賃金支払基礎日数とは?数え方は?有給・欠勤などの扱い、11日ルールを解説

賃金支払基礎日数とは、賃金の支払対象となる日数のことです。雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)や育児休業給付など、雇用保険の各種手続きで受給資格の確認や給付額の算定に用いられます。
「有給休暇を取得した日は数えるのか」「欠勤があった月はどう処理するのか」といった疑問は実務上よく発生するものです。給与形態によっても数え方が異なるため、正確な理解が欠かせません。
本記事では、賃金支払基礎日数の定義から給与形態別の数え方、間違えやすいケース、11日未満の月の取り扱いまでを実務に即して解説します。
「欠勤があった月の賃金支払基礎日数の計算のしかたがわからない」「休職中の社員は“賃金支払基礎日数ゼロ”でいいんだっけ?」といった疑問をお持ちではありませんか?
そのような不安を解消するために、当サイトでは、基礎日数の定義から給与形態別の数え方、算出時の注意点までをまとめた実務ガイドを無料配布中です!
これ1冊で、欠勤や休職、特別休暇の扱いなど、間違いやすい場面の対応もすぐにわかります。
所定労働日数が短い従業員の賃金支払基礎日数の数え方を知りたい方や、おこなっている計算に誤りがないかを改めてチェックしたい方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご覧ください。
目次
1. 賃金支払基礎日数とは?


賃金支払基礎日数は、離職票や育児休業給付など、雇用保険の手続きで幅広く用いられる概念です。まずは定義と、間違えやすい類似用語との違いを確認しましょう。
1-1. 賃金支払基礎日数の定義
賃金支払基礎日数とは、対象期間において「賃金支払の基礎となった日数」のことです。
実際に労働した日だけでなく、年次有給休暇を取得した日など、出勤していなくても賃金が発生する日も含まれます。一方、無給の欠勤・休職日などは含まれません。
重要なのは、「賃金が支給された日」ではなく、「賃金の支払対象となった期間に対応する日数」であるという点です。例えば、月末締め・翌月15日払いの企業では、5月15日の賃金は4月分の労働に対する対価です。この場合、賃金支払基礎日数は4月分として計上します。
1-2. 基礎日数と賃金支払基礎日数の違い
離職証明書や育児介護休業の休業開始時賃金月額証明書には 、⑨欄の「被保険者期間算定対象期間における賃金支払基礎日数」のほかに、⑪欄の「賃金支払い対象期間の基礎日数」を記載する欄があります。それぞれの意味は次のとおりです。
- 被保険者期間算定対象期間における賃金支払基礎日数:雇用保険の被保険者期間を算定するための日数です。基本手当や各種給付の受給資格があるかを判断する際に使います。
- 賃金支払い対象期間の基礎日数:各月の賃金支払対象期間で、実際に賃金支払いの対象となった日数です。
これら2つの数え方のルールは基本的に同じです。同じ計算期間であれば日数も一致するため、書類作成時の確認に役立てましょう。
関連記事:離職証明書とは?必要なケースや記載事項をわかりやすく解説
1-3. 支払基礎日数(社会保険)と賃金支払基礎日数(雇用保険)の違い
似ている言葉に「支払基礎日数」と「賃金支払基礎日数」がありますが、使用する場面が異なります。
- 支払基礎日数:健康保険・厚生年金保険(社会保険)の手続きにおいて、標準報酬月額の算定基礎届や随時改定の判断に用います。
- 賃金支払基礎日数:雇用保険の手続きにおいて、離職証明書・育児休業給付・介護休業給付などに関連します。
また、社会保険の算定ではパートタイマー・短時間労働者に対して支払基礎日数の日数要件を17日ではなく11日とする特例がありますが、雇用保険の賃金支払基礎日数にこの区分はありません。両者を混同しないよう注意しましょう。
参考:算定基礎届の記入・提出ガイドブック 令和7年度|日本年金機構
2. 賃金支払基礎日数が関係する手続き


賃金支払基礎日数は、雇用保険の各種給付手続きで受給資格の判断や給付額の算定に用いられます。関係する手続きは複数あり、それぞれで日数要件や算定方法が異なります。
まずは手続きごとに賃金支払基礎日数がどのように使われるかを確認しましょう。
2-1. 離職証明書・離職票
離職証明書・離職票は、従業員が退職する際に作成・交付する書類です。離職票にもとづいて雇用保険の基本手当、いわゆる失業手当が支給されます。
