電子帳簿保存法の「3日以内ルール」を守れば領収書は電子化できるの?要件を解説 - バックオフィスクラウドのジンジャー(jinjer)

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電子帳簿保存法の「3日以内ルール」を守れば領収書は電子化できるの?要件を解説

※2021年の電子帳簿保存法改正により、2022年の施行より最長約2か月と概ね7営業日以内になります。
2019年10月1日以降の電子帳簿保存法は、この「3日以内ルール」も緩和されました。

電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿の保存方法等の特例に関する法律)は、書類をデータ化して保存することについて細かく規定している法律です。

電子帳簿保存法では、領収書などの書類は受領後「概ね3営業日以内」にデータ化しなければならないと規定されています。

「概ね3営業日以内」のルールについてや、領収書の電子化のために必要な他要件を解説いたします。

【調査レポート】2022年「改正電子帳簿保存法」に向けた各社の現状とは?

一部猶予が与えられた改正電子帳簿保存法ですが、各社の対応状況はいかがなのでしょうか。
そこで電子帳簿保存法に対応したシステムを提供するjinjer株式会社では「改正電子帳簿保存法対応に向けた課題」に関する実態調査を実施いたしました。

調査レポートには、

・各企業の電帳法対応への危機感
・電帳法に対応できていない理由
・電帳法の対応を予定している時期
・電帳法対応するための予算の有無について

などなど電子帳簿保存法対応に関する各社の現状が示されています。

「各社の電帳法の対応状況が知りたい」「いつから電帳法に対応しようか悩んでいる」というご担当者様はぜひご覧ください。

電帳法調査レポート

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1. タイムスタンプ付与の「3日以内ルール」について

1-1. 以前は3日以内に書類をデータ化する必要があった

以前の電子帳簿保存法では、データ化の期限が「3日以内」と規定されていました。

つまり、金曜日に領収書や契約書、請求書、注文書などを受け取った場合は、月曜日までにデータ化し、タイムスタンプを付与しておく必要があったのです。

しかし、月曜日が振替休日や祝日であれば、休暇期間中にデータ化しなければなりません。

自宅に原稿台付きスキャナがあればよいですが、そうでなければ、領収書などのデータ化(スキャン)のためだけに出社することになり、かなりハードルが高い状況となっていました。

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2. 電子帳簿保存法の改正によるデータ化期日の変化

※2021年の電子帳簿保存法改正により、2022年の施行より最長約2か月と概ね7営業日以内になります。
2019年10月1日以降の電子帳簿保存法は、この「3日以内ルール」も緩和されました。

ここでは、3日以内ルールの改正後の変更点を解説いたします。

2-1. 自分でデータ化する期限は「概ね3営業日以内」に変更

2019年7月に改定された電子帳簿保存法では、データ化の期限が「概ね3営業日以内」に変更されました。

つまり、金曜日に領収書などを受け取った場合でも、3営業日以内であることから土曜日・日曜日は含めなくてもよく、水曜日までにデータ化すればよいことになるわけです。

もちろん、休業日がなく従業員はシフト制で勤務している会社の場合は、「3出勤日以内」と考えればよいでしょう。

さらに、「概ね」が付いていることから、厳密に「3営業日以内」でなくても罰則の対象とはなりません。

しかし、領収書などの保存は「とくに速やかに」おこなうよう電子帳簿保存法で規定されていることから、遅くとも5、6営業日以内にはデータ化しておくべきでしょう。

関連記事:電子帳簿保存法とは?その重要性や手続きの流れなど基本を解説

2-2. 受け取った本人以外がデータ化する場合は約2ヵ月の猶予がある

実は、「概ね3営業日」以内にデータ化しなければならないのは、領収書などを受け取った本人(申請者本人)がデータ化する場合の期限です。

これは、受け取ってからデータ化し保存するまでの時間が長くなると、申請者本人がデータを改ざんする可能性が高まるという考えにもとづいています。

いっぽう、申請者本人以外が領収書などの原本を受け取り、正当性を確認したうえでデータ化する場合は、「2ヵ月と概ね7営業日(67日前後)」以内にデータ化するよう規定されています。

したがって、自分でデータ化するつもりだったが「概ね3営業日」以内にデータ化できなかった場合は、上司や経理部担当者などの第三者にデータ化を依頼すればよいことになります。

ただし、上司や経理部担当者などのところで止まってしまい、「2ヵ月と概ね7営業日」以内にデータ化されなかったといったことのないように注意しましょう。

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3. 3日以内ルールに対応すれば電子保存していいの?

