裁量労働制の従業員の打刻管理で注意すべき2つのこと
更新日: 2024.5.23
公開日: 2020.3.3
OHSUGI
技術職や研究職を中心に、裁量労働制を採用する企業が増えてきました。裁量労働制では、労働者一人ひとりが働く時間やタイミングを自分で決めるため、勤怠管理は必要ないと考える人が少なくありません。
しかし、裁量労働制だからこそ、従業員一人ひとりが健康に働きつづけるために適切な勤怠管理が必要です。この記事では、裁量労働制における勤怠管理の注意点や、勤怠管理を効率化・見える化するためのポイントを解説します。
関連記事:裁量労働制とは?労働時間管理における3つのポイントを徹底解説
多様な働き方に勤怠管理を対応させたい人事担当者様へ
近年、人手不足などの背景から、バックオフィス業務の効率化が多くの企業から注目されています。
タイムカードの集計は、集計時にExcelに入力する工数がかかりますし、有給休暇の管理は、従業員ごとに管理することが煩雑で、残有給日数を算出するのにも一苦労です。
どうにか工数を削減したいけど、どうしたらいいかわからないとお悩みの方は、勤怠管理システムの導入を検討してみましょう。
勤怠管理システムとは、従業員の出退勤をWeb上で管理できるシステムのことです。勤怠管理システムの導入を検討することで、
・多様な打刻方法により、テレワークなどの働き方に柔軟に対応できる
・リアルタイムで労働時間を自動で集計できるため、月末の集計工数が削減される
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など、人事担当者様の工数削減につながります。
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目次
1. 裁量労働制での勤怠管理の2つの注意点
裁量労働制を導入していても、従業員の勤怠管理は必要です。例えば、裁量労働制でも「割増賃金」は別途計算する必要がありますし、従業員の健康管理のために勤務状況をチェックしなければなりません。
ここでは、裁量労働制を導入している企業向けに、勤怠管理の2つの注意点を解説します。
1-1. 裁量労働制でも「割増賃金」を計算する必要がある
裁量労働制では、「みなし労働時間」を設定し、従業員が実際に働いた時間にかかわらず所定の給与を支払います。そのため、従業員の労働時間を集計しなくてもよいと誤解されがちですが、裁量労働制でも「割増賃金」の支払いが必要な点に注意が必要です。
労働基準法により、深夜(22時~翌5時)に仕事をする場合や、法定休日に出勤をする場合は、通常の賃金に加えて「割増賃金」を支払わなければなりません。
割増賃金の金額を正確に計算するには、裁量労働制の従業員の打刻を集計し、労働時間を日頃からチェックする必要があります。裁量労働制だからといって、ずさんな勤怠管理をおこなわず、従業員一人ひとりの労働時間を常に記録・管理するようにしましょう。
1-2. 裁量労働制でも「健康福祉確保措置」をとる必要がある
働き方改革に伴い、2019年4月1日から改正労働基準法が施行されたため、労働者と取り交わす36協定の内容も変わりました。
今後、法定労働時間を越えて働く可能性のある裁量労働制の従業員に対しても、「限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置(健康福祉確保措置)」が求められます。
具体的には、定期健康診断の実施や健康相談窓口の設置のほか、勤務時間に応じて適度なインターバルを挟んだり、代償休日や特別休暇を取得させたりといった措置をとる必要があります。
裁量労働制の労働者に対し、適切な健康福祉確保措置をとるためには、一人ひとりの労働時間を日頃から把握しておかなければなりません。労働時間を労働者の裁量に任せる裁量労働制だからといって、労働時間の記録・管理を怠るのではなく、労働者の心身の健康を維持するために勤怠管理や労務管理に取り組みましょう。
2. そもそも裁量労働制とは?フレックスタイム制度や高度プロフェッショナル制度との違い
裁量労働制とは、働く時間やタイミングを労働者自身に裁量してもらい、実際に働いた時間ではなく、あらかじめ取り決めた見なし労働時間によって給与計算をおこなう仕組みのことです。
「どれだけ働いたか」よりも、業務の実績や成果のほうが重要な技術職・研究職などで導入されています。
裁量労働制は、専門性の高い職種を対象とした「専門業務型裁量労働制」と、企業の重要な決定や企画にかかわる職種を対象とした「企画業務型裁量労働制」の2点にわけられます。
すべての職種に裁量労働制を適用できるわけではありません。それぞれ、厚生労働省が定める適用条件がある点に注意が必要です。
制度 | 概要 | 条件 |
専門業務型裁量労働制 | 技術的な専門性が高く、働く時間やタイミングを労働者自身の裁量に任せる必要がある職種 | 企業の商品開発や、大学や研究機関の研究職、コピーライター、システム・コンサルティング業務など、厚生労働省が指定した19の職種に当てはまっていること |