基本手当を受給できるのは、賃金支払基礎日数が11日以上ある月、または賃金支払の基礎となった労働時間数が80時間以上ある月が離職の日以前2年間に12ヵ月以上ある場合です。
基本手当の金額は、離職前の期間のうち賃金支払基礎日数が11日以上ある直近6ヵ月間の賃金額をもとに計算されます。
離職証明書の書き方の詳細は関連記事をご覧ください。
2-2. 育児休業給付・出生時育児休業給付・育児時短就業給付
育児休業給付・出生時育児休業給付・育児時短就業給付は、子を養育する期間に対する給付金です。それぞれの支給要件と賃金支払基礎日数の関係を表にまとめました。
|
育児休業給付 |
出生時育児休業給付 |
育児時短就業給付 |
|
|
概要 |
子を養育するための休業に対する給付 |
子を養育するための休業に対する給付 |
子を養育するために労働時間を短縮した場合の給付 |
|
対象期間 |
原則として子が1歳に達するまで |
原則として子の出生日から8週間のうち28日以内 |
子が2歳に達するまで |
|
支給要件(賃金支払基礎日数に関係するもの) |
休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヵ月以上 |
休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヵ月以上 |
育児時短就業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヵ月以上(※) |
|
支給額の計算基礎となる賃金額 |
最初の休業開始前(産前産後休業から連続して取得する場合は産前産後休業開始前)の期間のうち、賃金支払基礎日数が11日以上ある月6ヵ月分の賃金額 |
最初の休業開始前直近の期間のうち、賃金支払基礎日数が11日以上ある月6ヵ月分の賃金額 |
育児時短就業開始前の期間のうち、賃金支払基礎日数が11日以上ある月直近6ヵ月分の賃金額(※) |
※育児休業から引き続く育児時短就業の場合は、子の出産時点が基準となります。
育児関係の給付金は毎年改正があり年々複雑になっています。関連記事で法改正の内容を押さえ、手続きミスを防ぎましょう。
関連記事:育児休業給付金とは?2025年4月の改正点や支給条件、申請、計算方法をわかりやすく解説!
2-3. 介護休業給付
介護休業給付は、要介護状態にある家族を介護するための休業に対して支給される給付金です。介護休業給付の手続きでも、賃金支払基礎日数を用います。
受給要件は、介護休業開始前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が通算12ヵ月以上あることです。支給額の基礎となる休業開始時賃金月額も、賃金支払基礎日数が11日以上ある直近6ヵ月分の賃金をもとに算出します。
関連記事:介護休業の取得条件とは?給付金の条件や子どもを含む対象者も解説
2-4. 高年齢雇用継続給付
高年齢雇用継続給付は、定年後の再雇用などで60歳以降の賃金が60歳時点より一定割合下がった場合に支給される給付金です。
支給額を算出する際に用いる賃金月額は、60歳到達月以前のうち賃金支払基礎日数が11日以上ある直近6ヵ月の賃金の額をもとに計算します。
3. 【給与形態別】賃金支払基礎日数の数え方


賃金支払基礎日数の数え方は給与形態により異なり、大きく次の3つに分かれます。
- 完全月給制の場合
- 日給月給制の場合
- 日給制・時間給制の場合
これらを1つずつ解説します。
3-1. 完全月給制の場合
完全月給制とは、欠勤があっても賃金が控除されない給与形態です。管理監督者に適用される例が多く、就業規則の定めによっては一般従業員に適用される場合もあります。
完全月給制の場合、欠勤の有無にかかわらず賃金が満額支払われるため、その月の暦日すべてが賃金支払基礎日数になります。例えば、2月の賃金支払基礎日数は「28日(閏年は29日)」です。
3-2. 日給月給制の場合
日給月給制とは、月給制のうち、欠勤した日数分の賃金が控除される給与形態です。
日給月給制の場合、1日あたりの賃金額の算出方法によって賃金支払基礎日数の基礎となる日数が異なります。
- 「年間の給与÷年間の出勤日数」で算出する場合→年間の出勤日数÷12
- 「月の給与÷該当月の暦日数」で算出する場合→該当月の暦日数
- 「月の給与÷該当月の所定の出勤日数」で算出する場合→所定の出勤日数
欠勤があった場合は、上記の日数から欠勤日数を差し引いた日数が賃金支払基礎日数です。なお、遅刻・早退は欠勤日数に含まれません。計算の結果、小数点以下の端数が生じた場合は切り上げて処理します。
