関連会社の定義とは?持分法適用会社との違いや影響範囲を解説
更新日: 2024.1.15
公開日: 2022.11.30
jinjer Blog 編集部
関連会社や子会社という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。しかし、それらの定義を厳密に説明するのは難しいという人も多いでしょう。
本記事では関連会社について解説いたします。子会社や関係会社の違いを含めて解説しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説
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「会計の基礎知識である勘定科目や仕訳がそもそもわからない」
「毎回ネットや本で調べていると時間がかかって困る」
などなど会計の理解を深める際に前提の基礎知識となる勘定科目や仕訳がよくわからない方もいらっしゃるでしょう。
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1. 関連会社とは?定義と適用範囲を解説
関連会社には会計上の厳密な定義があり、次のように定められています。
「会社等及び当該会社等の子会社が出資、人事、技術、取引等の関係を通じて、子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合に当該子会社以外の他の会社」
会社は自社の方針や、新しい商品の展開などを、取締役などの一部の立場がある人間だけの判断だけで決めているわけではありません。会社が意思決定をする際には、いろんなほかの会社の影響があります。なぜなら、会社の意思決定によってほかの会社が悪影響を被る可能性も否定できないからです。
たとえば、Aという会社がケーキを作っていたとします。ケーキを作るために必要な生クリームをBという会社から仕入れていたとしましょう。この場合にBという会社が生クリームの製造をやめて、別の商品に切り替えるとなれば、当然ですが生クリームの仕入れ先がなくなるのでA社は困ってしまいます。
しかし、会社の判断はほかの会社が不利益を被るという理由だけで、覆るものではありません。会社は自由にビジネスを行う権利があります。しかし、A社がB社に対して議決権を保有しているのであれば話は別です。
1-1. 決議権とは
議決権とは簡単に説明すると、株式のことです。A社がB社の株式を保有しており、議決権を持っているということは、A社はB社の株主となります。株主は会社の方針に対して、否決する権利を持っています。つまり、B社が独自の判断で生クリームの製造をやめることはできないのです。
当然ですが、議決権を保有するのはメリットばかりではありません。株式を所有することによるデメリットを受け入れたうえで、生クリームの製造がなくなると困るからA社はB社の議決権を保有しているのです。経営方針に意見ができるのは、株主として当然の権利となります。
関連会社とはこの議決権を全体の20%以上保有している会社のことを指します。この場合であれば、A社がB社の議決権を20%以上保有していたら「A社はB社の関連会社」となります。
そもそも会社とは、法的には株主のものとされているので、関連会社とは「全体の20%以上が自社のものである会社」と考えることもできるでしょう。
1-2. 株式比率だけが判断基準ではない
議決権をどれだけ保有しているかが関連会社かどうかを判断するために重要なポイントです。しかし、それだけで関連会社かどうかが決まるわけではありません。
具体的には議決権のある株式を20%保有していなくても、関連会社と認められる場合があります。そのためには、一定の要件を満たさなくてはいけません。
一定の要件とは以下のとおりです。
- ほかの会社の代表取締役、取締役またはこれらに準ずる役職に当社の役員等が就任していること
- ほかの会社等に対し、重要な融資、重要な技術の提供、重要な販売、仕入れその他の営業上または事業上の取り引きがあること
たとえばA社がB社の議決権を16%保有していたとします。この場合だと、B社はA社の関連会社という扱いにはなりません。しかし、B社の取締役にA社の社員が就任していれば、関連会社になるのです。
このように議決権の割合だけで関連会社かどうかが決まらない点には注意をしてください。この判断には明確な基準があります。
議決権を15%以上、20%未満保有している場合は、一定の要件を満たせば関連会社となります。そして15%未満の場合は、特定の者の議決権とあわせて20%以上と一定の要件を満たせば関連会社となります。
特定の者の議決権とは子会社などが保有する議決権のことです。たとえば、A社がB社の議決権を12%保有し、A社の子会社であるC社が議決権を9%保有していたとしましょう。この場合にA社の社員がB社の取締役に就任していれば、B社はA社の関連会社と判定されます。
1-3. 関連会社のメリット
関連会社を保有するメリットは決議権だけではありません。会計が分かれるため、損益の明確化やリスク分散にもつながります。また、社員を関連会社に出向させて重要な役職を任せることで、後継者を育成することも可能です。
