期間損益計算とは?重要性や計算方法をわかりやすく解説
更新日: 2024.1.16
公開日: 2023.3.22
jinjer Blog 編集部
期間損益計算とは、12カ月など区切られた一定期間の中で獲得した損益を計算することです。どれだけの利益を得たのか、どれだけの損益が発生したのかを数値として把握することは企業にとって必須です。
損益法を使って期間損益計算を行う企業は多いものです。しかし、中には、期間損益計算に財産法と呼ばれる方法を採用する企業もあります。
本記事では、期間損益計算の具体的な方法について説明していきます。
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1. 期間損益計算とは一会計期間内の損益を把握する手法のこと
期間損益計算とは、任意の集計期間の中でどれだけ利益が出たのかを詳しく計算することです。
経営において、一定の期間内で獲得した損益のことを期間損益と呼びます。多くの企業は損益計算書の集計を12カ月という区切りで行いますが、3カ月や6カ月といった会計期間を設定するケースもあります。個々の企業が区切った任意の期間のことを一会計期間と呼びます。
企業会計においては、事業が半永久的に継続すると仮定したうえで収支の管理を行います。継続すると仮定された経営の期間を一定ごとに区切って損益を計算することで、企業の収益結果を把握することが可能となります。
また、複数の会計期間ごとの期間損益計算から収益の増減を比較することは、経営判断にも役立ちます。
期間損益計算においては、実際の現金の動きのみを計算するわけではありません。ビジネスにおいては、費用を前払いしてあとから商品を受け取ったり、役務を提供したのちに会計年度をまたいで支払いをしたりといった対応が多く行われます。こういった取引があったときには、未収収益や未払費用、前受収益や前払費用などを正しく計上することが大切です。
企業の収益と費用を対応させれば、会計期間内の損益を計算することが可能となります。期間損益計算は税務調査で指摘されやすい事項のひとつなので、正しく計算しておくことが大切です。
2. 期間損益計算の重要性
企業は収益を上げることを目的としてビジネスを展開しています。企業のお金は常に活発に動いています。ときにはお金の実際の出入りと計上のタイミングがずれることもあります。
個人のお金のやり取りであれば比較的簡単に計算できるものですが、企業における収支を、その都度計算するのは現実的に不可能なのです。
しかし、計算が難しいからと企業のお金の動きを放置するわけにはいきません。企業は、経営活動によって収益を上げられているかを判断するため、経営状況をタイムリーに把握する必要があります。
経営状況の把握は、金融機関の融資判断や投資家による投資の判断などにも活用されます。大きなお金が動く中であっても、正確な損益を仔細に把握しておく必要があるのです。
会計における期間損益計算は、企業の経営活動を把握する重要な指針です。もちろん、企業が所有している資金の額を実際に数えることはできませんが、適切な方法で期間損益計算を行えば企業の状態をある程度判断することが可能です。
3. 期間損益の計算方法
期間損益計算の方法は大きく財産法と損益法の2つに分けられます。多くの企業では損益法による期間損益計算を採用していますが、財産法を取り入れるケースもあるので注意しましょう。
ここからは、それぞれの計算方法について具体的に説明していきます。
3-1. 財産法
財産法とは、期首の段階での純財産額と期末の段階での純財産額とを比較する計算方法です。それぞれの純財産額の増減を損益として把握することで、期間損益を算出することが可能です。
財産法を用いて期間損益計算を行う場合には、期末純資産-期首純資産という計算式を用います。会計年度の期末の段階で、貸借対照表の純資産が期首の純資産よりも増加していれば黒字とみなされます。一方で、純資産が減少しているときには損失があったと判断されます。
会計期間経過後の企業財産の増減を確認するという性質をもつ財産法は「間接的利益決定の方式」とも呼ばれます。財産法で期間損益計算をするときには、貸借対照表の資産の部には財産としての価値をもつ資産を時価で表示します。
また、負債の部には法的に確定した債務のみを表示します。こうすることで、企業がどれだけの財産を所有しているのかを仔細に判断することが可能となります。
財産法の良さは、期首と期末の純資産額を比較するだけで損益計算ができるという点にあります。損益法に比べて計算がしやすいため、経営判断のために財産法を採用している企業も少なくありません。
ただし、財産法では、売却予定のない資産をはじめ、企業が所有する財産のすべてを時価として把握することは困難です。また、資産評価額と取得額の差によっては評価益が生じることもありますが、実際の精算を行わなければその利益を得ることはできません。さらに、株主への配当によって純資産が減少した場合など、損益とは直接関係のない取引によって期間損益額が変化するケースもあります。
財産法の計算には、純資産を増減させる直接の要因となる収益や費用の金額を用いません。そのため、実態の損益に沿わない部分があると判断されることもあります。
3-2. 損益法
損益法とは、会計期間中に得られたすべての収益から経費を差し引いて期間損益を差し引くという計算方法です。収益から費用を控除するという特徴をもつため、損益法は「直接的利益決定の方式」と呼ばれることもあります。
損益法における損益は、収益-費用という計算式で求められます。収益が費用よりも多ければ黒字、逆に費用のほうが大きければ赤字です。
損益法の計算で用いる費用には、収益を得るための戦略や努力という意味合いがあります。費用は純資産を減少させる要因になる一方で、収益を上げることは純資産を増加させることにもつながります。支出した費用に対してどれだけの利益を獲得できたのかを把握できるのが、損益法を用いるメリットです。
ただし、損益法で判断できるのはあくまで純資産の増減額であり、期末の純資産額を把握することはできません。
気をつけなければならないのは、前会計年度に費用の支払いを終えているものの計上に至っていない経費があるケースです。こういった経費については次の会計年度に引き継いで漏れのないよう計上することが重要です。
逆に、前会計年度に既に計上した費用が二重計上されてしまうケースもあるので注意したいものです。
実際の費用の動きと計上の時期が異なるケースがあるのが損益法のデメリットです。適切なタイミングで費用を計上する必要があるため、損益計算がやや複雑になることもあります。
4. 正しい期間損益計算で企業の収支を把握し経営判断に役立てよう
期間損益計算とは、12カ月など任意の会計機関の中でどれだけの損益が生じたのかを把握するための計算です。
期間損益計算の手法には財産法と損益法と呼ばれる2つがあり、多くの企業では損益法を採用しています。損益法では、企業の収益から総費用を差し引くという計算で損益を求めます。
企業の収支を詳しく把握し経営判断に役立てるのが期間損益計算の意義です。期間損益計算の内容は税務調査でチェックされることもあるため、正しく計算することが重要です。
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