人事制度改革のポイントは?見直すべき観点や進め方、失敗例をご紹介!
更新日: 2026.4.24 公開日: 2023.5.31 jinjer Blog 編集部

人事制度改革とは、企業における既存の人事制度を見直し改めることです。
企業の状態や、企業を取り巻く社会環境は日々変化していきます。さまざまな環境の変化に人事制度も最適化しなければ、企業の継続的な発展は見込めません。
そのため、人事制度は定期的な改革が必要です。
本記事では、人事制度改革をおこなうべきタイミングや、失敗してしまう原因、改革の進め方をご紹介します。
目次
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
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1. 人事制度改革の目的

人事制度改革をなぜおこなう必要があるのか、改革がもたらすメリットと共にご紹介します。
1-1. なぜ人事制度を改革するのか
人事制度は、人材を効果的に活用し、経営目標を実現することを目的として、綿密な分析や検討を経て設計されます。
しかし、企業をとりまく社会環境や企業の状況は日々変わってくるものです。そのため、人事制度は作って終わりではなくメンテナンスも必要です。
定期的に人事制度の見直しを実施することで、時代や会社の状況に適した制度を維持でき、組織の公平性を保つことが可能になります。
1-2. 人事制度を改革するメリット
人事制度の改革は、従業員のモチベーション向上がメリットとして挙げられます。古くなってしまった人事制度を見直すことで、評価基準が明確になり、目標も立てやすくなります。
また、企業側も、最新の経営方針に基づいて従業員への要求が提示できるメリットもあります。人事評価というわかりやすい形で、会社が求める能力や人物像を伝達できるからです。
改革によって人事制度を企業の現状に最適化することで、経営層と従業員が一体となって目標達成に向かって進めるようになります。
2. 人事制度改革を検討するタイミング

人事制度改革はどのようなタイミングに実施や検討をするのがいいのでしょうか。4つの観点から解説します。
2-1. 企業の規模が大きくなるとき
企業の規模が大きくなると、組織や従業員ごとの業務担当範囲が変わります。従来の人事制度ではまかないきれない部分や、適切でない人材配置が発生する可能性があります。
また、管理する側も従来の方法では作業量が増え、人事管理業務が滞ってしまうかもしれません。そうしたリスクが発生するため、企業の規模が大きくなり、人員の配置や業務量に偏りが発生しそうなときは、人事制度の改革が必要になりやすいです。加えて、人事制度の見直しと共に、システムを導入し管理の効率化も検討する必要があります。
2-2. 企業の方針を変更したとき
今まで取り組んでいた分野と異なる分野に事業を進出した際や、代表者の交代などで方針に変更があった場合なども、人事制度の改革が必要になります。企業の方針が変化すれば、従業員の業務内容にも変化が出るため、導入中の人事制度では適切な評価をくだせない可能性があるからです。新たな業務内容に対し、どのような等級・評価・報酬の制度を設けるか検討するとよいでしょう。
2-3. 社会環境が変化したとき
労働基準法や労働安全衛生法などの改正により、労働時間や有給休暇の取り方などに大きな影響が出ることがあります。そのようなときも、法律を遵守するために人事制度の見直しが必要になるでしょう。
変更点の把握と現状の人事制度との差分を洗い出し、適切な改革をおこないましょう。
2-4. 採用や人材の育成が進まないとき
人事制度が古いものであったり、明確でない企業は若い世代から敬遠されがちです。入社した後に、どのような基準で待遇が決まるのかわからず、不安に思われるからです。近年は透明性や公平性が強く求められているため、思うように採用が進まない場合も人事制度を改革する必要があります。
また、実際の業務内容とそれに応じた報酬が等級ごとに見合わないなど、人事制度に不適切な部分があると、従業員のモチベーションが低下して成長につながらない可能性があります。自社が求める人材の育成を進めたい場合も、人事制度の見直しは有効です。
3. 人事制度改革時に見直すべきポイント

