電子帳簿保存法に罰則はある?違反リスクと要件をわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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電子帳簿保存法に罰則はある?違反リスクと要件をわかりやすく解説

電子帳簿保存法は、年を追うごとに要件が緩和されてきているため、適用しやすくなっています。

しかし、書類をデータ化する際の要件や、データの保存期限、原本の保存期間などが細かく規定されており、うっかりしているとそれらのルールを逸脱してしまう場合があります。

そこで、電子帳簿保存法で規定されている要件や、違反したときの罰則についてまとめました。

また、電子帳簿保存法に違反しないための対策についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

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1. 電子帳簿保存法の目的は?なぜ義務化されるのかを解説

電子帳簿保存法(電帳法)とは、1998年に創設された、個人・法人を問わずに帳票書類を電子データとして保存することを認めた法律です。

ここでは電子帳簿保存法を理解するために必要なポイントを解説します。

1-1. 電子帳簿保存法の目的

電子帳簿保存法は「情報化社会へ対応し、納税者の負担を軽減する」ことを目的に制定された法律であり、国税関係帳簿や書類を電子化する要件をまとめています。

しかし、電子保存をおこなえる期間や利用金額などの要件が厳しく、多くの企業で導入が見送られてきました。そのため、経理業務において手計算による計算ミスや税務調査の煩雑さなど、当初の目的である「負担の軽減」にはつながっていたとは言えません。

そこで今回、電子データの保存を義務化するとともに、保存要件を大幅に緩和して、企業の導入ハードルを下げることになったのです。

1-2. 電子帳簿保存法で重視されていること

書類を電子化は業務の効率化や、ペーパーレスによる経費の削減などさまざまなメリットが存在しますが、データの改ざんやごまかしなどの不正のリスクを伴っています。

そのためこの法律では「真実性の確保(記録内容が本物であること)」と「可視性の確保(誰もが確認できる状態)」が重要視されているのです。

1-2. タイムスタンプが必須

電子帳簿保存法に対応するためには「タイムスタンプ」が必須になります。電子化した書類を原本と同様に扱うためにはタイムスタンプを押す必要があるためです。

ここで注意しなければならないのが、「タイムスタンプを押さない状態で電子化する際」は原本保管が必要になる事です。

タイムスタンプが押されていない電子化した書類は原本として扱うことができませんので、原本保管が必要になります。

※電子帳簿保存法におけるタイムスタンプについてよくわからないという方は、下記の記事もあわせてお読みいください。

関連記事:電子帳簿保存法のタイムスタンプって何?最新の要件や改正内容を解説

1-3. 電子帳簿保存法の対象

電子帳簿保存法の対象は大きく分けて以下の3つです。

  • 総勘定元帳などの帳簿
  • 決算書類
  • 契約書、領収書、請求書などの証憑類

上記の書類は「電子データ保存」が認められています。

1-4. 電子データ保存とスキャナ保存

基本的に上記で説明した書類は電子データ保存をすることができます。

しかし、スキャナ保存ができるのは契約書・領収書・請求書などの証憑類のみとなりますので、覚えておきましょう。

参考記事:【2023年版】電子帳簿保存法とは?概要と改正内容をわかりやすく解説

1-5. 電子帳簿保存法で定められている「やむを得ない場合の事情」とは?

先述のとおり、電子帳簿保存法の改正により、電子データで作成・受領したデータは電子保存が義務付けられています。

しかし、改正までに電子保存の準備が間に合わない企業も多く、政府は暫定処置として紙面への印刷保存を認める「宥恕措置」を発表しました。

この「宥恕措置」が適用されるためには、税務署長が「電子保存がおこなえないことに対して、やむを得ない事情がある」と認めた場合のみです。しかし、具体的にどのような状況で事情が認められるのかは公表されていません。

これは、制度や判断の柔軟性を持たせるためと考えられます。基本的には、書面で正しく保管されていることに加えて、「保存要件を満たして保存ができない理由」と「要件に対応するための準備状況(システムの導入やフローの整備など)」が説明できれば問題ないでしょう。

また、2024年1月からは「宥恕措置」から「猶予措置」に切り替わり、電子保存要件が満たせない場合の対応も変わるため、注意しましょう。

参考:電子帳簿保存法の内容が改正されました|国税庁

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2. 電子帳簿保存法に違反したときの罰則

前述の要件などの規定を守らず、それが悪質であると判断された場合や、税務調査に対して帳簿書類の提示要求に応じなかったりした場合は、次のような罰則が科せられることがあります。

2-1. 青色申告の承認を取り消される

青色申告は、最大65万円の特別控除をはじめとしたさまざまな税金に関する特例が適用されることが特徴です。

この青色申告の承認が取り消されてしまうと、これらの特例が受けられないだけでなく、欠損金の繰越しもできなくなります。

同時に、青色申告の承認が解除されたという事実が、会社としての信用を著しく損なってしまうことにも注意が必要です。

2-2. 追徴課税や推計課税を課される

青色申告の承認が取り消されると白色申告者となってしまいますが、白色申告では、青色申告に適用されていた特例がないだけでなく、「推計課税」が課されます。

「推計課税」とは、税務署が推計して所得税や法人税の額を決定し課税をおこなうことです。

推計であるため、いわば税務署の言い値で税額が決められてしまうことになり、会社としては痛い出費となるでしょう。

また、書類のデータ化や保存をきちんと行っていないということは、それ以外の国税関係帳簿書類も定められた方法で保管していないとみなされる可能性があります。

そこから、各税法の違反が疑われたり、違反しているとみなされたりすれば、さらに厳しい追及を受け、追徴課税を納めなければならない結果になる恐れもあります。

2-3. 会社法により過料が科せられる場合もある

会社が電子帳簿保存法以外にも遵守すべき法律として、会社法があります。

会社法第976条には帳簿や書類の記録・保存についての規定があり、ここに規定されている保存義務に違反したり、虚偽の記帳を行ったりした場合は、100万円以下の過料が科せられます。

そのため、帳簿や書類の保存に関しては、電子帳簿保存法だけでなく、会社法についてもきちんと確認しておきましょう。

ここまで読んでそもそも電子帳簿保存法がどんな法律なのか、またどのように会社で対応すれば良いかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
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3. 電子帳簿保存法の要件は?

