所得税はいくらから発生?年収178万円を超える場合や年末調整・確定申告の義務も解説!
更新日: 2026.5.29 公開日: 2022.3.17 jinjer Blog 編集部

2026年分の所得税では、会社員やパート・アルバイトなどの給与所得者の場合、年収178万円を超えると所得税が発生する可能性があります。この178万円は、給与所得控除の最低保障額74万円と基礎控除104万円を合計した金額です。
年収が178万円を上回ると、給与所得控除や各種所得控除を差し引いた後の課税所得に応じて税率が適用され、所得税が課されます。本記事では、所得税がいくらからかかるのか、その基準についてわかりやすく解説します。
関連記事:所得税とは?源泉所得税や定額減税など複雑な処理を詳しく解説
目次
ヒヤリとした経験はありませんか?
毎月の給与計算、特に所得税や住民税の計算は複雑で「本当にこれで合っているだろうか…」と不安に感じる瞬間は少なくないはずです。
特に令和7年の税制改正で非課税ラインが160万円に引き上げられ、さらに178万円への引き上げも決定されたため、いっそう徴収ミスや納付遅延のリスクは高まっています。
当サイトでは、こうした不安を解消し、自信を持って所得税・住民税の計算を遂行するためのポイントを解説した資料を配布しています。
▼この資料でわかること
- 間違いやすい所得税・住民税計算の具体的な注意点
- 源泉徴収税額表の正しい見方と、年税額の算出プロセス
- 給与計算システム導入による、法改正への自動対応と業務効率化の実現方法
毎年のように改訂が入る税額表の確認や、複雑な年間スケジュールの管理にも役立つ資料になっていますので、ぜひこちらから資料をダウンロードの上、お役立てください。
1. 【2026年最新】所得税は年収いくらまでかからない?


所得税は、会社員や個人事業主などに対して1年間(1月1日から12月31日まで)の所得に対してかかる税金です。令和8年度(2026年度)税制改正の影響を受け、令和8年分(2026年分)以降の所得税がいくらからかかるのかについて、基準が変わります。
ここでは、会社員やパート・アルバイトなどの給与所得者と、自営業や個人事業主などの事業者に区分したうえで、いくらまでなら所得税がかからないのかを紹介します。
1-1. 年収178万円以下なら所得税がゼロ(会社員やパート・アルバイト)
2026年分の所得税について、会社員や公務員、パート・アルバイトなど、給与を受け取って働く人(給与所得者)の場合、年収178万円以下であれば課されません。
従来(2024年分まで)は、所得税の計算において「基礎控除48万円」と「給与所得控除55万円(最低保障額)」が適用されており、年収103万円以下であれば課税所得がゼロとなる仕組みでした。
しかし、令和7年度税制改正により、控除額が大幅に引き上げられました。新たに「基礎控除95万円」と「給与所得控除65万円(最低保障額)」が適用されるようになったため、2025年分の給与所得者の所得税については年収160万円以下であれば発生しません。この結果、従来の「103万円の壁」は「160万円の壁」へと引き上げられたことになります。
また、令和8年度税制改正では、控除額が2年連続で引き上げられます。基礎控除は最大104万円、給与所得控除の最低保障額は74万円となるため、2026年分の給与所得者の所得税は年収178万円以下であれば課税されません。これにより、所得税の課税ラインは「178万円の壁」へと引き上げられます。
改正により、これまで所得税が課されていたパート・アルバイト・非正規雇用者などの中低所得層の税負担が軽減される見込みです。
今回の税制改正は、個人の可処分所得を増やすとともに、会社の給与・人事労務実務にも影響を及ぼす大きな変更です。給与計算や年末調整の担当者は、最新の改正内容を正確に理解し、適切に対応することが求められます。
参考:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について|国税庁
参考:令和8年度税制改正の大綱|財務省
関連記事:年収103万円以下のアルバイトは年末調整が不要?令和7年分から160万円以下へ基準が変更!
