時短勤務とは?いつまで取れる?対象者や期間、法改正のポイントを解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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時短勤務とは?いつまで取れる?対象者や期間、法改正のポイントを解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

時短勤務とは?いつまで取れる?対象者や期間、法改正のポイントを解説

16時頃を示す時計と働くビジネスパーソン

時短勤務(短時間勤務)は、育児や介護といった事情を抱える従業員が、仕事と家庭を両立するために欠かせない制度です。

企業にとっては人材の離職防止やブランディング向上につながるメリットがある一方で、業務の再配分や給与の見直しなど、適切な運用には多角的な視点が求められます 。

本記事では、時短勤務の対象者やメリット・デメリットといった基礎知識から、2025年4月の育児・介護休業法の改正を中心とした最新の法改正情報までを解説します。

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1. 時短勤務(短時間勤務制度)とは?

手をつないで歩いている小学生の男の子と母親

時短勤務(短時間勤務)とは、育児・介護休業法に基づき、育児や介護の事情を抱える従業員が、通常より短い労働時間で働ける制度のことです。

多くの企業では、就業規則などで1日の所定労働時間を8時間と定めています。しかし、育児や介護をしている従業員にとっては、フルタイム勤務が難しい場合もあり、仕事と家庭を両立するための支援制度として時短勤務制度が設けられています。

一般的には、1日の所定労働時間を6時間程度に短縮するケースが多く見られます。また、6時間勤務に加えて7時間勤務を設けたり、週の所定労働日数を短縮する制度を導入したりすることで、従業員の事情に応じた柔軟な働き方を実現しやすくなります。

参考:改正法の下での短時間勤務制度について|厚生労働省

2. 育児による時短勤務の対象者と取得できる期間

注意

育児・介護休業法では、3歳未満の子どもを養育する従業員に対し、時短勤務制度を設けることが事業主に義務付けられています。ここでは、育児による時短勤務の対象者の要件と、法定の取得期間を詳しく解説します。

参考:短時間勤務等の措置|育児休業制度特設サイト(厚生労働省)

2-1. 育児による時短勤務の対象者

育児による時短勤務の対象者は、原則として「3歳未満の子どもを養育している従業員」です。正社員・契約社員・パートなど雇用形態は問いません。1日の所定労働時間がすでに6時間以下の場合や、制度の適用期間中に育児休業(産後パパ育休を含む)を取得中の場合は対象外となります。

ただし、労使協定の締結により、次の従業員は対象から除外できます。

  • 日々雇用される者
  • 当該事業主に継続して雇用された期間が1年未満である者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の者
  • 業務の性質または業務の実施体制に照らして短時間勤務制度を講じることが困難と認められる業務に従事する者

なお、対象となる子どもは1人に限りません。2人以上の子どもがいる場合、上の子が3歳を超えていても、1人でも3歳未満であれば時短勤務を取得できます。上の子が3歳の誕生日を迎えたことを機に打ち切らないよう、兄弟姉妹の年齢を含めた確認をしましょう。

2-2. 取得できる期間:子どもが3歳に達する日まで

育児による時短勤務の法定期間は、子どもが「3歳になる誕生日の前日まで」です。育児休業取得後に職場復帰した場合も同様で、復帰後から3歳の誕生日前日まで利用できます。

なお、「3歳に達する日まで」とは、民法の考え方に基づき、誕生日の前日です。実務では「3歳の誕生日の前日まで」と明確に規定し、就業規則へ記載しましょう。

2-3. 独自の時短制度で法定を超えた設定も可能

企業独自の制度として、法定期間を超えた時短勤務を認めることも可能です。厚生労働省の令和6年度雇用均等基本調査によると、育児のための所定労働時間短縮措置として「短時間勤務制度」を導入している企業は70.0%にのぼります。

参考:事業所調査(結果概要)|厚生労働省

企業規模を問わず整備が進んでおり、法定期間を超えた独自の延長制度を設ける企業も増えています。延長の目安となる主なライフステージは次のとおりです。

  • 小学1年生まで:入学直後は下校時刻が早く、保育園時代のような長時間の預かりがないため、学童保育や学校生活に慣れるまで保護者のフォローが必要です。
  • 小学3年生まで:学童保育に在籍中も、退室時間に合わせて親が迎えに行けるよう早く退勤したいニーズがあります。
  • 小学6年生まで:多くの自治体で学童保育の対象は小3までのため、小4以降は放課後の預け先確保が難しくなります。離職防止のため、小6修了まで適用を認める企業も増えています。

