偶発債務の意味や簿外債務・引当金との違いを徹底解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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偶発債務の意味や簿外債務・引当金との違いを徹底解説

債務が偏る
偶発債務とは、企業が将来的に負担する可能性がある不確定の債務を指します。原則として、現実の負債ではない偶発債務について財務諸表への計上は不要です。

しかし、企業の潜在的なリスクをステークホルダーに周知させるため、財務諸表の注記に偶発債務の詳細を記載しなければなりません。

本記事では偶発債務の意味や種類、また偶発債務と混同されやすい簿外債務・引当金との違いを分かりやすく解説します。

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1. 偶発債務とは?

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偶発債務とは、現時点では債務として確定していないものの、特定の条件を満たした場合に企業が負担することになる債務のことです。

例えば、自社が子会社の債務の保証人を引き受けた場合、子会社が債務不履行となった際は自社が債務を肩代わりしなければなりません。このように、将来的に自社が負う可能性がある潜在的な債務を偶発債務と言います。

2. 偶発債務は財務諸表に計上しない

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原則として、その時点での負債ではない偶発債務は貸借対照表を始めとする財務諸表に計上する必要はありません。偶発債務は債務を負う時期や金額の予測が困難であり、そもそも実際に債務を負うことになるかも不確定です。

そのため、偶発債務を財務諸表に計上することはせず、実際の債務が確定した時点で負債として計上します。

ただし、偶発債務の中でも実際の債務に発展する可能性が高く、負債額を合理的に見積れるものについては引当金の計上が必要です。

3. 偶発債務は財務諸表の注記に記載する

会社のステークホルダー

偶発債務は財務諸表への計上が不要である一方で、財務諸表と共に提出する個別注記表にその詳細を記載する必要があります。これは企業の潜在的なリスクである偶発債務の状況を投資家や取引先等のステークホルダーに明示するためです。

偶発債務の状況を明示することにより、ステークホルダーはリスクを管理しながら企業と取引ができるようになります。

4. 偶発債務の具体例

サインをしてる人

財務諸表の作成では偶発債務の注記が必須となるため、どのようなケースで偶発債務が生じるのかを把握しておくことが重要です。

偶発債務が発生する事象は多岐に渡りますが、ここでは代表的な4つのケースを紹介します。

4-1. 債務保証を引き受けているケース

まず紹介する事例が他社の債務保証を引き受けているケースです。債務保証とは、債務者が債務を履行しなかった場合に、債務者以外の人(保証人)が債権者に対して債務を保証する取り決めを指します。

債務保証を引き受けた場合、債務者が債務不履行となった際は保証人が替わりに負債の返済をしなければなりません。

仮に債務者が十分な資金力を有していても、経営トラブルや災害などにより債務不履行となる可能性はあります。保証人は突発的に債務を負うリスクを抱えるため、債務保証を引き受けている場合はその内容について財務諸表への注記が必要です。

4-2. 係争中の損害賠償債務があるケース

損害賠償の訴訟を受けている場合、その裁判で争われている損害賠償債務は偶発債務に該当します。損害賠償債務とは、損害を与えた相手に対する賠償金の支払い義務のことです。

しかし、賠償金の支払い義務は裁判の判決によって確定するため、係争中の損害賠償債務については将来的に支払う可能性がある偶発債務として扱います。

4-3. 割引手形・裏書手形による取引を行っているケース

割引手形や裏書手形による取引を行った場合は、偶発債務として財務諸表への注記が必要です。どちらの取引も、手形の発行元の債務不履行によって自社が手形の支払義務を負う可能性があります。

割引手形は、取引先から発行された受取手形を支払期日前に銀行で買い取ってもらう取引のことです。また、裏書手形は、取引先から発行された受取手形を主に支払目的で第三者に譲渡する取引を指します。

 

自社の所有する手形を譲渡する場合、譲渡先に対して自社が手形の支払い保障を引き受けなければなりません。債務保証と同様に、手形の発行元が債務不履行となった場合は自社が手形の支払い義務を負います。

4-4. 先物取引などのデリバティブ取引を行っているケース

先物取引等の事前に購入価格を決定するデリバティブ取引を行っている場合は、その取引内容について偶発債務の注記が必要です。デリバティブとは株式や債券、通貨などの原資産から派生した金融商品の総称であり、一部の取引では将来的な損失を計上するリスクを孕んでいます。

