フレックスタイムにおける労使協定を解説!届出が不要な場合や記入例も紹介 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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フレックスタイムにおける労使協定を解説!届出が不要な場合や記入例も紹介

時計のイラスト

フレックスタイム制に関する労使協定で定めるべき内容には、必須事項と任意事項の2つがあります。また、時間外労働や休日労働が生じる場合は、フレックスタイム制でも36協定の締結・届出が不可欠です。

フレックスタイム制を円滑に進めるためにも、運用上、想定される事態の取り扱い方法を事前に定めておくとよいでしょう。この記事では、フレックスタイム制に関する労使協定の締結と届出のポイントを解説します。


フレックスタイム制の導入にお悩みの方へ

フレックスタイム制の導入には、労使協定の締結や就業規則の変更・届出など、複雑な手続きが存在します。

また、フレックスタイム制を導入した後に、「出勤・退勤時間が従業員によって異なるので、勤怠管理が煩雑になった」「残業時間の計算方法と清算期間の関係がよく分からない」といったお悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような方に向け、「フレックスタイム制度を実現するための制度解説BOOK」をご用意しました。
資料では、フレックスタイム制導入の流れや手続の他に、残業の数え方や効率的な勤怠管理の方法も解説しておりますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

1. フレックスタイム制では労使協定が必要

時計とPC作業する男性

フレックスタイム制は、企業が特別な手続きをせずに自由に導入できる制度ではありません。導入するためには、就業規則などに制度の内容を定めたうえで労使協定を締結し、管轄の労働基準監督署長へ届け出る必要があります。

労使協定とは、使用者と労働者の間で労働条件などについて取り決めた事項を、書面で定めた協定のことです。これは、労働基準法だけでは細かく定めきれない事項について、労使が合意して具体的なルールを定めるための仕組みです。

代表的な例として、時間外労働や休日労働をおこなう際に必要となる時間外・休日労働に関する協定(36協定)が挙げられます。多くの企業では、このような労使協定が締結されています。フレックスタイム制を導入する場合も、同様に労使協定を締結することが必要です。

なお、届出が必要であるにもかかわらず提出していない場合には、労働基準法違反として制度が適法に成立しない可能性があり、労働基準監督署から是正指導などを受けるおそれがあります。

関連記事:フレックスタイム制に関わる就業規則のポイント・記載例を紹介!

1-1. 清算期間が1ヵ月以内の場合は労使協定の届出が不要

フレックスタイム制は、清算期間が1ヵ月以内の場合、労働基準監督署への届出は不要です。ただし、労使協定の締結は必須です。

なお、清算期間とは、フレックスタイム制において、あらかじめ定めた総労働時間の範囲内で労働者が勤務する期間を指し、その上限は最長3か月とされています。例えば、清算期間を「2ヵ月」「3ヵ月」と設定する場合には、労使協定の締結に加えて、労働基準監督署への届出が必要です。

フレックスタイム制を適切に運用するためには、こうした法的要件を正しく理解し、それに基づいて制度を設計・運用することが重要です。

参考:フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き|厚生労働省

関連記事:フレックスタイム制とは?導入手順や企業が知っておくべきメリット・デメリット

2. フレックスタイム制の労使協定に必要な事項

はてなマーク

フレックスタイム制を企業で導入する際は、次の2点を満たす必要があります。

  1. 就業規則などへの規定
  2. 労使協定で必要事項を定める

また、労使協定では、次の事項を定めたうえで締結します。

  • 対象となる労働者の範囲
  • 清算期間
  • 清算期間における所定労働時間(総労働時間)
  • 標準となる1日の労働時間
  • コアタイム(任意)
  • フレキシブルタイム(任意)

厚生労働省のホームページに労使協定届のひな型と記載例が掲載されているので、実際に労使協定を結ぶ際は、そちらを合わせて参考にしてもよいでしょう。

なお、コアタイムは任意のため、コアタイムなしでも問題ありません。ここからは、フレックスタイム制の導入時、労使協定で定める事項について詳しく解説します。

参考:労働基準法関係【参考書式(様式/記載例)】|神奈川労働局
関連記事:フレックスタイム制に関わる就業規則のポイント・記載例を紹介!

