残業時間の端数処理で企業が注意すべきポイント - バックオフィスクラウドのジンジャー(jinjer)

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残業時間の端数処理で企業が注意すべきポイント

疲弊した女性

労働時間管理の原則として、企業は従業員の労働時間を1分単位で記録し、1ヶ月単位の合計時間で給与を計算する必要があります。
そこで問題になってくるのが、「5分の遅刻はどう処理するのか」「残業時間の端数はどうすればよいのか」といった悩みです。毎日定時の出社時刻と退社時刻は就業規則で決められていても、実際には日々の残業や早出・早退などで端数が出ます。

このとき、生じた端数を一方的に切り捨ててしまうと、労働基準法違反になる場合もあるので気をつけましょう。この記事では、労働時間の端数処理で企業が意識すべきポイントについて解説します。

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1. 従業員の残業時間を1分単位で管理する

労働時間管理の原則は、従業員の残業時間を1分単位で管理することです。

基本的に、「今日は5分遅刻したから30分の遅刻として処理する」「○時まで出社しなかった場合は半休になる」といった処理をすることはできません。

基本給を支払う労働時間も、割増賃金を支払う時間外労働時間についても、すべて1分単位で実際に働いてもらった時間を記録しておく必要があります。

【関連記事】1分刻みは常識!タイムカードで残業時間を正しく計算する方法

2. 1日の残業時間を勝手に切り捨てると労働基準法違反

労働時間の端数処理をする際に、企業として注意すべきポイントは、「企業内のルールで好き勝手に残業時間の端数を切り捨ててはならない」ことです。

先ほど説明したとおり、企業は1分単位で残業時間を記録し、1ヶ月の総労働時間を使って給与計算をする必要があります。

会社ごとの独自ルールで残業時間の切り捨てできるようにすると、企業側の意思ひとつでいくらでも人件費を圧縮できてしまうため、適切な給与支払いをすることができません。

そのため、労働時間の端数の扱い方については各地の労働局や労働基準法でガイドラインが示されており、適切な方法に則っていないと労働基準法違反になってしまいます。

特に、通常の残業時間よりも時間給が高くなる残業時間の端数処理は、取り扱い方を間違えると従業員からも厳しく追求される可能性が高いです。

従業員側に不利益のある方法で端数処理をしていたため、従業員が退職する際に未払い残業代を一括請求されたというケースも少なくありません。

3. 原則として時間外労働以外は端数処理をしてはならない

企業として残業時間の端数処理をする際、覚えておきたいのが法定労働時間とそれ以外の時間の扱い方です。基本的に、法定労働時間以内の労働時間に対しては、端数処理をしてはいけません。

基本給に25%から35%の割増賃金を上乗せして支払う必要のある時間なので、多くの場合、法定労働時間内の基本給は一定です。

遅刻に対する処罰といった特殊なケースを除いて、労働時間に端数があっても従業員に支払う給与は変わらないので、端数処理をする必要はありません。労働時間の端数処理は、原則として残業手当の調整時におこなうものだと考えておきましょう。

【関連記事】勤怠管理の丸めとは?処理方法の基本と丸めの違法性について解説

4. 法律を守って労働時間の端数を処理する方法

端数処理をする場合は、「1ヶ月の総労働時間に対する端数」を処理しましょう。日々の労働時間自体を1分単位で管理しておき、1ヶ月の総計を出したときに端数が出たら、社内ルールで切り上げたり切り捨てたりすることが可能です。

大抵の企業では、「労働時間の端数が30分未満なら切り捨てる」「労働時間の端数が30分以上ある場合は切り上げる」というルールを採用しています。

現実的な給与計算において、正確に1分単位での給与を求めると、給与額や源泉徴収額などの計算が複雑になってしまうため、特定条件下であれば端数処理が可能です。

5. 労働基準法に違反した場合はどうなる?

残業代計算のルールは、労働基準法という法律で決まっています。労働基準法に違反した状態で従業員を働かせていることが明らかになった場合、その会社に対しては行政からの指導が入る可能性があります。
この項目では「労働基準法に違反している会社がどのようなリスクを抱えているのか」について解説します。

5-1. 労働基準法とは?