なお、先物取引とは将来の売買について現時点で価格や数量を決める取引のことです。農作物や原油のように常に時価が変動する商品に対して、予め購入金額を決めておくことで仕入値の安定を図ります。ただし、購入時の時価が予め決定した購入金額より安い場合はその差額を損失として計上しなければなりません。

5. 偶発債務と簿外債務・引当金との違い

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偶発債務に関連する会計用語として簿外債務と引当金があります。それぞれの意味を正しく捉え、混同することのないようにしましょう。

ここでは偶発債務と簿外債務・引当金の違いを解説します。

5-1. 簿外債務は偶発債務を含む帳簿に計上されない債務

簿外債務は、財務諸表に計上されていない債務のことです。意味の上では偶発債務も簿外債務の一部にあたります。

本来、企業の負債は全て貸借対照表へ計上されなければなりません。しかし、ずさんな管理体制や意図的な会計操作により簿外債務が生じているケースもあります。

簿外債務はM&Aにおけるトラブルの原因にもなるため、偶発債務は全て注記に記載し、それ以外の債務は会計基準に従って適切に計上することが大切です。

なお、中小企業の場合は簿外債務が当然のように存在します。これは中小企業の多くが業務簡略化のために税務会計を用いているためです。

 

税務会計とは法律に準拠した納税のための会計手法であり、損金として認められる項目が限られるという特徴があります。そのため、中小企業では税務上の損金として認められない賞与引当金や退職給付引当金等の債務を帳簿外で管理されているケースが一般的です。

5-2. 偶発債務と引当金の違い

引当金とは、企業が特定の用途に備えて予め拠出する費用のことです。引当金の計上には一定の基準があり、以下の要件に当てはまる負債については引当金の計上が求められます。

  1. 将来の特定の費用又は損失であること
  2. 発生が当期以前の事象に起因していること
  3. 発生の可能性が高いこと
  4. 金額を合理的に見積ることができること

上記のうち3と4の要件が引当金と偶発債務を分ける基準です。偶発債務の中でも、将来的に負債が発生する可能性が高く、またその金額を合理的に見積ることができるものに関しては、引当金として計上する必要があります。

6. 偶発債務の仕訳例

並べられた忘備録

偶発債務は財務諸表へ計上しないため、原則として仕訳は不要です。ただし、自社のリスクを管理するため、忘備録として可能な限り仕訳を行っておくとよいでしょう。ここでは債務保証の仕訳例を解説します。

6-1. 債務保証を引き受けたときの仕訳

【例】A社が金融機関から1,000,000円の融資を受けるにあたり、自社が保証人を引き受けた。

債務保証を引き受けたことによる偶発債務の勘定科目は「保証債務」です。また、債務保証の引き受けによって、自社には「偶発債務が現実に発生した際に自社が支払った金額をA社に請求する権利」が生まれます。この権利は「保証債務見返」の勘定科目で表します。

これらを踏まえて債務保証の引き受けを仕訳すると以下のようになります。

借方 貸方
保証債務見返 1,000,000円 保証債務 1,000,000円

 

6-2. 保証していた債務が返済されたときの仕訳

【例】自社が債務保証を引き受けたA社の借入金1,000,000円が返済された。

自社が保証していた債務が返済された場合の仕訳は債務保証の引き受けの逆仕訳です。逆仕訳を行うことで偶発債務も消滅します。

借方 貸方
保証債務 1,000,000円 保証債務見返 1,000,000円

6-3. 保証人が債務を履行したときの仕訳

【例】A社が債務不履行となったため、保証人である自社がA社に代わって借入金を返済した。

債務者に代わって保証人が債務を履行した場合も、まずは偶発債務を取り消すために債務保証の引き受けと逆仕訳を行います。また、保証人は債務者に対して代わりに支払った金額を請求する権利が生じるため、それについても仕訳が必要です。

借方 貸方
保証債務 1,000,000円 保証債務見返 1,000,000円
未集金 1,000,000円 現金 1,000,000円

7. 偶発債務を把握してリスク管理を徹底しよう

倒れそうなリスク

偶発債務とは、現時点では不確定であるものの、将来的に発生する可能性がある債務のことです。実現する可能性が低い偶発債務であっても企業のリスクであることは変わりません。

自社が抱えている偶発債務を正しく把握し、将来のリスク管理に努めましょう。

会計の基本は「勘定科目」と「仕訳」
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説

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jinjer Blog 編集部

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