雇用保険被保険者資格取得届の賃金欄に記入する内容について
雇用保険加入の手続きをする際、雇用保険被保険者資格取得届を所轄のハローワーク宛てに提出する必要があります。その際、入社した従業員に支払う賃金についても正しく申告しなければなりません。
今回は、雇用保険被保険者資格取得届に記入する項目の一つである「賃金欄」に書くべき内容や記入する金額の算出方法、また、記入の際の注意点について紹介します。
▼そもそも「雇用保険被保険者資格取得届とは?」という方はこちらをご覧ください
雇用保険被保険者資格取得届の加入要件や記入時の注意点について
目次
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社会保険料は従業員の給与から控除するため、ミスなく対応しなければなりません。
しかし、一定の加入条件があったり、従業員が入退社するたびに行う手続きには、申請期限や必要書類が細かく指示されており、大変複雑で漏れやミスが発生しやすい業務です。
さらに昨今では法改正によって適用範囲が変更されている背景もあり、対応に追われている労務担当者の方も多いのではないでしょうか。
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1. 雇用保険被保険者資格取得届の賃金欄に記入する内容
雇用保険被保険者資格取得届の賃金欄には、従業員が入社した際の賃金の支払いの態様のほか、賃金月額を記入します。それぞれの記入内容は以下の通りとなります。
1-1. 賃金の支払いの態様
賃金の支払いの態様は、「月給」「週給」「日給」「時間給」「その他」の5つから選択し、記入します。
月給は「1」、週給は「2」、日給は「3」、時間給は「4」、その他は「5」の番号で表し、「ー(ハイフン)」の左側に該当の番号を記入しましょう。
1-2. 賃金月額
賃金月額は、千円単位での記入を行います。あくまでも月額での記入となりますので、どのような賃金支払いの態様であっても、月額分に計算しなおした上で記入する必要があります。
賃金月額を記入する際の注意点については、のちに解説します。
2. 賃金欄の計算方法と記入例を解説
ここからは、賃金欄に記入する金額の計算方法と記入例について説明します。
「月給で賃金を計算している場合」「日給で賃金を計算している場合」「時間給で賃金を計算している場合」の3パターンに分け、計算方法と記入例を紹介します。
2-1. 月給で賃金を計算している場合
基本給を200,000円、通勤手当を6カ月定期24,000円、住宅手当を15,000円支給している場合の計算式と賃金欄の記入例は以下の通りです。
- 計算式
基本給:200,000円 + 通勤手当:4,000円(24,000円÷6ヶ月)+ 住宅手当:15,000円=219,000円
- 賃金欄の記入例
1-219
2-2. 日給で賃金を計算している場合
日給を10,000円、1ヶ月の所定労働日数を20日、通勤手当を1カ月定期で6,000円支給している場合の計算式と賃金欄の記入例は以下の通りです。
- 計算式
日給:10,000円×月の所定労働日数:20日 + 通勤手当:6,000円=206,000円
- 賃金欄の記入例
3-206
2-3. 時給で賃金を計算している場合
時給で1,500円、1ヶ月の所定労働日数を100時間、通勤手当を1カ月定期で5,000円支給している場合の計算式と賃金欄の記入例は以下の通りです。
- 計算式
時給:1,500円×月の所定労働時間:100時間 + 通勤手当:5,000円=155,000円
- 賃金欄の記入例
4-155
3. 賃金欄を記入する上での注意点
雇用保険被保険者資格取得届の賃金欄に記入する際には、次の3つの点に注意が必要です。
◇雇用保険被保険者資格取得届の賃金欄に記入する際の注意点3点
- 賞与や残業手当などの金額が変動する手当については含まない
- 住宅手当等の金額が固定された手当は含む
- 通勤手当が6ヶ月分などまとめて支払われている場合には、1ヶ月分で計算する
以下、これら3つの点について具体的に説明します。
3-1. 賞与や残業手当などの金額が変動する手当については含まない
賃金欄の賃金月額部分に記入する内容には、賞与や残業手当、宿直手当といった金額が変動する手当を含みません。
計算の際には、これらの手当を含まずに算出するようにする必要があります。
3-2. 住宅手当等の金額が固定された手当は含む
