時間外労働の正しい計算方法を分かりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

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時間外労働の正しい計算方法を分かりやすく解説

計算している様子

従業員に法定労働時間以上の労働をさせた場合、割増賃金を上乗せして給料を支払わなくてはいけません。万が一計算を間違えてしまうと、使用者に罰則が課されたり未払い給料の支払いを求められたりするため、注意が必要です。

この記事では、時間外労働における給料の計算方法を解説します。計算に必要な項目や間違いを防ぐコツを押さえて、正しく給料を支払いましょう。

自社の残業時間数や管理が違法でないか心配な方へ

残業時間は労働基準法によって上限が設けられています。

しかし、法内残業やみなし残業・変形労働時間制などにおける残業時間の数え方など、残業の考え方は複雑であるため、どの部分が労働基準法における「時間外労働」に当てはまるのか分かりにくく、頭を悩ませている勤怠管理の担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような方に向け、当サイトでは労働基準法で定める時間外労働(残業)の定義から法改正によって設けられた残業時間の上限、労働時間を正確に把握するための方法をまとめた資料を無料で配布しております。

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1. 時間外労働の正しい計算方法

電卓

法定労働時間以上の労働をさせる際は、残業した分の給料に加え、割増賃金を支払う必要があります。

まずは、時間外労働における割増賃金の正しい計算方法について解説します。時間外労働をさせたときは、これから説明する4つのステップを踏んで給料を算出しましょう。

1-1. 1時間あたりの給料を算出する

時間外労働をしたときは、働いた時間の分だけ給料と割増賃金が発生するので、はじめに1時間あたりの給料を明らかにしておかなければいけません。時給は、以下の方法で算出できます。

1時間あたりの給料=月給÷1ヵ月あたりの平均所定労働時間
平均所定労働時間=(365日-年間所定休日)×1日の所定労働時間÷12ヵ月

例えば1ヵ月の所定労働時間が160時間で月収が35万円の場合、1時間あたりの給料は「35万円÷160時間=2,187.5円」ということになるわけです。

なお、月給には家族手当や住宅手当、交通費、残業代などは含めないに注意しましょう。また、うるう年の場合は、365日ではなく366日で計算をおこないます。

1-2. 残業を種類ごとに集計する

次に、残業の種類ごとに労働時間を集計する必要があります。なぜなら、残業の種類によって割増率が異なるためです。

  • 1日あたり8時間、週あたり40時間をオーバーして働いた時間
  • 深夜労働をした時間
  • 法定休日に労働した時間

それぞれの時間をしっかりと把握し、それぞれの種類ごとにまとめておきましょう。

1-3. 1時間あたりの給料と割増率をかけ合わせる

1日あたりの給料と残業の種類ごとの労働時間を洗い出せたら、それぞれに応じた割増率をかけ合わせて時間外労働の給料を算出します。時間外労働の種類ごとの割増率は、以下のとおりです。

  • 1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えたとき:25%以上
  • 時間外労働が1ヵ月45時間、1年360時間を超えたとき:25%以上
  • 時間外労働が1ヵ月60時間を超えたとき:50%以上
  • 法定休日に働いたとき:35%以上
  • 深夜に勤務したとき:25%以上

例えば、1日に10時間勤務した場合は、8時間からオーバーした2時間分の割増賃金を計算する必要があります。
割増賃金の計算方法は、以下の通りです。

割増賃金=1時間あたりの給料×時間外労働時間×割増率

1時間あたり2187.5円で働いている従業員が1日に10時間勤務した場合、時間外労働分の給料は「2,187.5円×2時間×1.25%=5,468.75円」ということになります。

なお、中小企業の場合、1ヵ月60時間を超えた際の割増賃金率は2023年3月31日まで25%以上でした。これは中小企業には猶予措置が取られていたためです。しかし、2023年4月1日から中小企業であっても50%以上の割増賃金率が必要です。

参考:東京労働局|しっかりマスター労働基準法 割増賃金編

1-4.  端数を処理する

最後に、計算した割増賃金の端数を処理します。労働基準法では、1時間あたりの給料や割増賃金に1円未満の端数が生じた際、50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上1円未満の端数を切り上げることが規定されています。

前項で計算した5468.75円の場合は、端数が50銭以上1円未満であるため、端数処理として切り上げることになります。この場合、正確な割増賃金は5,469円ということになるのです。

ここまで処理できれば、時間外労働の割増賃金の計算は完了となります。

参考:厚生労働省 東京労働局|3.残業手当等の端数処理はどうしたらよいか

2. フレックスタイム制や変形労働時間制の時間外労働の計算方法は?

