長期前受金が発生したときの処理方法をわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

長期前受金が発生したときの処理方法をわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

長期前受金が発生したときの処理方法をわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

長期前受金が発生したときの処理方法をわかりやすく解説

前受金の中でも、決算日の翌日から1年よりも後に商品やサービスの提供が完了する取引は長期前受金(前受収益)という勘定科目を使い処理しなければいけません。勘定科目を使い分けることで、貸借対照表上、「流動負債」か「固定負債」、どちらに計上するか判断するためです。

本記事では長期前受金とは何か、前受金との違いや長期前受金を前受金に振替える処理方法を解説します。

会計の基本は勘定科目と仕訳!
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説!

「経理担当になってまだ日が浅く、会計知識をしっかりつけたい!」
「会計の基礎知識である勘定科目や仕訳がそもそもわからない」
「毎回ネットや本で調べていると時間がかかって困る」

などなど会計の理解を深める際に前提の基礎知識となる勘定科目や仕訳がよくわからない方もいらっしゃるでしょう。

そこで当サイトでは、勘定科目や仕訳に関する基本知識と各科目ごとの仕訳例を網羅的にまとめた資料を無料で配布しております。 会計の理解を深めたい方には必須の知識となりますので、ぜひご覧ください。

勘定科目と仕訳

資料ダウンロード

1. 長期前受金とは?

説明する女性

先に、前受金とは商品やサービスを提供する前に受け取った代金の一部(または全部)のことです。企業の会計基準では、売上は代金の回収と同時に計上する「実現主義」を採用しているため、前もって受け取った代金は前受金として処理しなければいけません。前受金を受け取ることで、企業は顧客に対し商品などの提供義務を負うため、負債科目として計上します。

1-1. 長期前受金とワン・イヤー・ルール

長期前受金とは、決算日の翌日から1年を超えて商品やサービスの提供が完了する(=現金化できる)取引のことです。

企業は年に一回は決算処理をして、会社の収支や損益を確定しなければいけません。決算では負債の計上が必要なものの、支払い期日が数カ月先から数年先のものまでさまざまな種類があります。これらをまとめて計上すると、正確な資産状況が判断できません。

そこで、会計基準では決算の翌日以降、1年以内に期日が到来するかしないかにより、負債の種類を分けて計上する必要があります。このように、1年を基準として判断する方法をワン・イヤー・ルール(1年基準)といいます。

関連記事:前受金とは?仮受金との違いや仕訳例を紹介

2. 長期前受金と前受金の違い

内容の比較

長期前受金と前受金は、ワン・イヤー・ルールに則り、以下のように違いを分けられます。

長期前受金:
商品・サービスの提供が1年を超えて完了するもの。決算処理では、貸借対照表の「固定負債」に計上する。

前受金:
商品・サービスの提供が1年以内に完了するもの。決算処理では、貸借対照表の「流動負債」に計上する。

長期前受金の例としては、3年契約のリース料や保守点検サービス料などが挙げられます。

また、前受金は商品代金の一部先払いなど、手付金や内金に相当するものです。なお、受講料の前払いなど、サービスの提供でも1年以内に終了するものは前受金に含まれます。

貸借対照表上の勘定科目を詳しくしたりいときは以下の記事もご確認ください。

関連記事: 貸借対照表で使われる勘定科目の意味や覚えるコツも紹介

3. 長期前受金が発生したときの処理方法

処理する男性

長期前受金が発生したときは、決算日の翌日から1年以内にサービスの提供が完了する部分としない部分に分けて処理しなければいけません。これにより、貸借対照表上で、固定負債と流動負債に分けて計上できます。以下の具体例を元に処理方法を解説します。

【例】
01年4月より、A社は得意先Bと5年分のリース契約を締結した。なお、5年分の代金6万円は一括前払いで受け取り、サービスの提供を開始する。

3-1. 01年4月の契約時の処理

以下のように1年以内にサービス提供が完了する分の金額と、1年以上かかる分に分けて仕訳を行います。

(借方) 現金  60,000円 / (貸方) 前受金      12,000円
                     長期前受金  48,000円 

5年リース契約のため、1年分のリース料は(6万円÷5年=12,000円)で求められ、この分を前受金として処理します。なお、借方の科目はリース料の受け取り方法に合わせて「売掛金」のように変更します。

リース料を受け取った段階ではサービスの提供が終わっていないため、「売上」の勘定科目は使いません。

3-2. 02年3月に1年分のサービス提供が完了したとき

売上はサービス提供が完了した時点で計上します。1年分のリース提供が終了したら前受金を売上に振替えましょう。

(借方) 前受金  12,000円 / (貸方) 売上  12,000円

上記の仕訳により、01年4月分の前受金(負債)を相殺し、収益に振替わりました。

なお、上記サービスの提供を1カ月ごとに締め切る場合は、1,000円を12カ月分計上します。

3-3. 02年3月の決算時の仕訳

決算時にはワン・イヤー・ルールに則り、残り4年分の長期前受金48,000円を「前受金」と「長期前受金」に振替えなければいけません。それぞれの金額は以下のようになります。