また、2025年10月施行の法改正により、3歳から小学校就学前の子を養育する従業員に対して柔軟な働き方のための措置を講じることが義務化されました。詳細は、「4. 2025年法改正の時短勤務への影響」で解説します。

3. 介護による時短勤務の対象者と取得できる期間

はてなマーク

介護を理由とする時短勤務は、育児の場合とは異なり、明確な終了期限が設けられていない点が特徴です。ここでは、介護による時短勤務の対象者の要件と、法定の取得期間を解説します。

3-1. 介護による時短勤務の対象者

介護による時短勤務の対象者は、「要介護状態にある家族を介護している従業員」です。ここでいう「要介護状態」とは、負傷・疾病・身体上・精神上の障害により、2週間以上の期間にわたって常時介護を必要とする状態をいいます。

対象となる家族の範囲は、配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫です。育児と同様に、労使協定を締結した場合は継続雇用1年未満の従業員などを除外できます。

なお、介護の場合は育児とは仕組みが異なり、事業主は①短時間勤務制度、②フレックスタイム制、③始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ(時差出勤)、④介護サービス費用の助成のいずれか1つ以上を設ければよく、必ずしも短時間勤務制度単独での提供が義務ではありません。

また介護の短時間勤務制度は、1日の所定労働時間の短縮に限らず、週・月単位での労働時間・日数の短縮や、労働者が個々に勤務しない日・時間を請求できる制度も含まれます。

3-2. 取得できる期間:利用開始日から連続する3年以上の期間

介護による時短勤務は、「利用開始日から連続する3年以上の期間に、2回以上利用できる」と法律で義務付けられています。育児とは異なり、明確な終了期限が設けられておらず、少なくとも3年以上・複数回利用できるよう制度を整える必要があります。

「3年」というのは最低ラインであり、介護の状態が続く限り延長しての運用も可能です。また、「2回」は就業規則で2回を上限とする規定は認められますが、1回のみにはできません。

なお、介護は突発的に必要となるケースもあるため、申請期限は育児よりも短く「2週間前」とするのが一般的です。

参考:短時間勤務等の措置|介護休業制度特設サイト|厚生労働省

4. 【2025年4月・10月施行】育児介護休業法改正に関連する時短勤務のポイント

注意のイメージ

2025年施行の育児・介護休業法改正では、時短勤務に関連して対応すべき新たなポイントがいくつか盛り込まれました。ここでは時短勤務にかかわる改正点をピックアップして解説します。

育児・介護休業法改正の全体像について知りたい方は、関連記事もご覧ください。

関連記事:【2025年4月・10月施行】育児・介護休業法改正のポイントは?企業がすべき対応や罰則をわかりやすく解説

4-1. 育児時短就業給付金の新設

2025年4月に「育児時短就業給付金」が創設されました。これは、2歳未満の子どもを養育するために時短勤務を利用する雇用保険の被保険者が、一定の要件を満たした場合に受給できる制度です。

対象となるのは雇用保険の被保険者で、過去2年以内に一定期間雇用保険に加入していた従業員など、一定の要件を満たす場合に限られます。

 

内容

対象者

雇用保険被保険者で2歳未満の子を養育するため時短勤務中の従業員

給付額

時短勤務中に支払われた賃金の10%相当

支給限度額(月額)

47万1,393円(2026年7月31日まで)

注意点

時短勤務中の賃金+給付額が上限額を超える部分は支給なし

支給額は、原則として時短勤務中に支払われた賃金額の10%相当額です。ただし、時短勤務中の賃金と給付金の合計が、時短勤務開始時の賃金水準を超えないよう支給率が調整される場合があります。

支給対象期間は、原則として「時短勤務を開始した日の属する月」から「時短勤務を終了した日の属する月」までです。例えば、4月21日に時短勤務を開始し、翌年3月20日に通常勤務へ戻った場合は、4月から翌年3月までが支給対象となります。

なお、給付金の申請は、基本的には企業が2ヵ月ごとにおこないますが、従業員本人による申請や1ヵ月ごとの申請も可能です。申請漏れを防ぐためにも、事前に社内の申請フローや必要書類を確認しておくことが重要です。

