業務のみに注力されるなどです。
仕事の内容によって評価が変わるのは当然です。しかし、一部の業務だけに意識が向いてしまう状態は健全ではないため、会社のためになる取り組みであれば幅広く評価するという姿勢を見せることが大切です。
4-2. 目標設定が甘くなる
個人の目標を達成できているかどうかを評価の基準とした会社では、目標設定を甘くして高く評価してもらおうとする社員が増える可能性があります。目標を達成することは大切ですが、自分にとって適度に困難であり、達成することでスキルや実力アップが見込めるものでなければ効果が薄いです。
目標を達成しているかを評価の基準にするのは問題ありません。しかし、どのような目標を達成したのかという部分をより評価するようにしましょう。
5. 成果主義の導入で会社を次のステージへ
社員に目標を立てさせて、それに取り組ませることでレベルアップを図っている会社は多いでしょう。しかし、実際には思っているようにうまくいっていないケースもあります。
成果主義を導入することで社員の意識が変わり、会社がよりレベルアップできるかもしれません。ぜひ、成果主義の導入を検討してみてください。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
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