休日出勤は有給休暇と相殺できる?振替休日・代休との違いや割増賃金の取り扱いを解説
更新日: 2026.5.21 公開日: 2022.2.22 jinjer Blog 編集部

従業員が休日出勤した場合、別の日に振替休日や代休を取得させるのが一般的ですが、従業員によっては有給休暇の取得を希望する場合もあります。休日出勤の代わりに有給休暇を取得して、相殺できるのでしょうか。
本記事では、休日出勤と有給休暇の関係を解説したうえで、休日出勤の代わりに従業員を休ませる方法を解説します。振替休日や代休など、似た制度との違いもおさえ、労働基準法の休日に関する制度の理解を深めましょう。
目次
人事担当者の皆さまは、労働基準法における休日・休暇のルールを詳細に理解していますか?
従業員に休日労働をさせた場合、代休や振休はどのように取得させれば良いのか、割増賃金の計算はどのようにおこなうのかなど、休日労働に関して発生する対応は案外複雑です。
そこで当サイトでは、労働基準法にて定められている内容をもとに、振休や代休など休日を取得させる際のルールを徹底解説した資料を無料で配布しております。
「休日出勤させた際の対応を知りたい」「代休・振休の付与ルールを確認したい」という人事担当者の方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 休日出勤を有給で相殺できない理由


結論として、休日出勤を有給休暇で相殺はできません。最初に相殺ができない理由を解説します。
1-1. 有給は所定労働日の就労義務を免除するもの
有給休暇の効果は、所定労働日の就労義務の免除です。もともと働く必要がある日に従業員が有給休暇を取得すると、正当な権利として休みが取れ、働かなくてもペナルティを負いません。
一方で、休日労働はもともと就労義務がないにもかかわらず、臨時的に命じた勤務であり、有給休暇の前提となる就労義務が存在しません。休日に有給休暇は取得できないため、相殺には馴染まないといえるでしょう。
関連記事:年次有給休暇の基本をわかりやすく解説!付与日数や取得要件も紹介
1-2. 賃金の全額払いに違反
2つ目の理由は、賃金の全額払いの原則です。賃金の全額払いの原則とは、従業員が労働した分の賃金は全額を支払う必要があるという、労働基準法に定められたルールです。
休日出勤を有給休暇で相殺した場合、割増賃金が支払われず、支払額が不足する可能性があります。全額払いの原則に違反するため、有給休暇と相殺する運用は不適切です。
賃金には全額払いの原則を含めた5原則が定められています。詳細は関連記事をご覧ください。
関連記事:賃金支払いの5原則とは?例外や守られないときの罰則について
1-3. 休日と休暇の違い
労働基準法上、休日と休暇は次のとおり明確に区別されています。
- 休日:もともと従業員の就労義務が存在しない日
- 休暇:本来存在する就労義務が免除された日
休暇は従業員に働く義務がある日に、有給休暇の取得などによって労働の義務を免除する制度です。就労義務の存在が前提であり、休日に有給休暇の取得はできません。
例えば、休日の土曜日に年休を取得して、賃金の額を増やす取り扱いはできないため注意しましょう。
2. 休日出勤の代わりに従業員を休ませる方法


有給休暇との相殺はできませんが、休日出勤の代わりとして従業員を休ませる方法はあります。代表的な方法として、振替休日の設定と、代休の取得を紹介します。
2-1. 振替休日を設定する
振替休日は、「休日を労働日とする代わりに、ほかの労働日を休日として扱う」とあらかじめ決めておく制度です。振替休日では労働日と休日を交換するため休日労働には該当せず、休日労働の割増賃金は発生しません。
ただし、休日を別の週に振り替えて週6日勤務になり、週の労働時間が40時間を超えた場合は、25%の時間外手当を支払わなければなりません。
休日に関することは就業規則の絶対的必要記載事項に当たるため、従業員に振替休日を与えるには、就業規則の定めが必要です。詳細は関連記事をご覧ください。
関連記事:振替休日とは?代休との違いや取得期限、労働基準法の観点から見る注意点を解説
関連記事:休日出勤と振替休日の運用ポイントを解説!割増賃金の発生条件や注意点とは
2-2. 代休を取得させる
代休は、休日出勤をしたあとに代わりの休日を与える制度で、休日出勤を前提とする点が振替休日と異なります。
代休は有給休暇の相殺とは異なり、休日労働をおこなった実績は残るため、法律上の問題は生じません。また、法律上必ず与える必要はなく、休日労働が一定の時間数を超えた場合や従業員から希望があった場合など、付与するルールは企業の裁量で決められます。
代休の付与で対応する場合は、割増賃金の支払い処理が漏れないよう注意しましょう。割増賃金の考え方は関連記事で詳しく解説しています。
関連記事:代休とは?労働基準法上での定義や給与計算における注意点を解説
3. 有給を取得した週に休日出勤した場合の割増賃金の取り扱い