参考:2025年4月から「育児時短就業給付金 」を創設しました|厚生労働省

関連記事:育児時短就業給付とは?対象者と支給額・期間や申請方法を解説

4-2. 時短勤務の代替措置にテレワークが追加

育児時短勤務制度について、業務の性質または実施体制に照らして短時間勤務制度を講じることが困難な業務に従事する従業員は、労使協定により適用除外にできます。しかし、この場合、企業は短時間勤務制度の代替措置として、次のいずれか1つ以上を講じなければなりません。

  • 育児休業制度に準ずる措置
  • フレックスタイム制
  • 時差出勤
  • 保育施設の設置・運営等
  • テレワーク等(※2025年4月追加)

参考:育児休業制度 短時間勤務等の措置|厚生労働省

2025年4月施行の育児・介護休業法改正により、短時間勤務制度の代替措置として「テレワーク等」が追加されました。また、3歳未満の子どもを養育する従業員および要介護状態の対象家族を介護する従業員について、テレワークを選択できるよう措置を講じることが、企業の努力義務とされています。

参考:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内 令和7(2025)年4月1日から段階的に施行|厚生労働省

4-3. 3歳から小学校就学前の柔軟な働き方を実現するための措置が義務化

2025年10月からは、3歳から小学校就学前の子どもを養育する従業員に対し、企業が次の5つの措置の中から2つ以上を講じる「柔軟な働き方を実現するための措置」の導入が義務化されています。

  • フレックスタイム制または時差出勤
  • 保育施設の設置・運営等
  • テレワーク等(月10日以上)
  • 養育両立支援休暇の付与(年10日以上)
  • 短時間勤務制度

参考:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内 令和7(2025)年4月1日から段階的に施行|厚生労働省

従業員は、企業が導入した措置の中から1つを選択して利用できます。これまで短時間勤務制度の義務対象は3歳未満の子どもを養育する従業員に限られていましたが、企業が措置として短時間勤務制度を導入し、従業員が利用を希望した場合には、小学校就学前まで利用できるようになります。

また、企業には、対象となる従業員に対して適切な時期に制度内容を個別に周知するとともに、利用意向を確認することも求められます。

参考:柔軟な働き方を実現するための措置|厚生労働省

関連記事:【2025年4月・10月施行】育児・介護休業法改正のポイントは?企業がすべき対応や罰則をわかりやすく解説

5. 時短勤務のメリットとデメリット

メリットとデメリット

時短勤務制度は、育児や介護と仕事を両立しやすくする一方で、企業側・従業員側の双方に影響がある制度です。導入や利用にあたっては、メリットに加えてデメリットも理解しておくことが重要です。

5-1. メリット

時短勤務の大きなメリットは、育児や介護と仕事を両立しやすくなる点です。勤務時間を短縮すれば、保育園の送迎や通院、家族の介護などに対応しやすくなり、従業員のエンゲージメント向上や離職防止につながることが期待できます。

また、時短勤務を積極的に導入・活用し、その取り組みを社外へ発信すれば、企業イメージの向上にもつながります。さらに、時短勤務をきっかけとして、フレックスタイム制やテレワーク、時差出勤など柔軟な働き方を整備すれば、多様な人材が能力を発揮しやすい職場環境を実現できます。

育児や介護への理解がある企業として認知されれば、求職者からの評価向上にもつながり、採用市場での競争力強化が期待できます。結果として、優秀な人材の確保や定着にも好影響をもたらすでしょう。

5-2. デメリット

時短勤務を導入すると、短縮された勤務時間分の業務をほかの従業員が補う必要があるので、業務の再配分や担当範囲の見直しが発生し、管理者の運用負担が増える点がデメリットです。

そのため、業務の属人化を防ぎ、複数人で対応できる体制を整えることが重要です。また、アウトソーシングの活用や業務のシステム化を進めることで、業務効率化を図る必要があります。

さらに、時短勤務では短縮した労働時間に応じて給与が減額されるケースが一般的であり、家計への影響が生じる可能性もあります。そのため、2025年4月に創設された「育児時短就業給付金」などの公的制度を活用し、収入減少への備えを検討することも大切です。

