決算業務とは?経理担当の決算業務フローや効率化、45日ルールなど解説
更新日: 2024.5.8
公開日: 2022.11.30
jinjer Blog 編集部
決算業務とはどのような業務か知っていますか。会社に勤務して
いる人であれば、言葉を耳にしたことはあるのではないでしょうか。決算業務は会社の集大成ともいえる業務です。絶対にミスを起こしてはいけませんし、期限内に終わらせなくてはいけません。
本記事では決算業務について解説いたします。決算業務の流れも紹介しているので、ぜひご確認ください。
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1. 決算業務とは?
決算業務とは1年間のまとめとしておこなわれる業務の1つです。会社は1年間で商品を売ったり、材料を買ったりしています。それらにはお金の流れが発生しています。会社は1年間の収益を元にして、国に税金を納めなくてはいけません。
つまり、どのようなお金の流れがあったのかを完全に把握しておく必要があるのです。しかし、お金の流れはありとあらゆるところで起こっています。誰か1人が常に完璧に把握しておくのは不可能です。そこで必要になるのが決算業務なのです。
会社はお金の流れがあった際に、帳簿を作成しています。その帳簿を元にして、年間の取引をすべてまとめます。そして会社の経営状況を確認できる損益計算書や賃借対照表などを作成していくのが、決算業務の主な内容です。
このデータを元にして、会社の担当者は株主総会で財務状況の報告をおこないます。また、決算業務で作成した決算書を元にして、税金の計算もおこなわなくてはいけません。その計算結果を元にして、会社は納税をおこないます。
つまり、決算業務とは納税額を左右する非常に重要な業務なのです。決算業務にミスがあると、納税額にもミスが生まれてしまい、脱税などにつながりかねません。追徴課税をされる可能性もあります。
1-1. 決算の45日ルール
上場企業や一部の大企業では、決算開示を決算期末日から45日以内におこなわなければならない、という決まりがあります。これを45日ルールといいます。もし、決算開示が45日に間に合わなかったとしても、公的な罰則はありません。ただし、投資家や取引所からの信用の低下につながる恐れがあるため、間に合うように進めていくことが大切です
1-2. 年次決算と月次決算
決算には、年次決算と月次決算があります。年次決算は、企業の一年間の収支をまとめた財務諸表の作成とその報告を指します。対して月次決算は年次決算の補助的な役割として、毎月の決算書を作成することを指します。
会社法などで義務付けられているのは年次決算のみで、月次決算の実施は任意です。ですが、年次決算を確実に間に合わせるために、月次決算の実施を取り入れる企業も多く存在します。
1-3. 上場企業と中小・非上場企業の決算の違い
前述のとおり、上場企業は証券取引所に決算書を提出しなければなりません。対して、中小企業や非上場企業は決算公告をおこなうことが義務付けられています。決算公告に関して、提出期限は定められていませんが、できるだけ早い公告が推奨されています。
2. 決算業務の流れを3ステップで解説
決算業務の流れは主に3つのステップから解説することが可能です。どういった流れになるのかを確認していきましょう。
2-1. 決算残高を確定させる
決算業務をおこなう際に、まずおこなわなくてはいけないのが決算残高の確定です。決算残高の確定とは、決算日の勘定科目の残高と実際の残高を比較して、それが一致しているかを確認することです。
これは帳簿で管理している勘定科目すべてに対しておこないます。そして決算残高の確定においても仕訳業務をおこなわなくてはいけません。この業務を決算整理仕訳といいます。
具体的には買掛金、未払金、棚卸資産、固定資産の処理をおこなって、通常業務を決算と区別します。これらをおこなうことで、決算残高の確定が可能になるのです。
決算残高が確定したら、勘定科目の詳細を記入して「勘定科目内訳明細」を作成していきます。勘定科目内訳明細は法人税の申告時に必要な書類であるため、どの会社の決算業務においても必ず作成しなければいけません。
決算残高の確定において大切なのは、日々の帳簿作成が正確かどうかです。帳簿に間違いがあれば、勘定科目の残高と実際の残高が一致しません。その結果、決算時期の確定作業に時間がかかってしまい、後からの作業をおこなう時間がなくなってしまいます。
日々の帳簿作成にダブルチェック制度を導入するなど、ミスが起こらないような工夫をしてください。
2-2. 税金の計算
決算残高が確定したら、それを元にして税金の計算をおこないます。さきほども説明したように、決算残高が間違っていると税金の計算も間違うことになり、脱税などに問われてしまう可能性があります。そのため、決算残高の確定や税金の計算はより慎重におこなうようにしてください。
