領収書と領収証の違いとは?国税庁の定義やレシートでの代用についても解説
更新日: 2025.6.25 公開日: 2024.3.18 jinjer Blog 編集部

領収書と領収証は非常に似ている言葉ですが、漢字に違いがあるため、どのように使い分ければいいのか悩んでいる担当者の方も多いのではないでしょうか。
領収書も領収証も、「サービスや商品による金銭受理がおこなわれたことの証明書」という共通点はあるものの、厳密には種類や発行目的が異なります。例えば、お店によってはレシートを領収書として発行していることもあるので、余計に混乱してしまうかもしれません。
ここでは、領収書と領収書の扱い方や国税庁の定義などを解説していくので、違いに悩んでいる方は参考にしてみてください。
目次
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1. 領収書と領収書の違いとは


結論から述べると、一般的に「領収書」と「領収証」の意味に違いはありません。
両方とも、商品やサービスによって金銭を受理したことを証明するために発行される書類です。
民法上の正式名称はどちらも「受取証書」となっており、区別されていません。しかし、厳密にはいくつかの違いも存在し、使い分けもできます。細かな差違ではありますが、領収書と領収証について解説していきます。
1-1. 領収書とは
領収書とは、なんらかの取引で金銭を受け取った証明として発行される書類です。
「領収書」と記載されたものだけでなく、受領証や引落明細書、レシートなども領収書に含まれます。取引についての証拠資料となる、証憑(しょうひょう)資料の一種です。
領収書が証憑資料であるとはいえ、厳密にいえば金銭を受け取ったと証明するわけではありません。あくまで領収書は、金銭の受け渡しがあった事実を書類として残しているものです。
そのため、基本的に宛名が書かれていないレシートも領収書として扱うことができます。
また、民間が発行した受取書類の呼称を領収書としている考え方もあります。タクシーやスーパーで発行されるレシートでは、領収書と記載されていることが多いです。
1-2. 領収証とは
領収証とは、取引によって金銭を受け取ったという証明のために発行される証券です。
主に、「領収証」と記載されている書類で、領収書と同様に証憑資料の一種となっています。
領収証には宛名が書かれている場合が多く、誰が誰と取引をしたかを証明することができます。そのため、誰から誰にお金を払ったのかを証明できる、証券に分類されます。
ただし、宛名に「上様」と記述する場合があるので、取引した人を確実に証明する書類ではありません。
なお、役所や金融機関に金銭を支払った際に発行される書類に記載されているのは「領収証」です。また、オフィス用品として市販されている用紙には、領収証と書かれているものが多く見られます。
2. 領収書と領収証はどっちが正しい?


領収書と領収証は同じものといえるので、どっちが「正しい書類」という使い分けはありません。
国税庁では、領収書は総称で領収証は狭義の意味だと定義していますが、扱い方を区別していないのが実情です。店頭で販売されている用紙も、メーカーによって表記が領収書であったり領収証であったりします。記載する内容にも違いはないため、経費精算などで確認する場合でもどちらかに統一しなければならないということはないでしょう。
また、発行したのが民間かどうかといった区別もいりません。企業が領収証として発行することもありえるので、発行者にあわせた呼び方をする程度の認識で十分です。
3. 領収書と領収証ができた理由


領収書と領収証ができた理由の前に、これらの異なる点について説明します。
「領収書」は、漢字にもあるように書類の意味が強くなりますが、「領収証」は商品や金銭の受け取りの事実を証明するものとも言えます。
また、領収書は民間企業が発行した書類の呼称という解釈もあります。一方、「領収証」は役所や金融機関が発行した書類に書かれる表記です。
このように、発行者によって名称が異なったことが「領収書」と「領収証」ができた理由で、区別がつきにくくなったという経緯があると考えられています。
4. 国税庁が定めた領収書と領収証の定義