人事制度の改革をおこなう際は、まず何を目的とした改革なのか明確にすることが重要です。現状の人事制度と比較し改革の目的を検討する際、切り口となるポイントを3点ご紹介します。
3-1. 評価基準が明確になっているか
評価の基準が明確でない場合、評価される側の人間は不満や不信感を持ちやすいです。また、評価する人間も基準がないと主観が強く入り、評価エラーを起こしてしまうでしょう。
納得のいかない評価がされたり、なにをすれば評価が上がるのかがわからないと、従業員のモチベーションは下がり続けてしまいます。会社への不信感が膨らめば、離職を考え始めるケースも出てきます。
現状の評価基準にあいまいさや不公平さがないか、定期的に見直しましょう。
3-2. 公平性のあるルールとなっているか
働き方改革の一環で、雇用形態を問わず仕事内容が同じ従業員に対して待遇の差をつけない、同一労働同一賃金という概念ができました。これはパートタイム・有期雇用労働法という法律で定められています。直接的な罰則規定はないものの、行政による指導や企業名公表のリスクがあるほか、裁判に発展した場合には損害賠償を命じられる可能性もあるため、公平性を確保しなければなりません。
また、待遇の差は従業員間の不和や会社への不満につながります。待遇差が発生しないよう、雇用形態ごとの職務と責任を明確にしましょう。
3-3. 時代に適した評価制度になっているか
かつての日本では年功序列をはじめとした、序列型の評価制度が主軸でした。しかし、近年は能力や成果に応じた評価を求める声が強くなり、成果型や能力型の評価制度が増えています。
若い世代や優秀な人材は、自分の能力や成果が正当に認められ、それが報酬につながる制度に流出しやすいです。
こうした考え方や価値観の変化に合った評価制度にすることも、人事制度改革をするうえでのポイントです。
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4. 次の世代を考えた人事制度の改革が必要

評価制度は従業員の生活や将来を左右するものです。そのため、自分が正当に評価される制度がある企業が選ばれやすく、特に若い世代は新しい考え方による評価を求める傾向にあります。人事制度改革をする際は、どのような評価制度がトレンドになっているのか、近年の動向を知っておきましょう。
4-1. トレンドの人事制度
日本では年功序列が重視されてきましたが、近年はその考え方が大きく変わりました。年功序列に代わってトレンドになっているのは、能力主義や成果主義です。
こうした人事制度は、勤続年数や年齢、性別などにはとらわれず、個人の能力や成果が評価されます。若手でも結果を出せれば高い評価を得られるため、公平性のある評価がされやすいです。
具体的には以下のような人事制度が注目されています。
- バリュー評価
- コンピテンシー評価
- 360度評価
- ピアボーナス
- ノーレイティング
- チェックイン
業種や企業の方針によって適した人事制度は異なります。改革をおこなう際は、トレンドだけでなく自社との相性や改革の目的も十分に検討しましょう。
【関連記事】人事評価制度の成功事例を6つ紹介|トレンドや導入時の注意点も紹介
4-2. 多様化する働き方への対応も必要
人事制度に対する考え方が変化していることに加え、働き方の多様化も人事制度改革が必要になる理由の1つです。
リモートワークや時短勤務など、従業員はプライベートの都合に合わせて働き方を選びやすくなりました。ワークライフバランスが実現しやすくなったという効果がある一方で、人事や労務管理は煩雑になったという問題があります。
古い人事制度では、多様化する働き方に対応しきれず、適切な評価や正確な勤怠管理ができなくなるでしょう。
次の世代を担う若手は、より個人が尊重される働き方を求めています。そうした多様化するニーズも考え、人事制度の改革を進めていく必要があります。
5. 人事制度改革の失敗例

人事制度の改革は、必ずしも良い結果を出すとは限りません。どのようなときに改革が失敗してしまうのか、起こりやすい4つの失敗例を知っておきましょう。
5-1. 評価項目が細かく複雑すぎる
公平性を保つためにさまざまな意見を取り入れた結果、制度が緻密になる傾向があります。
公平性は大切ですが、制度が細かくなりすぎると内容の把握や達成・評価の管理が難しくなり、評価管理者の多忙化や従業員のモチベーションの低下に繋がりかねません。改悪となってしまわないよう、バランスをみて評価項目を検討しましょう。
5-2. 改革が長期化してしまう/短期すぎる
新制度が用意されるまで旧制度を運用することになります。新制度の用意に時間がかかってしまうと、旧制度に不満を持っている従業員は離職してしまうかもしれません。
一方で、従業員への周知が十分になされていない状態で実行すると、新制度が定着しない可能性や、不信感を持たれる恐れもあるため、急ぎすぎるのも望ましくありません。
新制度を導入する日を決定したら、締め切りから逆算してスケジュールを立て計画的に実行することが重要です。
5-3. 従業員の関心が薄い
人事制度は、いかに組織に定着できるかが重要であるため、改革後に受け入れてもらえないといった事態が起きないよう、設計段階から従業員にも関心をもってもらい共に検討していく形をとれるのが理想的です。
現状の人事制度についてアンケートを実施するなどの方法で従業員を改革に巻き込んでいきましょう。
また、興味を持ってもらうためには、人事制度を改革することで従業員にとっても有益であることを伝えることが大切です。
改革の途中段階でも、変更点の周知を定期的におこないましょう。
5-4. 従業員からの理解を得られない
人事制度は従業員の生活や将来に大きな影響を与えます。そのため、「人事制度が変わる」と聞くと「評価が下がってしまうのではないか」という警戒心を持ちやすいです。特に、これまで年功序列だった評価制度を、能力主義や成果主義に変えるといった大きな改革の場合、ベテランの従業員からの反発を招きやすいです。
そうした従業員からの反発や理解不足を解決できず、曖昧にしたまま人事制度改革を進めてしまうと労使間トラブルの原因になります。エンゲージメントの低下や離職者の増加といった大きな問題にもなりやすいです。
人事制度改革をする際は、十分な説明をおこなって従業員の理解を得ましょう。
関連記事:人事評価マニュアル作成の手引き!必要性と2つの注意点も解説
6. 人事制度改革の進め方

