遊休資産に該当するものや減価償却について詳しく解説
更新日: 2024.1.15
公開日: 2022.10.27
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現時点で事業に使用されていない遊休資産は、固定資産税の対象となるため、なるべく早く活用方法を検討しなければなりません。使わない遊休資産を残しておくことは、固定資産税の対象ともなるため、注意が必要です。
今回は、遊休資産や遊休資産に該当するもの、遊休資産の減価償却について詳しく解説します。
目次
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説
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1. 遊休資産とは?
遊休資産とは、いったんは事業用の資産として取得されたが、事業変更や新しい機器の購入により、利用や稼働を停止した資産のことを指します。
通常、資産は、事業で使用されることにより会社に利益をもたらすものですが、遊休資産は利益をもたらすことなく、固定資産税の対象ともなるため、可能な限り早めの処分を行ったり、活用方法の検討を行ったりすることが重要です。
2. 遊休資産に該当するもの
遊休資産に該当するものには、以下の例が挙げられます。
・遊休状態となっている土地
・遊休状態となっている建物や工場
・遊休状態となっている機械設備
・遊休状態となっているソフトウェア
3. 遊休資産の減価償却
遊休資産は、減価償却を行わなければなりませんが、その際は、営業外費用としての処理を行います。
ただし、法人税法上においては、事業に使用されているものについてのみ減価償却が可能となっているため、税務上は申告調整を行わなければなりません。
使用休止中に定期的なメンテナンスが実施されており、いつでも再稼働が可能な状態であれば、減価償却資産としての取り扱いが可能です。
4. 遊休資産の評価損の計上
減価償却資産にあたるものが、法人税法上、1年以上遊休状態であることが認められた場合には、評価損の計上が可能となっています。
そのため、1年以上遊休状態となった減価償却資産は、評価損として損金算入できます。
ただし、評価替え等で資産の帳簿価額を減額したときには、減額分は経費にはなりません。しかし、次の理由にあたる場合には、時価を限度とし、評価替えによる評価損の計上が可能となります。
・資産が災害により著しく損傷した場合
・資産が1年以上にわたって遊休状態である場合
・資産が本来の用途に使用できないため、他の用途に転用した場合
・資産の所在する場所の状況が著しく変化した場合
・内国法人について会社更生法等に従い、評価替えをする必要が生じた場合
・その他特別な場合
遊休資産については、一定の条件を満たせば損金算入が可能となっているため、遊休資産がある場合は、節税方法の一つとして評価損の計上を検討してみるとよいでしょう。
ただ、以下に該当する場合は評価損の計上は認められないため、節税を考える場合には、他の方法を検討するとよいでしょう。
・過度の使用により、固定資産が著しく損耗している場合
・償却を行わなかったために、償却不足額が生じている場合
・その他固定資産の評価価額が、取得時の事情等により他の同種の資産と比較して高い場合
・機械等の急速な進歩により旧式化している場合
5. 遊休資産の処分
遊休資産を廃棄等で処分した場合には、資産の帳簿価額から廃材等の見積額を差し引き、経費として計上できます。
遊休状態にある資産を処分し、新しい資産を取得した場合は、処分した資産の価格は処分した年の経費に計上可能ということです。
また、廃棄までは行っていなくても、今後使用しないことがはっきりしている資産については、該当する資産の帳簿価額から処分見込価額を差し引いた価額について、経費計上することができます。
6. 遊休資産の処分をする場合のポイント
遊休資産の処分を行う場合は、次の3点をポイントとして実施する必要があります。
◇遊休資産の処分を実施する際のポイント3つ
・損失を固定資産除却損として計上できる
・有形固定資産だけでなく無形固定資産も対象
・税務調査の対策を行っておく
6-1. 損失を固定資産除却損として計上できる
遊休資産を処分(スクラップなど)した場合には、損失を固定資産除却損として計上することができます。このため、結果的に節税につなげることが可能です。
なお、廃棄など完全な処分を行う場合には、固定資産廃棄損としての計上を行います。
6-2. 有形固定資産だけでなくソフトウェアも対象
処分対象の資産は、有形固定資産だけでなく、「遊休資産に該当するもの」で示したとおりソフトウェアも対象です。
ソフトウェアについても、有形固定資産と同じく、耐用年数に応じた減価償却が可能となっています。
原則、ソフトウェアに関しては、次の場合に損金算入が認められるようになっています。
・自社で利用しているソフトウェア
そのソフトウェアを使用した業務が無くなり、利用がなくなったことが明らかな場合
他のソフトウェアの利用により、従来のソフトウェアの利用がなくなったことが明らかな場合
・販売用のソフトウェア
新製品やバージョンアップにより、以降販売されないことが明らかな場合
6-3. 税務調査の対策を行っておく
遊休資産の処分時に損失計上した場合には、税務調査で指摘を受ける可能性が高くなります。
対策として、産業廃棄物業者が発行する廃棄証明書や廃棄資産の写真、資産の廃棄を意思決定した議事録といった記録をあらかじめ残しておくのがおすすめです。
7. 遊休資産の処分が難しい場合
遊休資産を撤去したり処分したりすることを検討したとしても、費用が膨大なため、即処分することが難しい場合もあるでしょう。
このように遊休資産の処分が難しいケースでは、有姿除却の活用がおすすめです。
有姿除却を行うと、機械設備を処分することなく、損失の計上が可能です。
7-1. 有姿除却が認められる要件は?
有姿除却が認められる要件として、処分する固定資産が以下の2つを満たしている必要があります。
◇有姿除却が認められる要件2つ
・処分対象の固定資産の使用が廃止されており、今後通常の方法で使う必要がない
・特定の製品の生産製造に使用されていた設備が、製品の製造中止により今後使用されないことが明らかである
7-2. 有姿除却で損失計上できる金額
有姿除却を実施して処分する場合、損金計上可能な金額は以下の計算式で算出できます。固定資産の除却で生じた費用についても、損失として計上することが可能です。
損金算入額=簿価-処分可能見込額
8. 遊休資産を有効活用しキャッシュフローの改善を図ろう
事業に使用されることなく放置されている遊休資産は、固定資産税の対象ともなってしまうため、早めの処分や活用方法の検討を行うことが重要です。
遊休資産に該当するものには、土地や建物、工場、機械設備といった有形固定資産だけでなく、ソフトウェアも該当します。
また、遊休資産を廃棄等で処分し、新しい資産を取得した場合には、処分した資産の価格を処分した年の経費に計上することができます。
節税対策としても、遊休資産の処分を検討しておくことは重要です。
なお、遊休資産を処分して損失計上した際には、税務調査で指摘を受ける可能性があるため、対策として廃棄証明書などの記録を残しておくとよいでしょう。
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