経常利益とは?純利益・営業利益との違いや計算方法を紹介
更新日: 2024.3.6
公開日: 2022.10.17
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決算に必要な損益計算書には、5種類の利益が出てきます。
そのうちのひとつである経常利益は、企業が毎年どのくらい利益を出せるかを示す大切な指標ですので、概要や計算式をよく覚えておきましょう。
今回は、経常利益の概要と計算方法、純利益や営業利益との違いについて解説します。
「法改正に関する情報収集が大変で、しっかりと対応できているか不安・・・」
「仕訳や勘定科目など、基本的なこともついうっかり間違えてしまうことがある」
などなど日々の経理業務に関して不安がある方必見の資料です。
経費精算は日々発生するため、流れ作業のように処理することもあるでしょう。しかし、経費精算業務は、社内規程や関連法に対応した細かいルールが存在するため、注意が必要です。
また直近の電子帳簿保存法やインボイス制度など毎年のように行われる法改正に対して、情報を収集し適切に理解する必要があります。
そこで今回は、仕訳や勘定科目などの基礎知識から、経理担当者なら知っておきたい法律知識などを網羅的にまとめた資料をご用意しました。
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目次
1. 経常利益とは?
経常利益とは、企業が通常おこなっている事業のうち、経常的に得ている利益のことです。
経常とは常に一定の状態が続くことを意味する言葉ですので、経常利益には通常では発生しない一時的な利益・損失は含まれません。
その一方、経常的な利益・損失であれば、本業以外の事業も反映させなければなりません。
たとえば本業は製造業を営んでいるが、別途不動産投資で家賃収入を得ている場合などは、その利益や損失も含める必要があります。
なお、経常利益を求めると、主に以下のようなことがわかります。
1-1. 通常の経営活動における利益
経常利益を見ると、一時的な利益・損失を省いた、通常の事業における損益を把握することができます。
一過性の利益・損失はあくまで一時的なものに過ぎないので、経常利益で通常の経営活動から生まれた利益を把握しておけば、日頃どのくらい稼げているのかを正確にチェックできます。
1-2. 本業とその他の利益のバランス
営業利益と経常利益を比較すれば、本業とその他の利益のバランスを確認できます。
経常利益と営業利益の違いについて、詳しくは後述します。
2. 経常利益の計算方法
経常利益は、営業利益、営業外収益、営業外費用の3つを用いて求めます。
営業利益は本業で得た利益のことで、売上高から売上原価と販売費・一般管理費を差し引いて計算します。
営業外収益は本業以外の活動によって得た利益のことで、受取利息や受取配当金などがこれに該当します。
3つ目の営業外費用は、本業以外の活動で発生した費用のことで、支払利息などがこれに該当します。
これら3つの要素を用いた経常利益の計算方法は以下の通りです。
経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用
3. 経常利益と純利益・営業利益の違い
損益計算書に記載されるほかの利益、純利益と営業利益との違いについて説明します。
3-1. 経常利益と純利益の違い
損益計算書に出てくる純利益には、税引前当期純利益と、当期純利益の2つがあります。
税引前当期純利益とは、経常利益に特別利益を加えたうえで、特別損失を差し引いた金額のことです。
ここでいう「特別」とは臨時的に発生した利益・損失のことです。
具体的には、投資用マンションを売却して得た利益や、災害によって発生した損失などが特別利益・損失に該当します。
臨時的に発生した損益まで含めた、税引き前の今期の利益を知りたい場合は税引き前当期純利益を計算します。
経常利益では一過性の損益は含めないため、税引き前当期純利益とは性質が大きく異なります。
一方の当期純利益は、税引前当期純利益から法人税や住民税、事業税などを差し引いた利益のことです。
企業がその年度内に得たすべての収益から出費を差し引いた値となるため、企業の手元に最終的に残ったお金がわかります。
各種税金が含まれた経常利益に比べると、当期純利益は金額が小さくなります。
3-2. 経常利益と営業利益の違い
営業利益とは、会社が本業の事業で得た利益のことです。売上高から売上原価と販管費を引いて算出します。経常利益は「営業利益」から本業以外で得た「営業外収益」を足して、「営業外費用」を引いた利益を指します。営業外収益や営業外費用には、投資や雑費、雑収入などの本業以外の収益や費用が含まれます。営業利益が本業の売上を表しているのに対して、経常利益は、会社全体の売上を指していると言えるでしょう。
また、経常利益を算出するための財務諸表は「企業会計原則」を基に作成されています。経理担当者としてのスキルを高めるためには、決算書類から読み取れることだけでなく、作成ルールについても熟知する必要があるでしょう。
