工具器具備品の仕訳方法は?機械装置との違いや減価償却の方法を解説
更新日: 2024.5.8
公開日: 2022.11.30
jinjer Blog 編集部
工具器具備品は「取得価額が10万円以上の工具、器具、備品」と定義されています。そのため、工具や事務用品であっても10万円以下のものは消耗品の勘定科目で仕訳しなければなりません。また、似た勘定科目で「機械装置」などもあるため、分類に迷う方も多いでしょう。
本記事では工具器具備品にについて解説いたします。仕訳のポイントや減価償却方法についても紹介しているので、ご確認ください。
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1. 工具器具備品に該当するもの
工具器具備品を仕訳する際には、何が工具器具備品に該当するかを理解しておくことが大切です。まず、工具器具備品として仕訳しなければならないものの定義について確認しましょう。
1-1. 工具器具備品に該当するもの
工具器具備品の定義は「1個または1組の取得価額が10万円以上の工具、器具、備品」と定められています。ポイントは取得価額が10万円以上という点です。あくまでも取得時の価格であるため注意しましょう。
この条件に該当する可能性の高い工具器具備品は以下のとおりです。
- 工具
- パソコン、コピー機など事務機器
- 事務机や椅子などの家具類
- カーテン
- 絵画、書画骨董など美術品
工具器具備品と聞くと、カーテンや絵画などは該当しないようにも思えます。しかし、これらも仕訳対象となっているので注意が必要です。また、あくまでも会社の備品に該当するものに限ります。
オフィスには個人的に持ち込んでいるパソコンなどがあるかもしれません。会社のお金で購入していなければ、会社の資産には該当しないので仕訳の対象にはなりません。
また、1組の考え方についても理解しておく必要があるでしょう。たとえば、テーブルと椅子などが1組に該当します。考え方としては、1つだけだと活用ができないものは1組で考えます。テーブルと椅子は特殊な場合を除いて、それぞれだけで活用はできません。ですから、1組で考える必要があります。
カーテンについても同様です。1部屋にカーテンが1枚だけあるというケースはありません。カーテンは窓の数だけ必要です。つまり、カーテンは1部屋の枚数ごとに1組として扱うことになっているのです。
1-2. 機械装置との違い
機械装置とは工場で使用する製造設備、搬送設備、作業用機械などをいいます。基本的には機械類を機械装置、道具類と備品を工具器具備品に仕訳できます。ですが、ホテルの客室冷蔵庫が工具器具備品に該当し、工場の業務用冷蔵庫は機械装置に該当するなど、使用目的によっても判断が異なるため、注意が必要です。
1-3. 消耗品との違い
消耗品との違いは、取得時の金額です。工具器具備品に該当する品目であっても、取得金額が10万円以下のものは消耗品として経費計上できます。もし取得金額が10万円だった場合は、同等のもので10万円を切るものがないか、再度探してみても良いでしょう。
2. 工具器具備品の仕訳方法・ポイント
そして前期より前に工具器具備品を取得している場合は、耐用年数にわたって決算期に定額法や定率法などによって減価償却をおこないます。具体的な減価償却方法については後述しているので、ご確認ください。
そして工具器具備品の仕訳をおこなう際のポイントはいくつかあります。それらについて確認していきましょう。
2-1. 取得金額の判断に税金を含むかは会社によって異なる
取得金額が10万円未満であれば、消耗品費として計上しなければいけません。その際の金額に消費税を含むかどうかについてですが、これは会社の経理方式によって異なります。
国は税抜経理方式と税込経理方式のどちらを採用しても良いと定めています。税金が含まれるかどうか迷った際は、会社の経理方式を確認してください。
2-2. 複数購入した場合の判断方法
たとえば、事務机を複数購入して、結果として10万円を超えたとしましょう。この場合に、工具器具備品に該当するかどうかですが、単価で10万円を超えていなければ該当しないと判断するのが一般的です。
