減価償却をおこなう5つのメリットをわかりやすく解説
更新日: 2024.5.27
公開日: 2022.7.6
jinjer Blog 編集部
決算に欠かせない会計業務の一つである減価償却。会計独特の考え方であることや実際の減価償却の処理が複雑になるケースがあることから、なぜ減価償却をしなければならないのか、と心が折れそうに感じる人も多いようです。そこで今回は、減価償却をおこなう5つのメリットを分かりやすく解説していきます。
減価償却には節税効果であったり、対外的に財務状況を良く見せられる効果があったりと、多くのメリットがあります。節税効果があるということは会社に利益を多く残せることになりますし、財務状況を良く見せられるということは銀行の融資が通りやすくなる可能性が高くなります。つまり、減価償却のメリットを理解し手続きできるようになることは、会社へ多大な利益をもたらすことにも繋がるのです。この記事でご紹介するメリットを理解できれば、減価償却の手続きに大きなやりがいを感じられるはずです。
関連記事:減価償却の節税効果はあるのか?
目次
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説
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「毎回ネットや本で調べていると時間がかかって困る」
などなど会計の理解を深める際に前提の基礎知識となる勘定科目や仕訳がよくわからない方もいらっしゃるでしょう。
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1. 減価償却のメリットとは?
減価償却には、以下の5つのメリットがあります。減価償却を理解し正しく処理できるようになると、減価償却で得られるメリットがそのまま会社のメリットにも繫がるため、一つも欠かすことのないよう確認していきましょう。節税や負担軽減、財務状況が良く見えるなど、減価償却で得られるメリットは多岐にわたります。
- 減価償却は法人税の節税になる
- 減価償却は資産が残る
- 減価償却は損益を把握できる
- 減価償却は財務状況が良く見える
- 一括償却資産で財務負担を減らせる
1-1. 減価償却とは
メリットの詳細を解説する前に、減価償却について確認しておきましょう。減価償却とは、資産の購入にかかる費用を分割して計上する会計処理のことを指しています。なぜわざわざ費用を分割して計上するのかと言うと、資産と収益の関係に矛盾を発生させないようにするためです。
例えば、100万円の機械を購入して年間30万円の利益が出たとします。初年度に100万円の費用を計上すると、翌年以降は何もないところから30万円の収益だけが発生し会計上に不自然さが生じます。そこで100万円の機械購入費用を5分割し、毎年20万円の費用を計上することで、会計上の不自然さを解消することができるのです。
なお、実際の減価償却の実務では、品目ごとよって決められた耐用年数によって資産の取得価額を分割し会計処理していきます。
関連記事:耐用年数とは?建物や車両の法定耐用年数を詳しく解説
関連記事:減価償却費とは?メリット・デメリット・計算方法などをわかりやすく解説
2. メリット①減価償却は法人税の節税になる
それでは減価償却のメリットの解説にうつります。1つ目のメリットは、減価償却は法人税の節税になるということです。なぜなら、減価償却費は耐用年数に応じた年数で経費計上することができるためです。
例えば上記で説明したように100万円の機械を購入して、翌年から30万円の収益が出ている場合、費用がなければ30万円の利益に対して法人税が課せられます。
しかし、減価償却をして毎年20万円を費用として計上すると、利益30万円から20万円を差し引いた10万円に対して法人税が課せられることになるのです。30万円に対する税金より10万円に対する税金の方が安くなるため、減価償却をすることで節税効果を得ることができます。
3. メリット②減価償却は資産が残る
2つ目のメリットは、減価償却は資産が残るということです。理由としては、減価償却費は帳簿上費用として計上しているものの、実際に現金の出費があるわけではないからです。減価償却費は損益計算書に記載されますが、実際には減価償却費で記載した分の資金は会社に留まっており、課税されない資産として社内に残っているのです。
100万円の機械の例でいうと、帳簿上は30万円の利益に対して20万円の費用が差引かれていますが、20万円が実際に会社から出ていっているわけではないため30万円は会社に残っているのです。とはいえ、企業の会計処理は他にも多くの手続きが複雑に絡み合っているため、減価償却費として計上した金額が確実に社内に残っているわけではありません。あくまで現金出費のない費用を計上できる仕組みが減価償却にはあると言うことです。
4. メリット③減価償却は損益を把握できる
3つ目のメリットは、減価償却は損益を把握できるということです。損益を把握できると言うのは、得られた利益に対してどのような費用がかかったかを知ることです。費用を全くかけずに収益だけ得られるというのはあまり現実的ではありません。減価償却についての確認項目でお伝えしましたが、減価償却は資産と収益の関係性に矛盾を発生させないためにおこないます。
100万円の機械を買い、その年に費用を計上してしまうと、翌年の利益はどこから来たものか分からなくなってしまいます。そこで機械の購入価額を分割して毎年少しずつ費用計上することで、得られた収益に対してどれくらいの費用がかかっているのかを確認できるようになるのです。
5. メリット④減価償却は財務状況が良く見える
4つ目のメリットは、減価償却は財務状況が良く見えることです。なぜなら、減価償却は資産の購入価格を同一年度内にすべて費用計上するのではなく、将来に渡って分割して費用計上する仕組みになっているからです。
分割することがどうして財務状況が良く見えることに繋がるかと言うと、費用が分割されているため利益を一度で深く削ることがなく、安定した事業運営がされているように見えるからです。実際に銀行で融資審査をする際は、減価償却費が返済能力を調べるための一つの指標にもなっています。
たとえ年間利益が赤字になっていたとしても、決算書類に損失以上の減価償却費が計上されている場合、会社に返済能力があると評価されるケースもあります。減価償却の会計処理を適切におこなうことで、会社の融資を進めるキッカケを与えることもあるのです。
6. メリット⑤一括償却資産で財務負担を減らせる
5つ目のメリットは、一括償却資産で財務負担を減らせることです。一括償却資産とは10万円以上20万円未満の資産を指しており、取得価額の1/3ずつを購入した年から3年間にわたって費用計上できる仕組みです。通常の減価償却では資産を購入した月から期末まで月割した額を費用計上しますが、一括償却資産の場合はいつ購入しても1年分(取得価額の1/3)を計上できるようになっています。
一括償却資産の費用は通常の減価償却費とは別で費用計上できるため、年間の償却費用を増やすことができるのです。償却費用を増やせば利益を小さく見せることができるため、節税効果にも繋がります。
また、減価償却には少額減価償却資産の特例もあります。中小企業であることなどの条件を満たせば10万円以上30万円未満の資産なら購入費用の全てを一括で年度内に費用計上することも可能です。令和6年4月までの期限付きの制度でしたが、現在令和8年まで延長されています。減価償却のメリットを逃さず享受するためには、税制改正にも注目しておくと良いでしょう。
7. 減価償却を企業経営に上手く活用しよう
減価償却のメリットを解説してきました。減価償却には利益をおさえて節税する効果を期待できる、財務状況を調整して融資に通りやすい状況を作れるなど、多くのメリットがあります。減価償却にまつわる会計処理を使いこなせるようになれば、事業発展への大きな支えとなることができるでしょう。
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説
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