労働契約と給与計算の方法

時間外労働はフレックスタイム制や変形労働時間制であっても発生します。ではフレックスタイム制や変形労働時間制の場合、どのように時間外労働を計算するのでしょうか。ここではフレックスタイム制、変形労働制における時間外労働の計算方法について解説します。

2-1. フレックスタイム制の時間外労働の計算方法

フレックスタイム制の時間外労働の場合、次のように計算します。

  • 1時間あたりの基礎賃金×残業時間×割増率

月給制の場合、1時間あたりの基礎賃金は次のように算出可能です。

  • 月給÷所定労働時間

例えば1時間あたりの基礎賃金が1,700円で8時間だけの時間外労働をした場合、残業代は次のとおりです。

  • 1,700(円)×8(時間)×1.25(割増賃金率)=17,000円

2-2. 変形労働時間制の時間外労働の計算方法

変形労働時間制における時間外労働の計算方法は、1ヵ月単位の変形労働か1年単位の変形労働かによって異なります。それぞれの計算方法は次のとおりです。

変形労働時間制の種類 計算方法
1ヵ月単位の変形労働時間
  • 1:1日、週、1ヵ月の時間外労働時間を算出する
    2:所定の変形時間をオーバーした時間を算出する
    3:②で算出した時間と①で算出した時間に重複している部分があった場合、差し引く
  • 4:③で算出した数字に割増賃金率を乗じる
1年単位の変形労働時間
  • 1:年の労働時間の上限を算出する(40時間×対象年の日数÷7)
  • 2:年の労働時間上限を超過しているか算出する
  • 3:②で算出した数字に割増賃金率を乗じる

関連記事:変形労働制でも残業代は出さないとダメ!知っておくべきルールとは

3. 時間外労働の給料計算に必要な項目

項目にチェックを付ける

時間外労働の給料計算をするときは、3つの項目を用いる必要があります。正しい計算方法を身につけるためにも、計算に必要な項目をおさらいしておきましょう。

3-1. 1時間あたりの給料

時間外労働を計算するときは、1時間あたりの給料が基準となります。1時間あたりの給料の算出方法を紹介しましたが、月給や勤務日数は月によって異なるため注意が必要です。

正確に1時間あたりの給料を求めるためには、労働契約書に記載された所定労働時間と給料を用いて計算するといいでしょう。この際、住宅手当や家族手当など業務と関係のない手当や賞与は差し引いて計算してください。

3-2. 時間外労働をした時間

時間外労働の割増賃金は、時間外労働をした時間が重要となります。時間外労働に含まれるのは、1日8時間・週40時間を超えて使用者の指揮監督下にある時間のことです。そのため、たとえ就業時間後におこなった労働の合間であっても、指揮監督下にない休憩時間などは時間外労働には含まれません。

通勤時間は時間外労働には含まれませんが、使用者の指示で物品を持ち運んだり取引先へ移動したりしているときは、時間外労働に含まれます。企業は正しく時間外労働を管理し、適切な給料を計算できるようにしておかなければいけません。

上記のように気づかず時間外労働をさせたり、定時を超えて働かせていたとしても、残業時間の上限規制を上回らないように、割増賃金を支払う必要のない法定内残業と割増賃金が必要な法定外残業について確認する必要があります。

当サイトでは、法定内残業と法定外残業の違いなどの定義から上限規制の内容までまとめた資料を無料で配布しております。違いがあやふやな方はこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。

3-3. 割増率

割増率も、時間外労働の給料を計算するときに欠かせない項目です。法定労働時間を超えて労働させる際は、法で定められた割増賃金を加算して給料を支払う必要があります。

残業の種類や1ヵ月あたりの時間外労働の合計時間によって割増率は異なりますので、それぞれの種類ごとの時間外労働時間と割増率を押さえておきましょう。

4. 時間外労働の計算を間違えないコツ

人指しを出す男性

時間外労働の給料計算を間違えてしまうと、労働者に未払い給料を請求されたり使用者に罰則が課されたりする恐れがあるため注意が必要です。そのため、時間外労働の計算は正しくおこなうことが肝心なのです。