電子帳簿保存法では、スキャンの要件や保存方法などに規定があり、それを守らないと違反になる場合があります。

電子帳簿保存法の規定について、主なものを見てみましょう。

3-1. データ保存の要件

受け取った領収書などの書類や、自社で作成した書類の控え(紙)を読み取る(スキャンする)場合、以下の要件を満たしている必要があります。

これらの要件を満たしていない場合は、違反とみなされます。

なお、ここで取り上げる書類は、次の2つに分類されます。

  • 重要書類:資金や物の流れに直結・連動する書類(契約書・納品書・請求書・領収書など)
  • 一般書類:資金や物の流れに直結・連動しない書類(見積書・注文書・検収書など)
① 解像度が387万画素以上か

規則第3条第5項第2号イ(1)に、「25.4ミリメートルあたり200ドット(200dpi)以上」の解像度を満たしていなければならないことが規定されています。

これはA4サイズの書類を保存する場合でいうと387万画素以上となります。

スキャナでの読み取り時にはこの画素数を満たせることが多いですが、スマホやデジカメで撮影する際にはとくに気を付けてください。

また、メール添付やクラウドにアップするなどしてやり取りする際、元のデータが圧縮される場合があり、気づかないうちに上記解像度を下回ってしまうことがあるので、注意しましょう。

② 24ビットカラー以上か

書類は、24ビットカラー(256階調)以上で読み取り、保存しなければなりません。

とくに、スマホやデジカメで撮影する際には、手振れのないように、かつ書類が斜めに写ってしまわないよう真上から撮影しましょう。

さらに、照明の映り込みに注意し、フラッシュも使わないようにしてください。

なお、一般書類はグレースケールでの保存も認められています。

3-2. 保存期限は規定どおりか

領収書などの書類は電子保存できる期間が定められています。この期間は企業によって異なるため、注意が必要です。

書類の受領や入力に関して事務処理規程を定めている場合は、最長約2か月と概ね7営業日以内に保存するよう定められています。具体的な期限は事務処理規程によるため、確認しましょう。

また、事務処理規定を定めていない場合は7営業日以内に保存する必要があります。

いずれにしても「速やかに」おこなうよう明記されているため、なるべく早く対応しましょう。

電子帳簿保存法には他にも多くの要件が定められています。詳細は下記の記事でご確認ください。

関連記事:【2023年版】電子帳簿保存法とは?概要と改正内容をわかりやすく解説

 

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4. 電子帳簿保存法に違反しないための対策

前述のように、悪意がなくても「ついうっかり」電子帳簿保存法に違反してしまうことも大いに考えられます。

違反しないためには、日ごろからしっかりと対策を講じておくことをおすすめします。

4-1. しっかりとした経費精算システムの導入と処理フローの構築

電子帳簿保存法に則った書類の管理保存を運用するにあたっては、データの読み取りや保存の際の要件を満たしているかどうかが大きなハードルといえます。

したがって、しっかりとした経費精算システムを導入すると同時に、社内での手続きを誰でも間違いなくスムーズに行えるような「処理フロー」を構築することが重要です。

たとえば、出張や外回りが多く「おおむね3営業日以内」に書類をデータ化することが難しい営業部は、書類を紙のまま経理部に提出して経理部でデータ化するという処理フローにしておくことで、データ化の期限を過ぎてしまうことが防げます。

このようにただ導入すればよいというわけではないため、経費精算システムを導入するにあたり、ガイドブック等を読みながら進めるとよいでしょう。

4-2. 社内の情報ガバナンスやコンプライアンスの再認識

書類のデータ化には、データ改ざんや情報漏洩などの不正が付いて回ります。

いくらしっかりとしたシステムや処理フローを導入したとしても、従業員一人ひとりのコンプライアンス意識が高まっていなければ、不正を防ぐことはできません。

そのためには、情報の取り扱いに関して社内ルールをきちんと設定するなど、社内の情報ガバナンスを確立させたうえで、従業員に対するコンプライアンス教育を定期的におこなっていくことが重要です。

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5. 電子帳簿保存法の適用にはさまざまな事前準備が重要

電子帳簿保存法に則った書類の管理保存には、さまざまなコストを削減できるというメリットがあります。

しかし、きちんと社内の体制を整えておかないと、電子帳簿保存法に違反したり、データ改ざんや情報漏洩といった不正が発生したりしかねません。

経費精算システムや処理フローを事前にしっかりと検討・構築し、情報ガバナンスを確立させたうえで、従業員のコンプライアンス意識を高めつつ、電子帳簿保存法の適用を進めていきましょう。

【今更聞けない...】
電子帳簿保存法改正をわかりやすく総まとめ!

1998年に制定された電子帳簿保存法ですが、2020年10月や2021年の改正によって企業が電子帳簿保存法に対応するハードルが格段に下がりました。
しかし、電子帳簿保存法に対応すれば業務が効率化されると言っても、要件や法律そのものの内容、対応の手順など理解しなければならないことは多いです。
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・2020年10月の改正内容と2022年の最新内容のポイント
・今後電子帳簿保存法に対応していくための準備や要件など、電子帳簿保存法に関する内容を総まとめで解説しています。
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