2-1. 対象となる労働者の範囲

フレックスタイム制を適用する労働者の範囲を明確に記載します。なお、適用範囲は次のように、課・グループだけでなく、個人としても問題ありません。

  • 全従業員
  • 〇課、〇チーム
  • Aさん、Bさん

ただし、満18歳未満の年少者は、基本的にフレックスタイム制は適用できないため注意しましょう。

この点を踏まえ、企業はフレックスタイム制を導入する際に、対象となる従業員の選定や周知を徹底する必要があります。

さらに、定期的な評価やフィードバックを実施し、フレックスタイム制が円滑に運用されるように努めることが、従業員の労働意欲を高め、生産性向上に寄与します。労使協定を結ぶ際には、各対象者の意見を尊重し、柔軟な制度設計をおこなうとよいでしょう。

2-2. 清算期間

労働者が労働するべき時間を定める期間です。1~3ヵ月の範囲で決定できますが、いずれの場合も、清算期間の起算日を定める必要があります。

誤:清算期間は1ヵ月とする。

正:清算期間は1ヵ月間とし、毎月1日から当月末までとする。

複数月にまたがる場合も、「1日から翌月15日までの1.5ヵ月間とする」など、具体的に記載しましょう。

関連記事:フレックスタイム制の清算期間とは?仕組みや時間外労働の計算方法を解説

2-3. 清算期間における所定労働時間(総労働時間)

清算期間中に労働者が労働すべき時間を定めます。次の式を参考に、法定労働時間の枠組みを超えないことが条件となります。

「40時間(1週間の法定労働時間)」 × 「清算期間の暦日数 ÷ 7」

例えば、清算期間が1ヵ月の場合、枠組みは次のとおりとなります。なお、所定労働時間は月ごとに定めることも可能です。

清算期間の暦日数

法定労働時間の総枠

31日

177.1時間 

30日

171.4時間

29日

165.7時間

28日

160.0時間

さらに、フレックスタイム制を導入する際には、清算期間を1ヵ月以内に設定することで労使協定の届出が不要になるため、企業はこの点も踏まえてスムーズな導入を目指すことが望ましいでしょう。

特に、労働者が自らの労働時間を柔軟に設定できることから、ワークライフバランスの向上にも寄与することが期待されます。清算期間を適切に管理し、従業員と企業の双方にとってメリットのある制度運用を心がけることが重要です。

2-3-1. 完全週休2日制の場合の所定労働時間

完全週休2日制を導入している企業では、曜日の巡りによっては1日8時間の勤務であっても、清算期間における総労働時間を超えてしまう場合があります。

例えば、暦上31日ある月に、4週すべての週で休みが2日があったとします。この場合、労働日数は23日となるため、月の実労働時間は184時間です。

しかし、暦日数31日の場合、法定労働時間の総枠は177.1時間であるので、6.9時間の超過となり、時間外労働として割増賃金の支払いや36協定の締結が必要になります。

このような不都合を解消するため、完全週休2日制の場合は、清算期間内の「所定労働日数×8時間」を労働時間の上限とすることが認められています。完全週休2日制を採用する企業は、この仕組みをうまく活用しましょう。

2-4. 標準となる1日の労働時間

有給休暇を取得した際、賃金計算の基礎となる労働時間です。「1日の労働時間は、6.5時間とする」のように時間を定められます。また、所定労働日数を定めている場合は、次の値を定めることも可能です。

総労働時間 ÷ 所定労働日数

清算期間や総労働時間により、柔軟に変更して対応しましょう。

2-5. コアタイム(任意)

労働者が労働すべき時間を定めたコアタイムの規定は、任意となっています。定める場合は、下記のようにコアタイムの開始・終了時刻の明記が必要です。

「従業員が労働しなければならない時間帯は、午前10時から午後3時までとする。」

コアタイムは、曜日や日にちを限定して定めたり、曜日や日にちにより時間帯を変更したりすることも可能です。ただし、コアタイムが1日の労働時間とほぼ同程度となる場合(午前9時30分から午後5時30分まで、など)は、フレックスタイム制として認められなくなります。

2-6. フレキシブルタイム(任意)

フレキシブルタイムは、労働者が始業・終業の時刻を自由に決定できる時間帯で、任意規定となります。フレキシブルタイムも、設定する場合は次のとおり、開始・終了時刻を定めなければいけません。

「フレックスタイム制を適用する従業員が、自由に始業及び終業の時刻を決定できる時間帯は次の通りとする。
始業時間帯=午前6時から午前10時の間、終業時間帯=午後3時から午後6時の間」

