租税公課とは?消費税を計上する際に必ず知っておきたいポイントと注意点を解説
更新日: 2024.5.23
公開日: 2022.5.10
jinjer Blog 編集部
確定申告で必要となるのが、租税公課です。税金の種類によっては租税公課として計上できる税金もあればできない税金もあります。今回は、計上できる税金の1つである消費税について解説します。
目次
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説
「経理担当になってまだ日が浅く、会計知識をしっかりつけたい!」
「会計の基礎知識である勘定科目や仕訳がそもそもわからない」
「毎回ネットや本で調べていると時間がかかって困る」
などなど会計の理解を深める際に前提の基礎知識となる勘定科目や仕訳がよくわからない方もいらっしゃるでしょう。
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1. 租税公課とは
租税公課とは、確定申告に税金を計上するときに使用される勘定項目です。租税と公課の2つの言葉を組み合わせてできているのが特徴です。
租税とは国に納める国税と地方に納める地方税の2種類の税金のことを指します。今回解説する消費税は、地方税の中でも税金の納税者と負担者が異なる間接税に該当します。一方公課とは地方公共団体に納める手数料や組合費などのことです。
租税公課は、計上できる税金と、計上できない税金があるため注意が必要です。消費税は租税公課として計上することができるため、計上するための処理の方法について解説します。
関連記事:租税公課とは?計上の可不可など知っておくべき点をわかりやすく解説
2. 租税公課の対象になるものとならないもの
全ての税金を租税公課として仕訳することはできません。消費税を含めて、どのようなものが租税公課の対象になるのか知っておきましょう。
2-1. 租税公課の対象になるもの
租税公課の対象になるのは以下の税金や手数料です。
- 印紙税
- 登録免許税
- 固定資産税
- 法人事業税
- 事業所税
- 不動産取得税
- 自動車税・軽自動車税
- 公共サービスの手数料
- 税込み方式で仕訳する際の消費税
ただし、個人事業主の場合は自宅を事業所として使っている場合や、プライベートでも車を使っている場合は事業での使用分のみが租税公課の対象になります。
仕訳をする際はこの点や対象になる税金の種類に十分に注意しましょう。
2-1. 租税公課の対象にならないもの
租税公課の対象にならないのは、以下の税金や保険料などです。
- 法人税・所得税
- 県民税・住民税(市町村税)
- 罰金・科料
- 遅延税・遅延金
- 国民健康保険料
- 国民年金保険料
- 相続税
事業所税や法人事業税は租税公課の対象ですが、法人税や所得税は対象外である点に注意が必要です。基本的には事業をおこなう上での経費とみなされないものは対象外であると考えておくとよいでしょう。
3. 税込経理方式と税抜経理方式の違い
消費税には税込経理方式と税抜経理方式の2種類の処理方法があります。事業者はどちらの方法で処理をしてもいいということになっていますが、どちらにもメリットとデメリットがあるため、より得をする方法や、会社にあった方法を選ぶことが大切です。
ここからは、税込経理方式と税抜経理方式の処理方法の違いや、それぞれのメリットとデメリットについて解説します。
3-1. 税込経理方式とは
税込経理方式とは、消費税又は地方消費税を売上額や仕入額に含めて計算する方法です。決算時に消費税を一括で処理をするのが特徴で、消費税を租税公課と未払消費税として処理をします。いわゆる一般の買い物だと内税に当てはまるのが、税込経理方式です。
免税事業者は税込経理方式で処理をおこなうことになるのも特徴です。本来消費者から預かった消費税を事業者が支払うのですが、免税事業者とは、その消費税の納税を免除されている事業者のことを言います。そもそも消費税を分けて処理する必要がないため、税込経理方式で処理することになります。
3-2. 税込経理方式のメリットとデメリット
税込経理方式のメリットは、処理が簡単にできるという点です。消費税を分けて仕訳処理が簡単におこなえるため、取引のたびに消費税の処理をする必要がありません。分かりやすさや処理のしやすさを重視したい人は、税込経理方式がおすすめです。
一方デメリットとして挙げられるのが、期中の損益の把握が難しいという点です。最終的な利益が確定するまで、どのくらいの利益になったのか、利益が本当にあるのかどうか分かりづらいという特徴があります。
これまで日本では、消費税の導入から3%、5%、8%、10%と税率が変動してきました。また、海外では国ごとに大きく消費税が異なります。そうした消費税の変動や海外の税率で処理を行わないといけないときは、消費税を含めて処理をする税込経理方式だと税率が分かりづらくなってしまうのもデメリットの1つです。
3-3. 税抜経理方式とは
税抜経理方式とは、1回の仕入れや売上ごとに、仕入額や売上額と消費税の金額を分けて処理する方法のことです。一般的な買い物だと外税が税抜経理方式に当てはまります。