結論、3日以内ルールに対応しただけでは領収書の電子保存は認められません。

データ化の期限の他にもクリアしなければならない要件がいくつか存在するためです。

電子化を進める際は、全ての要件に沿った状態で電子化を進められるようにしましょう。

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4. 領収書を電子化するための申請手順

※2021年の電子帳簿保存法改正により、税務署長への事前承認制度が廃止されました。
よって2022年の施行より申請が不要となります。

不安なく領収書の電子化が実現できるように、要件を確認しておきましょう。

ここでは、電子化を実現するために必要な手続きや要件を解説いたします。

4-1.経費精算システムの導入・経費精算などのルール作り

まず電子帳簿保存法の適用を受けると、領収書などが電子化されるためそれに対応した経費精算システムやクラウドサービスが必要となります。

申請の時点で利用可能になっている必要はありませんが、契約はしておかなければなりません。

さらに領収書が電子化されると、これまでとは違う仕方で経費精算をおこなう必要があります。

そのため社内規定の変更や新たなルールの設定をおこなわなければならないでしょう。

4-2.申請書の作成

社内ルールが整ったなら、申請書の作成に入ります。

まずは電子帳簿保存法の手続きにおいて重要な3つの申請書を提出しなければなりません。

3つすべてを必ず提出するというわけではなく、会社がどのような書類を電子保存したいかによって提出する申請書が異なります。

① 「国税関係帳簿の電磁的記録による保存等の承認申請書」

これは会社のパソコンで作成した仕訳帳や総勘定元帳などを電子データで保存することを認めてもらうための申請書です。

帳簿であればすべて電子データで保存することが可能ですが、範囲を決めて承認を申請することも可能です。

② 「国税関係書類の電磁的記録等による保存の承認申請」

1つ目の申請書が、帳簿の電子保存に関係する申請だったのに対し、こちらは国税関係の書類を電子保存するための申請です。

決算に関する書類、注文書、契約書、請求書、領収書などを電子データで保存することを認めてもらう申請となります。

ただし、この申請で認められるのは、自社が発行した書類であり、取引先が発行した書類は対象とならないことに注意しましょう。

③ 「国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請」

これは取引先が発行した請求書や納品書、領収書などの国税関係の書類をスキャンしたデータで保存する許可を求める申請です。

スキャナだけでなく、デジカメやスマートフォンで撮影したデータでの保存も可能となります。

ただしこの方法が認められるためには、解像度や色調に条件があるので注意しましょう。

これらの申請書に添付書類を付けて、電子データによる書類の保存を始めたい日から3ヶ月前までに提出しなければなりません。

4-3.添付書類を作成する

申請書に加えて、添付書類を作成することも重要です。

電子帳簿保存法の適用を受けるために必要な書類は、大きく分けて2つあります。

まずは社内のルールや、事務処理のフローを記載した書類です。

ルールや事務処理の方法は国税庁が提示する条件にかなっていなければなりません。

さらに経費精算システムやクラウドサービスの概要や説明書、契約書です。

4-4.申請方法は直接提出とe-taxの2つがある

書類を揃えたなら、誰かが直接税務署に提出することで申請を完了できます。また、e-taxを用いて申請することも可能です。

もし電子帳簿保存法の適用を受けるための申請に割く時間がないのであれば、税理士などの専門家に申請を依頼することも検討できるでしょう。

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5. 領収書を電子化するための要件

領収書の電子化には、3日以内ルール以外に以下の要件を満たす必要があります。

5-1. 電子データの保存要件(真実性・可視性の確保)

電子帳簿保存法上の電子データの保存要件として、「真実性の確保」が求められています。要件は以下の3点です。

① 訂正・削除履歴の確保(帳簿)

帳簿に係る電子計算機処理に、次の要件を満たす電子計算機処理システムを使用すること。
(1)帳簿に係る電磁的記録に係る記録事項について訂正または削除をおこなった場合には、これらの事実及び内容を確認することができること
(2)帳簿に係る記録事項の入力をその業務の処理に係る通常の期間を経過した後に行った場合には、その事実を確認することができること

② 相互関連性の確保(帳簿)

帳簿に係る電磁的記録の記録事項とその帳簿に関連する他の帳簿の記録事項との間において、相互にその関連性を確認できるようにしておくこと。

③ 関係書類等の備付け

帳簿に係る電磁的記録の保存等に併せて、システム関係書類等(システム概要書・仕様書・操作説明書・処理マニュアル等)の備付けをおこなうこと

また、電子帳簿保存法上の電子データの保存要件として、「可視性の確保」が求められています。要件は以下の2点です。

④ 見読可能性の確保

帳簿に係る電磁的記録の保存等をする場所に、その電磁的記録の電子計算機処理の用に供することができる電子計算機、プログラム、ディスプレイ及びプリンタ並びにこれらの操作説明書を備え付け、その電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと。