労働基準法は、働く人の権利を守ために制定された法律です。企業(雇用主)と労働者とは「雇用契約」によって「企業は賃金という形でお金を払い、労働者はその分だけ働く」という約束をしています。

企業と労働者だけで自由に契約を結んでしまう傾向がありますが、何も規制が無ければ、立場が強い企業側に一方的な内容の雇用契約が締結されてしまいます。

そのような労働者が不利になることを避けるために、国は「労働基準法」という法律によって労働者を守るルールを企業に課しています。

5-2. 残業代を払わないと違反になる

残業代についても、労働基準法によって「全額を支払わなければならない」というルールが定められています。具体的には労働基準法第24条に以下のような記述があります。

「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」

条文後半の「その全額を支払わなければならない」とは、具体的には「1分単位で残業代を計算して残らず支給しなさい」ということです。
ただし、月給で賃金を計算している場合には、月の合計残業時間のうち30分未満については切り捨てることができるルールになっていることは、先に解説したとおりです。

5-3. 違反すると罪に問われる

労働基準法に違反していることが明らかになった場合「労働基準監督署」という役所から、企業に対して是正勧告がなされることがあります。

是正勧告とは、サッカーでいうところの「イエローカード」のようなものです。是正勧告は法律的には行政指導ですので、もし従わなかったとしても刑事罰が課せられることはありません。

しかし、是正勧告をたびたび受けているにもかかわらず職場の環境を改めることがなかった場合には、会社に刑事罰が科せられ、書類送検を受ける可能性があります。

5-4. 違反した際の罪の重さは

労働基準法に違反して刑事罰を受ける場合、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。刑事罰を受けた企業は、世論から非難を受ける可能性があります。

昨今はSNSなどで情報共有がすぐにできてしまうので、取引先の開拓や新入社員の採用活動で大きなダメージを受けるケースが少なくありません。違反した後のリスクを考慮した経営体制も重要です。

6. 残業を1分単位で計算してもらうには?

基本的にはきちんと法に沿って労働環境が用意されているはずですが、人手不足となりがちな中小企業では「残業代を少ない固定額で支給する」「一日ごとに残業代を計算して分単位を切り捨てる」「遅刻や早退に対する制裁として残業代をカットする」というような企業の主観でルールを設けているところも少なくありません。

こうした違法な状態は、残業代請求によって解決できる可能性があります。実際、長年にわたって残業代が支給されていなかった職場に対して残業代請求をまとめておこない、数百万円単位の残業代が支給されるようなケースもあります。

以下では、残業代請求を成功させるにはどのような対策をしていけばいいのかを解説します。残業をしているのに給料が少ないという不満をお持ちの方は、ぜひ参考にしてみてください。

6-1. まずは証拠を揃える

残業代請求をおこなうためには、まずは「どれだけの残業時間が発生しているのか」を確定し「実際に支払われた賃金といくらの差額があるのか」を明確にする必要があります。

そのためには、残業代計算の基礎となる証拠を揃えなくてはなりません。残業代の発生を証拠づけるものとしては以下のようなものが挙げられますので、準備しましょう。

6-2. 会社と交渉

証拠に基づいて残業時間を計算し、実際の賃金額と差がある際には、過去に支払われていない残業代を請求するとともに、今後の改善を要求することになります。

従業員の立場でこうした主張をおこなうことは、逆にあなたの職場内での立場を悪くしてしまう可能性もありますが、会社側の義務もありますので堂々と交渉しましょう。ただし、残業代の請求をした結果、職場に居づらくなって退職を余儀なくされた……などということになれば本末転倒ですから、会社側との交渉は慎重におこなうようにしましょう。

6-3. 弁護士や法律関係の事務所に相談

会社との信頼関係を決定的に破壊してしまわないようにするためには、労働問題に詳しい専門家に間に入ってもらうのが適切です。
労働法に違反した状況というのは会社にとってもリスクがある状況ですから、現状どのような問題が生じているのかを専門家の立場で説明していけば、会社側も柔軟に対応してくれる可能性があります。

6-4. 労働基準監督署に相談

会社側との交渉がどうしてもうまくいかない場合には、労働基準監督署に相談することも選択肢に入れましょう。労働基準監督署は、是正勧告などの形で職場環境の改善について働きかけてくれる可能性があります。

しかし、労働基準監督署に調査のために動いてもらうためには通常長い時間がかかります。労働基準監督署への相談はあくまでも事前の策と位置付けて、基本的には弁護士を介して法律に基づく請求をおこなっていくのが良いでしょう。

7. 残業代を請求するときの注意点


ここでは、残業代の請求をするときに注意しておくべきポイントについて解説します。大切なのは「残業代請求をおこなえる権利の「時効」について理解しておくこと」「労働法の専門家への相談を検討しておくこと」の2点です。以下で順番に解説します。

