年末調整における年収による控除額の変更点や計算方法 - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

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年末調整における年収による控除額の変更点や計算方法

計算している様子

年末調整における控除額の変更点や計算方法について知りたいという方は多いのではないでしょうか。それもそのはず、控除額の計算方法は時期によって異なるため、非常に複雑となっています。

そこで本記事では、年末調整における年収による控除額や計算方法について解説します。最後までご覧になることで、面倒な年末調整をスムーズに終わらせることができるはずです。


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1. 年末調整における年収の見方

メガネ

年末調整における年収は「源泉徴収票」で確認することができます。

源泉徴収票とは、その年に会社から支払われた給与や賞与などの総額や、収めた所得税の金額などが記載されている用紙のことです。この源泉徴収票を受け取れるのは、年末調整の計算が完了した際と退職時の2つです。

なお、源泉徴収票はいくつかの項目に分かれており、年収に関連することは以下の4つから確認できます。

  1. 支払金額
  2. 給与所得控除後の金額
  3. 所得控除の額の合計額
  4. 源泉徴収税額

一年間に会社から受け取った金額の合計は「支払金額」に記載されています。基本給やボーナスはもちろんのこと、各種手当などのすべてが含まれていることから、「支払金額」は一般的な年収を示しています。

2. 年末調整における年収による控除額の計算方法

給与計算をしている

年収による控除額の計算方法をみていきましょう。給与所得控除額は収入の総額によって異なり、計算方法として「給与所得額=年間収入額-給与所得控除額」で算出することができます。なお、年末調整に記入する年収は、書類提出段階では受け取っていない12月の給与も含まれるため、見込み額で記入します。

なお、令和5年分以降の給与所得控除は下記のとおりです。

給与収入金額 給与所得控除額
162万5,000円以下 55万円
162万5,001円~180万円 年収×40%-10万円
180万1円~360万円  年収×30%+8万円
360万1円~660万円 年収×20%+44万円
660万1円~850万円 年収×10%+110万円
850万1円以上 195万円

参考:国税庁|給与所得者と税「給与所得の金額の計算」

2-1. 年末調整の対象となる年収は?

年末調整は年収によっては対象とならない人もいます。1年の主たる給与の収入の合計が2,000万円を超える従業員は、年末調整の対象となりません。また、年収以外にも次のような従業員も年末調整の対象外です。

  • 災害減免法の規定により、その年の給与に対する所得税および復興特別所得税の源泉徴収について徴収猶予や還付を受けている
  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出していない
  • その年の12月31日に会社に在籍しておらず退職している

2-2. 給与収入にあたるもの・あたらないもの

給与収入にあたるものは賃金や給与以外にも、残業手当や休日出勤手当、職務手当、家族(扶養)手当、住宅手当などです。一方、次のようなものは課税対象とはなりません。

  • 通勤手当のうち、一定金額以下のもの
  • 転勤や出張などのための旅費のうち、通常必要と認められるもの
  • 宿直や日直の手当のうち、一定金額以下のもの

年末調整の計算で年収が算出できたら、その後は給与所得控除などの各種控除を差し引くなどして最終的な年末調整に必要な年調年税額を算出します。

人事担当者様の中には、この計算方法や控除の種類があいまいだという方がいらっしゃるのではないでしょうか。

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3. 特定支出控除が認められるケースもある

ビックリマークが浮かんでいる

業務にかかった支払いが多い場合、特定支出控除として控除が認められるケースがあります。特別支出控除が認められる支出は次のとおりです。

  • 通勤費(交通費)
  • 転居費
  • 研修費
  • 資格取得費
  • 帰宅旅費
  • 勤務必要経費

なお通勤費は会社が通勤手当を支給している場合、特定支出控除は認められません。

従業員は会社に対して、特定支出の証明依頼書を提出します。経理担当者は業務との関連性を確認する必要があります。申請に問題がなければ、証明欄に記入と捺印をしましょう。

4. 年末調整における年収による控除額の変更点

ビックリマークが注意を表している

年収による控除額は時期によって大きく変更されています。時期ごとの控除額は下記をご覧ください。

平成29年分~令和元年分

給与等の収入金額 給与所得控除額
162万5,000円以下 65万円
162万5,001円~180万円 年収×40%
180万1円~360万円  年収×30%+18万円
360万1円~660万円 年収×20%+54万円
660万1円~1,000万円 年収×10%+120万円
1,000万1円以上 220万円

平成28年分

給与等の収入金額 給与所得控除額
162万5,000円以下 65万円
162万5,001円~180万円 年収×40%
180万1円~360万円  年収×30%+18万円
360万1円~660万円 年収×20%+54万円
660万1円~1,000万円 年収×10%+120万円
1,000万円~1,200万円 年収×5%+170万円
1,200万1円以上 230万円(上限)