なぜなら、事務机はそれぞれが独立して機能する性質を持っているからです。事務机と同時に椅子を購入している場合は、組み合わさって機能すると考えられるので1組の工具器具備品として取り扱います。
また、パソコンについても注意が必要です。パソコンは一般的にWindowsやMacといったOSが入っていないと業務上使用することができません。そのため、パソコンの価格が10万円未満でも、Windowsソフトを入れて10万円を超えるような場合は、工具器具備品として取り扱う必要があります。
逆にすでに稼働中のパソコンにソフトウェアを入れるような場合は、ソフトウェアがないとパソコンの機能を果たすことができないとはいえません。
そのため、ソフトウェアの価格が10万円を超えない限りは、消耗品費として取り扱います。こういった違いがあるので理解しておくようにしてください。
2-3. 消耗品を使わなかった場合
消耗品費に該当するものを使わなかった場合について考えてみましょう。たとえば、2万円のコピー用紙を購入したとします。これは10万円未満なので、工具器具備品には該当しません。
そして会計年度が終わった時点で半分が未使用だとします。会計では発生主義の原則に用いて、該当会計年度に使用した分のみを経費として計上します。そのため、1万円が消耗品費として計上され、残りの1万円は資産となります。
この場合の勘定科目は、貯蔵品という項目に計上するのが一般的です。少し特殊なケースですが、覚えておくようにしてください。
3. 工具器具備品の減価償却方法
直接法の考え方は簡単です。取得金額を耐用年数を割って、毎年その金額を引いていけば良いだけです。間接法は固定資産から引くのではなく、減価償却累計費を計上する点がポイント。
つまり、毎年の減価償却費が積み上がっていくようなイメージです。どちらの方法を選択しても問題ないので、自社が採用している方法に合わせて減価償却をおこな行ってください。
また、一定の事例に該当する場合は、簡単な方法で減価償却が可能です。
3-1. 主な工具器具備品の耐用年数
工具器具備品を含めた、減価償却資産の耐用年数を国税庁が開示しています。製品の主な素材や主利用場所・目的により耐用年数が異なるため、注意が必要です。
工具類の耐用年数
製品・用途 | 耐用年数 |
測定工具、検査工具 | 5年 |
治具、取付工具 | 3年 |
切削工具 | 2年 |
型(型枠を含む。)、鍛圧工具、打抜工具 | 23年 |
器具・備品類の耐用年数
製品・用途 | 耐用年数 |
事務机、事務いす、キャビネット(金属製) | 15年 |
事務机、事務いす、キャビネット(その他) | 8年 |
児童用机、いす | 5年 |
接客用家具類 | 5年 |
接客用以外の家具類(金属製) | 15年 |
接客用以外の家具類(その他) | 8年 |
3-2. 使用期間が1年未満または取得価額が10万円未満
使用期間が1年未満または取得価額が10万円未満の場合は、少額減価償却資産として取得金額の全額を経費にすることが可能です。
3-3. 取得価額が10万円以上20万円未満
取得価額が10万円以上20万円未満の場合は、一括滅却資産として3年で均等滅却することが可能です。一括滅却資産でまとめて計上することもできますし、工具器具備品などの勘定科目で計上することも可能です。
3-4. 中小企業には特例がある
資本金の額が1億円以下で、青色申告をしている中小企業においては、取得価格が30万円未満であれば全額を経費にすることができます。しかし、経費にできるのは年間300万円までとなっているので注意してください。
このように減価償却を簡単におこなう方法もあります。これらの条件を満たしていないかをまず確認して、満たしていない場合は直接法と間接法のいずれかを選択して減価償却をおこなうようにしてください。
4. 工具器具備品は取得金額をもとに正しく減価償却しよう
正しく税金を納めるために、減価償却などをきっちりおこなうことは重要です。面倒に感じるかもしれませんが、会社として絶対におこなわなくてはいけません。簡単に減価償却できるのであればその方法を採用し、できないようであれば直接法か間接法を使って工具器具備品の減価償却をおこないましょう。
関連サイト:工具男子新聞
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