1-2. 自営業や個人事業主は所得104万円以下なら所得税がかからない
自営業や個人事業主などの事業者の場合、給与所得控除が適用されません。その代わり、事業に必要な経費を収入から差し引いた金額が「事業所得」となります。
この事業所得が年間104万円以下であれば、新しい基礎控除104万円が適用され、課税所得金額がゼロとなるため、2026年分の所得税はかかりません。
1-3. 所得税には非課税扱いの所得もある点に注意
実は2026年分の給与が178万円を超えているのに所得税がかからないケースもあります。。これは、所得税には非課税扱いとなる所得がある点が理由のひとつです。具体的には、次のような手当や支給は課税対象外となります。
- 出張にかかる交通費
- 通勤手当(公共交通機関を利用する場合は月15万円まで非課税)
- 業務上必要な現物支給(制服・作業着・ヘルメットなど)
これらの非課税手当は、給与収入の金額に含めません。例えば、年間の給与収入が180万円で、そのうち通勤手当が30万円(非課税)の場合、課税対象となる収入は150万円となります。このケースでは所得税が発生せず、仮に源泉徴収されていた場合は年末調整・確定申告によって全額が還付されます。
関連記事:年末調整で通勤手当や交通費は給与に含まれる?非課税限度額や処理方法を解説
2. 令和8年度税制改正による所得税計算への影響


令和8年度税制改正では、給与所得控除や基礎控除の見直しに加え、扶養親族等に係る所得要件も引き上げられます。主な改正内容は次のとおりです。
- 同一生計配偶者および扶養親族の所得要件:62万円以下(現行:58万円以下)
- ひとり親と生計を一にする子の所得要件:62万円以下(現行:58万円以下)
- 勤労学生の所得要件:89万円以下(現行:85万円以下)
例えば、2026年分の所得税において、配偶者控除や扶養控除を適用するには、配偶者や子などの扶養する親族の合計所得金額が62万円以下である必要があります。その親族の収入が給与のみの場合、給与所得控除の最低保障額74万円を差し引くと、給与収入が134万円以下であれば合計所得金額は62万円以下となり控除の対象となります。
所得税が課されない基準である「給与収入178万円以下」と比べると、配偶者控除や扶養控除の適用基準は「給与収入134万円以下」となり、両者には明確な差があります。そのため、本人に所得税がかからない場合でも、収入を増やしすぎると扶養側が控除を受けられなくなり、世帯全体の税負担が増える可能性があります。
このように、制度ごとに基準となる年収が異なるため、「いくらまでなら課税されないか」だけでなく、「控除の適用対象となるか」という観点も含めて、適切に収入水準を把握することが重要です。
関連記事:178万円の壁引き上げで何が変わる?給与計算や扶養判定への影響を解説
関連記事:【2026年最新動向】年収の壁とは?所得税・住民税や社会保険の壁を徹底解説
3. 所得税の計算方法4ステップ


所得税の課税となる対象は、「年収」でなく「所得」が基準となる点に注意が必要です。ここでは、具体的にどのように所得税が計算されるのか、その仕組みについて詳しく紹介します。
参考:所得税のしくみ|国税庁
3-1. 年収から経費等を差し引き所得を計算する
まずはその年(1月1日~12月31日)の収入を計算しましょう。所得は基本的に年収から必要経費を差し引いて求めます。しかし、給与所得の場合、必要経費の代わりに給与所得控除を差し引いて所得を計算します。
なお、利子所得や一時所得など、所得の種類によって計算方法が異なることもあるので注意が必要です。その後、損益通算などをしたうえで、各種所得を合算し、合計所得金額を計算します。
参考:合計所得金額|国税庁
3-2. 各種所得控除を差し引き課税所得金額を算出する
所得税には、納税者の扶養状況や経済的な事情を踏まえて適用される「所得控除」という仕組みがあります。所得控除は全部で16種類あり、それぞれの事情に応じて税負担を調整する役割を果たします。これらの所得控除を合計所得金額から差し引くことで、最終的な課税所得金額が算出されます。
