休職手当はいくら支払う?金額や支給条件を解説
更新日: 2025.6.16
公開日: 2025.6.16
jinjer Blog 編集部
「休職手当はいくら支払えばいいんだろう」
「従業員が支給条件を満たしているかわからない」
上記のように悩む人事労務の方は少なくありません。
休職手当は一般的に傷病手当金を指すことが多く、支払対象である従業員の給料から金額を計算できます。当該従業員に普段支払っている給料によって金額が異なるため、従業員ごとに目安金額を計算しましょう。
この記事では、休職手当(傷病手当金)の計算方法や支払条件、支給期間などについて解説します。
休職する従業員の休職手当がいくらになるか計算したい人事労務担当の方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
給与計算は「賃金支払いの5原則」に基づいて、本来ミスがあってはならない業務ですが、人の手で計算している場合、避けられないヒューマンエラーが発生する場合もあります。
当サイトでは、そのような給与計算ミスがあった場合に役立つ、ミス別・対応手順を解説した資料を無料配布しています。
資料では、ミス発覚時に参考になる基本の対応手順から、ミスを未然に防ぐための「起こりやすいミス」や「そもそも給与計算のミスを減らす方法」をわかりやすく解説しています。
- 給与計算でミスが頻発していてお困りの方
- 給与計算業務のチェックリストがほしい方
- 給与計算のミスを減らす方法を知りたい方
上記に当てはまるご担当者様は、「給与計算のミス別対応BOOK」をぜひお役立てください。
目次
給与計算を手計算しているとミスが発生しやすいほか、従業員の人数が増えてくると対応しきれないという課題が発生します。 システムによって給与計算の内製化には、以下のメリットがあります。
・勤怠情報から給与を自動計算
・標準報酬月額の算定や月変にも対応しており、計算ミスを減らせる
・Web給与明細の発行で封入や郵送の工数を削減し、確実に明細を従業員へ渡せる
システムを利用した給与計算についてさらに詳しく知りたい方は、こちらからクラウド型給与計算システム「ジンジャー給与」の紹介ページをご覧ください。

1. 休職手当は傷病手当金を指すことが一般的
休職手当とは、一般的に傷病手当金を指します。
傷病手当金とは、業務外の病気やケガ、すなわち私傷病によって長期間にわたって仕事を休む場合に支給される手当金です。給与が支払われない期間の生活を支え、従業員や家族の生活を守る目的があります。
企業によっては従業員の休職時に見舞金として休職手当を支給するケースもありますが、この記事では「傷病手当金=休職手当」と言い換えて解説をします。
2. 休職手当がいくらになるかは給料から計算できる
休職手当がいくらになるかは、普段従業員に支払っている給料から計算できます。
計算方法と企業にかかる負担について解説します。
- 休職手当の計算方法
- 休職手当における企業の金銭的負担はない
2-1.休職手当の計算方法
休職手当の計算式は次のとおりです。
直近12ヵ月間の標準報酬月額の平均 ÷ 30日 × 2/3 = 1日あたりの支給額
具体的な金額を例に、休職手当がどの程度になるか計算してみましょう。ここでは、月額30万円の給料を支払っていた従業員が休職する場合の休職手当について考えます。
給料が毎月30万円の場合、標準報酬月額は30万円になるため、1日あたりの支給額は次のとおりです。
30万円(直近12ヵ月の平均報酬月額) ÷ 30日 × 2/3 = 6,667円(1日あたりの支給額)
この金額を月の日数分、例えば30日分であれば20万10円が健康保険組合から休職手当として支給されます。
勤務期間が12ヵ月に満たない場合は、次の金額のうちいずれか低い額が基準額です。
①支給開始日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額の平均
②標準報酬月額の平均値 30万円(※):支給開始日が令和7年3月31日以前の方 32万円(※):支給開始日が令和7年4月1日以降の方 ※当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額 |
なお、社会保険料が支給額から差し引かれるため、実際に従業員に支払われる金額は上記の計算で算出された金額よりも少なくなります。
2-2. 休職手当における企業の金銭的負担はない
傷病手当金は健康保険組合が支給するため、企業が直接費用を負担することはありません。
ただし、従業員の休職中も社会保険料の労使折半の原則は変わらないため、企業と従業員双方に支払い義務が発生します。
従業員の負担分は、企業が立て替えるケースや、休職手当から支払ってもらうケースなど企業によって対応はさまざまです。
