レシートって領収書の代わりにできる?違いや証明力を解説
更新日: 2022.12.7
公開日: 2021.1.12
FURUYA

多くの会社では経費精算に領収書の提出が求められ、レシートだと受け付けてもらえないことも珍しくはありません。
しかし、実はレシートであっても経費精算に使える場合があるのです。
本項では、レシートと領収書の違いと、経理上、税法上での取り扱いについて解説します。
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「法改正に関する情報収集が大変で、しっかりと対応できているか不安・・・」
「仕訳や勘定科目など、基本的なこともついうっかり間違えてしまうことがある」
などなど日々の経理業務に関して不安になることがございませんでしょうか。
特に経費精算は毎月頻繁に発生する経理業務ですが、細かいルールや規定があり、注意が必要です。また直近の電子帳簿保存法やインボイス制度など毎年のように行われる法改正に対して、情報を収集し適切に理解する必要があります。
そこで今回は、仕訳や勘定科目などの基礎知識から、経理担当者なら知っておきたい法律知識などを網羅的にまとめた資料をご用意しました。
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1. レシートと領収書の違い
レシートと領収書を英語で表記すると、どちらも「receipt」といいます。
このことから分かるように、海外ではレシートも、領収書も同じ意味のものなのです。
実際、アメリカやイギリスなど多くの国では、小売店やタクシーを利用した際に、領収書が発行されることはありません。
領収書は「日本ならではの文化」なわけですが、レシートとどこが異なるのかというと、それは「記載内容」です。
レシートには店名、日付、購入(利用)した商品(サービス)の品目、単価などが印字されます。
対して、領収書にはレシートに印字される情報に加えて「宛名(購入者は誰なのか)」が記載されます。
この「宛名の有無」がレシートと領収書の大きな違いです。
2. レシートにおける経理上、税法上の考え方
多くの会社では経費精算に「領収書が必須」とされます。
そのため、「領収書じゃないとダメ……」と認識している方が多いようですが、実は、レシートが使える場合もあります。
2-1. 経理上は領収書もレシートも有効
経理上、領収書もレシートも有効になる場合が極めて多いです。
注意点として、会社の規則で領収書のみという記載がある場合は領収書を発行する必要があるので、会社の規則を確認しておきましょう。
2-2. 消費税法上では経費書類に「宛名」が求められる
消費税法において、経費精算に必要な証拠書類には、以下の要件が定められています。
・書類作成者の氏名又は名称(店名)
・取引年月日
・取引内容
・取引金額
・書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称(宛名)
つまり、経費精算には「原則として宛先が必要」とされているわけです。
関連記事:宛名なしの領収書って経理や法律上まずい?ケースごとに解説
2-3. 「宛名」を省略してもいい場合がある
ただし、「宛名」の必要性については例外が存在しています。
例えば、以下の業種を利用した際の領収書に関しては、宛名が記載されていなくても大丈夫です。
・小売業
・旅客運送業
・旅行業
・飲食業
・駐車場業
つまり、コンビニでの買い物や、取引先との会食、タクシーでの移動など日常の多くの場合では、領収書を発行してもらわなくても、レシートで十分に代用できます。
2-4. 「お買い上げ票」なども領収書の代わりとして使える
国税庁が公開している「金銭又は有価証券の受取書、領収書」によると、レシートの他にも領収書の代わりとして、受領事実を証明できる証拠書類がいくつかあります。
・受取書
・領収証
・預り書
・お買い上げ票
・「代済」「相済」「了」などと記載された請求書や納品書
2-5. レシートの方が証拠書類として信憑性が高いことがある
記載内容によっては、領収書の証拠書類としての信憑性が疑われる場合があります。
例えば、宛名が「上様」や、詳細が「お品代」と記載内容が省略されている場合です。
その点、レシートには宛名はないものの、店名、日付、品目、単価など証拠書類として必要な項目が機械的に印字されます。
人の手による「改ざんの可能性がない」ことから、記載内容が省略されている領収書よりも、レシートの方が税務調査では疑われることがありません。
国税庁:No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書
3. 会社がレシートより領収書を重視する理由
消費税法上は経費精算の際にレシートが使える場合が多々あるわけですが、それでも多くの会社が領収書を重視しています。
その理由としては、税務調査での対策が関係してきます。
3-1. 飲食のレシートは本当に会社で利用したかを疑われやすい
コンビニでの買い物やタクシーでの移動などでは、レシートでもまず問題ありません。
しかし、小売や運送などと同様に「宛名が不要」なはずの飲食に関しては注意が必要です。
というのも、取引先との会食があまりに高額であったり、頻繁に開催されていたりすると、税務官から本当に会社に関係しての飲食なのかを疑われることがあります。
場合によっては、税務署から対象の飲食店に問い合わせなどがあり、調査期間の長引くこともあります。
そのため、税務調査で不要な疑いをかけられないよう、調査期間の長引くことがないよう、あらかじめ経費精算には宛名のある「領収書が必須」としている会社が多いわけです。
4. レシートと領収書の保存期間は原則7年
レシートであれ、領収書であれ、1人分でも相当な枚数になります。
それが会社規模ともなると保管管理をどうするのかが問題です。
しかし、領収書は「証憑書類(取引を証明する書類)」とされ、一定期間の保管が義務付けられているため、勝手に破棄することはできません。
では、いつまで保管する必要があるのかですが、法人の場合は会社規模に関わらず「7年間」になります。
ただし、ここで注意したいのが、この「7年間」というのはレシートや領収書が発行されてからではなくて「法人税申告期限(決済日の翌日から2ヶ月後)」からの期間です。
また、個人事業主の場合は青色申告の方だと法人と同様に「7年間」、白色申告の方だと「5年間」となります。
青色申告の方でも前々年の所得が300万円以下の場合は、白色申告と同様に「5年以下」です。
そして、青・白申告いずれも「確定申告の期日」からの期間です。
関連記事:領収書の保管期間は5~10年!知らないとまずい基礎知識
4-1. 電子データでの保存は事前に税務署に申告が必要
最近では、領収書をPDFファイルで発行したり、ウェブサイト上で確認したりできる場合も増えてはきました。
それでも、まだ紙媒体として出力して保管しておくのが一般的です。
しかし、2016年の税法改正にともない「電子データ」での保管も認められるようになりました。
これにより、PDFファイルとしてやウェブサイト上で発行されたものをそのまま保管できるだけでなく、紙媒体で発行された領収書をスマホなどで撮影して保管することも可能です。
5. レシートでも経費精算に使えるケースがある
本稿では、経費精算に関して、レシートと領収書の違いについてまとめてきました。
レシートと領収書の大きな違いは、記載内容に「宛名」があるのか、ないのかです。
そして、小売・旅客運送・旅行・飲食・駐車場の利用では、レシートも証拠書類として使えるとのことでした。
つまり、コンビニでの買い物やタクシーでの移動など、日常の多くの場合ではレシートで十分なわけです。
しかし、会社によっては税務調査をスムーズに進めるために、宛名のある「領収書が必須」としている場合も多く、基本的には会社内のルールに則ることが求められます。
「経理担当者になってまだ日が浅いため、基本知識をしっかりつけたい!」
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