軽減税率の対策。補助金の内容や手続きについて詳しく紹介
更新日: 2024.10.10
公開日: 2021.11.9
jinjer Blog 編集部
2019年10月1日より消費税が10%に引き上げられると同時に、一部の品目に対しては消費税を8%とする「軽減税率制度」が導入されました。
軽減税率の対象となるのは主に以下の2つです。
- 酒類・外食を除く飲食料品
- 週2回以上発行される新聞で定期購読契約に基づくもの
この複数税率に対応したレジやシステムの導入・改修は、中小企業には大きな負担となることもあるでしょう。そこでぜひ活用したいのが「軽減税率対策補助金」です。
今回は軽減税率対策補助金の内容や申請手続きを詳しく解説します。
※ 軽減税率対策補助金の期限は「2019年9月30日まで」です。ご注意ください。
▼そもそも軽減税率とは?という方はこちら
軽減税率とは?期間や対象品目をわかりやすく図解
軽減税率はなぜ導入されたの?わかりにくい軽減税率、メリットはあるの?
2019年10月に軽減税率制度が実施されました。軽減税率の導入によって、経理業務に変化を強いられた企業も多いのではないでしょうか。
その中で、「軽減税率が導入されたけど、結局経理業務の何が変わって何が今までと変わってないんだ・・・?」と疑問を抱いている方も少なくないでしょう。
そのような方のために、今回軽減税率で「変わること・変わらないこと」まとめBOOKをご用意いたしました。資料には、以下のようなことがまとめられています。
・軽減税率制度の概要について
・軽減税率導入によって変化する経理業務
・引き続き管理しなければならない経理業務
軽減税率導入後の変化を簡単に理解して対応ができるように、ぜひこちらから資料をダウンロードして軽減税率で「変わること・変わらないこと」まとめBOOKをご活用ください。
1. 軽減税率対策補助金の種類と内容
2016年4月1日より、軽減税率への対応が必要な中小企業や小規模事業者などに対して、円滑な準備を支援する補助金「中小企業・小規模事業者等消費税軽減税率対策補助金(軽減税率対策補助金)」の公募が始まりました。
この軽減税率対策補助金には補助対象によって3つの申請類型がありますので、その種類と内容を確認してみましょう。
1-1. A型:複数税率対応レジや券売機の導入等の支援
複数税率に対応できるレジ・券売機の新規導入や、既存のレジ・券売機の改修に使える補助金です。
■申請区分
レジの種類や対応方法によって以下の6種類の申請区分に分けられています。
- A-1型(レジ・導入型):複数税率対応の機能を有するPOS機能のないレジを対象機器とし、その導入費用を補助対象とします。
- A-2型(レジ・改修型):複数税率非対応のレジを、対応レジに改修する場合の費用を補助対象とします。
- A-3型(モバイルPOSレジシステム):モバイルPOSレジとは、レジ機能サービスをタブレットなどの汎用端末と付属機器を組み合わせてPOSレジとしたもの。複数税率に対応したモバイルPOSレジシステムを導入する際の費用を補助対象とします。
- A-4型(POSレジシステム):POSレジシステムを複数税率に対応するよう改修または導入する場合の費用を補助対象とします。
- A-5型(券売機):券売機を区分記載請求書等保存方式に対応するよう改修または導入する場合の費用を補助対象とします。
- A-6型(商品マスタ設定):軽減税率制度の実施前に複数税率対応レジの商品マスタを設定する場合の費用を補助対象とします。
■補助率
導入や改修の費用:原則3/4
※導入費用が3万円未満の機器を1台のみ導入する場合は4/5
タブレット等の汎用端末:1/2
■補助額上限
レジや券売機1台あたり20万円が上限となっています。また、新たにおこなう商品マスタの設定や機器設置に費用を要する場合は1台あたり20万円が加算されます。
複数台を導入する場合などは、1事業者あたり200万円が上限となっています。
1-2. B型:受発注システムの改修等の支援
電子的発注システム(EDIやEOSなど)を利用する事業者のうち、複数税率に対応するために必要となる機能について、改修・入替をおこなう場合に使える補助金です。
■申請区分
- B-1型(受発注システム・指定事業者改修型):システムベンダー等に発注して、受発注システムの改修・入替をおこなう場合の費用を補助対象とします。
- B-2型(受発注システム・自己導入型):自らパッケージ製品やサービスを購入・導入して受発注システムの改修・入替を実施する場合の費用を補助対象とします。
■補助率
B-1型もB-2型も補助率は3/4となっています。
■補助額上限
発注システムの場合は1000万円、受注システムの場合は150万円が上限となっています。発注システムと受注システム両方の導入・改修をおこなう場合は1000万円が上限です。
1-3. C型:請求書管理システムの改修等の支援
区分記載請求書等保存方式に対応した請求書の作成に係るシステムの改修・導入をおこなう場合に使える補助金です。
これまでの請求書には、以下の5つが記載されていました。
- 請求書発行者の氏名や名称
- 取引先の氏名や名称
- 取引年月日
- 取引内容
- 取引金額
消費税は一律8%だったため、わざわざ記載する必要がなかったのです。
しかし、軽減税率制度の導入によって、消費税は8%と10%の複数税率になりました。これらを明確に区分できるよう、
- 軽減税率の対象品目
- 税率ごとの合計額
も追記した「区分記載請求書等保存方式」が導入され、そのシステムの導入が求められることとなったのです。
■申請区分
- C-1型(請求書管理システム・システム改修・導入型):請求書管理システムについて、指定事業者が改修・導入する場合の費用を補助対象とします。
- C-2型(請求書管理システム・ソフトウェア自己導入型):請求書管理システムについて、自ら購入・導入をおこなう場合の費用を補助対象とします。