ただし30分など、極端に短いフレキシブルタイムを設定すると、フレックスタイム制とは認められない可能性があるため注意しましょう。

関連記事:コアタイムなしのフレックスタイム制とは?導入メリット・デメリットも紹介

2-7. 【注意】清算期間を1ヵ月超えて設定する場合の留意点

清算期間を1ヵ月を超えて設定する場合には、労使協定の届出だけでなく、いくつかの点に注意する必要があります。

まず、清算期間における総労働時間は、法定労働時間の総枠を超えない範囲で設定する必要があります。これは、清算期間全体でみたときに、労働時間が週平均40時間以内となるようにする必要があるためです。

また、清算期間が1ヵ月を超える場合には、各月ごとにも一定の基準が設けられています。具体的には、各月の労働時間が週平均50時間を超えた場合、その超えた時間は清算期間の終了を待たず、その月の時間外労働として取り扱われます。

時間外労働をおこなわせるためには36協定の締結・届出が必要となり、あわせて割増賃金を支給しなければなりません。

そのため、月ごとの業務量に大きな繁閑差がある場合でも、特定の月に労働時間が過度に集中すると時間外労働が発生する可能性があります。フレックスタイム制を適切に運用するためには、清算期間全体だけでなく、各月の労働時間のバランスにも配慮することが重要です。

参考:フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き|厚生労働省

2-8. 【ポイント】コアタイム・フレキシブルタイムはどのように設定すべき?

コアタイムやフレキシブルタイムの設定は、企業の業務内容や実際の働き方に合わせて柔軟に検討することが重要です。フレックスタイム制は従業員の働き方の自由度を高める制度ですが、業務の特性に合わない時間設定をしてしまうと、かえって業務効率が低下する可能性があります。

そのため、部署ごとの業務内容や社内外でのコミュニケーションの必要性を踏まえながら、適切な時間帯を設計することが求められます。例えば、社内会議やチームでの打ち合わせ、顧客対応が多い企業では、一定のコアタイムを設けることで従業員が同じ時間帯に勤務しやすくなり、情報共有や意思決定を円滑に進めやすくなるでしょう。

一方で、研究開発職やエンジニアなど個人作業が中心となる職種では、コアタイムを設けない「スーパーフレックス(完全フレックス)」を採用するケースもあります。このような制度であれば、従業員は自分が集中しやすい時間帯に働けるので、通勤ラッシュの回避やワークライフバランスの向上にもつながるでしょう。

ただし、自由度が高すぎると勤務時間の管理が難しくなったり、部署間で勤務時間が合わずコミュニケーションが取りにくくなったりする可能性もあります。そのため、完全フレックスを導入する場合でも、会議の時間帯をあらかじめ定めるなど、業務に支障が出ないような運用ルールを整備しておくことが大切です。

当サイトでは、フレックスタイム制の概要から導入方法までをまとめた資料を無料で配布しております。概要から確認したい方や導入までの具体的なイメージを描きたい方は、こちらから資料をダウンロードしてご覧ください。

3. フレックスタイム制で労使協定で定めておくとよい事項

注意のイメージ

フレックスタイム制を労使で締結する際は、必ず定めなければいけない事項の他に、事前に定めておくと制度が運用しやすい事項もあります。フレックスタイム制をスムーズに運用するために、労使協定で定めておきたいポイントを紹介します。

3-1. 休憩時間

正午から午後1時までなど、休憩時間をコアタイム中に固定し定めたい場合は記載するとよいでしょう。

また、フレックスタイム制を導入する際には、休憩時間の取り方についてもあらかじめ決めておくことが重要です。これにより、従業員は効率的に業務をおこなうとともに、適切な休息を確保できます。

さらに、休憩時間の設定を明確にすることで、業務の進行が円滑になり、チーム内のコミュニケーションや協力も向上するでしょう。

例えば、全員がコアタイムの休憩を同じ時間に取ることで、リフレッシュ後に業務が再開しやすくなるという利点もあります。このように、適切な休憩時間の設定は、従業員の生産性や職場の雰囲気を良好に保つ一助となります。

3-2. フレックスタイム制の適用外時間帯

夏季休暇中や年末年始など、フレックスタイム制の適用を除外したい時間帯があれば明記しましょう。この記載がないと繁忙期や人が減る時期などでもフレックスタイム制になってしまい、人員の過不足に対応しにくくなってしまいます。