⑤ 検索機能の確保

帳簿に係る電磁的記録について、次の要件を満たす検索機能を確保しておくこと。

(1)取引年月日、勘定科目、取引金額その他その帳簿の種類に応じた主要な記録項目を検索条件として設定できること
(2)日付または金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること
(3)2つ以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること

5-2. スキャナデータの保存要件(真実性・可視性の確保)

紙の文書をスキャナでデータ化した際の保存要件として、「真実性の確保」が求められています。要件は以下の7点です。

① 入力期間の制限

受領後概ね7営業日を目安に入力をおこなうこと。業務の処理に係る通常期間を経過した後に速やかに入力する場合は、最長2カ月+7営業日以内に入力をおこなうこと

② 一定水準以上の解像度及びカラー画像での読み取り

解像度が200dpi以上で、24ビットカラー以上でのカラー画像での読み取りであること

③ タイムスタンプの付与

受領者が署名の上、概ね3営業日以内にタイムスタンプを付して読み取ること

④ 読み取り情報の保存

読み取った際の解像度やファイルサイズの情報を保存すること

※令和5年度の税制改正大綱にて、読み取り情報の保存を条件から削除することが発表されました。解像度と階調の水準は変更されていないため、注意しましょう。

⑤ バージョン管理

訂正または削除をおこなった場合には、その事実と内容を確認できるシステムを使用すること

⑥ 入力者情報等の確認

スキャン処理をおこなう担当者とその監修者に関する情報を確認できるようにしておくこと

※令和5年度の税制改正大綱にて、入力者情報等の確認要件は廃止されることが発表されました。

⑦ 適正事務処理要件

受領から入力までの事務処理において規定を定め、処理ごとに別の担当者を置き、概ね5年のうちに全ての事業所において定期的に検査をおこなって、不備がある場合には原因究明及び改善をおこなう体制を整えること

また、紙の文書をスキャナでデータ化した際の保存要件として、「可視性の確保」が求められています。要件は以下の4点です。

⑧ 帳簿との相互関連性の確保

スキャナデータと帳簿の記録事項の間の関連性を確認できるようにしておくこと

※令和5年度の税制改正大綱にて、相互関連性の確保は「重要書類のみ」に限定されることが発表されました。

⑨ 見読可能装置の備付け

法令の要件を満たすディスプレイ・プリンタを備え付け、鮮明に、速やかに出力できるようにしておくこと

⑩ システム関連書類の備付け

システム関係書類(システム概要書・仕様書・操作説明書・事務処理マニュアル等)の備付けをおこなうこと

⑪ 検索機能の確保

取引日、取引金額などの項目から保存データを検索できる機能が備わっていること

※令和5年度の税制改正大綱にて、売上高5,000万円以下の事業者に対しては、求めに応じて提示・提出ができることを条件に「検索機能の確保が不要」となることが発表されました。

[参考]電子帳簿保存法上の電子データの保存要件|国税庁

[参考]電子帳簿等とスキャナ保存|財務省

[参考]令和5年度税制改正大綱|自民党

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6. 電子帳簿保存法を最大限に活用しよう

電子帳簿保存法は対応すれば多くのメリットを受けることができますが、対応するまでの手続きやルールが多く不安を抱えている方も少なくないでしょう。

対応までに必要な情報をしっかりと理解して領収書の電子化を進めましょう。

2020年、2022年の電子帳簿保存法改正を
わかりやすく総まとめ!

1998年に制定された電子帳簿保存法ですが、2020年10月や2021年の改正によって企業が電子帳簿保存法に対応するハードルが格段に下がりました。

しかし、電子帳簿保存法に対応すれば業務が効率化されると言っても、要件や法律そのものの内容、対応の手順など理解しなければならないことは多いです。

「どうにか電子帳簿保存法を簡単に理解したいけど、自分で調べてもいまいちポイントがわからない・・・」とお悩みの方は「5分で読み解く!電子帳簿保存法まとめbook」をぜひご覧ください。

資料では

・電子帳簿保存法の内容に関するわかりやすい解説
・2020年10月の改正と2022年の最新内容のポイント
・今後電子帳簿保存法に対応していくための準備や要件

など、電子帳簿保存法に関する内容を総まとめで解説しています。

「電子帳簿保存法への対応を少しずつ考えたいが、何から始めたらいいかわからない」という経理担当者様は「5分で読み解く!電子帳簿保存法まとめbook」をぜひご覧ください。

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FURUYA

FURUYA

バックオフィス業務効率化のコンサルティングを経て、 現在はjinjer Blogの運営に携わっています。 法務・経理・総務を中心に管理業務の知見をもとに、現場の目線にあったコンテンツをお届けします。よくある課題から、単純な疑問まで担当者のお悩みを解消できるよう運営します。

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