領収書・領収証は印紙税法と深くかかわっている書類で、国税庁の管轄になります。
下記は、領収書・領収証それぞれ、国税庁のホームページに記載されている「金銭又は有価証券の受取書、領収書」についての解説文です。
金銭又は有価証券の受取書や領収書は、印紙税額一覧表の第17号文書「金銭又は有価証券の受取書」に該当し、印紙税が課税されます。受取書とはその受領事実を証明するために作成し、その支払者に交付する証拠証書をいいます。したがって、「受取書」、「領収証」、「レシート」、「預り書」はもちろんのこと、受取事実を証明するために請求書や納品書などに「代済」、「相済」とか「了」などと記入したものや、お買上票などでその作成の目的が金銭又は有価証券の受取事実を証明するものであるときは、金銭又は有価証券の受取書に該当します。
領収書の中に、領収証やレシート、預り証などが含まれているため、国税庁の定義としてはどれも「金銭又は有価証券の受取書」という意味でとらえられていると考えられます。
4-1. 民法上では「受取証書」とされる
民法の条例によると、領収書と領収証のどちらも受取証書として扱われます。
民法の第486条では、弁済する人は受取証書の交付を請求できるとあります。
ただし、領収書や領収証に関する記載はありません。これらを踏まえると、民法においては領収書や領収証の区別をする以前にその呼び方が使われておらず、受取証書と呼称していることがわかります。
参考:民法 第486条 | e-Gov法令検索
5. 領収書と領収証には収入印紙が必要?


領収書と領収証のどちらでも、記載する金額が5万円以上になる場合は収入印紙を貼る必要があります。
金額には消費税を含まず、購入代金が5万円以上の領収書(領収証)には必ず貼られていなければならないため、経費精算などで処理する際にはしっかり確認しましょう。
ただし、PDFなど電子的に発行された領収書に関しては、収入印紙は不要となります。
印紙税というのは課税文書を発行する際に納めるものなので、発行しない電子文書の場合は印紙税を納める必要はないのです。また、電子的な領収書でも法的な効力があるため、金銭を払ったという証明書として使えます。
6. 領収書や領収証はレシートで代用できる?


領収書や領収証の話になるとよく話題に上がるのは、レシートの問題です。
領収書や領収証などの書類を受取証書として認めるには、以下の6つの項目が記載されている必要があります。
- 取引日付
- 宛名(受取人)
- 金額(支払代金)
- 取引内容(但し書き・明細)
- 印紙(金額が5万円以上の場合)
- 発行者の名前・住所
ここで注目したいのが「宛名(受取人)」です。
一般的に領収書・領収証には、会社名や個人名などの宛名(受取人)が書かれております。しかし、 レシートは、宛名の項目自体が設けられていないものがほとんどです。
そのため、宛名のないレシートは、領収書・領収証とは認められません。 しかし、消費税法上では、以下の事業のみ宛名(受取人)の記載が必要ないと定めています。
- 小売業
- バス、鉄道、航空会社などの旅客運送業
- 旅行に関する事業
- 飲食業
- 駐車場業
法律上、宛名がないレシートでも領収書・領収証として認められることもあります。 レシートは、手書きの領収書・領収証より品目が記載されていることから、証拠として信頼性が高いという認識をもつ企業も少なくありません。
ただ、慣習的にレシートではなく領収書・領収証ではないといけないという会社もあるため、 レシートでも代用ができるのか、会社(提出先)に確認をおこなうことをおすすめします。
7. 領収書と領収証の違いより内容の正確さをチェックしよう


領収書と領収証は両方とも受取証書として同じように扱われるため、同じものとして扱っても問題ないでしょう。
自分が発行する立場であれば、どちらで呼称するかを好みで決めても差し支えありませんし、受領する立場だとしても、基本的に区別する必要はありません。
領収書と領収証の違いよりも大事なことは、必要な項目が記載されているかどうかです。正しく記載されていないと、経費精算などで必要な証明書類になりません。そのため、書類の呼び方にこだわるより、記載の仕方や内容が正しいかどうかに目を向けるようにしましょう。



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