また、コアタイムを設けていない場合、深夜労働防止のため、午後22時から翌午前5時の時間帯を始業・就業時間から除外するのも有効です。

3-3. 超過時間の取り扱い

残業の発生を見越し、実労働時間が総労働時間を超過した場合の取扱方法を明記すると、実務上わかりやすいでしょう。

また、フレックスタイム制においては、残業が発生する可能性もあるため、各従業員の労働時間をしっかりと記録し、透明性のある勤怠管理をすることが重要です。

具体的に、実労働時間の集計方法や、残業が発生した場合の給与計算のルールを明確にしておくことで、トラブルを未然に防ぎ、従業員が安心して制度を利用できる環境を整えられます。

このように、明確な取り決めを通じて、フレックスタイム制の運用がスムーズになり、企業全体の業務効率が向上することが期待されます。

3-4. 不足時間の取り扱い

フレックスタイム制において実労働時間が総労働時間に足りなかった場合の取り扱いは、次のとおりです。

  1. 不足分を次月の総労働時間に繰越す
  2. 不足時間分を賃金から控除する

ただし、不足時間分を次月に繰り越す場合は、繰り越した分を含めた総労働時間が法定労働時間の総枠を超えないよう注意する必要があります。1と2のどちらのケースも明記しておくと、賃金トラブルの回避につながるでしょう。

フレックスタイム制では労働時間の管理や取り扱いのわかりやすさが非常に重要です。従業員が迷ったり、勘違いをしたりしないように細かく定めておくと安心です。

参考:4 労働時間に過不足が生じた場合について|厚生労働省

3-5. 休日の取り扱い

土日や祝日など、特定の曜日を休日とする場合は、休日の取り扱いを明確に定めておくとよいでしょう。あわせて、休日出勤が発生した場合の賃金の扱いについても記載しておくと、従業員にとって理解しやすくなります。

また、休日出勤が生じた際の対応として、振替休日の取得方法や、当日の賃金計算の方法についても具体的に取り決めておくのが望ましいです。

例えば、「休日出勤をした場合の賃金は通常の1.35倍とする」などの割増賃金の扱いや、「振替休日の取得方法」といった内容をあらかじめ定めておくことで、従業員は労働条件を適切に理解しやすくなります。

このように休日の取り扱いを明確にしておくことで、労務トラブルの防止につながるだけでなく、従業員の安心感や信頼感の向上にもつながります。

関連記事:法定休日の特定とは?義務化や労働基準法大改正を見据えた対応を解説

3-6. 遅刻・早退・欠勤の取り扱い

フレックスタイム制では、本来、総労働時間を満たしていれば問題ないため、遅刻や早退などは発生しないのが通常です。

しかし、コアタイムの遅刻・早退・欠勤を防止したい場合は、次のように制裁やインセンティブを設け、労使協定を結ぶことで対策が可能です。

  • 正当な理由なくコアタイムに欠勤した場合は減給の処分とする。
  • コアタイムの遅刻・早退・欠勤を賞与に反映させる。
  • コアタイムに遅刻・早退・欠席がなかった場合、皆勤手当を支給する。

フレックスタイム制導入により、秩序の乱れが懸念される場合は、事前に対策を取るとよいでしょう。

3-7. フレックスタイム制の解除

フレックスタイム制を導入する以上、安易な解除はできません。

定時制に切り替えたいときは、次のとおり、事前に労使協定で定めておく必要があるため注意しましょう。

  • 不足時間の累計が〇時間に及んだ者
  • コアタイムの自己都合による欠勤が〇回に至った者

従業員自身での時間管理が難しい場合を想定し、事前に規則を制定しておくと安心して制度を運用できるでしょう。

3-8. 有効期間

労使協定の最後には、有効期間を明記しましょう。また、労働基準監督署への届出が不要な場合は、次のように、自動更新にもできます。

「本協定の有効期限は〇年〇月〇日から1年とする。ただし、有効期間満了の30日までに、会社、労働組合どちらからも改定または解除の意思表示がないときは、更に1年間有効期間を延長するものとし、以降も同様とする。」

ただし、労働基準監督署に届出が必要な、清算期間が1ヵ月を超えるものや36協定などの労使協定では上記文言は使用できないため注意しましょう。

3-9. 【補足】フレックスタイム制における「祝日」の取り扱いとは?