なお、2026年分の所得税における課税ラインである「178万円」は、給与所得控除74万円と基礎控除104万円を合計した金額です。ただし、実際には基礎控除以外にも各種所得控除を適用できるので、多くの人はこの金額に収まらなくても課税されないケースがあります。
なかでも影響が大きいのが社会保険料控除です。健康保険料や厚生年金保険料など、実際に負担した金額をそのまま所得から差し引けるため、課税所得を大きく引き下げる要因となります。
例えば、年間の給与収入が190万円で、社会保険料を20万円支払っている場合を考えてみましょう。まず、給与所得控除の最低保障額74万円と基礎控除104万円を差し引くと、残りの所得は12万円となります。さらに、ここから社会保険料控除20万円を差し引くと課税所得は発生しないので、2026年分の所得税は発生しません。
関連記事:所得控除とは?控除の種類や所得控除を受ける方法を解説
3-3. 課税所得金額に応じた所得税率を掛ける
課税所得金額が計算できたら、それに応じた所得税率を掛け合わせることで所得税額が算出されます。なお、所得税の計算には累進課税制度が用いられており、分離課税に対するものなどを除き、課税所得金額が大きくなるにつれて所得税率が高くなる仕組みになっています。
なお、課税所得金額ごとの所得税の速算表は次のとおりです。
| 課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
| 195万円以下 | 5% | 0円 |
| 195万円超330万円以下 | 10% | 97,500円 |
| 330万円超695万円以下 | 20% | 427,500円 |
| 695万円超900万円以下 | 23% | 636,000円 |
| 900万円超1,8000万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
| 1,800万円超4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
| 4,000万円以上 | 45% | 4,796,000円 |
関連記事:所得税率の種類一覧|給与や賞与の所得税の計算方法も解説
3-4. 税額控除を差し引き納付すべき所得税を求める
課税所得金額に所得税率を掛け合わせて所得税額を計算したら、各個人の事情によって所得控除のように適用できる税額控除(住宅ローン控除など)を差し引くことで、基準所得税額が算出できます。
この基準所得税額に2.1%を掛け合わせることで、「復興特別所得税」の計算が可能です。所得税額と復興特別所得税額をあわせた金額が実際に納付すべき税額となります。
なお、令和8年度税制改正により、2027年からは新たに「防衛特別所得税(仮称)」が創設される見込みです。この税は、防衛力の強化に必要な財源を安定的に確保することを目的としたもので、その年分の基準所得税額に対して1%の税率を乗じて算出されます。
一方で、現在課されている復興特別所得税については、負担のバランスを踏まえた見直しがおこなわれます。具体的には、税率が現行の2.1%から1.1%へと引き下げられる予定です。これにより、両税を合わせた上乗せ税率は、現行と比較して大きく変わらない水準に調整されることになります。
また、復興特別所得税の課税期間についても見直しがおこなわれ、現行の2037年までから2047年までへと延長される見通しです。これは、東日本大震災からの復興財源を引き続き確保する必要があることを踏まえた措置です。
参考:No.1200 税額控除|国税庁
参考:個人の方に係る復興特別所得税のあらまし
参考:令和8年度税制改正の大綱|財務省
関連記事:【企業担当者向け】所得税計算の仕組みとは?源泉徴収・年末調整のポイントを徹底解説
4. 毎月の給与から差し引かれる所得税はいくらから発生する?