最後に、時間外労働の計算を間違えないためのコツについて紹介します。

4-1. ITシステムを導入する

時間外労働の計算を間違えないためには、何よりも正しく労働時間を管理することが重要です。使用者は、「誰が何時間働いたのか」「どの種類の時間外労働に該当するのか」などをしっかりと管理しておかなければなりません。

ただし、給与計算の担当者が一人ひとりの労働時間を正確に管理することは難しいので、勤怠管理システムを活用して管理を自動化するといいでしょう。また、勤怠管理と給与計算システムを連携させれば、複雑な時間外労働の計算を自動かつ正確におこなえるようになります。

ITシステムの導入は計算間違いを防げるだけではなく、業務の効率化にも効果的なので、ぜひ検討してみてください。

4-2. 労働形態ごとの時間外労働時間の取り扱いに注意する

一般的な労働形態であればそう複雑ではありませんが、フレックスタイム制やみなし残業制の場合は、時間外労働の考え方が少し複雑になります。時間外労働の給料について考えるときは、労働形態ごとの注意点を押さえておきましょう。

労働形態 概要 1日、1週、月間や年間における時間外労働の取り扱い
みなし残業 残業の有無にかかわらず、一定の固定残業代を支払う制度 想定された残業時間を超えた場合、割増賃金が発生する
フレックスタイム制 出勤が義務付けられた「コアタイム」以外は、出退勤時間に定めがない労働形態 総労働時間が規定を超えた、もしくは、週平均50時間を超えた場合に割増賃金が発生する
変形時間労働制 月や年単位で労働時間を調整できる働き方 月間や年間の法定労働時間を超えた場合、割増賃金が発生する
裁量労働制 一部の対象者のみ適用できる、出退勤時間の制限がない自由な労働形態 残業の概念がなく、時間外労働が発生しない
年俸制 1年単位で給与を算出し、それを12分割して支払う給与形態 法定労働時間を超えた場合に、割増賃金が発生する
管理職 法律上「管理監督者」に該当し、残業代の支給が不要 深夜に働く場合、法的な管理監督者ではない場合に、割増賃金が発生する

上記のように、勤務形態によってどこからが時間外労働に該当するのかは変わってきます。従業員の勤務形態をしっかりと把握し、それに応じた給料計算をおこなうようにしましょう。

4-3. 30分単位で四捨五入する

厚生労働省が定めるとおり原則、給与に端数が生じたとしても切り捨てることは認められていません。しかし、時間外労働による割増賃金について計算する際は四捨五入が認められています。例えば、時間外労働の時間が30分未満であれば切り捨て、30分以上であれば切り上げが可能です。

また、割増賃金率を乗じたことで1円未満の端数が発生した際は50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上の端数を1円に切り上げることが認められています。

参考:厚生労働省 | 労働時間の『切捨て』

5. 時間外労働の給料計算は正しくおこないましょう

給与を計算する様子

従業員に時間外労働をさせるときは、必ず割増賃金が必要になります。適切に給料を計算しないと、罰則が課されたり未払い給料を請求されたりする可能性が高いため、使用者は十分に注意してください。

時間外労働の給料計算には4つのステップがあり、それぞれで重要となる項目を押さえておくことが大切です。給料計算のミスを防ぎたいのであれば、勤怠管理システムや給与計算システムを活用し、給料計算を自動化することを推奨します。

関連記事:残業代単価の計算方法と勤務形態ごとの考え方

自社の残業時間数や管理が違法でないか心配な方へ

残業時間は労働基準法によって上限が設けられています。

しかし、法内残業やみなし残業・変形労働時間制などにおける残業時間の数え方など、残業の考え方は複雑であるため、どの部分が労働基準法における「時間外労働」に当てはまるのか分かりにくく、頭を悩ませている勤怠管理の担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような方に向け、当サイトでは労働基準法で定める時間外労働(残業)の定義から法改正によって設けられた残業時間の上限、労働時間を正確に把握するための方法をまとめた資料を無料で配布しております。

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OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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