旅費精算の仕訳方法は?まとめて簡単解説!
更新日: 2024.10.7
公開日: 2020.10.30
jinjer Blog 編集部
経理担当者は、会社の経費を仕訳して記録しなければなりません。
水道光熱費や交際費などの経費がありますが、旅費精算の際にはどのように仕訳する必要があるのでしょうか。
今回は、旅費精算の仕訳方法や概算払い旅費の処理方法、出張中にかかった費用の勘定科目などをご紹介いたします。
「出張費の規定の作り方に悩んでいる」
「旅費交通費に関する基本的な知識をつけたい」
「仮払の運用方法がわからない」などなど出張費に関して不安や疑問を感じたことはないでしょうか。
交通費出張費は会社が大きくなるにつれて、件数が増えていくものですが、それに伴って日当や各種手当など複雑な要件や規定を定める必要があります。そこで当サイトでは出張費に関する基本知識から出張費の規程の作り方をまとめた資料をご用意しております。
旅費精算規定を作る際の手順から、よくある疑問まで網羅的に解説しておりますので、実際に社内規定やルールを作成する際に参考にしていただけます。資料は無料ですのでこちらから資料をダウンロードしてご覧ください。
目次
1. 旅費交通費(出張旅費)の仕訳
従業員の出張にかかった飛行機、バス、電車などの交通費や、ホテルなどの宿泊代、旅費などは、基本的に「旅費交通費」で記帳します。
また、出張後の精算の簡素化のために定められている「旅費規程」によって支給される日当も「旅費交通費」として記帳しましょう。
旅費交通費の具体的な例:
従業員が出張の際に立て替えていた出張旅費(移動の際に使用した飛行機代・在来線代・ホテルの宿泊代・旅費規程に定められた日当)60,000円を本日現金で精算した。
【仕訳】
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
旅費交通費 | 60,000 | 現金 | 60,000 | – |
2. 概算払い旅費(仮払旅費)の処理方法
概算払い旅費とは、海外の出張や長期間の出張のように、従業員が立て替えて費用を払うには負担がかかる際に、事前に出張旅費の概算額の仮払いをおこなうことです。
後日、正式な金額が判明してから精算をおこないます。
このような場合は、概算払い段階では「仮払金」として記帳し、金額が確定してから「仮払金」を「旅費交通費」へ振り替える必要があります。
概算払い旅費の具体的な例①:
従業員が1週間の海外出張に出かけることになり、事前に出張旅費の概算を算出して150,000円を現金で支給した。
【仕訳:概算払い旅費を仮払いする際】
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
仮払金 | 150,000 | 現金 | 150,000 | – |
概算払い旅費の具体的な例②:
従業員が1週間の海外出張から戻り、実際にかかった費用の135,000円と概算で支給された仮払い金150,000円の差額である15,000円を返還した。
【仕訳:概算払い旅費を精算する際】
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
旅費交通費 | 135,000 | 仮払金 | 150,000 | – |
現金 | 15,000 | – | – | – |
3. 旅費精算時の3つの押さえておくべきポイント
旅費を適正に取り扱うためには、単に仕訳方法の知識を身につけるだけでは足りません。
次に、旅費精算をおこなう際に意識しておくとよい3つのポイントを解説いたします。
3-1. 旅費として仕訳できるのは業務に関連したもののみ
当然ですが、出張に出かけたときの支出で会社の経費となるのは、業務に関連したものだけです。
例えば、出張に出かけるときに利用した交通費は、通常会社の経費として旅費精算ができます。
しかし、途中で下車して個人的な寄り道をした場合、その分は経費にはなりません。
同様に遠隔地で取引先と食事をすれば会社の経費になりますが、業務に関係ない友人と食事をした場合には旅費精算できないでしょう。
従業員が旅費精算書を作成する際に、会社の経費と個人的な支出をしっかり分けて申請してもらう必要があります。
経理担当者は旅費精算書に書かれている支出が、本当に会社の経費にできるものなのかを確認する必要があるでしょう。
3-2. 旅費精算の仕訳に使う勘定科目
旅費精算の仕訳にはいくつかの勘定科目が関係しています。