2. 関連会社と子会社・関係会社の違い
2-1. 関連会社と子会社の違い
関連会社と子会社の違いは、所有している議決権の割合にあります。関連会社は「自社が全体の20%以上の議決権を保有している会社」と定められていますが、子会社は「自社が全体の50%以上の議決権を保有している会社」となっています。
さきほどの例で考えるとわかりやすいのですが、議決権の20%を保有していても自社の意見が通らない可能性はあります。なぜなら、ほかにも議決権を保有している会社が存在しているからです。
B社の「生クリームの製造を中止する」という意見を議決権の20%を持っているA社が否定したとしましょう。しかし、議決権の60%を保有しているC社が「生クリームの製造中止を認める」と判断したら、仮にA社にとってデメリットになったとしても生クリームの製造は中止となってしまいます。なぜなら、C社のほうが保有している議決権の割合が高いからです。
つまり、関連会社と子会社では、自社が与える影響力が違うのです。子会社のほう方が自社が与える影響が大きいと考えてください。
また、子会社と判定される基準も議決権だけではありません。40%以上、50%以下の場合は「特定の者の議決権とあわせて50%超または一定の要件」、40%未満の場合は「特定の者の議決権とあわせて50%超かつ一定の要件」と定められています。
一定の要件とは、以下のように定義されています。
・当社が議決権の37%を所有、ほかの会社の取締役会等の構成員の50%超が当社の役員など当社の意思で行動する人たちで占められている
・その会社の重要な財務および営業または事業の方針の決定を支配する契約等が存在すること
・ほかの会社等の資金調達額の総額の過半について融資を行っていること
これらの基準から子会社かどうかを判断してください。
2-2. 関連会社と関係会社の違い
関連会社と関係会社の違いですが、一般的には当社と取り引きなどがある会社を関係会社と呼ぶことが多いです。しかし、財務諸表などの規則上では、子会社や関連会社、親会社などをすべて含めた会社のことであると定義されています。
つまり、関連会社は関係会社のひとつということになります。
3. 関連会社株式の仕訳処理
前述のとおり、会社株式の保有率によって関連会社や子会社に分類されることがあります。関連会社や子会社の株式は、そのほかの投資株式と保有する目的が異なるため、分けて考えなければなりません。
3-1. 関連会社の株式を取得した場合の仕訳方法
関連会社の株式を新たに取得した場合は「関連会社株式」の勘定科目で仕訳します。今回の株式を購入したことで関連会社になる場合も同様の科目で仕訳しましょう。購入後の保有株式が20%に満たない場合は「有価証券」や「投資有価証券」で仕訳します。
関連会社の株式を100万円分取得した場合
借方 | 貸方 | ||
勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
関連会社株式 | 1,000,000円 | 当座預金 | 1,000,000円 |
関連会社や子会社以外の株式を100万円分取得した場合
借方 | 貸方 | ||
勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
投資有価証券 | 1,000,000円 | 当座預金 | 1,000,000円 |
※1年未満に売却する見込みの場合は「有価証券」の勘定科目を使用する
4. 関連会社とグループ会社の違い
そのため、関連会社とグループ会社の違いは、関連会社と関係会社の違いと同じということになります。グループ会社という呼び名が使われることが多いですが、厳密にはそういった言葉はないということを理解しておいてください。
5. 関連会社は持分法適用会社になるのか?
持分法適用会社とは、連結財務諸表において持分法の適用対象となる関連会社のことです。
持分法は原則として、関連会社及び議決権所有比率が20%以上かつ50%以下の非連結子会社に適応されます。そのため、関連会社は持分法適用会社と考えて差し支えありません。
5-1. 連結決算をおこなう際に、連結財務諸表の一部に反映させる必要がある
注解17 持分法について(第四の八の1)
1 持分法とは、投資会社が被投資会社の純資産及び損益のうち投資会社に帰属する部分の変動に応じて、その投資の額を連結決算日ごとに修正する方法をいう。
2 持分法の適用に際しては、被投資会社の財務諸表について、資産及び負債の評価、税効果会計の適用等、原則として、連結子会社の場合と同様の処理を行うものとする。ただし、重要性が乏しいものについては、これらの処理を行わないことができる。
持分法適用会社は連結財務諸表にて、連結子会社と同様の処理をおこなう必要があります。ですが、関連会社の支配が一時的なものである場合など、連結の重要性が乏しいものは反映させなくてもよい場合があります。
4. 関連会社と子会社・関係会社などは明確に異なる
本記事で紹介した関連会社や子会社などの定義をしっかりと理解し、混同しないようにしておきましょう。
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