関連記事:日給月給制とは?月給制との違いやメリット・デメリットを詳しく解説
3-3. 日給制・時間給制(パート・アルバイト)の場合
日給制・時間給制の場合、実際に出勤した日数に年次有給休暇の取得日数と休業手当が支払われた日数を加えた日数が賃金支払基礎日数です。
時給制の場合、1日の労働時間の長さは関係ありません。4時間勤務の日も8時間勤務の日も、等しく1日として数えます。また、有給休暇を取得した日も1日としてカウントします。
3-4. 【一覧表】給与形態ごとの数え方まとめ
給与形態ごとの数え方を表にまとめました。自社の給与形態と照らし合わせながら参考にしてください。
|
給与形態 |
賃金支払基礎日数の算定方法 |
欠勤の扱い |
|
完全月給制 |
暦日数 |
差し引かない |
|
日給月給制 |
賃金計算方法に応じた基礎日数から欠勤日数を差し引いた日数 |
差し引く(遅刻・早退は含まない) |
|
日給制・時給制 |
出勤日数+有給休暇取得日数+休業手当が支払われた日数 |
欠勤日はそもそも計上しない |
なお、同じ事業所でも従業員によって給与形態が異なる場合があります。複数の給与形態が混在している場合は、従業員ごとに算定方法を確認しましょう。
4. 賃金支払基礎日数の算定で間違えやすいケース


賃金支払基礎日数は賃金形態による違いのほか、休暇・休業の種類によって計上するかどうかの判断が細かく分かれます。実務でよく迷うケースをまとめました。
4-1. 有給休暇
年次有給休暇の取得日は、実際には出勤していなくても賃金が支払われる日です。そのため、賃金支払基礎日数に含まれます。
特に日給制・時給制の従業員は、「出勤した日数のみ計上する」という誤った理解をしていると、有給休暇取得日の計上が漏れるため注意しましょう。
関連記事:年次有給休暇の基本をわかりやすく解説!付与日数や取得要件も紹介
4-2. 土日・公休日
土日の扱いは、賃金形態によって異なります。
- 完全月給制:暦日数が賃金支払基礎日数になるため、土日・公休日も賃金支払基礎日数に含まれます。
- 日給月給制:1日あたりの賃金額の算出方法によって異なります。暦日数を基準とする場合は土日・公休日も含まれますが、所定の出勤日数を基準とする場合は含まれません。
- 日給制・時給制:賃金が発生した日のみが対象となるため、賃金が発生しない土日・公休日は含まれません。
4-3. 欠勤・休職
欠勤または休職した期間は、賃金が支払われないため賃金支払基礎日数には含みません。
なお、休職中に健康保険から傷病手当金を受け取れる場合がありますが、傷病手当金は「賃金」ではありません。傷病手当金を受け取っていても、その日は賃金支払基礎日数には含まれない点に注意しましょう。
休職などで賃金が支払われない期間が30日以上ある場合、受給資格の算定期間を延長できる特例があります。詳しくは「5-2. 算定対象期間の延長」をご確認ください。
4-4. 遅刻・早退・半休
遅刻・早退・半休があった日でも、その日に賃金が支払われていれば「1日」として計上します。午後だけ出勤した日も0.5日とはならず、1日として扱います。
4-5. 特別休暇(有給の場合・無給の場合)
慶弔休暇・リフレッシュ休暇・夏季休暇・年末年始休暇などの特別休暇は、賃金の有無を企業が自由に設定できます。
有給の特別休暇を取得した日は賃金が支払われるため、賃金支払基礎日数に含まれます。一方、無給の特別休暇を取得した日は賃金が支払われないため、含まれません。就業規則の定めを確認のうえ、有給・無給の違いに応じて処理しましょう。
関連記事:特別休暇とは?種類や日数の例、有給休暇との違い・取得した場合の給料を解説
4-6. 休業手当が支払われる場合
休業手当とは、企業側の都合(使用者の責に帰すべき事由)で従業員を休業させた場合に支払う義務がある金銭です(労働基準法第26条)。
雇用保険の運用上のルールでは休業手当は「賃金」とみなされるため、支給される日は賃金支払基礎日数に含まれます。
関連記事:労働基準法第26条の休業手当とは?適用条件や計算方法を解説
4-7. 産前産後休暇・育児休業・育児休暇
産前産後休暇・育児休業は、原則として無給のため賃金支払基礎日数には含まれません。ただし、企業の規定で産休中も有給としている場合は含めます。
また、育休・産休で賃金支払基礎日数が11日未満となる月は、離職証明書への記載が不要です。ただし、5-1章で詳しく解説する80時間ルールに該当する月は、備考欄への記載が必要になる場合があります。
