退職時の誓約書とは?目的や効力・拒否された場合の対処法を解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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退職時の誓約書とは?目的や効力・拒否された場合の対処法を解説

書類「退職時の誓約書を拒否されたらどうする?」

「退職時の誓約書の法的効力は?」

上記のような疑問をお持ちではないでしょうか。適切に作成・締結された誓約書には法的効力が認められますが、強制的に署名させた誓約書は無効と判断されます。

労働者からサインを拒否された場合、会社は慎重かつ柔軟に対応しなければなりません。

本記事では、退職時の誓約書の目的や内容、法的効力に加え、拒否された場合の対処法などを解説します。労働者とのトラブルを未然に防止したい人事労務担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

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1. 退職時の誓約書とは?

書類

退職時の誓約書は、会社を辞める労働者に提出してもらう書類です。秘密保持や競業避止などの条項を含め、以下のような目的を果たすために作成します。

  • 会社の機密情報を不正利用されないようにする
  • 顧客の引き抜きを防ぐ
  • 退職者の義務を明文化し、後のトラブル発生を防ぐ
  • 誹謗中傷行為を禁止し、会社の社会的信用を守る

誓約書には法的な拘束力があり、労働者は内容を遵守する義務を負います。会社の利益を保護するためには、誓約書の取り交わしによって労働者から個別に合意を得ることが重要です。

2. 退職時の誓約書で規定すべき内容

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退職時の誓約書には、一般的に以下のような内容を規定します。

  • 競業避止義務:競合他社への転職や独立を制限する
  • 秘密保持義務:機密情報の漏洩や不正利用を防ぐ
  • 貸与品・会社備品の返還
  • 顧客や従業員の引き抜き禁止
  • 信用毀損行為の禁止

それぞれの詳細を見ていきましょう。

2-1. 競業避止義務:競合他社への転職や独立を制限する

競業避止とは、退職者が元の勤務先と競合する事業に関与することを一定期間・一定地域において制限する取り決めです。

自社のノウハウや機密情報、顧客情報が競合他社に流出することのないよう、退職時の誓約書には以下のような内容を明記します。

  • 期間の制限(例:退職後1年間)
  • 地域の制限(例:同一県内)
  • 競業に該当する事業・企業の明示

競業避止は退職者の「職業選択の自由」とのバランスが重視され、制限の範囲が過度に広い場合は無効とされる可能性が高くなります

労働者ごとの勤続年数や業務内容などを考慮し、合理的な範囲の制限にとどめることが重要です。

2-2. 秘密保持義務:機密情報の漏洩や不正利用を防ぐ

秘密保持義務は、労働者が業務を通じて知り得た会社の機密情報を、第三者に漏らしたり、不正に利用したりしないよう求める義務です。

退職時の誓約書では、労働者に対する秘密保持義務が退職後も続くことを認識させる必要があります。

誓約書に盛り込むべき主なポイントは以下のとおりです。

  • 機密情報の定義(例:顧客情報、ノウハウなど)
  • 義務の期間(例:退職後5年間)
  • 情報の取り扱い(例:社外持ち出しの禁止、複製の禁止など)

法的に有効な誓約書を作成するためには、機密情報が「何を指すのか」を具体的に示すことが重要です。

2-3. 貸与品・会社備品の返還

退職時の誓約書には、貸与品や会社備品の返還に関する条項も盛り込みましょう。

誓約書に明記することで、トラブルや備品の未返却によるトラブル、情報流出の防止につながります。

盛り込むべき具体的な内容は以下のとおりです。

  • 返還対象(例:スマートフォン、名刺、マニュアルなど)
  • 返還の時期と方法
  • データの削除義務(例:私物PCやクラウド上などに保管された業務データ)

とくに近年は、テレワークの普及により情報管理が難しくなっています。誓約書を通じて、データ削除を十分に確認することが重要です。

2-4. 顧客や従業員の引き抜き禁止

引き抜きとは、退職者が自社の顧客と取引したり、自社の従業員に移籍を働きかけたりする行為を指します。

退職時の誓約書には「引き抜き禁止」の条項を盛り込み、営業基盤や人材の流出を防がなければなりません。

誓約書に記載する主なポイントは以下のとおりです。

  • 引き抜き禁止の対象(例:在職中の担当顧客、従業員など)
  • 禁止行為(例:対象への商材販売、対象への移籍の誘引など)
  • 適用期間(一般的には2年以内)

引き抜き禁止の条項は、制限の内容に合理性がなければ無効とされる可能性が高くなります。とくに「対象」や「期間」は、最小限の範囲に限定することが重要です。

2-5. 信用毀損行為の禁止

信用毀損行為の禁止とは、退職者が会社の評判や信頼を損なうような言動を防ぐことです。

昨今はSNSや口コミサイトの影響力が大きいため、退職時の誓約書には以下のような内容を盛り込む必要があります。

  • 禁止行為(例:虚偽の情報の流布、社内事情の暴露、誹謗中傷など)
  • 対象範囲(例:顧客、取引先、SNSユーザーなど)

