有形固定資産とは?無形固定資産との違いや減価償却、回転率ついて解説
更新日: 2024.1.15
公開日: 2022.10.13
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会社や法人には「資産」と呼ばれるものが数多くありますが、会計処理をおこなうにあたってはそれらの資産を適切に分類しなければなりません。
とくに固定資産は、「有形固定資産」と「無形固定資産」に分類されるので、どちらに該当するのかをきちんと把握しておく必要があります。
本記事では、有形固定資産とは何か、有形固定資産と無形固定資産の違い、有形固定資産の減価償却方法などについて説明します。
目次
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説
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1. 有形固定資産とは?
有形固定資産とは、会社や法人が事業に用いる資産の中で物理的な形態を持ち、1年を超える長期にわたり利用される資産のことを指します。
「形があって目に見える資産」は、基本的に有形固定資産に含まれると考えておいて問題ありません。
2. 有形固定資産の種類
主な有形固定資産としては、以下のようなものが挙げられます。
- 土地
- 建物および付属設備
- 構築物
- 機械および装置
- 車両および陸上運搬具
- 船舶および水上運搬具
それぞれの資産について、説明します。
2-1. 土地
有形固定資産としての「土地」としては、オフィスや工場の土地、駐車場、資材置き場、社宅敷地などが該当します。
不動産として販売する目的で所有している場合は、事業に用いるわけではないため有形固定資産には該当しません。
2-2. 建物および付属設備
有形固定資産としての「建物」には、事務所用や店舗用などの建物が含まれます。
有形固定資産としての「付属設備」には、電気設備、冷暖房設備、ガス設備などが含まれます。
2-3. 構築物
有形固定資産としての「構築物」には、トンネル、塀、橋、岸壁、焼却炉、用水池、堤防、防波堤、上下水道などが含まれます。
2-4. 機械および装置
有形固定資産としての「機械および装置」には、工場等に設置されるさまざまな製造機械設備が含まれます。
また、機械式駐車場設備も機械および装置として有形固定資産となります。
2-5. 車両および陸上運搬具
有形固定資産としての「車両および陸上運搬具」には、一般的な自動車のほか、鉄道車両や航空機などが含まれます。
2-6. 船舶および水上運搬具
有形固定資産としての「船舶および水上運搬具」には、漁船やモーターボート、タンカーなどが含まれます。
3. 有形固定資産と無形固定資産の違い
有形固定資産と無形固定資産の違いは、漢字表記のとおり、「形があるもの」か「形がないもの」かです。
上述したように有形固定資産は、「具体的な形があって目で見たり手に取ったりすることができる資産」です。
一方の無形固定資産は、「具体的な形がなく目で見たり手に取ったりすることができない資産」で、具体的には以下のようなものが該当します。
- 特許権
- 商標権
- 実用新案権
- 意匠権
- 借地権
- 鉱業権
- ソフトウェア
- のれん
- 電話加入権
固定資産を取り扱うときは、それが有形固定資産と無形固定資産のどちらに該当するのかを、きちんと把握しておかなければなりません。
4. 有形固定資産の減価償却方法
減価償却とは、固定資産の取得原価を、耐用年数に応じて分割したうえで会計処理する方法です。
減価償却の方法は「定額法」と「定率法」の2種類あります。
固定資産の種類によっては、税務署に届出をおこなうことで、定められた償却方法以外で減価償却できる場合もあります。
定額法と定率法それぞれでの減価償却の方法について、以下で説明します。
4-1. 定額法
定額法では、毎年同額を減価償却費として計上します。
例として、200万円で購入した固定資産が耐用年数10年だった場合を考えてみましょう。
定額法における減価償却費は「取得価額×定額法の償却率」で算出され、耐用年数10年の定額法償却率は「0.100」のため、この固定資産の減価償却費は「200万円×0.100=20万円」ということになります。
この場合の仕訳は、以下のとおりです。
借方 減価償却費 20万円 / 貸方 固定資産 20万円
なお、減価償却の仕訳方法は「直接法」と「間接法」に分けられ、上掲したのは直接法でおこなった減価償却です。
直接法は、減価償却費を固定資産から「直接差し引いていく」仕訳の方法ですが、間接法では固定資産から直接減価償却費を引くわけではなく、「減価償却累計額」という勘定科目が用いられます。
間接法で減価償却をおこなった場合の仕訳は、以下のとおりです。
借方 減価償却費 20万円 / 貸方 減価償却累計額 20万円
4-2. 定率法
定率法は、購入初年度に減価償却費を大きな金額で計上し、その後は一定の「償却率」をかけながら、毎年少しずつ減価償却費を減少させていく方法です。
先ほどの例と同じように、200万円で購入した固定資産が耐用年数10年だった場合を考えてみましょう。
耐用年数10年の固定資産の定率法での償却率は「0.200」のため、初年度は「200万円×0.200=40万円」が減価償却費となり、以下のように仕訳がおこなわれます。
借方 減価償却費 40万円 / 貸方 固定資産 40万円
2年目は、取得価額である200万円から、減価償却された40万円を差し引いた金額である160万円に対して、あらためて償却率の「0.200」をかけて減価償却費を算出します。
2年目の減価償却費は「160万円×0.200=32万円」となり、以下のように仕訳がおこなわれます。
借方 減価償却費 32万円 / 貸方 固定資産 32万円
このように定率法では、減価償却費が1年ごとに少しずつ小さくなっていきます。
その結果、減価償却が終わるまでにかなりの年月を要することになるので、減価償却費が一定の金額を下回ってから先は、「改正償却率」を使って計算することになります。
仕訳をおこなうタイミングによって計算方法が変わることがあるため、定率法で減価償却をおこなう場合は注意が必要です。
5. 有形固有資産の回転率とは?
有形固定資産には、回転率の指標があります。売上高と有形固定資産額から算出して「有形固定資産がどれだけ売上に貢献できているか」を計ります。
回転率の算出方法:有形固定資産回転率 = 売上高 ÷ 有形固定資産額
5-1. 有形固定資産回転率の目安
有形固定資産回転率は業種や会社規模、方針によっても大きく異なります。土地や物件などの有形固有資産を多く扱う不動産業や、大型の機械や工場が必要な製造業では低く、権利や技術といった無形固有資産を扱うことの多い情報通信業では高くなることが多いです。また、積極的に設備投資おこなえば、その分だけ回転率は低くなるでしょう。
いっときの数値で判断せず、現在の経営方針や過去の数値、同業他社の数値と比較することが大切です。
6. 有形固定資産は適切に減価償却をおこなうことが重要
有形固定資産とは、1年を超える長期にわたり利用される資産の中で、「形があって目に見えるもの」を指します。
土地や構築物、機械および装置などが代表的なものとして挙げられ、有形固定資産と対になる概念である無形固定資産には、特許権や商標権・のれんなどが含まれます。
有形固定資産は会計処理において減価償却をおこなう必要があり、固定資産の種類ごとに「定額法」と「定率法」のどちらで減価償却をおこなうかが決められています。
それぞれ減価償却費の算出方法が異なるので、有形固定資産の種類に応じて適切に処理することを心がけましょう。
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