出産などやむを得ない理由で30日以上賃金が支払われなかった期間がある場合、算定対象期間を最大4年まで延長できる特例があります。
参考:Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~|厚生労働省
4-8. 夜勤(深夜労働)
夜勤で勤務が翌日にまたがる場合、原則として「前日から連続した1日の勤務」として扱い、賃金支払基礎日数は1日です。ただし、次の両方に当てはまる場合は翌日分も1日として数え、前日と合わせて2日として算定します。
- 勤務が翌日にわたること
- 翌日の勤務のうち、所定労働時間の労働が8時間を超えること
例えば、変形労働時間制で所定労働時間が22時から翌9時(休憩1時間)の場合、所定労働時間は10時間で8時間を超えるため、賃金支払基礎日数は2日です。
参考:2日にわたって労働した場合の賃金支払基礎日数について|厚生労働省
4-9. 月途中の入退社・締め日が月末以外の場合
月途中に入社・退社した場合、在籍期間が月の初日から末日までそろっていない「完全月」ではありません。そのため賃金支払基礎日数は、在籍期間中の実日数(または出勤日数)に基づいて計算します。
離職証明書では「被保険者期間算定対象期間(⑧⑨欄)」と「賃金支払対象期間(⑩⑪欄)」の2種類の期間を記載しますが、それぞれ区切りの基準が異なります。⑧⑨欄は離職日を基準に1ヵ月ごとに区切り、⑩⑪欄は賃金締切日を基準に区切ります。
そのため、締切日が月末以外の場合、⑧⑨欄と⑩⑪欄の日付が1行ずつずれた形になりますが、これは正しい記載です。無理に日付を合わせる必要はありません。記載方法の詳細は厚生労働省の離職証明書記載例を参照してください。
4-10. 【ポイント】賃金支払基礎日数だけでなく賃金額の記載にも注意!
離職証明書には賃金支払基礎日数だけでなく、各期間に対応する賃金額も記載します。記載する賃金額の正確な算出のために、まず何が「賃金」に含まれるかを把握しておきましょう。
賃金に含まれるもの・含まれないもの・注意が必要なもの
|
区分 |
具体例 |
記載方法 |
|
含まれる |
基本給、役職手当、家族手当、住宅手当、通勤手当、時間外手当 |
⑫欄に各月の賃金額を記載 |
|
含まれる(注意) |
年4回以上支給される賞与 |
⑫欄には含めず、⑭欄(賃金に関する特記事項)に支給日・名称・支給額を記載 |
|
含まれない |
年3回以下の賞与、退職金、傷病手当金、祝い金・見舞金などの臨時的な賃金 |
記載不要 |
特に注意したいのが、「賞与」です。「賞与は記載不要」と思い込んでいると、年4回以上支給の賞与の記載漏れが起きます。自社の賞与支給回数を確認のうえ、記載が必要かを判断しましょう。
また、通勤手当や残業代など、実際の支払月と労働発生月がずれるケースでは、次のように処理します。
- 残業代など変動給の支払月が異なる場合
支払月ではなく、労働が発生した月に対応させて計上します。例えば、基本給は当月20日締め・当月25日払い、残業代は翌月20日締め・翌月25日払いの場合、離職証明書には6月分の残業代を6月の賃金として記載します。
- 通勤手当を複数月分まとめて支給している場合
1ヵ月相当額に按分して各月に振り分け、按分の端数は最終月にまとめて計上します。
例えば、4月~9月分の6ヵ月定期代16,000円を4月に一括支給した場合、1ヵ月分は16,000円÷6ヵ月=2,666.6…円です。そのため、4月~8月は各2,666円、9月は端数を加えて2,670円を計上します。
参考:第6章 賃金について|厚生労働省
参考:離職証明書の書き方~初めての方向け~|厚生労働省
関連記事:雇用保険料の計算方法は?保険加入後の計算時期や計算するときの注意点
賃金支払基礎日数の算定で実務上特に注意が必要なのが、有給休暇と特別休暇の扱いです。日給制・時給制の従業員について「出勤した日数だけ計上すればよい」と思い込んでいると、有給休暇取得日の計上漏れが起きます。
また、特別休暇は有給・無給の別が企業によって異なるため、就業規則を確認せずに処理するとミスにつながります。離職証明書を作成する前に、対象期間中の休暇取得状況と給与規程を照らし合わせてから日数を算定するようにしましょう。
5. 賃金支払基礎日数が11日未満の月の取り扱い


賃金支払基礎日数が11日未満の月は、原則として被保険者期間としてカウントされません。ただし、一定の条件を満たす場合は例外的な取り扱いが認められています。ここでは、11日未満の月の取り扱いを解説します。