売上に含まれる消費税のことを仮受消費税、仕入れに含まれる消費税のことを仮払消費税と呼びます。
3-4. 税抜経理方式のメリットとデメリット
税抜経理方式のメリットは、税込経理方式とは違い、期中の利益がわかりやすいという点です。消費税と売上額をわけて処理をするので、消費税のない純粋な利益を確認しやすくなります。
消費税率は場合によっては変化することも考えられます。異なる消費税率を考慮して計算しなければいけないときに、税抜経理方式の方が異なる消費税率が混同する心配がありません。海外の税率を考慮しなければいけないときも同様です。
交際費をより有利にしたい場合にも、税抜経理方式がおすすめです。資本金が1億円以下の中小企業に関しては、年間800万円まで交際費を経費として計上することができます。税込経理方式で処理をし、消費税分を含めて計上すると、消費税分だけ交際費を多く計上することになります。
反対に税抜経理方式で処理をすると、消費税分を分けて計上することができます。より交際費を少なく計上することができ、課税対象となる金額を減らすことができるのがメリットです。
一方、デメリットは、処理が煩雑になるという点です。税抜経理方式をすべて手作業で入力や計算をしようとすると、相当な手間がかかります。できる限りまとめて記載したいという人は、税込経理方式がおすすめです。
もしも税抜経理方式で計算したいというときには、計算が簡単にできる会計ソフトなどの使用をすると業務の効率化が図れます。しかし、会計ソフトの導入に時間やコストがかかるため、特に中小企業だと税込経理方式を採用している会社が多いのが現状です。
4. 税込経理方式と税抜経理方式の選び方
租税公課で経費として消費税を計上したい場合は税込経理方式を選ぶようにしてください。その理由としては、税抜経理方式を選ぶと消費税を租税公課として計上しないことになるためです。
税抜経理方式では、仮受消費税と仮払消費税を相殺する処理を行い、残りの差額は未払消費税または見収消費税として処理します。
一方、税込経理方式では、確定した消費税を租税公課として経費に計上します。消費税が還付された場合には、還付された分の金額を雑収入として収益に計上するという流れです。
消費税をどのように処理するのかは、税込経理方式と税抜経理方式で異なるため、経費として消費税を計上したい場合には税込経理方式を選ぶようにしましょう。
5. 租税公課において消費税を経費計上する際の記載例
具体的な例を見るとより税込経理方式と税抜経理方式についてイメージしやすくなるので、ここからは、実際に同じ金額の商品を仕入れて売った場合、税込経理方式と税抜経理方式でどのような違いが生まれるのか、記載例を見ながら解説します。
税込経理方式
税込経理方式で処理をする場合は、以下のケースの場合はこのように記載します。
【商品を30,000円で仕入れ、60,000円で販売した場合(消費税10%)】
仕入れ | 仕入れ | 33,000円 |
現預金 | 33,000円 | |
売上 | 現預金 | 66,000円 |
売上 | 66,000円 | |
決算 | 租税公課 | 3,000円 |
未払消費税 | 3,000円 |
税抜経理方式
税抜経理方式で処理をする場合は、以下のケースの場合はこのように記載します。
【商品を30,000円で仕入れ、60,000円で販売した場合(消費税10%)】
仕入れ | 仕入れ | 30,000円 |
現預金 | 33,000円 | |
仮払消費税 | 3,000円 | |
売上 | 現預金 | 66,000円 |
売上 | 66,000円 | |
仮払消費税 | 6,000円 | |
決算 | 仮払消費税 | 6,000円 |
租税公課 | 3,000円 | |
未払消費税 | 3,000円 |
このように、表にしてみてみると、税込経理方式と税抜経理方式がどのように処理されるのかが見えやすくなります。
税込経理方式のほうが記入する項目が少ないためよりまとめて処理することができる一方で、税抜経理方式は相殺する必要があるなど手間がかかることが分かります。
6. 勘定科目の租税公課消費税を理解して経費として計上できるようにしよう
ここまで、租税公課の消費税の経費計上のためのポイントについて解説しました。経費で計上したい場合には、税込経理方式を選ぶことが重要です。また、税込経理方式だと計算が煩雑にならず、簡単にできるのもメリットとなっています。
消費税の取り扱いには十分に注意して正しく仕訳をおこないましょう。
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説
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「会計の基礎知識である勘定科目や仕訳がそもそもわからない」
「毎回ネットや本で調べていると時間がかかって困る」
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