企業が立て替えて従業員が復職した際に支払ってもらうケースでは、従業員が退職した場合には立て替えた費用を支払ってもらえないリスクがあります。
休職手当から従業員に支払ってもらうケースでも、従業員側が対応しない場合もあるため、休職手当の支払先を企業にして、社会保険料を天引きしてから従業員に振り込むこともよい手段です。
社会保険料でトラブルを抱えないためにも、あらかじめ就業規則や従業員との相談によって、休職時の社会保険料について定めておきましょう。
3. 休職手当が支払われる条件
休職手当が支払われる条件として、次の4つを満たしている必要があります。
- 業務上発生したものではない病気やケガでの療養であること
- 仕事ができないこと
- 連続する3日間を含んで4日以上仕事ができなかったこと
- 仕事を休んだ期間に給料の支払いがないこと
それぞれについて、どのような条件か詳しく解説します。
3-1. 業務上発生したものではない病気やケガでの療養であること
業務外で発生した病気やケガ、すなわち私傷病による療養のために仕事を休むことが、休職手当の支給対象となる条件です。
業務をする中で罹患したものや、通勤・退勤時に発生したケガなどは労災保険の給付対象になるため、病気やケガで仕事を休んだとしても休職手当の対象になりません。
また、美容整形手術をはじめとする健康保険外の自由診療に伴う療養には休職手当が支給されないことにも注意しましょう。
3-2. 仕事ができないこと
私傷病の療養のために、従業員が仕事をできないことも休職手当を支給する条件の1つです。
仕事ができない状態であるかどうかは医師により判断されます。一般的に医師の診断書が医師の意見の証明として利用されるため、休職手当の支給が予想される場合には、医師から診断書を発行してもらうよう従業員に指示しましょう。
また、医師の判断のほかにも業務内容から考えて仕事ができないと判断される場合も休職手当の対象となります。
3-3. 連続する3日間を含んで4日以上仕事ができなかったこと
従業員が3日間連続して仕事を休んでいることも休職手当の支給条件とされます。
休職手当は仕事を休んだ日が3日以上連続した待機期間を経て、4日目から支給が開始されるためです。
この3日間は土日祝日や有給を含んでも問題ありません。給与を支給したかどうかは条件には関係ないため、従業員が待機期間として連続して3日間仕事を休んでいるかどうかで判断しましょう。
なお、待機期間と4日目以降の休みの間に出勤日があっても休職手当は支給されます。例えば、待機期間として3日休み、事務手続きのため1日出勤し、その後療養のために休む場合も、療養期間は休職手当の支給対象です。
3-4. 仕事を休んだ期間に給料の支払いがないこと
仕事を休んだ期間に会社が給料を支払っていないことも休職手当の支給条件の1つです。
休職手当は給料の支払いがなく生活に困る人を支える制度のため、給与の支払いがある場合は支給対象になりません。
給料以外にも、次のような手当や給付を受ける場合には休職手当が減額になる可能性があることにも注意しましょう。
- 休職手当の対象となる私傷病に対しての障害厚生年金や障害手当金
- 退職後の老齢退職年金
- 出産手当金
ただし、休職中の給料やほかの手当金が本来支給される休職手当よりも少ない場合には、差額が休職手当として支給されます。
4. 休職手当の支給期間
同一の私傷病による休職手当の支給期間は、原則として通算で1年6ヵ月です。
1年6ヵ月については、連続していても途中で出勤日を挟んでいても問題ありません。例えば、待機期間3日を経て、3ヵ月休職した後、1ヵ月出勤して、やはり体調が優れずまた休職する場合には、残りの1年3ヵ月分を支給可能です。
同一の私傷病によるものであれば断続していても、通算で1年6ヵ月分は支給されると考えておきましょう。
5. 従業員の休職手当がいくらか計算し適切な額を支給しよう
従業員の休職手当は一般的に傷病手当金を指します。
休職手当は、過去12ヵ月に従業員に支払っていた給料をもとに計算ができるため、休職予定のある従業員がいる場合には過去の給料から支給金額を計算しましょう。
なお、休職手当(傷病手当金)については、会社が支給するものではなく、健康保険組合から支給されるもののため、会社は負担なく休職手当を支給できます。
ただし、休職中も社会保険料の支払いは必要なため、事前に就業規則で定めたり、従業員と相談したりして、社会保険の支払いについてトラブルが起きないようにしておくと安心です。
従業員の給料から休職手当の支給金額を計算して、従業員が安心感をもって療養に専念できるように適切な金額を支給しましょう。
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