ここで計算する税金は法人税と消費税です。消費税を計算する際は、売上に含まれている消費税から仕入れや経費に含まれている消費税を引いてください。計算して求められる消費税の金額と帳簿上の消費税の金額は少しずれているので、この差を修正することも必要です。
修正したうえで消費税を確定させ、未払い消費税として決算書に計上してください。また、法人税を計算する際は、会社の規模や利益に応じて税率が異なるので注意しましょう。
法人税の種類にもいろんなものがあります。法人税・事業税・法人市民税・法人県民税などが該当します。これらすべての法人税を計算して、納付すべき金額を確定させましょう。
2-3. 決算書の作成
最後に決算書の作成をおこないます。確定された残高を元にして、損益計算書や賃借対照表などを作成していきましょう。また、結果だけを記載するのではなく、処理方法の変更などがあれば注意事項を記載する必要もあります。
決算書ができたら重要な書類であるため、監査役や取締役会、会計監査人などから確認や承認を受けてください。不備がまったくなければ株主総会に提出しましょう。
一般的に株主総会は決算日から3カ月以内に開催されます。そのため、決算業務がおこなえる期間は3カ月です。手間取っていると間に合わないので、事前準備をしっかりおこなってください。
3. 決算業務に関する注意点
決算業務をおこなう際に注意するべきポイントはたくさんあります。その中の代表的なものについて確認していきましょう。
3-1. 日々の業務でデータを整理しておく
決算業務をおこなえる期間は3カ月しかありません。そこからデータ整理を始めていると、決算に間に合わない可能性が大いにあります。日々の業務で取り扱うデータを常に整理しておきましょう。
必要なデータをすぐ見つけられる状態にしておくことが大切です。データ探しに時間がかかると、後からの作業に対応できる時間がなくなってしまいます。基本的なことではありますが、データの整理は常に意識しておこなってください。
3-2. 前倒しで決算業務をおこなう
前倒しで決算業務をおこなうことも大切です。もちろん、決算が終わってから始めて間に合うのであれば問題ありません。しかし、慣れていない人や決算業務がよくわかっていない人が作業をおこなう場合は、決算前にできることはやっておいてください。
さきほどのデータ整理についても同様で、日々の業務で整理しておければ問題ないのですが、できていなければ決算日の1カ月前から始めておいてください。こうしておくだけでも、期間内に書類作成が間に合う可能性が高まります。
3-3. 疲労からミスが起こる
決算業務はどんな理由があっても期限内に間に合わせなくてはいけません。無理やり間に合わせようとすると、当然ですが残業が多発します。その結果、従業員に疲労が蓄積して、ミスを生んでしまう可能性があるのです。
ミスに気づければ良いのですが、確認がおろそかになっているとそのまま提出してしまう可能性もあります。そうならないようにするためには、決算業務期間中の勤務時間について管理をしなければいけません。
決算業務が終わらないのに残業を減らすのは無理なので、決算業務が終わるように日々の業務から工夫をおこなっていく必要があります。さきほど紹介したように、前倒しで決算業務をおこなうなどの対応をしてください。
また、アウトソーシング会社に依頼をするのもおすすめです。給与計算や労務管理などを代行してもらっている会社であれば、決算業務も依頼できないか聞いてみてください。
4. 決算業務を効率化する方法
決算業務は、1年間の会社の収支をまとめるため膨大な時間がかかります。特に上場企業は45日以内に開示する必要があるため、効率的におこなわなければ間に合わないでしょう。本章では決算業務を効率化する方法を解説します。
4-1. 月次決算業務を取り入れる
月次決算をおこなえば、毎月の決算書があるため業務を短縮できます。また、月ごとに帳簿をまとめることで業務の煩雑さを軽減することが可能です。1年間の帳簿からお金の流れを追うよりもミスを軽減することができるでしょう。
4-2. 決算業務フローとスケジュールを見直す
決算時期に業務が詰まっている、期限の直前まで業務が終わらない、といった場合は業務フローやスケジュールを見直す必要があるでしょう。決算業務で問題が発生する可能性も考慮して、予備日を含めたスケジュールを立てなければなりません。「いつまでに、なにが終わっていなければならないのか」を考えて見直してみましょう。
5. 決算業務は期限内に終わるよう毎日少しずつ準備を進めよう
決算業務は期限が決まっているのがポイントです。その期限に遅れてしまうと、会社全体の信用が損なわれることになりかねません。そうならないように、期限内に決算業務が終わるように日々の業務をおこなってください。
どうすれば決算業務がスムーズに進むか、どのようにデータ整理をしておくべきかなど知るためには、決算業務について深く理解をしている必要があります。本記事を参考に、決算業務についての知識を深めてください。
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