- C-3型(請求書管理システム・事務機器改修・導入型):請求書管理システムについて、事務機器の改修・導入をおこなう場合の費用を補助対象とします。
■補助率
補助率は改修・導入にかかる費用の3/4です。
ただし、補助対象範囲外の機能を含むソフトウェアは1/2を補助対象経費とし、これに補助率3/4を乗じて算出します。
また、ハードウェアについては補助率を1/2とします。
■補助額上限
補助額上限は1事業者あたり150万円、ハードウェアの上限は10万円となっています。
また、事務機器の改修は1台あたり20万円です。さらに導入の場合は1台あたり20万円に加え、設置費用も1台につき上限20万円が補助されます。
2. 軽減税率対策補助金の申請ポイント
軽減税率補助金に申請する際には、次のポイントを押さえておきましょう。
2-1. 申請者の要件をチェック
軽減税率対策補助金の申請者は、「軽減税率対象商品を将来にわたり継続的に販売するために、複数税率対応レジを導入又は改修する必要のある事業者であること」と定められています。上記の文章では少しイメージしづらいですが、以下の4項目を満たせば、申請要件は満たしているといえます。
・軽減税率の対象となる飲食料品や新聞を扱っており、今後も扱う予定がある
・日頃から継続的にレジを使用している
・複数税率を区分した請求書や領収書を発行する必要がある
・中小企業支援法に規定される事業者である
2-2. A型・B型・C型で申請の手続きが異なるので注意
軽減税率対策補助金はA型・B型・C型によって、申請する人や申請のタイミングなどが異なります。よく確認して間違いのないよう申請しましょう。
①A型の申請手続き
■申請方法
申請者自身での申請に加え、代理申請協力店による申請(代理申請)が可能です。
ただし、A-2型とA-5型は原則として代理申請、A-4型とA-6型は代理申請が必須です。
■申請タイミング
機器を導入または改修して全ての支払いが完了した後、速やかに申請します。
A-1型、A-2型、A-3型、A-4型は、2016年3月29日~2019年9月30日までの期間に導入・改修し、支払いが完了したものが対象です。
A-5型、A-6型は、2019年1月1日~2019年9月30日までの期間に導入・改修し、支払いが完了したものが対象です。補助金の申請受付期限は2019年12月16日(消印有効)となっています。
②B型の申請方法
■申請方法
B-2型は申請者自身による申請が可能ですが、それ以外はシステムベンダー等による代理申請をおこないます。
■申請タイミング
システム改修・入替前に「交付申請」、改修等の完了後に「事後完了報告」をおこないます。
交付申請:2016年3月29日~2019年6月28日
事後完了報告:~2019年12月16日(消印有効)
ただし、B-2型に限っては導入後の申請となっています。
③C型の申請手続き
■申請方法
C-1型:指定事業者による代理申請か、指定リース事業者による共同申請をおこないます。
C-2型:申請者自身で申請します。
C-3型:代理申請協力店による代理申請か、指定リース事業者による共同申請をおこないます。
■申請タイミング
2019年1月1日から2019年9月30日までの期間内に改修・導入し、支払いを完了させ、2019年12月16日の申請期限までに申請します。
3. 軽減税率対策補助金の補助率を理解しておこう
軽減税率対策補助金は、型によって以下のように補助率が異なります。
型の種類 | A型(複数税率対応レジや券売機の導入等の支援) | B型(受発注システムの改修等の支援) | C型(請求書管理システムの改修等の支援) |
補助率 |
原則3/4 ※3万円未満の効きを1台のみ導入する場合は4/5 ※タブレット等の汎用端末は1/2 |
ー |
原則3/4 ※補助対象範囲外の機能を含むソフトウェアは1/2を補助対象経費とし、これに補助率3/4を乗じる ※ハードウェアは1/2 |
補助上限額 |
・1台あたり:20万円(商品マスタの設定や機器費用を要する場合1台あたり20万円を加算) ・1事業者あたり:200万円 |
・発注システム:1,000万円 ・受注システム:150万円 ・発注システムと受注システム両方の導入・改修:1,000万円 |
・1事業者あたり:150万円 ・ハードウェア:10万円 ・事務機器の改修:1台あたり20万円 ・事務機器の導入:1台あたり20万円+設備費用1台あたり20万円 |
申請方法 |
申請者自身での申請に加え、代理申請が可能 ※ただし、A-2型とA-5型は原則として代理申請、A-4型とA-6型は代理申請が必須 |
・B-2型は申請者自身による申請が可能 ・B-2型以外はシステムベンダー等による代理申請 |
・C-1型とC-3型:指定事業者による代理申請か、指定リース事業者による共同申請 ・C-2型:申請者自身での申請 |
申請タイミング | 機器を導入または改修し、全ての支払いが完了した後、速やかに申請 |
システム改修・入替前に「交付申請」、改修等の完了後に「事後完了報告」 ※B-2型は導入後に申請 |
機器を導入または改修し、全ての支払いが完了した後、速やかに申請 |
申請期限 | 2019年12月16日 |
軽減税率対策補助金を使えば、10万円から1000万円の負担を軽減できます。
上手に活用して複数税率にも対応できるよう準備を進めておきましょう。
関連記事:【2021年最新版】軽減税率はいつまで?6月情報に注意!今後の流れを解説
2019年に制定された軽減税率制度によって、税率が混在した経費処理が必要になりました。軽減税率でこれまでよりも仕訳が複雑になることに加えて、引き続き手間に感じている業務も続けなくてはなりません。
「軽減税率をしっかりと理解した上で、今後どのような管理が必要なんだろう・・・」とお悩みの方は軽減税率で「変わること・変わらないこと」まとめBOOKををぜひご覧ください。
・軽減税率制度の概要について
・軽減税率導入で変わること、変わらないこと
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