給与から天引きされる所得税(源泉所得税)は、給与額だけでなく、社会保険料や扶養親族の人数などを考慮して、源泉徴収税額表に基づき計算されます。そのため、同じ給与でも人によって課税の有無や税額が異なることがあります。
4-1. 【2026年】毎月の給与が10万5,000円以下であれば源泉所得税はかからない
令和7年度税制改正により、基礎控除や給与所得控除の金額が引き上げられることを受け、2026年1月からは新しい源泉徴収税額表が適用されています。これにより、給与から天引きされる所得税の計算基準が変更となっているので注意が必要です。
新しい「令和8年分の源泉徴収税額表(月額表・甲欄)」では、毎月の給与から社会保険料等(社会保険料および小規模企業共済等掛金)を差し引いた後の金額が10万5,000円以上の場合に、所得税が源泉徴収される可能性があります。
この金額が10万5,000円未満であれば、原則として、その月は所得税がかかりません。したがって、短時間勤務やパートタイム従業員などで月ごとの給与が一定でない場合、月によって所得税が引かれたり引かれなかったりするケースが生じます。ただし、「扶養控除等申告書」を提出していない従業員(乙欄適用)は、金額にかかわらず所得税が徴収される点に注意が必要です。
関連記事:源泉徴収票の乙欄の意味とは?記載すべき内容や甲欄・丙欄との違いを解説
4-2. 【2027年以降】源泉徴収税額表の見直しにより課税ラインが引き上がる見込み
令和8年度税制改正によって引き上げられた「178万円の壁」は、2026年分の所得税から適用されます。一方で、毎月の給与から天引きされる源泉所得税に反映されるのは、2027年1月以降となります。これは、2026年度の改正内容が「令和9年分の源泉徴収税額表」に反映されるためです。
そのため、2026年において年間の給与収入が178万円以下で所得税がかからない場合であっても、月々の給与(社会保険料等控除後)が一時的に10万5,000円以上(令和8年分の源泉徴収税額表の基準)となる場合には、その月に限り源泉徴収がおこなわれる可能性があります。
なお、源泉徴収された税額に過不足が生じた場合でも、最終的には年末調整や確定申告で精算されます。制度改正の内容や適用時期を正しく把握し、給与計算へ適切に反映させることが重要です。
関連記事:【令和8年度税制改正】178万円の壁に引き上げが決定!何が変わる?企業が注意すべきことを解説
5. 所得税の納税に関する会社の義務(源泉徴収・年末調整)とは?


会社(源泉徴収義務者)は、従業員へ給与を支払う際に、あらかじめ所得税を差し引き、その税額を本人に代わって税務署へ納付する義務があります。これを「源泉徴収制度」といいます。
毎月の源泉徴収額はあくまで概算です。したがって、たとえ年収が178万円以下のパート・アルバイトであっても、扶養控除等申告書の提出状況やその月の給与額によっては、源泉徴収の対象となる場合があります。
また、会社には毎月の源泉徴収に加え、「年末調整」をおこなう義務があります。年末調整とは、1年間の給与総額や各種所得控除が確定した段階で、本来納めるべき年税額と、これまでの源泉徴収額との差額を精算する手続きです。
その結果、実際の年税額がこれまでの源泉徴収額より少ない場合には、その差額が従業員へ還付されます。一方で、年税額が源泉徴収額を上回る場合には、不足分を追加で徴収することになります。
なお、年末調整や源泉徴収を適切におこなわず、納付を怠った場合には、所得税法上の義務違反とされ、悪質な場合には1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性があります。また、意図的に虚偽の申告や所得隠しを行った場合には、脱税とみなされ、10年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
さらに、源泉徴収漏れによって納付不足が生じた場合や、納付期限を過ぎた場合には、不納付加算税や延滞税が課されることがあるため、適切な管理と期限内納付が重要です。
参考:No.2502 源泉徴収義務者とは|国税庁
参考:No.2511 税額表の種類と使い方
関連記事:給与計算における所得税の計算方法とは?源泉徴収の仕組みも解説
関連記事:年末調整とは?目的や確定申告との違い、基本的な流れを人事担当者向けに解説
6. 所得税の確定申告が必要なのはいくらから?