参考:2025年4月から「育児時短就業給付金 」を創設しました|厚生労働省

関連記事:育児時短就業給付とは?対象者と支給額・期間や申請方法を解説

6. 時短勤務を導入する際の就業規則作成のポイント

指を立てる女性

時短勤務制度を導入する場合は、就業規則に制度の内容や取扱いを明確に定めておく必要があります。就業規則への記載が不十分だと「制度の存在を知らず申請できなかった」といったトラブルにつながるおそれがあるので、対象者や申請方法などをわかりやすく明文化しておくことが重要です。

6-1. 時短勤務の条件(対象者や期間など)を明確にする

時短勤務制度を導入する際は、まず育児・介護休業法の内容を確認し、自社としてどのような対応が必要かを整理することが重要です。対象者の範囲や取得期間などを明確にし、制度設計に反映させましょう。

育児のための短時間勤務制度については、原則として3歳未満の子どもを養育する従業員が対象となり、企業には制度を整備する義務があります。また、介護に関しても、短時間勤務やフレックスタイム制など、法律で定められた措置を講じる必要があります。

自社の制度内容が曖昧なままでは、従業員との認識のズレや運用トラブルにつながる可能性があるので、あらかじめ詳細なルールを定めておくことが大切です。

6-1-1. 派遣社員の場合は派遣元への連携が必要

派遣社員が時短勤務を希望する場合、労働契約の締結主体である「派遣元(派遣会社)」との連携が不可欠です。育児・介護休業法では、時短勤務制度の提供義務は派遣元となる派遣会社に課されています。

そのため、派遣先企業が勤務時間や業務内容を調整する際には、派遣会社と協議し、労働契約や就業条件の変更内容を正式に確認する必要があります。また、派遣社員本人は申請先を知らない可能性もあるので、説明や同意も重要です。

派遣元・派遣先・本人の三者で情報共有を徹底して、トラブルを防止しましょう。

6-1-2. 管理監督者への適用の注意点

労働基準法上の管理監督者は、労働時間の規定が適用除外のため、育児・介護休業法上の短時間勤務制度の取得も対象外です。ただし、管理監督者であっても短時間勤務制度に準じた措置の導入は可能で、仕事と家庭の両立支援の観点から、そうした配慮が望ましいとされています。

しかし、管理監督者に時短勤務相当の措置を認める場合、安易に時間比例で給与を減額すると「実態は管理職ではない」と判断されるおそれがあります。その結果、割増賃金の支払い義務が生じるリスクもあるでしょう。

このようなリスクの回避方法として、所定労働時間の短縮を認めつつ賃金は減額せず据え置くことや、本人合意のもと短縮時間相当を減額した金額を時短期間中の賃金とする、などが考えられます。管理監督者本人の意向を十分に確認し、法律上の扱いを維持したまま柔軟な働き方を実現できないか検討しましょう。

関連記事:労働基準法第41条第2号に規定された管理監督者について詳しく解説

6-2. 時短勤務の申請期限・方法を就業規則に定める

時短勤務制度を円滑に運用するためには、申請期限や申請方法を就業規則であらかじめ明確に定めておくことが重要です。

申請期限について法律上の決まりはありませんが、時短勤務の開始に伴って業務の引き継ぎや人員調整が必要になるため、育児を理由とする場合は「開始の1ヵ月前まで」、介護を理由とする場合は緊急性も踏まえて「2週間前まで」を目安に設定するケースが一般的です。

また、申請・承認フローが複雑だと、従業員だけでなく管理職の負担も大きくなります。そのため、オンライン申請を活用したり、承認ルートを整理したりするなど、できるだけ簡潔な運用体制を整えることが大切です。

あわせて、申請書の記入例を用意するなど、手続き上の負担を軽減する工夫をおこなうと、制度の利用促進にもつながります。

6-3. 就業規則の変更を周知する

これまでの段階で検討した時短勤務の対象者や利用条件、申請ルール、評価方法などは、就業規則に明確に定めておきましょう。制度内容を明文化することで、従業員の理解を深めやすくなり、運用上のトラブル防止にもつながります。

労働条件を変更する場合、原則として従業員本人の同意が必要です。ただし、就業規則の変更によって労働条件の変更が認められるケースもあります。

しかし、従業員に不利益となる変更をおこなう場合は、変更内容に合理性があり、かつ変更後の就業規則を労働者へ適切に周知していることが要件となるので注意が必要です。

また、就業規則を変更した場合は、労働基準監督署への届出が必要となります。その際には、労働者代表の意見書を添付しなければなりません。

さらに、変更後の就業規則は、社内掲示やイントラネットへの掲載、書面配布など適切な方法で従業員へ周知する必要があります。周知が不十分な場合、就業規則の効力が認められないおそれもあるので注意しましょう。