旅費交通費として仕訳するもの、その他の勘定科目で仕訳するもの、どういうケースで勘定科目を使い分けるのか、経理担当者は詳しく知っておかなければなりません。
たとえば出張のために電車やバス、飛行機、タクシーを利用した場合にはその運賃が「旅費交通費」になります。
旅費精算の際には、乗り換えを含めたすべての経路を明示し、領収書を添付しなければなりません。
さらに、泊りがけの出張での宿泊費や、自動車で出張した際のガソリン代も旅費交通費として計上できます。
一方で、業務と関係のある取引先との会食、接待、慰安、贈答などは「交際費」として仕訳します。
食事をしたときの飲食費はもちろん、祝儀や香典、お中元やお歳暮なども交際費になります。
ただし、1人5,000円以下の会食代に関しては「会議費」として仕訳が可能です。
業務に関連した支出であっても、どのような目的・状況で使われた経費かによって勘定科目が変わるので、経理担当者は細かい点までチェックすることが必要です。
3-3. 出張旅費規程が重要
経理担当者が旅費精算の仕訳をおこなう場合、助けになるのが出張旅費規程です。
出張旅費規程は絶対に必要なものではありませんが、法人税の節税効果や事務処理が簡単になるなど多くのメリットがあります。
出張旅費規程には、出張に関係した経費の取り扱い方が定められています。
出張旅費規程があれば、それに照らし合わせて規定から逸脱した支出か、許容範囲内かを判断できます。
たとえば従業員が出張して、出張手当を受け取っているとします。
出張旅費規定がないと、従業員の中には高級ホテルを予約して全額を旅費で落とそうする者が出てくるかもしれません。
しかし、出張旅費規程で宿泊額の限度を決めておけば、許容範囲外として却下することができできます。
旅費交通費の目安や、交際費の限度額などを細かく規定しておくことで、大幅な経費の増加を防ぐことができるでしょう。
関連記事:一般的な旅費精算規定の内容は?作成時の注意点も解説
4. 旅費精算の仕訳に関する2つの注意点
旅費精算の仕訳には注意すべき点があります。
仕訳の注意点についてよく理解しておくと、旅費精算をスムーズにおこなうことができるようになるでしょう。
では旅費精算の仕訳の際の注意点について見ていきましょう。
4-1. 不正の防止
出張中の社員の行動を、経理担当者がすべて把握することは不可能です。
そのため社員の中には、旅費精算の際に経費を水増しして申請する人がいます。
旅費精算の仕訳では、本当に業務のための支出だったのか、疑わしい場合にはどんな業務のための支出なのかを確認する必要があるかもしれません。
とくに旅費交通費や交際費に関しては、仕訳が難しい支出があるのでしっかりチェックしなければならないでしょう。
不正を防止するために、領収書の提出はもちろんのこと、経理へ申請を上げる前に上長の承認を挟むといったチェック体制の強化を図る必要があります。
適切でない支出があると、税務調査の際に指摘される恐れがあるので、根拠に基づいた説明ができる仕訳をおこなうことが重要です。
4-2. 海外出張の際にはより細かいチェックが必要
海外出張は支出が多額になることに加え、社員が出張を利用して観光することも珍しくないので、よりチェックが厳しくなります。
経理担当者は、より細かな確認を必要とするでしょう。
両替時のレートを証明するものや、外国で発行された領収書をよく精査して、指摘されても問題ないように仕訳をおこなえるようにしておくことが必要です。
5. 税務上の旅費精算の取り扱い
出張や転勤に伴って発生した、交通費や宿泊費、日当などの旅費は、通常必要認められる範囲であれば、課税仕入れの対象となります。
ただし、この取り扱いは国内での旅費に限られており、海外での旅費には適用とならないため注意が必要です。
課税仕入れとして認められるには、法定事項が記載された帳簿の保存が条件となるため、日頃から正しく旅費精算の仕訳をおこなうようにしましょう。
6. 旅費精算の仕訳を正しく理解して適切に処理しよう
出張の際の経費を精算する旅費精算は、税務調査で指摘を受けやすい支出です。
出張旅費規程があるかどうか、仕訳が規定に則っておこなわれているか、支出に妥当性があるかなどを詳しく尋ねられることも珍しくありません。
旅費精算の仕訳をおこなう場合には、領収書などの客観的な証拠に基づいて適切な支出であることを説明できるようにしておくことも大切です。
いつ税務調査を受けても客観的な説明ができるよう、普段から正しく仕訳をおこなうようにしましょう。
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