さまざまな分野・業種で働き方が変化しつつあります。今回のテーマである「裁量労働制」も多様な働き方の一つで、多くの企業が導入している傾向にあります。
裁量労働制は、企業が業務の時間配分などを個人の裁量に任せているため、定時が設けられている一般的な勤務スタイルとは異なります。そのため、残業時間の扱いや勤怠管理の方法などに戸惑う管理者の方もいらっしゃるのではないのでしょうか。
今回は、こうした疑問点を解決するべく、裁量労働制における残業時間の扱いを中心に解説していきます。
働き方改革が始まり、「勤怠管理システムの導入を考えているけど、何から着手したらいいかわからない・・。とりあえず、システム比較からかな?」とお困りの人事担当者様も多いでしょう。
そのような方のために、今回「勤怠管理システム導入完全ガイド」をご用意いたしました。
ガイドブックには、以下のようなことがまとめられています。
・勤怠管理システムが普及している3つの理由
・勤怠管理システムの4つのメリット
・勤怠管理システムの導入までに必要な8つのステップ
目次
1. 裁量労働制とは、労働時間を個人の裁量に任せる制度のこと
前提として、日本企業の労働時間は「労働基準法」において「1日8時間、週40時間」と定められています。
これを超過する労働は“時間外労働(残業)”と呼ばれ、企業が時間外労働を労働者に指示する場合は、労働基準第36条を基に作成された協定(36協定)を締結し、労働基準監督署に届け出をしなければいけません。
また、残業時間に関しても「月45時間、年間360時間まで」と限度が定められています。そのため、企業は以上の法律を遵守しつつ、各従業員の労働時間に見合った給与を支払う義務があるのです。
一方、裁量労働制とは、勤務時間や業務の時間配分を個人の裁量に任せる目的で定められた制度のことを指します。一般的な従業員と異なるのは、あらかじめ労働時間が設定されている(みなし労働時間が設定されている)という点です。
2. 裁量労働制における残業時間の実質上限は月45時間
裁量労働制では、時間外労働の概念はないと思われがちですが、これは裁量労働制に対してみなし残業制度を導入されていることが一般的であるため、「金銭的な面で残業代は発生しない」という意味であり、裁量労働制であっても、残業時間の実質的な上限は定められています。
前提として、裁量労働制であっても、労働基準法に反して労働時間を超過させることはできません。上述したように、労働基準法では残業時間は1ヶ月に45時間、1年間に360時間までと限度が設けられています。つまり、実質的な残業時間の上限は45時間までとなるのです。
そのため、裁量労働制で働く従業員に対して、労働基準法を超える労働時間を強いることは法律違反となるのです。違反すると6ヶ月以下の懲役または、30万円以下の罰金が課されます。
3. 裁量労働制の残業時間の上限に関する注意点
裁量労働制を導入するためには、企業側・従業員側の双方に注意点があります。みなし労働時間の規定について話し合い、具体的な内容を定めて労働基準監督署に届け出を提出する必要があります。
ここで重要になるのが、「みなし労働時間と実労働時間に乖離がないか確認する」ことです。裁量労働制を導入している企業で見受けられる事象に、みなし労働と実務時間の乖離です。これは、みなし労働時間が8時間と定められているのに対して、実労働時間の平均が10時間となっていることがあげられます。
みなし労働時間を8時間以上に設定するためには、一般労働者と同様に36協定を締結する必要があります。
以上のことから、裁量労働制を導入する場合は、法律で定められた労働時間の限度を守りつつ、みなし労働時間と実労働時間の乖離が起きないように設定することが大切です。
3-1. 裁量労働制の対象項目に該当するかどうか
裁量労働制には対象となる業務と種類が存在します。したがってすべての業務がこの制度を適用できるわけではありません。
4. 裁量労働制でも別途算定される項目がある
裁量労働制には「時間外労働(残業)」という概念はありません。そのため、いくら残業をしたとしても「残業代」として給与が算出されることはありません。
ただ、「深夜労働」と「休日出勤」に関しては裁量労働制であっても一般の労働者と同様に「基礎賃金×1.5」の残業代、もしくは「休日手当」を算定し別途支払う義務があります。
5. 裁量労働制における残業時間の上限をまとめて理解しておこう
働き方の多様化に伴い、フレックス制度、みなし残業、高度プロフェッショナル制度など、さまざまな制度が実践されてきています。裁量労働制もその一つであるものの、理解が十分に浸透していない部分がたくさんある制度といえるでしょう。
労使間のトラブルを未然に防ぐために、本記事の内容をきちんと理解しておきましょう。
近年、人手不足などの背景から、バックオフィス業務の効率化が多くの企業から注目されています。
タイムカードの集計は、集計時にExcelに入力する工数がかかりますし、有給休暇の管理は、従業員ごとに管理することが煩雑で、残有給日数を算出するのにも一苦労です。
どうにか工数を削減したいけど、どうしたらいいかわからないとお悩みの方は、勤怠管理システムの導入を検討してみましょう。
勤怠管理システムとは、従業員の出退勤をWeb上で管理できるシステムのことです。勤怠管理システムの導入を検討することで、
・多様な打刻方法により、テレワークなどの働き方に柔軟に対応できる
・リアルタイムで労働時間を自動で集計できるため、月末の集計工数が削減される
・ワンクリックで給与ソフトに連携できる
など、人事担当者様の工数削減につながります。
「導入を検討するといっても、何から始めたらいいかわからない」という人事担当者様のために、勤怠管理システムを導入するために必要なことを21ページでまとめたガイドブックを用意しました。
人事の働き方改革を成功させるため、ぜひ「勤怠管理システム導入完全ガイド」をご参考にください。