参考:労働契約(契約の締結、労働条件の変更、解雇等)に関する法令・ルール|厚生労働省

関連記事:就業規則の変更を届出る際の提出方法と気をつけるべき4つの注意点

6-4. 【記載例】時短勤務に関する就業規則

就業規則に時短勤務の内容を記載する際の文言例を紹介します。記載方法に規定はありませんが、従業員にもわかりやすい内容であることが重要です。自社の運用に合わせて適宜、編集してください。

育児時短勤務の期間の記載例

第〇条(育児短時間勤務)

  1. 3歳に満たない子を養育する従業員は、申し出ることにより、就業規則第◯条の始業時間および終業時間について、以下のように変更することができる。

    始業時間:午前9時 終業時間:午後4時

  2. 育児時短勤務を利用する者は、1回につき、1ヵ月以上1年以内の期間について申請することができる。

  3. 育児短時間勤務を利用する際は、原則として当該勤務予定日の1ヵ月前までに、短縮を開始する日と終了する日を明らかにし、育児短時間勤務申出書により企業に申し出なければならない。

なお、利用期間については「労働者との協議により決定する」といった定め方でも差し支えありません。また、3歳以降も時短勤務を利用できるようにする場合は、「企業が必要と認めた場合は、小学校〇年生修了まで育児短時間勤務を利用できる」など、法定基準を上回る独自制度として規定しておくとよいでしょう。

介護時短勤務の期間の記載例

第〇条 (介護短時間勤務)
要介護状態にある家族を介護する従業員は、申し出ることにより、当該家族1人当たり利用開始の日から3年の間で2回までの範囲内で、就業規則第◯条の所定労働時間について、以下のように変更することができる。


  1. 始業時間:午前9時 終業時間:午後4時

  2. 介護短時間勤務を利用する際は、原則として当該勤務予定日の2週間前までに、短縮を開始する日と終了する日を明らかにし、介護短時間勤務申出書により企業に申し出なければならない。

利用回数については、法令上「期間内に2回以上」と定められているため、就業規則で「2回まで」と規定することは可能です。一方で、企業独自の判断で「1回のみ」と制限することは認められません。制度設計の際は、法令で定められた基準を遵守する必要があります。

7. 時短勤務中に確認しておきたい労働条件のポイント

人差し指を立てる女性

ここでは、時短勤務中に確認しておきたい労働条件のポイントを紹介します。

7-1. 短縮した労働時間に応じて給与を適切に設定する

賃金の支払いには、実際に働いた時間に応じて賃金を支払うという「ノーワーク・ノーペイの原則」があります。そのため、時短勤務では、短縮した労働時間に応じて給与額を調整する企業が一般的です。

とくに月給制の場合は、勤務時間の短縮割合に応じて基本給を按分計算するケースが多くみられます。例えば、次のような計算式で基本給を算出する方法があります。

基本給(月額) × 時短勤務中の所定労働時間 ÷ 通常の所定労働時間

例えば、通常勤務が1日8時間、時短勤務が1日6時間の場合、勤務時間は通常の75%となります。基本給30万円の従業員は時短勤務によって22万5,000円に減額されます。

ただし、時短勤務中の給与の取り扱いは企業ごとに異なるので、就業規則や賃金規程に基づいて適切に運用する必要があります。また、基本給だけでなく、通勤手当や役職手当など各種手当の扱いについても明確にしておくことが重要です。

加えて、育児や介護を理由とした短時間勤務であることのみを理由に、不合理な待遇差を設けることは認められていません。通常勤務の従業員との均衡にも配慮しながら、公平な制度運用をおこなうことが求められます。

関連記事:時短勤務の給料計算方法は?減額率の考え方と育児時短就業給付金や実務上の注意点

7-2. 労働時間に応じた休憩時間を適切に付与する

時短勤務中であっても、労働時間に応じた休憩時間を付与しなければなりません。労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与える必要があります。

例えば、1日の所定労働時間を6時間ちょうどに短縮した場合、法律上は休憩を付与する義務はありません。一方で、6時間を超えて勤務する場合には休憩を与える必要があります。

