風営法の従業員名簿とは?記載項目や罰則を受けない管理方法を解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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風営法の従業員名簿とは?記載項目や罰則を受けない管理方法を解説

酒場で語り合う男女

「風営法の従業員名簿はどう書けばいいの?」

「罰則をうけないためにはどうしたらいい?」

「退職者の名簿はいつまで保管したらいいの?」

上記の疑問をお持ちではありませんか。

風営法の従業員名簿は警察の立ち入りの際に提出が求められます。不備や虚偽があった場合に処罰の対象となる可能性があるため、適切な作成・保管をすることが重要です

この記事では、風営法で定められた従業員名簿の作成方法や保管期間・保管方法、作成の注意点について解説します。

最後まで読むことで、風営法の従業員名簿への理解が深まり、立ち入り監査があっても問題なく対応できるようになるでしょう。


1. 風営法における従業員名簿とは

名簿をチェックしている男性

風営法における従業員名簿とは、従業員の情報を一覧化したものです。

風営法の対象となる業種では、風俗営業法(風営法)の第36条にて従業員名簿を作成し管理するよう定められています。正式名称で「従業者名簿」と定められており、以下のルールでの作成が必要です。

  • 法律で定められている必要事項を記載する
  • 営業所・事務所ごとで作成し保管する
  • 虚偽がなく正確に記載する

自己流の書式や情報に虚偽事項があるなど、ルールを逸脱した場合は風営法違反や労働基準法違反で罰則が発生するため、注意しましょう

参考:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則|e-Gov法令検索

2. 風営法の従業員名簿の設置が必要となる業種一覧

PC上でドキュメントを確認している男性

風営法の36条で定められた従業員名簿の設置が必要となる業種一覧は以下のとおりです。

営業の種別 業種
風俗営業1号~5号の営業 キャバクラ、ホストクラブ、低照度飲食店、麻雀、パチンコ、ゲームセンターなど
深夜における酒類提供飲食店営業 バー、居酒屋、ガールズバー、ゲイバーなど
特定遊興飲食店営業 ナイトクラブ、ショーパブ、ライブハウスなど
店舗型性風特殊営業 ソープランド、箱ヘル、個室ビデオ、ラブホテル、アダルトショップなど
無店舗型性風俗特殊営業 デリヘル、アダルトビデオ・グッズ等の販売など

上記の業種では営業所ごと、無店舗型の場合には事務所で従業員名簿を作成し保管しておきましょう

参考:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律|e-Gov法令検索

参考:風営適正化法による許可・届出の対象となる営業|警視庁

3. 風営法の従業員名簿の記載項目

安全監査用のチェックリスト

風営法の従業員名簿の記載項目は以下のとおりです

  • 氏名
  • 生年月日
  • 性別
  • 住所
  • 従事する業務の内容
  • 雇用した年月日
  • 退職した年月日
  • 履歴等

「氏名」は、源氏名ではなく本名を記載する必要があります。「生年月日」「性別」を記載する際は戸籍に記載されている内容を記載しましょう。

「従事する業務の内容」はどこまで明記するか労働基準法で定められていません。「営業」や「接客担当」「調理担当」など担当業種を記載します。また、複数の業務を兼任する場合はすべて明記する必要はありません。

「雇用の年月日」「退職の年月日」については実際に雇用した日、退職または解雇した日を記載します。解雇の場合は、解雇理由を記載しておきましょう。

もし、従業員が死亡した場合は退職に含まれます。在職中に病気や事故で亡くなった際は、死亡年月日と理由を記載してください。

労働者名簿の様式は厚生労働省のサイト「厚生労働省主要様式ダウンロードコーナー」にてダウンロード可能です。

4. 風営法の従業員名簿作成の3つの注意点

黄色い三角形の警告記号を持つ男性

風営法の従業員名簿を作成する際の注意点は以下の3つです。

  1. 全員分の従業員名簿を作成する
  2. 従業員の身元を確認し保管する
  3. 個人情報の扱いについて了承を得ておく

ここでは、それぞれの注意点について解説していきます。

4-1. 全員分の従業員名簿を作成する

従業員名簿は、1人でも従業員を雇用したら作成が必要となり、すべての従業員が対象となります。正社員や契約社員、パート・アルバイトなど雇用形態にかかわらず、すべての従業員名簿の記載が必要です

