財務諸表とは?役割や財務三表の読み方・分析方法を基礎からわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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財務諸表とは?役割や財務三表の読み方・分析方法を基礎からわかりやすく解説

表 見方

財務諸表とは企業の財務状況を具体的にまとめたもので、内容を確認すれば会社の経営状態を詳しく把握できます。
財務諸表には、企業にかかわるすべての人への情報開示という意味合いがあります。この記事では、財務諸表がもつ意味や、財務諸表の中でも特に重要な項目である財務三表の考え方について解説いたします。

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86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説

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などなど会計の理解を深める際に前提の基礎知識となる勘定科目や仕訳がよくわからない方もいらっしゃるでしょう。

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1. 財務諸表とは

考える 女性

財務諸表とはどのような書類なのか、作成する目的と規則についても合わせて解説していきます。

1-1. 財務状況を報告する決算書類

財務諸表とは、企業が1つの年度の中でおこなった取引をすべて反映した書類で、いわば、企業の総合的な成績表や通知表のような役割をもちます。

財務諸表は金融商品取引法上では「財務諸表」、会社法上では「計算書」とよばれます。また、「決算書」と通称されることもあります。よばれ方に違いはありますが、いずれも貸借対照表や損益計算書等の書類のことを指します。

財務諸表には、企業の情報を正しくレポートするという大きな役割があります。財務諸表を確認すれば、企業がどのような業務を実施して収益を出したのか、どれくらいの利益や損失が生まれているのかを詳しく知ることができます。

1-2. 財務諸表の目的

企業の代表者や従業員にとって財務諸表は、企業の収益を知るための重要な情報源となります。財務諸表の内容は、財務分析をして経営戦略を立てる際に役立ちます。

財務諸表をチェックするのは社内の人員だけではありません。財務諸表は企業の情報としてサイトに掲載されるほか、金融庁のサイトでも確認できます。投資家や株主、債権者が財務諸表を確認して、投資や取引の判断材料とするケースも多いものです。

また、税務当局も財務諸表を適宜チェックして課税の内容が適切かを確認します。財務諸表は、企業に関わるすべての利害関係者に対して、必要となる情報を適切に提供するためのものなのです。

1-3. 財務諸表規則

財務諸表規則とは、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」のことを指します。

これは、上場企業に対して適用される規則で、貸借対照表や損益計算書、キャッシュ・フロー計算書、株主資本等変動計算書、でそれぞれ表記するべき内容や記載方法についてを規定しています。

財務諸表規則以外にも、連結財務諸表規則や会計計算規則などがあり、それぞれグループ企業などで連結決算をおこなう企業の財務諸表の規定、会社法で定められた会計の計算方法などの規定が記載され、株主に対して適切な情報が開示されるようになっています。

2. 一部の企業では財務諸表の公開が義務化されている

会議

財務諸表は一部の企業では税務署への開示義務が発生します。どのような企業に義務が発生するのか、知っておきましょう。

2-1. 財務諸表の公開が必要なのは上場企業と大企業

財務諸表の公開義務があるのは、上場企業と大企業です。該当する企業は税務署からの要請があった場合は、速やかに財務諸表を公開しなくてはいけません。

会社法上の大企業とは、最終事業年度の賃借対照表で資本金が5億円以上、または負債の合計額が200億円以上の株式会社です。

また、金融商品取引法でも上場企業大企業に対しては開示義務があります。

2-2. 非上場企業でも財務諸表の公開が必要になる場合がある

上場企業や大企業に該当しない中小企業でも、議決権比率3%以上の株主や債権者から請求があった場合は開示しなければなりません。

公開の要請に従わなかった場合は罰則があります。財務諸表を管理する際はこうした公開要請がある可能性を考慮し、正確性を維持することが大切です。

3. 財務諸表分析でわかること

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財務三表の各数値を複合的に見ることで、現在の会社の状態を把握することができます。
ここでは財務三表から判断できる「収益性」「生産性」「安全性」「成長性」について具体的にどの数値からどのように分析するのかを解説していきます。