また、法定の休憩義務がない場合でも、従業員の働きやすさや労務管理のしやすさなどを考慮して、企業独自に休憩時間を設けるケースもあります。休憩時間の取り扱いについては、就業規則やシフトルールなどで事前に明確化しておくことが重要です。

関連記事:時短勤務者の休憩時間は?その上限や短時間勤務制度の注意点を解説

7-3. 残業免除の申請手続きや運用ルールを整理しておく

時短勤務中であっても、原則として残業をおこなうこと自体は禁止されているわけではありません。ただし、残業を命じる場合には、通常の労働者と同様に残業代や割増賃金を支払う必要があります。

一方で、一定の条件を満たす従業員は、育児・介護休業法に基づき「所定外労働の制限(残業免除)」を請求できます。例えば、小学校就学の始期に達するまでの子どもを養育する従業員から請求があった場合、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、企業は原則として残業を命じることができません。

また、育児・介護休業法では、「所定外労働の制限(残業免除)」のほかにも、「時間外労働の制限」や「深夜業の制限」といった制度が定められています。

  • 所定外労働の制限:所定労働時間を超える労働を免除する制度
  • 時間外労働の制限:1ヵ月24時間、1年150時間を超える法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた労働を制限する制度
  • 深夜業の制限:午後10時から午前5時までの深夜業を制限する制度

企業側は対象者や申請方法などの運用ルールを整理しておくことが重要です。

参考:育児・介護休業法のあらまし|厚生労働省

関連記事:時短勤務の残業時間とは?制限や企業の対応方法を解説

7-4. 社会保険料の取り扱いと将来の年金への影響を理解する

時短勤務によって給与が減少しても、通常の随時改定の要件を満たさない場合には、すぐに標準報酬月額が改定されず、社会保険料が当面変わらないことがあります。

ただし、育児休業終了後に時短勤務へ移行した場合は、「育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出することで、通常の随時改定の要件を満たさなくても、育児休業終了後の報酬額をもとに標準報酬月額を改定でき、社会保険料の負担が軽減される可能性があります。

一方で、標準報酬月額が下がると、将来受け取る老齢厚生年金額に影響する可能性があります。ただし、3歳未満の子どもを養育しながら時短勤務をしている場合などは、「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」を利用できることがあります。

この制度を利用すると、実際の標準報酬月額が低下していても、年金額の計算上は、養育開始前のより高い標準報酬月額を用いて厚生年金額を計算できます。なお、実際の社会保険料は、引き下げ後の標準報酬月額に基づいて算定されます。

参考:育児休業等終了時報酬月額変更届の提出|日本年金機構
参考:養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置|日本年金機構

関連記事:時短勤務における社会保険料はどうなる?減額される期間や注意点も解説

8. 時短勤務からフルタイム勤務に戻す際の注意点

吹き出し

従業員からフルタイム勤務への復帰希望があった場合は、できるだけ早く対応することが大切です。復帰にあたっては、育児や介護の状況、家庭内のサポート体制などを本人と確認し、無理なく勤務できる環境が整っているかを話し合いましょう。

8-1. 不利益な取扱いの禁止

育児・介護休業法では、時短勤務の申出・利用を理由とする不利益な取扱いが禁止されています。例えば、次のような行為は違法となる可能性があります。

  • 解雇・雇止め
  • 契約更新回数の上限引き下げ
  • 退職強要・正社員からパートタイム労働者への雇用形態変更の強要
  • 降格
  • 減給・賞与等の不利益な算定
  • 昇進・昇格の人事考課における不利益な評価
  • 不利益な配置転換
  • 労働者の意に反した所定外労働制限・時間外労働制限・深夜業制限・所定労働時間短縮等の強制適用

企業としては、制度利用者に対する不利益取扱いを防止するだけでなく、管理職への周知や相談窓口の整備を通じて、安心して制度を利用できる職場環境を整備することが重要です。

8-2. 労働者の配置に関する配慮

家族に介護や育児が必要な者がいる従業員に対して、転勤や部署換えなどの配置換えをおこなう際には、「配慮義務」が法律で定められています。

具体的には、本人の意志を汲み取ること、家族の介護・育児の状況の把握、転勤後の介護・育児の代替手段の有無の確認などが求められます。「通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる」転勤命令は、裁判で無効とされた事例(ネスレ日本事件)もあるため、必ず本人の意思と状況を確認したうえで判断しましょう。