5. 年末調整における所得控除額の差し引き

悩んでいる女性

従業員が提出した「控除申告書」をもとに所得控除額を差し引き、課税所得を計算します。

計算方法は「課税所得=給与所得額-所得控除額」となります。年末調整で差し引かれる所得控除の種類は下記をご参考ください。

  • 基礎控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 扶養控除
  • 雑損控除
  • 医療費控除
  • 社会保険料控除
  • 寄附金控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 寡婦・寡夫控除
  • 勤労学生控除
  • 小規模企業共済等掛金控除

これら該当する項目を申告書の内容を元に算出します。

6. 年末調整における所得税率の掛け算と控除額

電卓で計算する人

1年間の所得税額は、課税所得に税率をかけて控除額を差し引くと算出されます。

よって計算方法は「所得税額=課税所得x税率-控除額」となります。平成27年分以降の所得税の速算表は下記のとおりです。

課税所得額 税率 控除額
194万9,000円以下 5% 0円
195万円~329万9,000円 10% 9万7,500円
330万円~694万9,000円 20% 42万7,500円
695万円~899万9,000円 23% 63万6,000円
900万円~1799万9,000円 33% 153万6,000円
1,800万円~3,999万9,000円 40% 279万6,000円
4,000万円以上 45% 479万6,000円

参考:No.2260 所得税の税率|国税庁

7. 2020年に変更された年末調整の新たな項目

2020年

最後に、2020年に変更された年末調整の新たな項目を解説していきます。

2020年の年末調整では、以下4つの項目に変更点が加えられました。

  1. 基礎控除額の引き上げ
  2. 給与所得控除額の引き下げ
  3. 「ひとり親控除」の新設・寡婦(寡夫)控除の見直し
  4. 年末調整書式の大幅改訂

ひとつずつ確認していきましょう。

7-1. 基礎控除額の引き上げ

これまでの基礎控除額は、収入や所得金額に関係なく一律で38万円でした。しかし、平成30年度の税制改正により、2020年からは一律48万円に基礎控除額が引き上げられています。

また、合計所得金額が2,400万円を超える場合は、基礎控除額が段階的に引き下がっていきます。

詳しい基準については下記をご参考ください。

合計所得金額 基礎控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万1円~2,450万円 32万円
2,450万1円~2,500万円 16万円
2,500万1円以上 0円

なお、住民税についても33万円から43万円に変更されました。

7-2. 給与所得控除額の引き下げ

基礎控除額の引き上げに伴い、2020年からは給与所得控除額も見直されています。給与所得控除額は一律で10万円引き下げられました。

なお、収入の合計が850万円を上回る場合は給与所得控除の上限が195万円となります。

合計所得金額 給与所得控除
850万円以下 -10万円
850万円以上 -10万円以上(累進課税)

参考:税務庁 | 給与所得控除

7-3. 「ひとり親控除」の新設・寡婦(寡夫)控除の見直し

2020年の年末調整からは、従来の寡婦(寡夫)控除に近い制度「ひとり親控除」が設けられました。ひとり親控除とは、納税者の親が母親か父親のどちらか1人であるときに、一定の所得控除を受けられる制度のことです。

つまり、シングルマザーとシングルファザーのどちらにも対応しているほか、婚姻歴に関係なく制度の対象となります。

7-4. 年末調整書式の大幅改訂

年末調整書式の大幅改訂によって、「給与所得者の基礎控除申告書」と「所得金額調整控除申告書」が新しく加わりました。

これらの申告書は従来の「給与所得者の配偶者控除等申告書」と一体化しており、「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」という新しい様式が設けられました。

8. 2023年から寡婦又はひとり親欄が設置された

メリットをブロックで表している

令和5年分の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書から寡婦又はひとり親欄が設置されています。寡婦、ひとり親に該当するのは次のようなケースです。

寡婦

夫と離婚した後に婚姻をしておらず、扶養親族がいる人で、合計所得金額が500万円以下のケース

夫と死別した後婚姻をいない人もしくは夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下のケース

ひとり親

本人と事実上の婚姻関係と同様の事情にあると認められる人がいない

生計をともにする子がいる

合計所得金額が500万円以下

寡婦、ひとり親の欄の記載が漏れないように、対象となるケースについて従業員に周知しておきましょう。

参考:国税庁 | No.1170 寡婦控除

参考:国税庁 | No.1171 ひとり親控除

9. 年末調整における控除額について事前に理解しておこう

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本記事では、年末調整における年収による控除額や計算方法について解説しました。年末調整における年収は「源泉徴収票」の「支払金額」に記載されています。

基本給やボーナスはもちろんのこと、各種手当などのすべてが含まれているため、一般的な年収を把握することが可能です。なお、年収による控除額は「給与所得額=年間収入額-給与所得控除額」で算出できます。

年末調整における控除額の計算で苦戦しないためにも、控除額について事前に理解しておくことをおすすめします。所得税率の掛け算と控除額なども本記事で解説しているため、年末調整の前にぜひご参考ください。

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OHSUGI

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クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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