「年末調整を受けられなかった」「副業・ダブルワークをしている」などの理由で、従業員自身が確定申告をしなければならないケースもあります。ここでは、所得税の確定申告が必要なのはいくらからなのか、詳しく紹介します。
なお、こうした制度は従業員にとってわかりにくく、申告漏れや誤認が生じやすい領域でもあるため、会社側による基本的な情報提供が重要となります。社内FAQやマニュアルを整備し、従業員が必要な情報をいつでも確認できる環境を用意しておくことが望ましいです。
さらに、年末調整の時期に合わせて、確定申告に関する案内をメールや社内ポータルで周知することで、従業員の不安や疑問を事前に解消できます。加えて、問い合わせ窓口を明確にしておくことで、個別ケースにも迅速に対応でき、より丁寧な社内サポート体制を構築できるでしょう。
6-1. 年末調整を受ける場合は確定申告が原則不要
従業員は年末調整を受けることで、所得税の納税手続きは完了するため、原則として確定申告は不要です。なお、年末調整の対象者は、基本的に年末まで勤務している従業員です。しかし、次のような従業員は、年末調整の対象外となるので、自分で確定申告をしなければなりません。
- その年の給与収入が2,000万円を超える人
- 災害減免法の規定により源泉徴収の徴収猶予や還付を受けた人
また、退職者も、年の中途でおこなう年末調整の条件に該当しない場合、自分で確定申告をする必要があります。
例えば、パートで働く人がその年の途中で退職し、年間収入が178万円を超えない場合、源泉所得税が差し引かれていたのであれば、確定申告をすることで還付が受けられる可能性もあります。退職者に対して確定申告の必要性も周知してあげると丁寧な対応だといえるでしょう。
関連記事:年末調整の対象者とは?必要書類や確定申告との関係も解説
6-2. 副業所得が20万円を超える場合は確定申告が必要
年末調整を受けていても、一定の条件に該当する場合は確定申告が必要となります。例えば、副業やダブルワークをしていて、本業以外の所得(例:事業所得・雑所得・不動産所得など)が20万円を超える場合、確定申告をしなければなりません。
なお、ここでいう「20万円」は、収入から必要経費を差し引いた「所得」の金額で判断します。副業収入があっても、経費を差し引いた結果、所得が20万円以下であれば確定申告は不要です。ただし、住民税申告は必要な点に注意しましょう。
確定申告をおこなう際は、本業先で年末調整を受けた後に交付される源泉徴収票を基に、本業と副業それぞれの所得を合算して申告し、追加納税または還付を受けることになります。また、従業員が源泉徴収票を紛失すると、再発行に時間と手間がかかるため、適切な管理を徹底するよう案内しておくことが重要です。
関連記事:源泉徴収票の発行の仕方とは?いつ発行するか、どこでもらえるか解説
6-3. 公的年金等が400万円を超える場合は確定申告が必要
年金を受け取りながら働いている従業員もいるかもしれません。公的年金等の収入が400万円以下、かつ、年金収入以外の所得が年間20万円以下の場合、「年金所得者の確定申告不要制度」により、原則として、確定申告は不要となります。なお、公的年金等とは、国民年金法や厚生年金保険法に基づく年金や、過去に勤務した会社から支払われる年金などが該当します。
つまり、給与所得(給与収入から給与所得控除を差し引いた金額)が20万円以下で、公的年金等の収入が400万円以下であれば、確定申告は必要ありません。一方、給与所得が20万円を超える場合や、公的年金等の収入が400万円を超える場合には、確定申告不要制度を適用できないため、確定申告が必要になる可能性があります。年金をもらいながら働いている従業員には、確定申告の必要性を正しく周知しておきましょう。
6-4. 医療費控除や寄附金控除を適用するなら確定申告が必要
所得控除や税額控除のなかには、年末調整で適用できないものもあります。例えば、次のような控除が挙げられます。
- 医療費控除
- 寄附金控除
- 雑損控除
- 住宅ローン控除(1年目)
その年の医療費が大きかった場合、確定申告をすれば、所得控除額が大きくなり、納税額を抑えられる可能性があります。なお、住宅ローン控除は、2年目以降、年末調整で適用することが可能です。
このように、年末調整で対応できない控除を適用したい従業員がいる場合、確定申告をしてもらうように案内しましょう。
関連記事:年末調整とは?目的や確定申告との違い、基本的な流れを人事担当者向けに解説
7. 所得税の申告・納税に関連するよくある質問


ここでは、所得税の申告・納税に関連するよくある質問への回答を紹介します。
7-1. 給与はいつの時点で所得税法上の収入として扱われる?
