副業を労働時間と通算しないケースやガイドラインが改訂された背景 - バックオフィスクラウドのジンジャー(jinjer)

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副業を労働時間と通算しないケースやガイドラインが改訂された背景

砂時計
労働基準法第38条では、労働時間について「事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と定めています。[注1]

そのため、本業と副業を兼業している従業員の労働時間は原則として通算されますが、中には例外として、副業の労働時間が本業と通算されないケースも存在します。

企業は、労働基準法第32条・36条で規定された法定労働時間および時間外労働時間を正確に把握・管理する必要がありますので、副業の労働時間が通算されないケースについてもしっかり理解しておきましょう。

今回は、副業が労働時間と通算しないケースや、36協定での労働時間の通算について説明すると共に、国が副業・兼業の促進に関するガイドラインを改訂した背景についても解説します。

[注1]労働基準法|e-Gov法令検索

1. 副業が労働時間と通算しないケース

カウントする

労働者の労働時間は、原則として労働基準法第38条の規定に基づいた通算が必要となります。
しかし、以下2つのケースに関しては、例外として労働時間は通算されないことになっています。

1-1. 労働基準法が適用されないケース

労働基準法では、同法における「労働者」について、「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」と定義しています。[注1]

そのため、特定の事業または事務所に属さずに働いている者、具体的にはフリーランスや独立、起業、共同経営、アドバイザー、コンサルタント、顧問、理事、幹事等として仕事に従事している者は、労働基準法の適用を受けません。

労働時間の通算は労働基準法第38条で定められた規定ですので、労働基準法そのものが適用されない職種に関しては、副業を行っても労働時間の通算は不要となります。

関連記事:労働基準法での副業の規定や取り組むメリットについて

1-2. 労働時間規制が適用されないケース

労働基準法の適用対象であっても、同法第41条および41条の2に該当する人は、労働基準法で定める労働時間、休憩および休日に関する規定の対象外となるため、労働時間も通算されません。[注1]

同法第41条および41条の2に該当する人は、以下の通りです。

①土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業に従事する者
②動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他の畜産、養蚕又は水産の事業に従事する者
③監督もしくは管理の地位にある者、または機密の事務を取り扱う者
④監督または断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの
⑤高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務のうち、労働者に就かせることとする業務に従事する者

①と②の具体例は、農業・畜産業・養蚕業・水産業などです。
③は主に管理監督者・機密事務取扱者などを指し、⑤は「高度プロフェッショナル制度」に該当するケースです。

高度プロフェッショナル制度とは、高度の専門的知識等を有し、職務の範囲が明確で、かつ一定の年収要件を満たす労働者について、労働基準法に定められた労働時間・休憩・休日および深夜の割増賃金に関する規定を適用しないとする制度のことです。[注2]

以上の要件に該当する業種・契約形態で働く労働者は、労働基準法における労働時間の規定の適用対象外となるため、副業を行っても労働時間は通算されません。

[注2]高度プロフェッショナル制度 わかりやすい解説|厚生労働省

2. 36協定での労働時間の通算とは

握手する様子

従業員を労働基準法第32条で規定された法定労働時間を超えて時間外労働させる場合、使用者はあらかじめ労働組合または労働者の過半数を代表する者との間で、同法第36条に基づく協定を締結する必要があります。[注1]

これを通称「36(サブロク)協定」といい、協定を締結した場合は法定労働時間とは別に、一定の範囲内で従業員を時間外労働に従事させることが可能となります。

ここで注意したいのは、36協定における労働時間の通算が、規定内容によって異なることです。

以下では、厚生労働省がまとめた「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を参考に、36協定における労働時間が通算されるケース、されないケースをまとめました。[注3]

[注3]副業・兼業の促進に関するガイドライン|厚生労働省

2-1. 通算されるケース

36協定に基づく時間外労働は、1ヵ月45時間、1年360時間を上限としていますが、臨時的な特別な事情があり、かつ労使が合意する場合は、上記の上限を超えることが認められています。[注1]

ただし、臨時的な特別な事情があったとしても、以下3つの要件は満たしている必要があります。

1. 時間外労働は年720時間以内
2. 時間外労働+休日労働は月100時間未満、2~6ヵ月平均80時間以内
3. 月45時間を超えることができるのは年6ヵ月まで

このうち、2の時間外労働+休日労働の規定については、労働者個人の実労働時間に着目し、その個人を使用する使用者(企業)を規制するものですので、労働時間は本業と副業で通算される決まりになっています。

2-2. 通算されないケース

時間外労働のうち、36協定によって延長できる時間の限度時間(1ヵ月45時間、1年360時間)や、臨時的な特別な事情が勃発した場合に備える特別条項を設ける場合の延長時間の上限(年720時間以内)については、各々の事業場における36協定の内容を規制するものです。

そのため、これら2つのケースに関しては本業と副業で労働時間は通算されません。

また、36協定で定める延長時間もまた、各々の事業場ごとに定められていることから、本業と副業それぞれにおける時間外労働が36協定に定める延長時間の範囲内であるか否かについても、本業と副業で通算しないこととされています。[注3]

3. 副業・兼業の促進に関するガイドラインが改訂された背景

ガイドライン

厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定したのは、平成30年1月のことです。[注4]

当該ガイドラインを作成した背景には、年々高まる副業への意向があります。

厚生労働省がまとめた資料によると、副業を希望する雇用者数は年々増加傾向にありますが、その一方で、従業員の兼業・副業を「推進している」と回答した企業はゼロ、「推進していないが容認している」と回答した企業は約15%に留まっています。[注5][注6]

残り85%の企業は副業・兼業を認めておらず、「副業したくてもできない」という従業員が多いのが実態です。

そんな実態を鑑み、政府は当該ガイドラインを作成し、国を挙げて副業・兼業の促進に踏み切りました。

ところが、当初のガイドラインでは、副業を容認するにあたって最大の問題となる労働時間の管理方法に関する記載がなく、「本業と副業との間でどのように労働時間を管理すればいいのか」「労働基準法との適用関係はどうなっているのか」といった企業の不安・悩みを払拭するには至りませんでした。

そこで厚生労働省は、令和2年9月1日に副業・兼業の促進に関するガイドラインを改定し、副業する場合の労働時間管理についての記載を追加・充実させました。

今回の改定により、副業時の労働時間管理の問題について、企業がどのような取り組みを行うべきかが明確になり、従業員の副業容認に対するハードルの低下に貢献しています。

[注4]副業・兼業|厚生労働省
[注5]副業・兼業の現状①|厚生労働省
[注6]平成26年度 兼業・副業に係る取組み実態調査事業報告書|中小企業庁

4. 副業の労働時間は本業と通算するケースと通算されないケースがある

ビジネスマン

副業の労働時間は、労働基準法の規定により、原則として本業と通算されますが、労働基準法や、労働時間の規定が適用されない職種・就業形態の場合は通算されない仕組みになっています。

労働基準法によって定められた労働時間の規定に反すると、使用者が罰則の対象となったり、労働基準監督署から是正勧告を受けたりする可能性がありますので、どんな場合に労働時間が通算されるのか、またはされないのか、その内容をしっかり把握しておきましょう。

吉田 菜穂子

吉田 菜穂子

クラウドサービス比較のメディア運営を経て、jinjerBlog編集部に加入。バックオフィス向けサービス「ジンジャー」を導入いただいたお客様に事例取材をおこない、現場の課題をキャッチアップしながら、人事業務や契約業務に役立つ情報をお届けします。

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