前受金  :12,000円(02年4月~03年3月までのリース料)
長期前受金:36,000円(03年4月~05年3月まで残り3年分のリース料)

上記を振替える仕訳は以下のとおりです。

(借方) 長期前受金  12,000円 / (貸方) 前受金  12,000円

これにより、01年4月に貸方に計上した長期前受金48,000円から12,000円が相殺され、帳簿上は36,000円が長期前受金として残るようになります。

貸借対照表上、長期前受金は固定負債、前受金は流動負債にそれぞれ計上しましょう。

なお、長期前受金が残っている場合は翌期以降も上記と同様に処理します。

4. 長期前受金を処理するときの注意点

請求書 注意

長期前受金や前受金は、商品の提供が済んでいるのに収益に計上しないと、不正な会計操作と取られかねません。また、仮受金や前払金など、他の勘定科目と混合することのないように気をつけましょう。

4-1. 商品の受け渡しやサービスの完了を確認する

前受金を売上に計上する際は、該当の商品やサービスの提供が完了しているか確認しましょう。そのため、検収書や受領書を受け取ってから売上計上するとよいでしょう。

特に決算後に計上誤りが発覚すると、決算修正や修正申告など煩雑な処理が生じてしまいます。

4-2. 売上の計上や未計上を確認する

決算時期には、前受金の売上計上が正しく行なわれているかだけでなく、未計上のままになっているものがないかも確認しましょう。売上に直結する勘定科目だけあり、決算書に前受金や長期前受金を計上すると、税務調査で深く確認されます。

前受金の売上計上日を操作すれば、売上の水増し申告とも取られかねないため注意しましょう。

4-3. 仮受金や前払金と混同しない

前受金と混同しやすい勘定科目に仮受金や前払金があります。

仮受金とは、入金理由や金額が判明しないときに用いる勘定科目です。例えば、得意先から5,000円入金されたものの、売掛金の額が3,000円であれば、残り2,000円は仮受金として処理します。なお、入金理由が判明し次第、正しい勘定科目に振替えましょう。決算時まで理由が判明しないときは雑収入として処理します。

関連記事:仮受金の勘定科目は?財務諸表における位置づけについて

前払金とは、自社が他社に対して、商品やサービスの提供前に支払った費用のことです。そのため、前受金とは逆の取引となります。前払金は、後日商品やサービスを受け取れる権利のため「流動資産」として計上します。なお、決算日から1年を超えて商品やサービスの提供が完了するときは長期前払費用(固定資産)という勘定科目で処理します。

関連記事:前払金の基本的な部分を勘違いしやすい勘定科目と比較して紹介

4-4. 会社で利用する勘定科目や仕訳方法を確認する

長期前受金は、「前受収益」など、会社により勘定科目の名称が異なるケースがあります。また、複数の商品やサービスを提供している場合、計上ルールや締め日が異なるケースも多いでしょう。

そのため、実務で長期前受金の処理が必要になったら、まずは会社の会計ルールを確認した上で処理を進めましょう。

5. 長期前受金は前受金への振替処理を忘れずに行おう!

付箋メモ:重要

長期前受金とは、商品やサービスの提供が決算日の翌日から1年以上後に完了する取引で、事前に受け取った金額のことです。長期前受金で計上した分の金額は、決算日に翌期1年分の金額を前受金(流動負債)に振替える処理が必要です。

上記の処理が漏れたり、前受金から売上への振替えを忘れたりすると、不正な会計操作とも取られかねません。会計システムを活用するなどして、処理漏れのないように管理しましょう。

会計の基本は勘定科目と仕訳!
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説!

「経理担当になってまだ日が浅く、会計知識をしっかりつけたい!」
「会計の基礎知識である勘定科目や仕訳がそもそもわからない」
「毎回ネットや本で調べていると時間がかかって困る」

などなど会計の理解を深める際に前提の基礎知識となる勘定科目や仕訳がよくわからない方もいらっしゃるでしょう。

そこで当サイトでは、勘定科目や仕訳に関する基本知識と各科目ごとの仕訳例を網羅的にまとめた資料を無料で配布しております。 会計の理解を深めたい方には必須の知識となりますので、ぜひご覧ください。

勘定科目と仕訳

資料ダウンロード

MEGURO

MEGURO

HR NOTEのライター、総合求人サイトとシニア向け情報メディアの立ち上げを経て、現在はjinjer blogの運営に携わっています。 事業視点から、バックオフィスの重要性を啓蒙するコンテンツを作っています。 保有資格:ファイナンシャル・プランニング技能士(3級)

経費管理のピックアップ

新着記事