仕訳帳の項目ごとの書き方や仕訳する際の考え方を紹介
更新日: 2023.9.1
公開日: 2022.5.10
MEGURO
日付順に取引の全てが記録される仕訳帳は企業活動になくてはならないものです。総勘定元帳はもちろんのこと決算書の作成やあらゆる財務資料のベースとなります。財務状況を正確に把握するためにも、日々ミスなく記録することが求められ、経理の基本的な業務と言えます。
今回は仕訳帳の項目ごとの書き方や仕訳する際の考え方、帳簿づけの流れを紹介します。
1. 仕訳帳の項目ごとの書き方
仕訳帳とは「主要簿」の1つで、日付順に全ての取引の仕訳を記載した帳簿のことを指します。帳簿の中には「主要簿」と「補助簿」がありますが、主要簿となる仕訳帳は重要な位置づけになっています。
仕訳帳を転記することで総勘定元帳が作成されるなど、さまざまな財務資料の基準となるデータです。
仕訳帳に記載すべき項目や書き方、勘定科目の分類を把握してから仕訳する必要があります。
1-1. 仕訳とは
仕訳とは、企業の財産や資本が増減したときに「借方(かりかた)」と「貸方(かしかた)」に分け、取引を決められた項目に沿って記録することです。
一般的には借方が「左側」、貸方が「右側」に記入するようになっています。
借方と貸方は同じ残高にする必要があり、取引内容に合わせた勘定科目を記載しなければなりません。
勘定科目は、「資産」、「負債」、「純資産」、「収益」、「費用」の5つに大まかに分類され、勘定科目がどの分類に属するかによって借方と貸方のどちらに記入するかが決まります。
関連記事:仕訳とは?借方・貸方の考え方や仕訳の手順をわかりやすく解説
1-2. 仕訳帳に記載する項目
仕訳帳に記載する項目は以下の4点です。
・日付(年月日)
・借方(勘定科目と金額)
・貸方(勘定科目と金額)
・摘要(取引の数量や内容、相手先など)
仕訳帳に記載するタイミングは、「取引」が発生したときになります。つまり、企業の財産や資本が増減したときになるので、売上げや経費の支払いが具体的に発生したときのことをいいます。契約時や発注時は資産に増減がないので、取引に含まれません。イメージとルールの違いを理解しておきましょう。
また、取引という言葉の響きから契約や物品などの売買を想定しがちですが、例えば火災や盗難なども資産の減少として扱われます。帳簿の上では取引として扱われ、仕訳帳に記入する必要があるので注意しましょう。
関連記事:仕訳帳の扱い方とは?基本的な部分を5つの分類から詳しく紹介
1-3. 項目ごとの書き方
仕訳帳には日付、借方、貸方、摘要の各項目を取引内容に沿って記録し、日付順に作成する必要があります。
経費の支払いや売上の発生など仕訳帳の具体的な書き方をご紹介します。
・3月1日に事務所で使用するプリンターを15,000円で購入した場合は、日付(3/1)を記載し、借方が消耗品費/15,000円、貸方が現金/15,000円となり、摘要には「プリンター購入」を記載する
・3月2日にG社に商品を販売して売上が200,000円発生した場合は、日付(3/2)を記載し、借方が売掛金/200,000円、貸方が売上/200,000円となり、摘要には「G社」を記載する
・3月15日にT商店より銀行口座に売掛金50,000円が入金された場合は、日付(3/15)を記載し、借方が現預金/50,000円、貸方が売掛金/50,000円となり、摘要には「T商店」を記載する
プリンターを購入した例は勘定科目「消耗品費」が増加し、勘定科目「現金」が同金額減少しています。また、商品販売の売上は勘定科目「売上」も勘定科目「売掛金」も増加する仕訳となっています。売掛金の入金の場合は、勘定科目「現預金」が増加し、勘定科目「売掛金」が減少します。
摘要についても必ず記載するようにしてください。仕訳帳に限らず帳簿をつける上では、明確に記録を残す必要があります。