企画業務型裁量労働制 | 企業の意思決定の中核を担い、企画の立案をおこなうため、働いた時間よりも業務の成果・実績が重視される職種 | 本店・本社などの事業場か、企業の事業運営に大きな影響力がある事業場に勤務していること |
裁量労働制は、よく「フレックスタイム制度」や「高度プロフェッショナル制度」と比較されます。どちらも労働者が始業時間・終業時間を自由に決められる点で共通していますが、給与計算の方法は異なります。
裁量労働制では、給与計算はあらかじめ取り決めた「見なし労働時間」に基づきます。フレックスタイム制度は、原則として実労働時間を元に給与を計算します。
また、高度プロフェッショナル制度との違いは、労働者の職種や年収の決まりがあるかどうかや、割増賃金の支払い義務が挙げられます。高度プロフェッショナル制度は研究開発職・アナリスト・コンサルタントなど、年収1,075万円以上の高度専門職のみに適用されるので注意しましょう。また、一般的な裁量労働制では、深夜労働や休日労働の時間を計算し、割増賃金を支払わなければなりません。しかし、高度プロフェッショナル制度では従業員が深夜や休日にどれだけ働いても、企業は割増賃金を支払う必要がないことも違いの一つです。
3. 裁量労働制の勤怠管理に役立つ2つのポイント
裁量労働制の勤怠管理は、一般的な企業よりも工夫が求められます。ここでは、勤怠管理の担当者が知っておきたい2つのポイントを解説します。
3-1. 休日労働・深夜労働は「事前承認制」にする
裁量労働制を導入している企業であっても、休日労働や深夜労働に対する割増賃金の支払いが必要です。しかし、働く時間やタイミングを好きなように決められる裁量労働制では、従業員の打刻がばらばらです。
そのため、休日労働・深夜労働の実績の追跡が困難です。企業側が関知していないところで休日労働・深夜労働がおこなわれ、割増賃金の支払いを巡ってトラブルが起きたケースも存在します。そこで、休日労働や深夜労働は「事前承認制」にすることをおすすめします。
申請が出された時点で、「誰が」「いつ」「どのくらい」休日労働・深夜労働をおこなうかがわかるため、勤務状況をより把握しやすくなるでしょう。
3-2. 裁量労働制だからこそ勤怠管理システムの導入が効果的
勤怠管理システムとは、従業員の打刻データを集計し、労働時間や時間外労働などを自動で計算するためのシステムです。裁量労働制では、従業員一人ひとりがばらばらの時間に出勤・退勤するため、日報やタイムカードなどでのアナログ勤怠管理だと、集計作業が大変になってしまいます。
勤怠管理システムなら、イレギュラーな休日労働時間・深夜労働時間も自動で集計してくれるため、事務作業の手間やコストを削減できます。
また、労働時間の異常値を自動で検出し、見なし労働時間を大幅に超過している労働者に対し、特別休暇などの付与を一括でおこなうこともできます。改正労働基準法に定められた、健康福祉確保措置をとるうえでも勤怠管理システムは役立ちます。
勤怠管理システムによっては、残業時間や労働時間の統計に加えて、AIを活用した笑顔判定による従業員の健康・福祉の管理も可能です。従業員一人ひとりに気持ちよく働いてもらうため、裁量労働制だからこそ勤怠管理システムを導入しましょう。
4. 勤怠管理システムで適切な打刻管理につなげよう
今回は、裁量労働制を採用している企業の勤怠管理の注意点やポイントを解説しました。労働者が働く時間やタイミングを自由に決める裁量労働制でも、勤怠管理は必要です。
裁量労働制でも深夜労働や休日労働などの割増賃金の支払いは必要ですし、2019年4月1日施行の改正労働基準法によって「健康福祉確保措置」も義務付けられました。
休日労働・深夜労働は事前承認制にすると、割増賃金の計算に便利です。また、勤怠管理システムを導入すれば、従業員の勤務状況を見える化でき、一人ひとりが健康に気持ちよく働ける環境作りに役立ちます。
関連記事:裁量労働制の残業時間の上限は?知っておくべき注意点を解説
多様な働き方に勤怠管理を対応させたい人事担当者様へ
近年、人手不足などの背景から、バックオフィス業務の効率化が多くの企業から注目されています。
タイムカードの集計は、集計時にExcelに入力する工数がかかりますし、有給休暇の管理は、従業員ごとに管理することが煩雑で、残有給日数を算出するのにも一苦労です。
どうにか工数を削減したいけど、どうしたらいいかわからないとお悩みの方は、勤怠管理システムの導入を検討してみましょう。
勤怠管理システムとは、従業員の出退勤をWeb上で管理できるシステムのことです。勤怠管理システムの導入を検討することで、
・多様な打刻方法により、テレワークなどの働き方に柔軟に対応できる
・リアルタイムで労働時間を自動で集計できるため、月末の集計工数が削減される
・ワンクリックで給与ソフトに連携できる
など、人事担当者様の工数削減につながります。
「導入を検討するといっても、何から始めたらいいかわからない」という人事担当者様のために、勤怠管理システムを導入するために必要なことを21ページでまとめたガイドブックを用意しました。
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