7-1. 残業代請求の権利は2年で失効する

残業代を請求する権利は、2年間放置し続けていると失効してしまいます。特に、退職後に残業代請求をおこなう場合には注意が必要です。

しかし、時効は中断をおこなうことが可能です。文書を通じて会社側に「これだけの残業代が未払いになっているので、支払って欲しい」と請求をおこなっておけば、その時点で時効の進行を中断することが可能です。

文書による時効の中断については法的知識が必要ですので、実際に時効中断をおこなう場合には、弁護士に相談しておこなうのが良いでしょう。

7-2. 弁護士をつける

残業代請求を検討している労務担当者様は、ぜひ労働問題を専門としている弁護士に相談することを検討しましょう。弁護士は労働法についての専門家であるだけでなく、交渉ごとのプロでもあります。

残業代請求は、専門の弁護士に依頼をするかどうかによって精神的負担が変わります。早めに相談して悩みを解決することで、次の仕事がスムーズにはかどるでしょう。

8. 法律を守って残業時間の端数を処理する方法

法律を守った労働時間の端数処理の方法は、1ヶ月間の労働時間の端数を切り上げ・切り捨てる、といったやり方になっています。

8-1. 1ヶ月間の労働時間の端数はルールを決めて切り上げ・切り捨て処理できる

労働時間の端数処理をする場合は、「1ヶ月の総労働時間に対する端数」を処理しましょう。日々の労働時間自体を1分単位で管理しておき、1ヶ月の総計を出したときに端数が出たら、社内ルールで切り上げたり切り捨てたりすることが可能です。

大抵の企業では、「労働時間の端数が30分未満なら切り捨てる」「労働時間の端数が30分以上ある場合は切り上げる」というルールを採用しています。

現実的な給与計算において、正確に1分単位での給与を求めると、給与額や源泉徴収額などの計算が複雑になってしまうため、特定条件下であれば端数処理が可能です。

8-2. 端数処理のルールは就業規則の作り込みが必要

労働時間や支払い給与の切り捨て・切り上げ、繰り越しといった処理をする場合、就業規則にどういう端数処理をするのかを盛り込んでおきましょう。

とくに注意したいのが、「遅刻に対する処罰」として労働時間を減らすという手立てを取るときです。たとえ遅刻であっても、5分の遅れに対して30分の労働時間削減を与えるといった対処は通常取ることができません。

しかし、社内の懲罰規定として遅刻などに対する労働時間の切り捨てや削減を決めておけば、ルールを守って端数処理をすることができます。

9. 労働時間の端数処理には正確な管理ができる勤怠管理システムが必要

時間外労働時間の端数処理をするためには、1分単位で日々の労働時間を正確に把握するシステムの導入が必要不可欠です。

手書きの出退勤管理だと正確な労働時間管理に限界があることに加えて、労働基準法の改正によって企業は客観的な労働時間把握が義務化されているため、タイムカードやパソコンのシステムを使った勤怠管理方式を取り入れましょう。

なかでもおすすめしたいのが、クラウド型の勤怠管理システムです。パソコンやスマホ、タブレット端末から手軽に出退勤や残業時間を打刻できるようにしておけば、出退勤時間の転記ミスや計算ミスを防げます。

 
勤怠管理システムの導入で工数削減を実現

 

近年、人手不足などの背景から、バックオフィス業務の効率化が多くの企業から注目されています。

タイムカードの集計は、集計時にExcelに入力する工数がかかりますし、有給休暇の管理は、従業員ごとに管理することが煩雑で、残有給日数を算出するのにも一苦労です。

どうにか工数を削減したいけど、どうしたらいいかわからないとお悩みの方は、勤怠管理システムの導入を検討してみましょう。

勤怠管理システムとは、従業員の出退勤をWeb上で管理できるシステムのことです。勤怠管理システムの導入を検討することで、

・多様な打刻方法により、テレワークなどの働き方に柔軟に対応できる
・リアルタイムで労働時間を自動で集計できるため、月末の集計工数が削減される
・ワンクリックで給与ソフトに連携できる

など、人事担当者様の工数削減につながります。

「導入を検討するといっても、何から始めたらいいかわからない」という人事担当者様のために、勤怠管理システムを導入するために必要なことを21ページでまとめたガイドブックを用意しました。

人事の働き方改革を成功させるため、ぜひ「勤怠管理システム導入完全ガイド」をご参考にください。

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大杉結希

大杉結希

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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