関連記事:財務諸表分析の目的や必要書類、分析手法を紹介

3-1. 収益性分析

企業がどのくらい利益をあげられるのかの分析が収益性分析です。収益性が高いと資金調達をおこないやすいというメリットがあります。収益性の分析は粗利率や売上高営業利益率等の数値を算出しておこないます。

①粗利率(売上高総利益率)
売上高から売上原価を差し引いた「粗利」が総売上高に占める比率

計算式:粗利率(%)=売上高総利益÷売上高×100

②売上高営業利益率
売上高に対する営業利益の残額を表した比率
営業効率性を判断する指標

計算式:売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100

3-2. 生産性分析

生産性分析では、従業員や設備などの経営資源を効率的に活用してどの程度の付加価値を生み出しているのかを判断します。生産性を分析するにあたっては、労働生産性や労働分配率等を算出します。

①労働生産性
人件費に対する利益額を評価する指標

計算式:労働生産性=付加価値÷従業員数(※付加価値=売上-外部購入費用)

②労働分配率
付加価値が従業員にどのくらい割り当てられているかの指標

計算式:労働分配率=人件費÷付加価値×100

3-3. 安全性分析

安全性とは企業の支払い能力のことです。企業の財務状況等を把握することができます。安全性を分析する指標は複数ありますが、代表的なものには流動費率、自己資本比率等があります。

①流動比率
企業の短期的な支払い能力を見る指標で、比率が大きいと支払い能力が高く、財務的な安全性が高いと判断できます。

計算式:流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100

②自己資本比率
総資本に占める自己資本の割合を示す比率です。自己資本比率が低いと銀行からの融資など他人資本の割合が高いため、経営が不安定であると判断できます。

計算式:自己資本比率(%)=自己資本÷(自己資本+他人資本)×100

3-4. 成長性分析

成長性とは企業の将来性のことです。成長性の分析は「増収率(売上伸び率)」や「増益率(経営利益伸び率)」を算出して判断します。

①増収率(売上伸び率)
過去の売上と比較した際の当期の売上高の伸び率

計算式:増収率(%)=(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高×100
※当期の売上高が比較する期の売上高より減っている場合には「減収率」となる

②増益率(経営利益伸び率)
過去の経営利益と比較した際の当期の経営利益の伸び率

計算式:増益率(%)=(当期経常利益-前期経常利益)÷前期経常利益×100
※当期の経営利益が比較する期の経営利益より減っている場合には「減益率」となる

4. 「財務三表」とは?

3つ

まずは、それぞれの表の特徴を確認していきましょう。

4-1. 重要な三表をまとめた呼び方

財務諸表には損益計算書や貸借対照表、キャッシュフロー計算書、附属明細表、株主資本等変動計算書などさまざまな種類があります。

  • 損益計算書
  • 貸借対照表
  • キャッシュフロー計算書

その中でもこの三種の書類は重要な書類とされており、この三表を合わせて「財務三表」とよばれます。

4-2. 損益計算書(P/L)とは企業の収益・費用・利益を示す財務諸表

損益計算書はProfit and Loss Statement(プロフィットアンドロスステートメント)といい、P/Lと略されます。
損益計算書にはその企業の損益状況がまとめられています。企業は商品やサービスの売上から収益を得ますが、収益はそのまま利益となるわけではなく、業務には一定のコストがかかります。

企業の利益を把握するためには、収益から費用を差し引く必要があります。また損益計算書から、どのような理由で利益を上げているのかも読み取ることができます。

損益計算書には下記のような項目があります。
売上総利益:企業の利益を把握するための項目です。売上高から売上原価を差し引いて求めることができ、粗利(あらり)ともよばれます。

営業利益:売上総利益から販売費と一般販売費を差し引いた金額です。販売費や一般販売費とは、人件費や広告費、消耗品費など、仕入以外で販売のために必要となる費用のことをいいます。

経常利益:営業利益に営業外収益をプラスし、営業外費用をマイナスすることで求められます。営業外収益とは金融機関の利息や有価証券の配当金などを指します。また、営業外費用とは借入金の支払利息や雑費など、本来の事業以外で生じた費用です。

税引前当期純利益:経常利益に特別利益をプラスし、特別損失をマイナスすることで求められます。特別利益や特別損失とは、固定資産や投資有価証券売却で生じた利益や損失のことをいいます。

