棚卸評価損の評価方法や計算方法、発生時の計上方法を解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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棚卸評価損の評価方法や計算方法、発生時の計上方法を解説

棚卸の説明をする女性

棚卸評価損とは、棚卸資産を保有するうちに取得原価よりも時価が下がってしまったときにおこなう会計上の処理です。なお、棚卸評価損を計上するためには在庫価格の評価も合わせて必要です。
本記事では、商品売買業で発生する棚卸評価損(商品評価損)について、概要や評価方法、計算方法、発生時の計上方法を解説します。

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1. 棚卸評価損とは商品の劣化による価値低下を帳簿上反映させるための処理

処理

棚卸評価損とは、商品のような棚卸資産(在庫)の価値低下を帳簿上に反映させるための処理です。
商品売買業のように品物を仕入れて販売する事業では、すべての商品が売れる訳ではなく、中には売れ残ってしまうものもあります。

売れ残った商品を在庫として長期間保管すれば、劣化や流行遅れなどが原因で、仕入れ値(原価)よりも時価が下がってしまうことがあります。
原価と時価の差分が棚卸評価損であり、価値の下がってしまった商品は時価まで減額処理をしなければいけません。
なお、勘定科目では商品評価損を使い処理します。

関連記事:棚卸資産とは?棚卸資産に該当するものや棚卸資産の評価方法も紹介

1-1. 棚卸評価損が生じる原因

棚卸評価損は、商品そのものには欠陥がないのに、経済環境の変化などによって時価が原価まで回復しないと認められる場合に発生します。
以下に該当するような商品は棚卸評価損が発生しやすく、会計上も計上を認められています。

  • 季節性商品で売れ残ったもの
  • 高性能の代替製品の販売

流行性の高い商品や、節のイベントに特化した商品などは、仕入数量と在庫状況をよく確認しましょう。また、電化販売業など代替製品の多い事業でも注意が必要です。

1-2. 棚卸減耗損との違い

棚卸資産の減少を計上する方法には、「棚卸減耗損」という勘定科目もあります。両者の違いは以下のとおりです。

  • 棚卸評価損:商品の価値低下を計上する方法(商品は販売できる)
  • 棚卸減耗損:紛失などによる商品の減少を計上する方法(商品は販売できない)

棚卸減耗損は、帳簿記録よりも棚卸数量が少ないときに計上するため、商品自体がなくなってしまったときに使う勘定科目です。
一方、棚卸評価損は、商品そのものはあるものの、価値が低下したときに計上します。

関連記事:棚卸減耗損とは?計算方法や仕訳例、発生原因・対策も紹介

2. 棚卸評価損の評価方法

注意点ブロック

棚卸評価損を計上するためには、先に棚卸資産の評価が必要です。代表的な評価方法は「原価法」と「低価法」があり、そのうち原価法はさらに6つに分かれます。それぞれ方法を解説します。

2-1. 個別法

それぞれの商品を仕入価格で評価する方法です。
商品を個別に評価するため、美術品や土地など個数が少なく原価の大きいものの管理に適しています。
反対に小売業のように扱う商品数の業種には適していません。

2-2. 先入先出法

先に仕入れたものから順次販売していくと仮定して評価する方法です。
具体例は以下のとおりです。

  • 6/1 A商品を20個仕入れる(@100)
  • 6/3 A商品を10個仕入れる(@130)
  • 6/5 A商品を22個売却する

上記の場合、20×100+2×2=2,260円分のA商品を販売したものと考えます。

2-3. 総平均法

商品別に、1会計期間(4月1日から3月31日まで)の平均仕入単価を評価額とする方法です。以下のように期首と期中の取得単価を合計し個数で割ることで求めます。

  • 4/1前期繰越50個(@90)
  • 6/1商品仕入60個(@150)
  • 7/5商品売上20個
  • 9/1商品仕入10個(@120)