賃金月額を算出する際には、住宅手当等の金額が固定された手当については、加算して計算します。
3-3. 通勤手当が6ヶ月分などまとめて支払われている場合には、1ヶ月分で計算する
通勤手当は、6ヶ月定期などで支払われている場合、1ヶ月分で計算し直した金額で加算する必要があります。
4. 雇用保険被保険者資格取得届の記入における留意点を確認
最後に、賃金欄をはじめとした雇用保険被保険者資格取得届の記入を行っていく上でおさえておきたい留意点について3つを取り上げました。書類を記入する前にはあらかじめ次の点を確認しておくとよいでしょう。
◇雇用保険被保険者資格取得届の記入の留意点3つ
- 前もって情報を集めた上で記入をはじめる
- 鉛筆もしくはシャープペンシルでの記入がおすすめ
- 記入する必要のないところは空欄にしておく
4-1. 前もって情報を集めた上で記入をはじめる
雇用保険被保険者資格取得届には、従業員のさまざまな個人情報を記入する必要があり、ある程度情報をまとめた上で記入を行う必要があります。
ひとつひとつ調べながらの記入では、かえって時間がかかり効率が悪くなってしまうため、注意が必要です。
4-2. 鉛筆もしくはシャープペンシルでの記入がおすすめ
雇用保険被保険者資格取得届はOCRで読取りをする書類です。記入を間違った場合でも、鉛筆やシャープペンシルで記入しておけば、消しゴムで消して訂正すれば、問題なく読み取りがされます。
ボールペンでの記入も可能ですが、間違ってしまった場合に訂正ができない点と、正しく読み取りされない点について認識しておく必要があります。
4-3. 記入する必要のないところは空欄にしておく
記入する必要がない場合には、無理になにかを記入せず、空欄にしておきましょう。また、※印のついた欄や記入枠については、最初から記入をせず空欄にしておきます。
本章では記入における留意点を3点紹介しましたが、そもそもとなる提出期限を遅れてはいけないことや個人情報の取り扱いに注意することなど、注意点は多く存在します。
このように社会保険関連は覚えなければいけない内容が多くあるため、手続きのミスが起きないか不安な方も多いでしょう。そこで当サイトでは、社会保険の手続きに関する内容を網羅的にまとめた資料を無料で配布しております。内容は、社会保険の基礎知識や法改正の概要、社会保険手続きで担当者が気を付けるポイントなど事細かに記載しております。社会保険手続きで不安な点があるご担当者様は、こちらから「社会保険の手続きガイド」をダウンロードしてご確認ください。
5. 雇用保険被保険者資格取得届に記入するべきその他の項目
雇用保険被保険者資格取得届で記入する項目には、賃金欄以外に次の項目があります。
書類の記入前には、これらの項目についても情報をまとめておくと安心です。賃金欄とあわせて確認しておくとよいでしょう。
- 個人番号
- 被保険者番号
- 取得区分(「新規」もしくは「再取得」より選択)
- 被保険者氏名
- 変更後の氏名(婚姻などの理由により姓が変わった場合に記入)
- 事業所番号
- 被保険者となったことの原因(「新規雇用(新規学卒)」、「日雇からの切替」等より選択)
- 資格取得年月日(数字で選択した元号・雇入日を記入)
- 雇用形態(「日雇」「派遣」「パートタイム」などより選択)
- 職種
- 1週間の所定労働時間
- 契約期間の定め
- 事業所名
このように社会保険の手続きは、記入する項目における注意点も多く手続きのミスが起きないか不安な方も多いでしょう。
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関連記事:雇用保険被保険者資格取得届の記入例・書き方や提出先を分かりやすく解説
6. 雇用保険被保険者資格取得届の賃金欄には正確な内容での記入を
雇用保険被保険者資格取得届は、入社した従業員が雇用保険に加入する際には必ず届出を行わなければならない書類です。賃金欄を記入する際には、「月給」「週給」「日給」といった賃金支払いの態様にかかわらず、月額分に計算した上で記入するようにしましょう。
ハローワークに提出する書類は、正確な内容で記入する必要があります。記入されている内容に問題がないか、しっかりと確認をしたあとに書類を提出することをおすすめします。
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