退職者に対し、会社との関係が終了した後も節度を持った言動を求めることで、企業のレピュテーションリスクを低減できます。過剰な言論制限とならないよう、表現の自由への考慮が必要です。

3. 退職時の誓約書の法的効力

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適切に作成・締結された誓約書には、法的効力が認められます。つまり、退職者が誓約内容に違反して会社に損害を与えた場合、会社は退職時の誓約書を根拠に法的措置を検討可能です。

ただし、すべての内容が自動的に有効となるわけではありません。例えば以下のような誓約書は、退職者のサインがあっても無効とされる可能性が高くなります。

  • 対象(機密情報の範囲、競業の定義など)が明確でない
  • 期間や地域などの制限が合理的でない
  • 強制的・一方的に署名させている

法的効力が認められる誓約書を作成するためには、過去の判例にもとづいて内容を検討する必要があります。専門家と連携し、業種に応じて設計することが重要です。

4. 退職時に誓約書を拒否されたときの対処法

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退職時の誓約書は、原則として労働者の同意に基づくものでなければならず、強制的に署名させることはできません。労働者が署名を拒否した場合、会社には以下のような対応が求められます。

  • 退職者と面談の場を設ける
  • 条項の見直しや調整を図る
  • やり取りを記録して専門家へ相談する

対応の詳細を確認していきましょう。

4-1. 退職者と面談の場を設ける

まずは退職者との面談の場を設け、率直な意見をヒアリングしましょう。誓約書を拒否する理由を明らかにしなければ、退職者が納得できる落としどころを見つけられないからです。

退職者が誓約書を拒否する理由としては、以下のようなものが想定されます。

  • 誓約書の趣旨(目的)が十分に伝わっていない
  • 誓約書の特定の内容に難色を示している
  • 拒否する明確な理由はないが、会社に対する不信感がある

誓約書が退職者の利益を害するものでないことを丁寧に説明し、納得感を醸成することが重要です。

4-2. 条項の見直しや調整を図る

退職者が特定の条項に不満や疑問を持っている場合は、期間や範囲、表現などを見直すことも一つの方法です。

例えば競業避止義務について同意が得られない場合は、対象エリアを緩和する、対価として補償金を支払うなどの対応が考えられます。

合理的な調整によって退職者の合意を得られるケースもあるため、十分な協議を重ねましょう。

4-3. やり取りを記録して専門家へ相談する

協議を重ねても退職者の合意を得られない場合は、署名を拒否された事実とやり取りを記録しておくことが大切です。

経緯を文書化しておけば、将来的に退職者とトラブルに発展した場合でも、会社が誠実に対応していた証拠を示せます

交渉が難航することが予見される際は、早めに弁護士などの専門家に相談し、合法的かつ適切な対応策を検討しましょう。

5. 退職時の誓約書に関するトラブルを防ぐポイント

ポイント

誓約書を拒否された段階で対処しても、労使双方が納得できる合意点を見つけるのは難しいでしょう。

以下では、退職時の誓約書に関するトラブルを未然に防ぐ施策を紹介します。

  • 入社時に誓約書を作成する
  • 就業規則に規定する

5-1. 入社時に誓約書を作成する

退職時のトラブルを防ぐためには、入社時に誓約書を作成しておくことが重要です。

入社段階で誓約書を締結しておけば、労働者は会社のルールや義務を事前に理解した状態で業務を開始できます。退職時にあらためて誓約書を求めても唐突さがなく、退職者の抵抗感を軽減できるでしょう。

誓約書の取得タイミングは、退職時のみに限りません。入社時や昇進時など、適切な場面で複数回取得しておくことで、署名を拒否されるリスクを最小限に抑えられます。

5-2. 就業規則に規定する

秘密保持義務や競業避止義務などのルールは、退職時の誓約書だけでなく、就業規則にも規定しておきましょう。たとえ個別に誓約書を取り交わしていなくても、法的効力が認められる可能性があるからです。

就業規則を社内に周知しておけば、退職時に「聞いていない」と抵抗されるリスクも軽減できます。退職時の誓約書のみに頼らず、先手で対策を講じることが重要です。

6. 退職トラブルを未然に防止して会社の機密と利益を守ろう

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退職時の誓約書は、会社の利益を守るうえで欠かせないものです。法的効力が認められるためには、内容の妥当性・合理性が重要になります。

退職者から署名を拒否された場合は、協議を重ねて柔軟に対応しなければなりません。先手で社内の規則整備を進め、トラブルを未然に防ぎましょう。

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jinjer Blog 編集部

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