当期純利益:総利益から法人税や住民税、事業税を差し引くことで計算できます。この数字が純粋な企業の利益となり、マイナスになった場合は赤字という扱いになります。

これらの項目を詳しく計算すれば、企業がどのような事業でどれだけ利益を上げたかをチェックできます。

4-3. 貸借対照表(B/S)とは期末の財務状況を示す財務諸表

貸借対照表は英語ではBalance Sheet(バランスシート)またはB/Sと呼ばれる書類です。貸借対照表を確認すれば、企業の決算時点での財政状態を知ることができます。
貸借対照表は、左右に金額の一覧を記載して作成します。左側には企業の財産である資産の部を、右側には企業の債務を示す負債の部と、資本金等の総額を示す純資産の部を記載します。

貸借対照表の概念図

左側の資産の部では現金や預金、商品や原材料などの棚卸資産、建物などの有形固定資産など、資金の運用状況がわかります。

右側にある負債の部には、借入金や社債など、資金の調達状況がまとめられます。負債の部の下部には純資産の部があり、資本金や資本準備金など、返済の義務がないお金がどれだけあるのかを把握できます。

左側の資産の部と、右側にある負債の部と純資産の部の金額は必ず一致します。

また、貸借対照表では、自己資本比率を求めて経営の健全性を確認できます。
自己資本比率(%)は「純資産÷総資産×100」で求められます。
自己資本比率が50%以上なら財政状態には問題がないといえます。もし自己資本比率が10%を下回るようなことがあれば、危険水準と判断できます。

4-4. キャッシュフロー計算書(C/F)とは期中の資金の流れを表す財務諸表

キャッシュフロー計算書はCash Flow Statement(キャッシュフローステートメント)、またはC/Fと表記される財務諸表です。
キャッシュフロー計算書には「営業活動」と「投資活動」、「財務活動」の3項目が表示されます。それぞれの項目において、帳簿上の数字ではなく現金の資金繰りの状況がわかるようになっています。

営業活動によるキャッシュフローの欄でわかるのは、純利益など営業活動によるお金の流れです。プラスになっていれば経営状態が良好で、マイナスの場合には資金力が不足しているということになります。

投資活動によるキャッシュフローの欄では、固定資産や有価証券の売買などの情報がわかります。

財務活動によるキャッシュフローの欄には、資金調達や借入金返済の収支が記載されます。

5. 財務諸表の作り方と作成の流れ

財務諸表の作成手順

財務諸表は、「総勘定元帳」、「領収書」、「勘定科目内訳明細書」の3つの書類をもとに作成されます。財務諸表を作成するにあたっての大まかな流れを確認しましょう。
財務諸表の作成には主に以下の6つのステップがあります。

  1. 領収書や請求書を整理し、当期分の取引を記帳する
  2. 決算整理仕訳をおこなう
  3. 決算残高を確定させる
  4. 仕訳内容を総勘定元帳に転記する
  5. 試算表を作成する
  6. 試算表をもとに貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書等を作成する

財務諸表の各書類は法令に基づいた書類で作成しましょう。

また、グループやホールディングスで連結財務諸表を作成する場合であっても、全ての会計を同じく集約することはせず、まずは各企業、各支店の個別の財務諸表を作成してから合算します。これは、傘下の企業や事業、部門ごとの経営状況を正確に把握するためです。

関連記事:連結財務諸表とは?構成や注目ポイント、作成に必要なものを解説

6. 損益計算書と貸借対照表を正しく作成して自社の状況を具体的に把握しよう

ひらめき

財務諸表は会社の経営状態を客観的に示す重要な資料です。財務諸表には、企業の経営判断に活用したり、株主や投資家向けに情報を開示したり、税務当局に課税内容を示したりといったさまざまな役割があります。
財務諸表の中でも損益計算書と貸借対照表、キャッシュフロー計算書は特に重要な書類です。これらの書類を正しく作成すれば、自社の状況を具体的な数字で把握することが可能となります。

関連記事:個別財務諸表とは?連結財務諸表との違いや作成時の注意点も解説

会計の基本は「勘定科目」と「仕訳」
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説

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