祝日を労働日とするか、休日とするかは、企業が自由に定められます。ただし、フレックスタイム制を採用している場合は、清算期間における総労働時間の設定方法によって、祝日の扱いが労働時間の計算に影響することがあります。

例えば、「清算期間中(1ヵ月)の総労働時間を155時間とする」といったように、総労働時間をあらかじめ固定して定めている場合は、祝日があるかどうかによって総労働時間が変わることはありません。

一方で、「清算期間中の総労働時間を休日を除いた所定労働日数×8時間とする」と定めている場合には、祝日を休日として扱うか、通常の労働日として扱うかによって、清算期間の総労働時間が変わることになります。

このように、祝日の取り扱いによって勤務時間の調整方法に影響が生じることがあるので、祝日を労働日とするのか、休日とするのかについては、あらかじめルールとして明確に定めておくことが大切です。

4. フレックスタイム制でも時間外・休日労働には36協定が必要

ガベルと書類

フレックスタイム制は、従業員が始業・終業時刻を柔軟に調整できる制度ですが、時間外労働や休日労働の取り扱いがなくなるわけではありません。

このような労働をさせる可能性がある企業では、あらかじめ36協定(時間外・休日労働に関する協定)を締結し、労働基準監督署へ届け出ることが重要です。

関連記事:36協定とは?基礎知識から残業上限規制や締結・届出、違反リスクまで完全解説

4-1. フレックスタイム制における時間外労働と休日労働とは?

フレックスタイム制では、労働時間は清算期間を単位として管理されます。そのため、時間外労働とは、原則として、清算期間における総労働時間が法定労働時間の総枠を超えた部分を指します。

また、清算期間を1ヵ月を超えて設定する場合には、清算期間全体の総労働時間だけでなく、各月の労働時間が週平均50時間を超える部分についても時間外労働として取り扱われるので注意が必要です。

なお、フレックスタイム制では、日ごとの労働時間によって時間外労働を判断する仕組みではありません。そのため、1日に8時間を超えて働いた場合であっても、清算期間内の総労働時間が法定労働時間の総枠を超えていなければ、原則として時間外労働には該当しません。

一方、休日労働については、フレックスタイム制であっても通常の労働時間制度と同様に扱われます。労働基準法で定められた法定休日(週1日または4週4日)に労働させた場合には、休日労働として取り扱われます。

関連記事:フレックスタイム制で残業代は減る?残業の考え方や計算方法も紹介

4-2. フレックスタイム制における36協定の記入例

フレックスタイム制を採用している場合でも、36協定の記載方法は、基本的に通常の勤務制度と大きく変わるものではありません。ただし、フレックスタイム制では労働時間を清算期間単位で管理するため、時間外労働の上限時間を設定する際には、その点を踏まえて定める必要があります。

【記入例のポイント】

  • 時間外労働をさせる必要のある具体的事由:臨時の受注、納期への対応
  • 業務の種類:営業業務(フレックスタイム制)
  • 延長することができる時間数(1日):定めないことが一般的
  • 延長することができる時間数(1ヵ月):30時間
  • 延長することができる時間数(1年):150時間

フレックスタイム制では清算期間単位で労働時間を管理するので、36協定の「1日」の延長時間を定めない運用とする企業も多く見られます。

また、1年間の上限時間を計算する際の起算日を記載する場合は、フレックスタイム制の清算期間の始期と一致させておくと、労働時間の管理や賃金計算がおこないやすくなるため、実務上はそのように設定することが望ましいでしょう。

なお、時間外労働の上限は原則として「月45時間・年360時間」です。この上限は、フレックスタイム制を採用している場合でも同様に適用されます。原則的な上限を超えて時間外労働を行わせる可能性がある場合には、特別条項付き36協定を締結し、所轄の労働基準監督署長へ届け出る必要があります。

このように、フレックスタイム制を導入している企業であっても、時間外労働や休日労働が発生する可能性がある場合には、36協定を締結し、適切な労働時間管理をおこなうことが重要です。

参考:時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)|厚生労働省
参考:時間外労働の上限規制わかりやすい解説|厚生労働省

関連記事:36協定における残業時間の上限を基本からわかりやすく解説!

5. フレックス制では問題を想定して労使協定による規定を作っておこう

書類と虫眼鏡

フレックスタイム制を導入するにあたっては、対象となる労働者の範囲や清算期間、清算期間における総労働時間、標準となる1日の労働時間といった基本的な枠組みを労使協定で締結しておくことが必要です。

フレックスタイム制度の導入により、労働時間の過不足や、コアタイム中の遅刻など、定時制では起こり得なかった問題の発生が懸念されます。

労使協定には、想定される問題の対処方法を必須事項と合わせて規定しておくと、フレックスタイム制のスムーズな運用につながるでしょう。

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