源泉徴収票に保管期間はある?管理方法について詳しく紹介
企業は発行した源泉徴収票をどれだけの期間、保管しておく必要があるのでしょうか。
本記事では、源泉徴収票に保管期間があるのか、年末調整に関する書類の保管期間や管理方法について詳しく解説していきます。
目次
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1. 源泉徴収票の保管期間
国税庁は企業に対して、さまざまな帳簿や書類の保管を義務付けています。源泉徴収票にもそのようなルールがあるのか、まずは知っておきましょう。
ここでは、源泉徴収票の保管期間や、年末調整関連の書類で保管が義務付けられている書類の種類などについて解説します。
1-1. 源泉徴収票の保管期間は定められていない
源泉徴収票は重要な書類ですが、じつは保管期間が定められていません。従業員への交付や税務署への提出では、原本を渡します。そのため、源泉徴収票が企業側には残らないからです。
その代わり、年末調整の計算根拠として、以下のような書類の保管が求められています。
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書
- 給与所得者の配偶者控除等申告書(平成29年分以前は「給与所得者の配偶者特別控除申告書」)
- 給与所得者の基礎控除申告書(令和2年分以降)
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 所得金額調整控除申告書(令和2年分以降)
- 退職所得の受給に関する申告書
- 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
- 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
1-2. 従業員は源泉徴収票を保管しておいた方がいいケースがある
源泉徴収票を受け取る側である従業員も、保管の義務はありません。処分しても問題ありませんが、住宅ローンを組む際をはじめ収入の証明が必要なときに提出を求められる可能性があります。
従業員から源泉徴収票の取り扱いについて尋ねられた際は、処分してもよいことだけでなく、必要になるケースがあることも合わせて伝えておくと親切です。
1-3. 源泉徴収簿の保管期間には注意が必要
源泉徴収票の保管期間は定められていませんが、源泉徴収票を作成する際の元になる「源泉徴収簿」は保管しなければなりません。
源泉徴収簿は国税庁が定める「帳簿」に該当するため、保管義務が課されています。違反してしまうと罰則が発生する可能性もあるため、源泉徴収票と混同して処分しないように注意しましょう。
2. 年末調整に関わる書類保管期間は7年
企業などの源泉徴収義務者は、年末調整に関連する書類や帳簿を保管する義務があります。前述した源泉徴収簿もこれに該当し、保管期間は7年と定められています。
この7年間は、年や事業年度の始まりの日から計算するものではありません。年末調整に関わる書類に関しては、提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間にわたって保管し、その後破棄などの対処をおこないます。
退職した従業員の書類に関しても、在籍する従業員のものと同様、7年間は確実に保管しておかなくてはなりません。
企業は、保管義務が課されている書類や帳簿は正しく保管し、税務署の求めに応じてすぐに提出できるように備えておく必要があります。保管方法は紙とデータから選べるため、企業の規模や環境に合わせて適した方法を選びましょう。
3. 年末調整に関わる書類の保管方法
年末調整に関係する書類のうち、保管義務のあるものは紙媒体と電子データによる保管が可能です。7年間と保管期間が長期に及ぶため、適切な方法で保管しなくてはいけません。
それぞれの保管方法を詳しく見ていきましょう。
3-1. 紙で保管する方法
年末調整に関わる書類を紙として保管する場合は、まず申告書ごとに分類し、さらに年度ごとに仕分けします。
仕分けした書類はフォルダーやファイルなどにまとめて収納し、キャビネットなどに立てて保管しましょう。
横にして積み上げるように収納すると、下層にあるフォルダーやファイルを取り出しにくくなり、税務署からの要請に応じにくくなる可能性があります。
従業員の数が少ない企業であれば、2015年~2020年まで、など一定の年数ごとにまとめてファイリングする方法もよいでしょう。従業員が多い場合は「2019年」「2020年」など、年度ごとに保管するのがおすすめです。
フォルダーやファイルの背表紙には、何年のどんな書類が保管されているのかを記載したシールやラベルを貼り、いちいち取り出さなくても中身がわかるようにしておくと便利です。
3-2. データで保管する方法
年末調整に関わる書類は複数ある上、7年間と長期にわたって保管しなければならないため、すべてを紙で保管するとなると手間と時間、そして十分な保管スペースを要します。
そのため、近年は年末調整に関わる書類を電子データとして保存する企業が増えてきています。
書類を電子データ化して保存した場合、ファイリングの手間がなくなり、目当ての書類もキーワード検索すればすぐに閲覧できるようになります。
物理的な保存スペースも不要になるため、保管場所に困ることもありません。
書類の電子化には、紙の書類をスキャニングして保存する方法と、最初からパソコンで作成してそのまま保存する方法の2種類がありますが、後者の方が書類の作成・手間を省けてより効率的です。
ただし、電子データ化して保存する際は、電子帳簿保存法のルールに則った方法で保存する必要がある点に注意しましょう。
関連記事:【2023年版】電子帳簿保存法とは?概要と改正内容をわかりやすく解説
4. 年末調整に関わる書類を保管するときの注意点
年末調整に関連する書類には個人データや年収など、多くの重要な情報が詰まっています。また、法律で定められている保管方法もあるため、保管する際は以下の3点に十分に注意しましょう。
4-1. 個人情報の取り扱いに注意する
源泉徴収票や年末調整に関連する書類や帳簿は、個人データの宝庫といっても過言ではありません。流出すると大きな問題になります。
紙媒体の書類であれば、ファイリングした後に鍵のある棚や倉庫に保管しておきましょう。データの場合はセキュリティを強固なものにし、アクセスできる担当者を厳選するとよいでしょう。
また、担当者だけでなくすべての従業員に向けて、個人情報を取り扱う重要性について周知しておくことも効果的です。
4-2. すぐに検索や提出ができるようにする
保管してある帳簿や書類は、税務調査が入った際や、従業員から源泉徴収票の再発行を依頼された際に必要になることがあります。
突然の提出要請や再発行があった際に対応できるように、分類や整理をおこないましょう。これは紙の保存でもデータの保存でも同様です。
年末調整に関連する書類は数が多く、複雑なものも少なくありません。名称が似ているものもありますが、正しく保管して検索や提出をしやすいようにしておきましょう。
4-3. 廃棄する際は適切な方法を選ぶ
保管期間が過ぎた書類は、帳簿に当てはまっている場合でも処分することが可能です。
ただし、通常の書類と同じよう処理で破棄するのは危険です。個人情報が流出したり、会社の情報が漏れたりする恐れがあります。
特に電子データの場合は要注意です。保管してあるメディアを破壊して閲覧できなくしたり、各種ソフトの削除方法を実施したり、適切な方法でデータを消さなければなりません。
電子データは復元が可能であるケースも多々見られます。必ず復元が不可能な状態にして処分するようにしましょう。
5. 重要書類は適切な方法で保管してトラブルを防ごう
企業は年末調整に関わる書類を7年間にわたって適切に保存する義務があります。
書類はただ取っておけば良いというわけではなく、税務署から要請された場合には速やかに当該資料を提出しなければなりません。
必要な書類を必要に応じてすぐに準備できるよう、きちんと区分してファイリングまたは電子データ化することを心がけましょう。
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