残業代単価の計算方法と勤務形態ごとの考え方 - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

残業代単価の計算方法と勤務形態ごとの考え方 - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

残業代単価の計算方法と勤務形態ごとの考え方 - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

残業代単価の計算方法と勤務形態ごとの考え方

計算する様子

従業員が定められた労働時間を超えて労働をした場合、会社に残業代を請求することができます。担当者は従業員に対し、残業代の計算方法や確認方法しっかり説明できなければなりません。また、残業代の平均額についても押さえておいたほうがよいでしょう。

今回は、労働基準法に基づきながら、残業代の計算方法と平均額について解説します。また近年では、フレックスタイム制や変形労働時間制など、新たな勤務形態を導入する企業が増えつつあります。このような勤務形態ごとの残業代の考え方も一緒に解説していきます。

関連記事:残業時間の定義とは?正しい知識で思わぬトラブルを回避!

残業時間の法改正!ルールと管理効率化BOOK

働き方改革による法改正で、残業時間の管理は大幅に変化しました。
当初は大企業のみに法改正が適応されていましたが、現在では中小企業にも適用されています。
この法律には罰則もあるので、法律を再確認し適切な管理ができるようにしておきましょう。

今回は「残業時間に関する法律と対策方法をまとめたルールブック」をご用意いたしました。
資料は無料でご覧いただけますので、ぜひご覧ください。

無料ダウンロード

1. 残業代単価の計算方法

金額

残業代を計算するにあたって、残業の種類と基礎賃金の算出方法は正確に知っておく必要があります。ここでは、2種類ある残業の説明や基礎賃金の算出方法、36協定について詳しく解説します。

1-1. 残業の種類について

残業は法定外残業と法定内残業の2種類に分かれています。
法定外残業は、法定労働時間(1日8時間または週40時間)を超えた労働時間のことを指します。一般的には「時間外労働」と表現されることの方が多いです。

例えば、就業規則が「9:00〜18:00(休憩1時間)」の場合、所定の労働時間は8時間です。仮に19:00まで労働した場合は9時間の労働になるため、法定外残業は1時間になります。

法定内残業は、パートタイムで働いている人に多い残業の種類です。就業規則などで1日5時間や7時間などの所定労働時間が決められている場合に適用されます。決められている所定労働時間を超えて、8時間まで働くことを法定内残業といいます。

例えば、就業規則が「9:00〜17:00(休憩1時間)」の場合、所定労働時間は7時間です。仮に18:00まで労働した場合、実働8時間になり法定内残業は1時間です。

1-2. 基礎賃金の算出方法

残業代を計算するにあたって、1時間当たりの基礎賃金額が必要です。基礎賃金を算出する場合は、月給に含まれる一部手当を除外することができます。
基礎賃金の算出方法は以下の通りです。

基礎賃金=(月給-諸手当)÷月の所定労働時間

労働に関係ある手当は基礎賃金に含まれるため、月給から除外しないように注意しましょう。該当例として役職手当や地域手当、資格手当などが挙げられます。反対に通勤手当や住宅手当など、労働とは関係ない手当は除外できます。

関連記事:割増賃金の基礎となる賃金とは?計算方法など基本を解説

1-3. 残業代の計算方法

法定外残業代(時間外労働手当)を求めたい場合は以下の計算式で算出できます。

法定外残業代=1時間当たりの基礎賃金×時間外労働の時間数×割増率

時間外労働の場合は割増率25%以上の賃金支払いが義務付けられています。さらに残業が深夜(午後10時〜午前5時)になった場合や時間外労働が1ヶ月60時間を超えた場合は、割増率50%以上の賃金支払いが義務付けられています。

加えて、休日労働(法定休日の労働)に対しては割増率35%以上、休日労働が深夜の場合は割増率60%以上の賃金支払いが義務付けられています。

法定内残業代の場合は、法定外残業のように、割増賃金を支払う必要はないとされているため、以下の計算式で算出できます。

法定内残業代=1時間当たりの基礎賃金×法定内残業時間数

1-4. 36協定について

1日8時間、1週40時間を超える法定外残業をする場合は、36 協定の締結が必要です。
36協定を結んでいない場合は、従業員に法定外残業をさせることはできず、もしも命じた場合は労働基準法違反になります。

36協定を結ばずに法定労働時間を超える労働を行わせた場合「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科される可能性があります。気になる方は一度、36協定を締結しているか確認しておきましょう。

関連記事:36協定における残業時間の上限を基本からわかりやすく解説!