従業員が有給休暇を取得した日と同じ週に休日出勤をした場合、割増賃金の取り扱いに注意が必要です。割増賃金の種類ごとにポイントを解説します。
3-1. 時間外勤務手当
休日出勤が時間外勤務に該当する場合、同一週に有給休暇を取得したら、割増賃金が発生しない可能性があります。
時間外勤務手当とは、通常の労働日の残業のほか、法律を上回る分の休日である法定外休日の出勤に支払う割増賃金です。所定労働時間が1日8時間、週40時間を超えた場合が対象となります。ただし「週40時間」は実労働時間で判断するため、休暇を取得した結果、休日出勤も含めた週の実労働時間が40時間以内になれば、時間外勤務手当は発生しません。
例えば1日8時間、月〜金の週5日勤務の従業員が、水曜日に有給休暇を取得し、法定外休日の土曜日に8時間勤務した場合を考えましょう。金曜までの実労働時間は合計32時間、土曜日の勤務8時間を足しても合計40時間におさまり、休日出勤に時間外手当を支払う必要はありません。
週40時間を実労働時間で判断する点は知らない人事担当者も多く、確認が抜けやすいポイントのため、必ず押さえておきましょう。
3-2. 休日勤務手当
休日出勤日が法定休日に該当する場合は、休日勤務手当として35%の割増賃金を支払う必要があります。
休日勤務手当とは、最低限与える必要がある法定休日に、従業員を勤務させた場合に支払う割増賃金です。週1日の付与が必要で、休日出勤日以外に休日がない従業員の場合、休日勤務手当の対象となります。
有給休暇を取得した日は、所定労働日の労働義務が免除されるだけで、休日に代わるわけではありません。そのため、有給休暇で1日休んだ日を法定休日とみなす取り扱いはできず、休日出勤日が法定休日であれば休日勤務手当の対象となります。
休日出勤で発生する割増賃金が時間外勤務手当か休日勤務手当かは、休日の種類次第です。休日には、最低限与える必要のある法定休日と、法律の基準を上回る日数分の法定外休日(所定休日)があり、対象となる手当が次のとおり異なります。
法定休日の出勤:休日勤務手当
法定外休日の出勤:時間外勤務手当(1日8時間、週40時間を超えた場合)
出勤した休日が法定休日、法定外休日のどちらに該当するかは、企業のルールや従業員の労働条件などによります。間違えやすいポイントですが、賃金の額に直接影響する部分のため、関連記事も確認しつつ、正しく判断しましょう。
関連記事:休日手当の計算方法とは?法定休日と所定休日の違いや間違えやすいポイントを解説
3-3. 深夜勤務手当
深夜勤務手当の支払いと有給休暇に直接の関係はありません。
深夜勤務手当とは、22時から翌5時までの深夜時間に労働させた場合に支払う割増賃金です。日中よりも負荷が大きくなりやすい深夜時間帯の労働に対する割増賃金のため、休日出勤や有給休暇にかかわらず、深夜勤務をおこなった従業員には手当を支払う必要があります。
深夜勤務手当の割増率は25%です。時間外労働や休日労働が深夜に及んだ場合は、それぞれの割増賃金を支払わなければなりません。深夜の時間帯に休日出勤をさせた場合は、深夜勤務手当の割増賃金も支払いましょう。
4. 休日出勤と有給の管理を効率化する方法


