ワークエンゲージメントとは?高め方や測定方法を紹介
更新日: 2023.9.1
公開日: 2022.11.7
OHSUGI
企業にとって従業員は重要な資源です。この資源を最大限に活用して生産性を高めることが企業には求められます。
従業員の生産性を高めるために把握しておきたいのはワークエンゲージメントです。
今回はワークエンゲージメントについて、高め方や測定方法を交えて紹介します。
目次
1. ワークエンゲージメントとは?
ワークエンゲージメントとは、仕事に対してポジティブな心理状態であることを意味します。ワークエンゲージメントが高い状態の従業員は、仕事にやりがいを感じている、積極的に取り組んでいる状態です。
ワークエンゲージメントはもともと、オランダ大学の教授が提唱した概念です。
仕事に対してのポジティブな心理状態について、厚生労働省では次の3つを規定しています。[注1]
- 活力(Vigor):仕事から活力を得ていきいきとしている
- 熱意(Dedication):仕事に誇りや、やりがいを感じている
- 没頭(Absorption):仕事に熱心に取り組んでいる
このようなポジティブな心理が一時的ではなく、持続している状態がワークエンゲージメントです。
1-1. 活力があることで困難な問題に取り組める
活力を持って仕事に取り組んでいれば、進んで努力をして困難な課題にも積極的に取り組めます。また、活力が備わっていることでストレスを感じることも少ないでしょう。
1-2. 熱意は仕事への誇り
熱意は仕事の内容や自身のスキル、キャリアに自信と誇りを持っている状態です。仕事への熱意があることで、新たなことへの興味や探究が生まれやすくなります。
1-3. 没頭することでミスの減少につながる
ワークエンゲージメントにおける没頭とは、仕事に集中して時間の経過が早い、仕事にのめり込んでいるときに幸福感を感じるという状態です。仕事に没頭することで、ひとつひとつの業務への集中力が高まります。その結果、ミスの減少につながります。
1-4. ワークエンゲージメントの測定方法
ワークエンゲージメントは活力、熱意、没頭の3つの状態を、ユトレヒト・ワーク・エンゲージメント尺度(UWES)と呼ばれる17問の質問で測定します。
ワークエンゲージメントは、「UWES-9」と呼ばれる合計9問の質問でも測定可能です。
「UWES-9」は3つの要素で以下のような質問を行います。[注2]
従業員はこれらの質問に対して、次の7段階で回答をして、各要素の平均点がワークエンゲージメントスコアとなります。
- 0点:全くない
- 1点:ほとんど感じない(1年に数回以下)
- 2点:めったに感じない(1 ヶ月に1回以下)
- 3点:時々感じる(1 ヶ月に数回)
- 4点:よく感じる(1週間に1回)
- 5点:とてもよく感じる(1週間に数回)
- 6点:いつも感じる(毎日)
2. ワークエンゲージメントを高める方法
ワークエンゲージメントを高めるには、仕事の資源、個人の資源という2つの資源に着目しましょう。それぞれの資源は相関しており、どちらかが向上することに伴ってもう一方の向上も期待できます。
2-1. 仕事の資源を高める
仕事の資源を高めるには、業務量の調整、業務量に対する負担を緩和、社員のモチベーション向上が必要です。
具体的には、コーチングや上司をはじめとした周囲のサポート、トレーニングの設定、業務に対する裁量を与えるといったことが挙げられます。
2-2. 個人の資源を高める
個人の資源はポジティブな状態を保つために必要な自己効力感に加えて、楽観性やレジリエンス(回復力)などが当てはまります。
これらを高めるためには、周囲からのポジティブなフィードバックや本人に成功体験を積ませることが大切です。
3. ワークエンゲージメントはワーカホリックと混同しない
ワークエンゲージメントは業務に対してポジティブなイメージを持ち取り組む状態です。対して、業務には人一倍取り組んでいても、ネガティブなイメージを抱いた状態としてワーカホリックがあります。
業務を多くこなすという点において両者は近しいですが、ワーカホリックの場合はネガティブなイメージを持っているため、離職やワークライフバランスの低下につながってしまいます。
4. ワークエンゲージメントが高まることで得られるメリット
ワークエンゲージメントを高めることで、従業員のストレスが緩和されるのに加えて、離職率低下、顧客満足度の向上といったメリットが生まれます。
4-1. 従業員のストレス緩和
ワークエンゲージメントを高める方法のひとつである個人の資源は、自己効力感や楽観性を指します。そのため、これらが高まることで、心理的ストレスが緩和され、従業員の精神衛生が健やかに保たれます。
4-2. 離職率の低下
ワークエンゲージメントが高まることで、従業員が自主的に業務に取り組めるうえに、自身の業務に対して誇りが持てます。その結果、企業に定着することになり、離職率の低下につながります。
4-3. 顧客満足度の向上
従業員が業務に対して自信を持てることで、自社の商品やサービスについても自信が持てるようになります。その結果、能動的に顧客へポジティブな提案が行えるでしょう。顧客にポジティブな提案ができることで、顧客満足度の向上につながり、利益向上が期待できます。
4-4. 生産性の向上
ワークエンゲージメントは従業員の業務に対する姿勢を前向きなものへと変化させます。従業員が前向きに業務に臨むことで、積極的に業務に携わるようになり、生産性の向上が期待できます。
また、業務に必要な知識や資格の習得といった研鑽を自ら取り組めるでしょう。
5. ワークエンゲージメントを高めて働きやすく生産性の高い職場にする
ワークエンゲージメントが高まれば、従業員のストレスが緩和されるだけでなく、自身の業務に積極的に取り組めるようになります。
まずはワークエンゲージメントを数値化して、コーチングやポジティブなフィードバックなどによってワークエンゲージメントの向上につなげていきましょう。
従業員の離職を減らすためには、離職兆候をなるべく早くキャッチし、フォローすることが重要です。
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