2. 勤務形態ごとの残業代の考え方

ミーティングの様子

勤務形態によって残業代の考え方は異なります。どの勤務形態においても、残業代の有無は労働基準法で定められており、正しく計算したうえで支給しなくてはいけません。

2-1. 裁量労働制

裁量労働制とは、実際に働いた労働時間とは関係なく、事前に定められた時間を働いたとみなす制度です。
例えば、みなし労働時間を1日8時間(法定労働時間)と定めていたとします。仮に労働時間が9時間だったとしても8時間労働とされるため、残業代は出ないことが多いです。反対に8時間より少ない労働であっても、8時間労働として扱われます。

この制度で割増賃金が発生する場合は以下3つのケースです。

  • みなし労働時間の設定が8時間超の場合
  • 深夜労働の場合
  • 休日労働の場合

みなし労働時間を9時間に設定した場合、法定労働時間を超える1時間分は時間外労働として適用されるため、1時間分の残業代が支払われます。また、深夜労働や休日労働の賃金割増は除外対象のため、この時間帯の労働に関してはほかの勤務形態と同様に割増賃金が支払われます。

関連記事:裁量労働制の残業時間の上限は?知っておくべき注意点を解説

2-2. 固定残業制度

固定残業代制度は、一定時間の残業代が発生することを見込み、月給に固定の残業代を支払う制度です。仮に実際の労働時間が、定められたみなし時間に届いていなくても、固定残業代は全額支払われます。また、実際の労働時間がみなし時間を超えてしまった場合は、その分の残業代は追加で支払う必要があります。

関連記事:固定残業代とは?制度の仕組みや導入のポイントを分かりやすく解説

2-3. 変形労働時間制

変形労働時間制は、労働時間を「1週間・1ヶ月・1年」単位で調整できる制度です。トータルで働いた時間が定められた労働時間内であれば、残業代の対象外となります。所定労働時間の設定は、変形労働時間制であっても、法定労働時間内に収める必要があります。

関連記事:変形労働制でも残業代は出さないとダメ!知っておくべきルールとは

2-4. フレックスタイム制

フレックスタイム制は、定められた労働時間の範囲内で、労働者が始業・終業時間を自由に決めることができる制度です。
清算期間内(上限3ヶ月)に働くことができる労働時間と、実際の労働時間の差を計算した上で残業代を支払う必要があります。

3. 形態別・職業別の残業代平均額

平均額

現在支給されている残業代が適切なのか残業代の平均額を知っておく必要があります。
最後に、職業別の残業代の平均額をご紹介していきます。

厚生労働省が出している「毎月勤労統計調査」の2023年6月のデータによると、1ヶ月あたりの残業代は18,608円でした。これは16業種の全体平均額で、前年比と比較すると1.9%増加しています。
その理由として、新型コロナウイルスによって増えていたリモートワークが減り、出社して残業をする人が増え始めたことが考えられます。
なお、これら16の業種のなかで上位3つの業種は以下の通りです。

  • 電気・ガス業:49,824円
  • 運輸業・郵便業:42,614 円
  • 情報通信業 :32,009円

新型コロナウイルスの影響によって、消費者の買い物が実店舗からネットに移行したり、企業が在宅勤務を導入して環境の整備を進めたりした関係で、上位3つの職業の残業代に影響が出ていたものが継続しているのかもしれません。

また、新型コロナウイルスの影響を大きく受けやすい医療・福祉関係は12番目に低い残業代平均額でした。こうした背景には、業界でサービス残業やみなし残業といったものが考えられます。

参考:毎月勤労統計調査 令和5年6月分結果確報|厚生労働省

4. 残業代が適正単価かどうかしっかりチェックしよう

チェックマーク

残業代単価は正確に残業代を計算し、支給するために重要な数字です。勤務形態別の計算方法を理解し、間違いのない支給をしましょう。
残業を「サービス残業」として扱っている業種、企業は少なくありません。また、残業代が未払いとなっていたり、少なく支給されていたりすることに気づかないケースもあります。

そのような場合は、従業員から「残業代を計算したが、少ない」「計算が合わない」と申し出がある可能性があります。担当者は改めて基礎賃金や残業時間を確認し、再度残業代をしっかり計算し直しましょう。

従業員とのトラブルを避けるためにも、残業代が正しいかどうか、残業代の金額が平均額に達しているかどうかをチェックしておくことも大切です。

法改正、何にどのように対応していく必要がある?
働き方改革に対応した勤怠管理対策BOOK!

労働基準法の改正によって、これまでよりも正確に労働時間を管理する必要がでてきました。
以下3つが大きな項目となります。

・労働時間の客観的な把握
・残業時間の上限規制
・有給休暇の取得義務

しかし、「結局どのような管理をしておけば大丈夫なの?」と疑問を感じている人事担当者様も多いのではないでしょうか。
今回は「働き方改革に対応した勤怠管理対策BOOK」をご用意しましたので、ぜひご覧ください。

無料ダウンロード

OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

勤怠・給与計算のピックアップ

新着記事