人事制度は主に「等級制度」「評価制度」「報酬制度」の3つで構成されています。スムーズに改革を進めるには、以下の7つの段階に分けて考え、1つずつ確実にクリアしていきましょう。
- 現状の分析をおこない課題を洗い出す
- 基本コンセプトを作成
- 等級制度の見直し
- 評価制度と報酬制度の見直し
- 目標管理制度の見直し
- 新制度のシミュレーションと従業員への周知
- 運用開始
Step1. 現状の分析をおこない課題を洗い出す
アンケートや現状使用している人材管理ツールのデータなどをもとに現状の把握・分析をおこない、その結果から課題を洗い出します。
Step2. 基本コンセプトを作成
分析で分かった現状の課題と企業の経営方針をもとに基本コンセプトを設計します。
Step3. 等級制度の見直し
人事制度を構成している3つの要素のうち、「等級制度」から見直しをおこなうとスムーズです。
等級制度を決めることで、等級に対してどのような基準で評価をするか、評価に対する報酬はどうするか、と他の2要素の方針が立てられるためです。
Step.4 評価制度と報酬制度の見直し
等級制度の方針が決まったら評価制度と報酬制度の見直しをおこないます。
報酬は、従業員にとっては賃金、企業にとっては人件費となり、関心の高い要素です。増給の場合もあれば減給の場合もあり、特に後者の場合は制限があるため法的な観点でも問題ないか配慮する必要があります。
減給の限度額について詳しく解説した記事をご紹介します。ぜひご一読ください。
関連記事:労働基準法第91条に規定された「減給の限度額」の意味や計算方法
Step5. 目標管理制度の見直し
人事制度の3本柱の内容が固まったら、目標管理制度を見直します。
個々の従業員の目標は、経営戦略を基とした組織の目標と整合性を取りながら検討するため、各組織の役割や目標を明確にする必要があります。
目標を立て、振り返り、評価を決めるスケジュールも決定しておきましょう。
Step6. 新制度のシミュレーションと従業員への周知
「等級制度」「評価制度」「報酬制度」及び「目標管理制度」の方針が決定したら、新制度のシミュレーションをおこないます。シミュレーションでは主に人件費と賃金の変化を確認し、減額となってしまう従業員の把握やフォロー、法的な観点で問題ないか、企業の経営の観点で問題ないかを確認します。また、同時に従業員への周知もしていきます。
Step7. 運用開始
シミュレーションによって微調整が完了したら、新制度の導入・運用を開始します。運用していくなかで問題が発生したら修正をおこない、定期的に改善をしていくことで、新制度の定着へと繋げていきましょう。
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7. 人が育つ人事制度の改革をおこなって自社の成長につなげよう

人事制度の改革は、企業・従業員・法律のそれぞれの観点から「等級制度」「評価制度」「報酬制度」の要素をどのようなバランスで設計していくか考えなければなりません。決して簡単なことではなく、どれも慎重に決定する必要があるため、実行段階だけでなくどのくらいの期間で何を実行していくか計画段階からしっかり検討しましょう。
また、一度の改革で100点満点の制度を作成することはほとんどありません。より良い人事制度となるよう定期的に制度を見直し、必要に応じて改革を実施して最適化をしていきましょう。
関連記事:人事制度とは?等級制度等の構成要素や、トレンド、設計の流れを解説!
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