例えば、他店から派遣された従業員や1日体験でアルバイトした従業員も対象となります。

どのような形態でも雇用したら従業員名簿が必要と覚えておきましょう。

4-2. 従業員の身元を確認し保管する

従業員名簿作成の際、従業員の身元を確認できるものを用意しておきましょう

従業員が名前や住所を偽っていた場合、作成した従業員名簿は虚偽のものとなり意味がありません。また、従業員が年齢を偽っていて18歳未満のものを働かせた場合、使用者責任に問われて罰則が課せられるおそれもあります。

従業員を雇用する際は、風営法36条の2で定められている内容が記載されている、以下の書類などで身元の確認が必要です。

日本国籍の場合
  • ・住民票の写し、住民票の記載事項証明書(本籍、生年月日の記載があるものに限る)
  • ・戸籍謄本・抄本、全部事項証明書または個人事項証明書
  • ・パスポート
  • ・自動車運転免許証(本籍地記載のものに限る)
  • ・上記以外の官公庁から発行、発給された書類その他に類するもので当該者の本籍・生年月日の記載があるもの
外国人国籍の場合
  • ・在留カード、特別永住者証明書
  • ・資格外活動許可の記印のある旅件(記印のない場合は資格外活動許可書または就労資格証明書)

確認書類は写しを従業員名簿に添付して、一緒に保管しましょう。

従業員名簿に虚偽の情報があれば罰則の恐れがあるため、しっかり身元を確認したうえでの雇用が大切です。

参考:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則|e-Gov法令検索

4.3. 個人情報の扱いについて了承を得ておく

従業員名簿を作成する際は、従業員に個人情報の使用目的や範囲を事前に説明して、本人の同意を得ておきましょう。従業員名簿は従業員の「個人情報」を用いて作成するためです。

また、業務のため社内で共有したり、労働基準監督署など第三者が閲覧したりすることについても、事前に同意を得ておきましょう。

5. 従業員名簿の保管期間と方法

バインダーを整理するビジネスマン

従業員名簿の保管期間と方法について以下の流れで解説します。

  • 従業員名簿の保管期間は3年
  • 保管方法は紙・データのどちらでも問題ない

5-1. 従業員名簿の保管期間は3年

従業員名簿の保管期間は、従業員が退職してから3年間と風営法施行規則の106条にて定められています。名簿作成日や退職決定日からではなく、従業員が退職(解雇、死亡)した日を起算日として3年間保管しましょう。

従業員の退職後すぐに破棄したり紛失したりすると、風営法違反に該当するため注意が必要です。

参考:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則|e-Gov法令検索

5-2. 保管方法は紙・データのどちらでも問題ない

従業員名簿の保管方法は紙媒体で保管、電子ファイルで保管のどちらでも問題ありません。紙媒体は電子ファイルにて保管の場合はすぐ表示できるようにしておけば印刷しなくてもよいきまりです。

ただし、従業員の個人情報などが含まれた書類のため、金庫へ保管したり電子ファイルに閲覧制限やパスワードを設定したりして、情報漏洩しないよう対策しましょう。

また、警察や労働基準監督署の立ち入り監査があれば、すみやかに応じられるよう準備しておきます。営業所の代表者が不在の場合でも、紙媒体の場合はすぐ提出できるようにしておき、データで保管している場合はすぐ表示できるよう環境を整えておきましょう。

参考:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則|e-Gov法令検索

6. 風営法の従業員名簿に関連する罰則

本と判事の小づちとペン

風営法の従業員名簿に不備や虚偽情報があった場合、罰則が課される恐れがあります

従業員名簿は以下の団体から開示・提出を要求された際、速やかに開示しなくてはなりません。

  • 警察
  • 労働基準監督署
  • 年金事務所

ルールを守って作成された従業員名簿が用意できない場合や、そもそも開示ができない場合、以下のような罰則が課されるおそれがあります。

  • 100万円以下の罰金(風営法53条)
  • 10日以上80日以下の営業停止処分(基準期間は20日間)

処罰の対象にならなかった場合でも、不備があれば余計な作業が増えたり信用を失ったりなど業務に影響があります。

従業員名簿は不備のないよう作成し、変更が合った際はすみやかな対応が大切です。

参考:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律|e-Gov法令検索

参考:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく営業停止命令等の基準|警察庁

7. 風営法の従業員名簿は正しく作成し保管しよう

バーテンダーが店の商品をチェックする

風営法の従業員名簿は作成方法・保管方法を把握し、適切に管理することで警察の立ち入りの際も安心です。

従業員名簿の作成時は、従業員の身元を確認してルールに従い必要事項を記載しましょう。また、退職した従業員名簿の保管期間も定められているため、従業員の退職後も適切に保管することが大切です。

正しく作成して、いつでも提出できるよう備えておきましょう。

OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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