(50×@90+60×@150+10×@120)÷(90+150+120)=40.83

シンプルで分かりやすいものの、期末にならないと原価を特定できない点がデメリットです。

2-4. 移動平均法

商品を仕入れる度、平均単価を求める方法です。以下が具体例となります。

  • 6/1前月繰越10個(@30)
  • 6/5商品仕入50個(@20)
  • 6/8商品売却30個(@21.67)
  • 6/9商品仕入40個(@40)

【6/5の平均単価】

  • (10×@30+50×@20)÷(10+50)=21.67

【6/9の平均単価】

  • (30×@21.67+40×@40)÷(30+40)=32.14

なお、払出の際は計算した平均単価を適用します。
常に評価額が把握できるものの、事務手続きは多くなります。

2-5. 最終仕入原価法

期末に最も近い仕入金額を取得価額とする方法です。
例えば、3月31日が期末で、A商品の最後の仕入が3月29日(@120)なら、他の仕入れ値は考慮せず120円を評価額として適用します。
価格変動の激しい商品では正確な原価が出せない恐れがあります。

2-6. 売価還元法

商品の販売価格から原価を求める方法です。商品を回転率などで分類し、期末の販売価額の合計額を求め、原価率をかけ評価します。
原価率は、(期首棚卸価格+期中仕入価格)÷(期末棚卸資産販売額+期中棚卸資産販売額)で求められます。
商品点数の多い業界で使われる方法です。

なお、平成21年度の法人税改正により、「後入先出法」と「単純平均法」は評価方法から除外されています。

2-7. 低価法

原価法で算出した取得原価よりも期末の時価が低いときに、時価を評価額として採用する方法です。
季節商品などを扱う事業では、評価損を計上できるため節税効果も期待できます。

3. 棚卸評価損の計算方法

電卓で計算する様子

先に紹介した棚卸資産の評価方法で計算した評価額を使い、以下の計算で棚卸評価損を算出します。

棚卸資産評価損=(棚卸資産評価額-賞味売却価格(時価))×実地棚卸数量

次を例に棚卸資産評価損を計算します。

  • 棚卸資産評価額:100円
  • 賞味売却価格:80円
  • 実地棚卸数量:100個
  • 棚卸資産評価損=(100-80)×100=200円

商品1個あたりの評価損は20円です。これに、棚卸で求めた実際の数量をかけて棚卸資産評価損を計上します。

4. 棚卸評価損の計上方法

計上の仕方

棚卸評価損は、商品評価損(費用)という勘定科目で処理します。仕訳方法は以下のとおりです。

  • 借方:商品評価損
  • 貸方:繰越商品 

期末の商品価値も減っているため、相手勘定科目は繰越商品(資産)として減らします。

また、商品評価損は売上原価に含めるため次の仕訳もおこないます。

  • 借方:仕入   
  • 貸方:商品評価損

以上が、棚卸評価損の決算時の計上方法です。

4-1. 棚卸評価損が計上できないケース

なお、原価よりも時価が下がったとしても、それらすべてを棚卸評価損に計上できる訳ではありません。

  • 過剰生産
  • 物価変動
  • 建値の変動

棚卸評価損はあくまでも経済環境の変化などに伴い著しく商品価値が低下したときに計上できます。
そのため、自社の管理体制の問題である過剰生産では計上が認められていません。また、物価変動や建値の変動も基本的には対象外となります。

参考:国税庁第2款 棚卸資産の評価損

5. 棚卸評価損が発生したら原価を評価し費用で計上しよう!

説明する男性

棚卸評価損とは、商品の原価よりも時価が下がってしまったときの差額のことです。発生した場合、会計上費用として計上しなければいけません。
なお、評価損を計算するためには、原価の評価が必要となり、評価方法は業態や商品によって異なるため確認しましょう。
棚卸評価損は原価に含まれるため、売上総利益にも影響を及ぼします。
発生しやすい商品には傾向があるため、在庫管理を徹底するなど、発生しないような対策が必要です。

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OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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