参考:全情報|全基連(公益社団法人全国労働基準関係団体連合会)

8-3. 短時間正社員制度の活用

時短勤務はあくまで期間限定の措置であり、期限後はフルタイムに戻るか退職するしかないと考えてしまうかも知れません。しかし、「短時間正社員制度」を活用すれば、育児・介護がひと段落した後も「フルタイムは難しいが短時間なら働き続けたい」という従業員に対応できます。

短時間正社員制度は、フルタイム正社員と同様の無期雇用・直接雇用を維持しつつ、所定労働時間を恒常的に短縮する働き方で、育児・介護による時短勤務とは異なり期限がありません。導入にあたっては、賃金・賞与・昇格などの取り扱いをフルタイム社員の待遇との均衡に配慮したうえで、就業規則に明記しましょう。

参考:短時間正社員制度の導入・定着支援|厚生労働省

関連記事:時短勤務における社会保険料はどうなる?減額される期間や注意点も解説

9. 時短勤務に関連するよくある質問

はてなと男性

ここでは、時短勤務に関連するよくある質問への回答を紹介します。

9-1. 時短勤務は何歳まで利用できる?

育児短時間勤務は、育児・介護休業法に基づき、原則として子どもが3歳になるまで利用できます。ただし、企業によっては法定を上回る制度を設けている場合もあり、「小学校就学前まで」「小学3年生まで」など、独自に利用期間を延長しているケースもあります。そのため、実際に何歳まで利用できるかは、各企業の制度設計によって異なります。

なお、2025年10月施行の育児・介護休業法改正では、3歳から小学校就学前の子どもを養育する労働者に対して、企業が柔軟な働き方を実現するための措置を講じることが義務化されています。具体的には、テレワークや始業時刻の変更、短時間勤務制度などの中から、複数の措置を選択して導入する必要があります。

参考:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内 令和7(2025)年4月1日から段階的に施行|厚生労働省

9-2. 時短勤務者に対しても賞与の支給は必要?

賞与(ボーナス)の支給は、法律上すべての企業に義務付けられているものではなく、時短勤務中の賞与の有無や算定方法は、就業規則などに基づいて各企業が定められます。

例えば、所定労働時間の短縮割合や勤務実績などに応じて、支給額を按分して調整する運用がおこなわれることがあります。

一方で、時短勤務を利用していることのみを理由として、一律に賞与を不支給とする運用は、不合理な不利益取扱いと判断される可能性があるため注意が必要です。

9-3. 時短勤務中も有給休暇を取得できる?

時短勤務中であっても、要件を満たせば年次有給休暇を取得できます。また、時短勤務者であっても、週の所定労働日数が通常の従業員と同じであれば、原則として有給休暇の付与日数も変わりません。

例えば、1日の所定労働時間を6時間に短縮していても、週5日勤務であれば、通常のフルタイム従業員と同じ日数の年次有給休暇が付与されます。

一方で、時短勤務に伴い週の所定労働日数も減少する場合には、労働基準法上の「比例付与」が適用され、所定労働日数に応じて有給休暇の日数が決定される可能性があるので注意が必要です。

なお、有給休暇を取得した日の賃金は、一般的に「所定労働時間勤務した場合に支払われる通常の賃金」を基準に計算されます。そのため、時短勤務中は、短縮後の所定労働時間に応じた賃金額となるケースが一般的です。

参考:年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています|厚生労働省

関連記事:時短勤務者の有給取得は損になる?日数や賃金の計算方法を解説

10. 時短勤務制度を導入して働きやすい環境を整えよう

笑顔の女性

時短勤務を導入すれば、育児や介護を担う従業員が仕事と家庭を両立しやすくなり、企業にとっても人材の離職防止につながるというメリットがあります。一方で、特定の従業員の労働時間が短くなることで、周囲の従業員に業務負担が偏ってしまうと、制度を利用しにくい雰囲気が生まれるおそれもあるので注意が必要です。

時短勤務を円滑に運用するためには、フルタイム勤務の従業員へ過度な負担が集中しないよう業務体制を見直すとともに、制度の目的や内容を社内に周知し、理解を深めてもらうことが重要です。また、従業員一人ひとりが自身の状況に応じた働き方を選択できるよう、テレワークやフレックスタイム制など、柔軟な働き方の導入をあわせて検討するとよいでしょう。

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jinjer Blog 編集部

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