5-1. 80時間ルールの適用で11日以上と同じ扱いになる
賃金支払基礎日数が11日未満の月でも、その月の賃金の支払の基礎となった労働時間数が80時間以上であれば、被保険者期間の算定において「11日以上ある月」と同様に取り扱われます。
離職証明書を作成する際、賃金支払基礎日数が11日未満の月は、「⑬備考欄」に労働時間数を記載します。例えば、図の「⑬備考欄」の「⑨欄80H、⑪欄72H」です。
参考:失業等給付の受給資格を得るために必要な「被保険者期間」の算定方法が変わります|厚生労働省
5-2. 算定対象期間の延長(最大4年)
疾病・負傷・出産その他やむを得ない理由で30日以上賃金が支払われなかった期間がある場合、その日数分だけ算定対象期間を延長できます(最大4年)。
長期の休職者や産休・育休取得者の離職証明書を作成する際は、この特例の適用可否を確認します。該当する場合は図の「⑬備考欄」に賃金支払いがなかった期間と日数を記載し、医師の診断書・傷病手当金支給申請書の写しなどの事実を証明できる書類を添付します。
なお、育児休業給付金を受給していた期間はハローワークで確認できるため、添付書類は原則不要です。
参考:Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~|厚生労働省
6. 賃金支払基礎日数に関するよくある質問


最後に、賃金支払基礎日数の算定や手続きでよく寄せられる質問をまとめました。
6-1. 賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月とは?
完全月とは、図のように⑧欄または⑩欄の対象期間が1ヵ月間そろっており、かつ⑨欄または⑪欄の賃金支払基礎日数が11日以上ある月のことです。
完全月が6ヵ月以上記載された時点で、⑩⑪⑫欄はそれ以前の期間を、⑧⑨欄は賃金支払基礎日数が11日以上(または労働時間80時間以上)ある月が12ヵ月分記載された時点でそれ以前の期間の記載を省略できます。
最終月の賃金がまだ支払われていない場合、最終月以外に完全月が6ヵ月分確保できていれば、最終月の賃金欄を「賃金未計算」として記載しても構いません。
6-2. 休日出勤した場合の扱いは?
休日出勤した場合の扱いは、給与形態により異なります。それぞれ次のとおりです。
- 完全月給制:暦日数が賃金支払基礎日数の基礎になるため、休日出勤により日数は増えません。
- 日給月給制:1日あたりの賃金額の算出方法によって基礎となる日数が異なりますが、休日出勤日は所定の出勤日ではないため、賃金支払基礎日数には含まれません。
- 日給制・時給制:休日出勤日も賃金が発生する日として賃金支払基礎日数に算入します。
6-3. パートタイマー・短時間労働者の扱いは?
賃金支払基礎日数(雇用保険)の算定方法は、正社員と変わりません。月給制か日給制・時給制かといった給与形態で判断します。
なお、社会保険の支払基礎日数では一般の被保険者に17日、短時間労働者に11日と異なる要件が設けられていますが、雇用保険の賃金支払基礎日数は雇用形態にかかわらず一律11日が基準です。両者を混同しないよう注意しましょう。
6-4. 2月の賃金支払基礎日数はどうなる?
完全月給制・日給月給制で暦日数を用いる場合、2月の賃金支払基礎日数は28日(閏年は29日)です。月によって暦日数が異なっても、数え方は変わりません。
7. 賃金支払基礎日数の数え方を押さえて手続きミスをなくそう


賃金支払基礎日数は、雇用保険の基本手当・育児休業給付・介護休業給付・高年齢雇用継続給付などの受給資格判断や給付額算定に用いられる重要な指標です。
給与形態によって算定方法が異なるほか、有給休暇・休職・特別休暇・休業手当など、ケースに応じた細かなルールがあります。社会保険の「支払基礎日数」と混同しやすい点も実務上の注意ポイントです。
正確な算定のためには、給与形態ごとのルールを整理したうえで、書類作成時にひとつずつ確認する習慣をつけていきましょう。
「欠勤があった月の賃金支払基礎日数の計算のしかたがわからない」「休職中の社員は“賃金支払基礎日数ゼロ”でいいんだっけ?」といった疑問をお持ちではありませんか?
そのような不安を解消するために、当サイトでは、基礎日数の定義から給与形態別の数え方、算出時の注意点までをまとめた実務ガイドを無料配布中です!
これ1冊で、欠勤や休職、特別休暇の扱いなど、間違いやすい場面の対応もすぐにわかります。
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