給与は、あらかじめ支給日が定められている場合、原則として「その支給を受けるべき日(支給日)」が収入すべき時期となります。
例えば、「月末締め・翌月25日払い」の会社では、11月の労働に対する給与は12月25日に支払われるため、この12月25日が収入の時期となり、その年の所得税計算に反映されます。同様に、12月の労働に対する給与は翌年1月25日に支払われるので、翌年の所得として扱われます。
なお、給与の支払いが遅れた場合でも、通常は本来の支給日を基準に収入計上します。だし、会社の資金繰りの悪化などにより支給日どおりの支払いが困難で、支給日自体が実質的に確定していないと認められる場合には、実際に支給を受けた日が収入計上の時期とされることがあります。
一方、臨時に支払われる給与など、あらかじめ支給日が定められていないものについては、実際に支給を受けた日が収入すべき時期となります。
参考:No.2509 給与所得の収入金額の収入すべき時期|国税庁
7-2. 賞与や退職金は年収178万円に含まれる?
賞与(ボーナス)は、所得税法上、通常の給与と同じ「給与所得」に分類されます。毎月受け取る給与の合計が年間178万円以下であっても、賞与を受け取ったことにより年収178万円を超えれば、所得税がかかる可能性があります。
一方、退職金は「退職所得」として、給与とは別に取り扱われます。退職所得は、基本的に受け取った退職金から退職所得控除を差し引いた残額の2分の1が課税対象になります。そのため、退職金の額が退職所得控除の範囲内であれば、退職金に対する所得税は課されません。この場合、その年に退職金を受け取っても、給与収入が178万円以下であれば、所得税は発生しないことになります。
参考:No.1400 給与所得|国税庁
参考:No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
関連記事:賞与(ボーナス)から引かれる源泉所得税の計算方法をわかりやすく解説
関連記事:退職金にかかる税金は?計算方法や退職金控除についても解説
7-3. 2箇所から給与がある場合はどのように所得税を計算・納税する?
2箇所以上の勤務先で働く従業員には、「主たる給与」を決めたうえで、その勤務先に「扶養控除等申告書」を提出してもらいます。つまり、「主たる給与」の勤務先では、源泉徴収税額表の「甲欄」を使って、毎月の給与から天引きする所得税を計算します。
一方、「従たる給与」の勤務先(「主たる給与」以外の勤務先)では、税額表の「乙欄」を使用して、源泉所得税を計算することになります。なお、一定の要件を満たし、「従たる給与」の勤務先で、源泉徴収に関して源泉控除対象配偶者や源泉控除対象親族に関する控除を受けたい場合には、「従たる給与についての扶養控除等申告書」を提出してもらわなければなりません。
年末調整は、「主たる給与」の勤務先のみ受けられます。「従たる給与」の勤務先から受け取る給与収入から計算される所得が20万円を超える場合には、確定申告不要制度が利用できず、追加の納税や還付のために確定申告が必要です。この場合、それぞれの勤務先から交付される源泉徴収票を用いて、従業員自身で確定申告をしなければならないので正しく周知しましょう。
参考:No.2520 2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収|国税庁
参考:確定申告が必要な方
8. 年収の基準を押さえて正しく所得税を計算しよう


会社員やパート・アルバイトなどの給与所得者は、基礎控除と給与所得控除の最低保障額の適用により、2026年分の所得税は年収178万円以下であればかかりません。令和7年度および令和8年度の税制改正により、給与所得者の非課税ラインは従来の「103万円」から「160万円」、さらに「178万円」へと段階的に引き上げられています。
また、会社には毎月の給与から所得税を源泉徴収し、年末調整で年間の過不足を精算する義務があります。「178万円の壁」は2026年分の所得税に適用される一方で、毎月の給与計算に用いる源泉徴収税額表への反映は2027年1月以降となります。そのため、実務担当者は改正内容と適用時期のズレを正しく理解し、徴収漏れや計算誤りを防ぐための適切な対応が求められます。
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