当サイトで無料配布している「経理1年目の教科書」では、「企業会計原則」以外にも、経理担当者が押さえておくべき業務の基本や法律について解説しています。経理初任者の方が必ず持っておきたい1冊となっているので、ぜひこちらから無料でダウンロードしてご覧ください。
3-3. 経常利益と経常損益の違い
経常損益とは、会社が本業で得た損益(利益や損失)全体を指します。売上高から売上原価と販管費を引いたときに、プラスであれば「経常利益」、マイナスであれば「経常損失」となります。
4. 経常利益の活用方法
経常利益を活用すると、自社の収益力を確認したり、同業他社との比較をおこなったりすることができます。
ここでは経常利益の活用方法を2つご紹介します。
4-1. 売上高経常利益率を出す
売上高経常利益率とは、売上高に占める経常利益の割合のことです。
経常利益を売上高で割り、100を乗じることで計算できます。
売上高経常利益率が高い場合、通常の経営活動による自社の収益力が高いことを示しています。
逆に売上高経常利益率が低い場合は、本業における自社の収益力が低いことを表しているため、利益率アップに向けて何らかの対策を講じる必要があります。
4-2. 同業他社と比較する
売上高経常利益率は業種や企業の規模によって異なるため、明確な水準はありません。
そのため、自社の収益力が高いかどうかは、規模が同程度の同業他社と比較する必要があります。
参考までに、経済産業省がまとめた資料によると、2020年度の主要産業における売上高経常利益率は以下の通りです。
前年に比べると、製造業は0.5ポイント、卸売業は0.2ポイント、小売業は0.3ポイント、合計では0.2ポイントの上昇となっています。(※注1)
※注1:2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-|経済産業省
4-3. 複数年で比較する
企業の業績・成績は決済をもって単年で評価されますが、経営状況は長い目で見る必要があります。
たとえば将来大きな利益を生み出す事業であっても、最初のうちは手探りの状態からスタートしますし、設備投資なども必要になるので、当初数年は売上高経常利益も低くなりがちです。
そのため、売上高経常利益を見るときは、単年ごとに評価するのではなく、長い目で傾向を観察していくことが大切です。
具体的には、売上高経常利益の推移をグラフなどにまとめておき、複数年単位でチェックするようにしましょう。
5. 経常利益に関する注意点
経常利益に関して気をつけたいポイントを2つご紹介します。
5-1. 固定費の下げ方に注意
経常利益が大きいほど会社の利益も大きくなるので、売上高経常利益率が同業他社に比べて低い場合は、売上高に占める経常利益の割合を増やす必要があります。
経常利益の割合を増やす方法はいくつかありますが、とくに注意したいのが営業利益から差し引く販売費及び一般管理費の削減です。
経常利益は営業利益と営業外収益の合算から営業外費用を差し引いて計算するため、営業利益が大きくなるほど経常利益も増える仕組みになっています。
営業利益は売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いて求めるため、販売費と一般管理費の支出を抑えれば、営業利益、つまり経常利益の増加にもつながります。
販売費及び一般管理費には、人件費や出荷手数料、宣伝広告費、会社の家賃や水道光熱費など複数の項目が含まれていますが、最も手っ取り早いのは毎月支出する固定費の削減です。
人件費や家賃、水道光熱費などがこれに該当しますが、リストラなどで人件費を削減すると従業員の反感を買い、モチベーション低下につながるおそれがあります。
固定費の削減を目指すのなら、教育や指導に力を入れて労働生産性をアップし、既存の従業員のみで回す。業務効率化のためのシステムを導入して残業代を減らすといった創意工夫が必要になります。
5-2. 従業員に対して十分な説明をおこなう
経常利益には本業以外で稼いだ利益や損失も含まれますが、営業利益は本業のみの損益を数値にして表します。
そのため、本業以外の損益が多い企業の場合、経常利益と営業利益の間に大きな差が生じることがあります。
こうした事情を知らない従業員からすると、たくさんの売上をあげているのに経常利益が伸び悩むといった不可解な現象が起こっているように見え、モチベーションの低下を招く原因となります。
経常利益と営業利益の間に大きな乖離が生まれる場合は、従業員に対して十分な説明をおこなうなどのフォローを入れるようにしましょう。
6. 経常利益を正しく把握すれば、自社の収益力や同業他社との差を理解できる
経常利益は、企業が通常の事業で経常的に得る利益のことで、損益計算書に記載されている5つの利益のうちのひとつです。
自社の収益力を把握したり、同業他社との比較をしたりするときにも役立つので、正しい方法で計算し、経常利益をしっかり把握しておきましょう。
「法改正に関する情報収集が大変で、しっかりと対応できているか不安・・・」
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