休日出勤と有給休暇は給与計算にも影響するため、取り扱いに注意が必要です。しかし従業員一人ひとり個別に管理する必要があり、毎月の確認に時間を取られている人事担当者も多いでしょう。休日出勤と有給休暇の管理を効率化する方法を3つ紹介します。
- 就業規則への明記
休日出勤は有給休暇では相殺できず、代わりに休みを与えるなら振替休日か代休を活用しなければなりません。
振替休日や代休を与えるには、労働契約上の根拠が必要です。業務都合で休日の振替や代休の付与が発生する場合がある旨を、就業規則に定めましょう。
- 休日出勤の運用ルールの周知徹底
業務の進み具合などから従業員自ら休日出勤を希望する場合、無条件に認めると割増賃金の支払いが過大になるおそれがあります。働かせすぎによる安全配慮義務違反を問われる可能性もあるでしょう。
休日出勤をする場合、事前に上司に相談し業務内容を報告するなど、運用ルールをあらかじめ定め、社内に周知しましょう。
- 勤怠管理システムの活用
紙やExcelで休日出勤の時間数や有給休暇の日数を管理している場合、記入・入力や計算式の誤りなどで間違いが起こりやすくなります。
勤怠管理システムを導入すれば集計を自動化でき、休日出勤や有給休暇取得に電子申請が使える場合もあります。費用はかかりますが業務効率化の効果は高いため、自社の状況にあわせて導入を検討しましょう。
5. 休日出勤と有給に関するよくある質問


休日出勤と有給休暇は関係が深く、人事担当者が正しい取り扱いに迷うシーンも多々あります。実務で迷いやすい場面と必要な対応を、よくある質問形式で3つ解説します。
5-1. 休日出勤を命じた日の有給取得は認めても良い?
休日出勤を命じた日に有給休暇の取得はできません。有給休暇は所定労働日の労働義務を免除する制度のため、もともとは労働義務のない休日の勤務には適用できません。
休日出勤は所定労働時間外の労働のため、通常の出勤日と同じ時間働かせる必要はありません。従業員が有給休暇の取得を希望する場合は、休日の午前中だけ勤務させるなど、あらかじめ休日出勤の時間を調整して対応しましょう。
5-2. 休日出勤後の振替休日や代休は有給取得に変更できる?
振替休日や代休は、労使間の合意があれば有給休暇への変更も可能です。
振替休日は所定労働日と休日を交換する制度、代休は休日出勤の代わりに、ほかの労働日を休日にする制度です。どちらも休暇を与える制度ではなく、有給休暇とは別ものです。法律上、有給休暇に変更する根拠はありません。
しかし、振替休日や代休を取り消して、代わりに有給休暇を取得したと取り扱えば変更自体は可能です。しかし、事後の取り消しは例外的な取り扱いになるため、企業や従業員の一方的な判断だけではできません。労使間で話し合い、お互いが認めるのであれば変更しても問題ないとされています。
人事担当者としては、まずは職場のルールや慣習として変更を認めているか確認しましょう。原則は認めないルールでも、やむを得ない事情があれば上司と相談したうえで例外的に認める運用も可能です。
関連記事:振替休日を強制して休日出勤させるのは違法?割増賃金の発生などパターン別に解説!
5-3. 同月内に取得済みの有給を取り消して休日出勤と相殺できる?
取得済みの有給休暇と、休日出勤の相殺はできません。
有給休暇は労働の義務を免除する従業員の権利であり、休日出勤は労働の義務がない休日に従業員を働かせる業務命令です。賃金の全額払いや割増賃金の有無などの問題もあるため、相殺はできません。
休日出勤の代わりに従業員に休暇を与えたい場合は、振替休日や代休を活用しましょう。
6. 休日出勤と有給の関係を理解し正しく運用しよう


従業員を休日出勤させた場合、有給休暇での相殺はできません。代替案として、振替休日や代休を活用しましょう。
休日出勤と有給休暇は、出勤日と休む日の管理だけでなく、割増賃金の取り扱いもポイントです。休日の設定方法によって、割増賃金の率や計算方法が異なります。
従業員にも賃金の支払いや労働時間の取り扱いを説明して、正しく運用しましょう。



人事担当者の皆さまは、労働基準法における休日・休暇のルールを詳細に理解していますか?
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