例えば、会食の飲食費用を交際費として計上する場合は、同行者の名前や人数、顧客なのか業者なのかなど詳細に記録しましょう。
仕訳帳の記入が終わったら、日付、借方、貸方、摘要の4項目が全て記載できているか、勘定科目の選定が正しいか、借方と貸方で金額の相違がないか最後にチェックしてください。
2. 記入する際の仕訳の考え方
取引の増減を借方に記入するか、貸方に記入するかは勘定科目によって決まります。
勘定科目は5つの資産、負債、純資産、収益、費用に分類されますが、資産、負債、純資産は貸借対照表に使用し、収益、費用は損益計算書に使用する勘定科目です。
その中でも、本来は借方に属するのは資産と費用、貸方に属するのは負債、純資産、収益です。
2-1. 資産、費用に属する勘定科目の場合
本来は借方に属する資産、費用が勘定科目になる場合は、増えるときは借方、減るときは貸方に記入します。
資産と費用に属する勘定科目の例は以下の通りです。
・資産に属する勘定科目は、現金、預金、売掛金、有価証券、受取手形、有形固定資産など
・費用に属する勘定科目は、売上原価、販売費及び一般管理費、営業外費用など
有形固定資産とは、土地や建物、機械や運搬具のことで工具器具・備品やリース資産なども含まれます。
また、販売費や一般管理費の幅は広く、販売業務や管理業務で発生した経費のことを指します。具体的には、販売費は交通費や広告宣伝費など、一般管理費は家賃や水道光熱費などが含まれます。「販管費」と略して呼ばれることもあります。
前述したプリンターを購入した例で考えると、一般管理費に含まれる消耗品費が増えているので借方に記入され、現金も本来は借方に属していますが減少しているので貸方に記入されています。
2-2. 負債、純資産、収益に属する勘定科目の場合
本来は貸方に属する負債、純資産、収益が勘定科目になる場合は、増えるときは貸方、減るときは借方に記入します。
負債、純資産、収益に属する勘定科目の例は以下の通りです。
・負債に属する勘定科目は、支払手形、未払金、長期借入金など
・純資産に属する勘定科目は、資本金、繰越利益剰余金など
・収益に属する勘定科目は、売上、受取利息、固定資産売却益など
前述した商品販売から売上が発生した例で考えると、売上が増えているので貸方に記入され、売掛金も増えているので借方に記入されています。
勘定科目が借方と貸方のどちらのグループに本来なら属するかを覚えておけば、スムーズに仕訳帳に記入することができます。
3. 帳簿づけの流れとは
帳簿づけの流れとして、日付順に仕訳帳に記入した内容を次に総勘定元帳に転記していきます。
総勘定元帳とは、勘定科目別に取引の日付、借方、貸方を記入した帳簿のことで仕訳帳と同様に「主要簿」とされている重要な帳簿です。
勘定科目別に財務状況を把握することができ、科目別に昨年対比がしやすい資料なので経理担当者以外も目を通す場合があります。総勘定元帳へ正しく転記することも重要ですが、仕訳帳で正確に仕訳ができていないと、総勘定元帳にも誤差が生じてしまいます。
ミスが発覚した場合に仕訳帳と総勘定元帳の両方で修正が必要となるため、大きな時間ロスになります。
企業規模や業態に関わらず、日々の仕訳を適切に行うことが経理担当者にとって大切なことです。
4. ルールに沿って正確に仕訳帳をつけよう
仕訳帳を正確につけるためには、仕訳帳に記載する日付、借方、貸方、摘要の項目を把握し、取引の増減を勘定科目の種類によって書き分ける必要があります。
そのためにも、勘定科目が資産、負債、純資産、収益、費用の5つのどの分類に分けられるか今一度確認しましょう。
仕訳帳の作成は、企業の財務状況を正しく認識するための根幹業務です。企業の経済活動をより発展させるためにも日々の業務の正確さが重要となります。
仕訳に不安がある場合は、そのままにせずに税理士などに相談するなど早急に解決しましょう。
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