人事評価の5段階評価とは?メリットや注意点を解説
更新日: 2024.10.16
公開日: 2023.6.25
OHSUGI
働き方が多様化する現代では、従業員を平等に評価するため「5段階評価」を人事評価に取り入れている企業が増えてきました。しかし「5段階で評価するメリットってあるの?」「ほとんどが真ん中評価になりそう」など、企業にとって導入するメリットがわからないと、活用するまでに至らないケースも多いでしょう。
この記事では人事評価に5段階評価を導入するメリットから、実際の評価基準の作り方までを説明していきます。評価担当者は参考にしてみてくださいませ。
目次
人事評価制度は、従業員のモチベーションに直結するため、適切に設計・見直し・改善をおこなわなければ、最悪の場合、従業員の退職に繋がるリスクもあります。
しかし「人事評価制度に改善したいが、いまの組織に合わせてどう変えるべきか悩んでいる」「前任者が設計した評価制度が古く、見直したいけど何から始めたらいいのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。
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1. 人事評価の5段階評価とは
5段階評価とは、5つの段階に応じて物事を評価する方法です。5段階で評価することで、2択よりも回答者の意見を吸い上げやすくなります。
5段階評価は人事評価にも応用可能です。人事評価における5段階評価は共通基準として1~5、A~Eなど業種や役職を問わない評価基準が用いられます。
2. 人事評価を5段階でおこなうメリット
人事評価を5段階でおこなう主なメリットは次の3つです。
- 従業員の目標設定やキャリアアップ促進
- 評価者は中間評価をつけやすい
- 被評価者は一般的な評価によって安心できる
5段階評価をうまく活用することで、評価する側もされる側もモチベーションアップや精神的ストレスの軽減などメリットがあります。
それぞれについてさらに詳しくみていきましょう。
2-1. 従業員の目標設定やキャリアアップが促進される
5段階評価は、従業員がどのくらい目標を達成したらどの程度評価されるのか、成果がわかりやすいのが特徴です。
ゆえに目標設定やキャリアアップの指針になるので、高い評価を得るための具体的な目標をたてるモチベーションにつながります。
2-2. 評価者が判断しやすくなる
人を評価するということは、非常に難しく精神的ストレスを抱えやすい行為です。さらに評価基準が細かければそのぶん業務量も膨大になります。
1~5またはS~Dなど評価基準を5段階でわけると、3やBなど中間の評価が発現します。評価者は成果が良いとも悪いともいえない状況を、そのまま中間的評価でアウトプットできるため、「良し悪しをはっきり決めなければいけない」という精神的なストレスが軽減されます。
2-3. 従業員は一般的な評価によって安心できる
良い悪いどちらかの評価に偏った場合、その後の待遇や昇給などに大きな影響がでないか心配になる社員もいるでしょう。3やBなど中間の評価なら、「業務を普通にこなせば、平均的な評価を得られる」といった安心感が得られます。
3.人事評価を5段階でおこなう注意点
人事評価を5段階でおこなう際の注意点は次のとおりです。
- 評価が中央値に集中する
- 段階評価では評価しきれないケースがある
3-1.評価が中央値に集中する
5段階の人事評価は評価も中央値に集中してしまう傾向にあります。例えば1~5の評価段階に分けていても、中央の3に評価が集中してしまう状況です。その結果、従業員全体のうち、中央値の評価を下された従業員の割合が多くなってしまいます。中央値ばかりでは実際の評価がわかりづらくなってしまいます。
3-2. 5段階評価では評価しきれないケースがある
5段階評価では1やEが最も低く、5やAが最も高い評価です。どれだけ高い評価を付けようにも5やAよりも上の評価を下せません。そのため、5段階評価を上回る評価もしくは下回る評価を下すことができません。
4. 中央値を作らない4段階評価との違い
4段階評価では「非常に良い」「良い」「悪い」「非常に悪い」の4つで評価に明確な優劣をつけます。「普通」という真ん中の評価がないため、中央値に評価が固まってしまうという心配がありません。
一方で、5段階評価は真ん中の「普通」があることでさまざまメリットがありますが、平均的な評価ばかりになってしまうといった欠点もあります。
4-1. 4段階評価が向いているのはどんな企業、部署?
成果に応じて報酬が異なる「成果型報酬制度」を導入している企業では、明確に良い悪いの評価できる4段階評価が向いているでしょう。
一方、チームワークを大切にする企業や年功序列制度がある企業においては、職場の雰囲気を大切にするためにも、5段階評価で優劣のコントラストを抑えることも賢い選択です。
このように、職場環境や人事評価制度に合わせた評価基準を導入することが重要といえます。
5. 段階それぞれの達成度の目安
5段階評価における達成度の目安は以下のとおりです。
1(良くない) | 5段階評価の中で最も悪いときに評価される段階です。目標を達成できていなかったり、基準の成果に全く届いていなかったりするときに評価される段階を指します。 |
2(あまり良くない) | 目標の一部達成や概ね平均的な成果をあげた時の評価段階です。 |
3(普通) | 評価段階の中央値を指し、概ね目標を達成したり、基準通りの成果を出していたりするときにつけられる評価のことをいいます。 |
4(良い) | 期待された基準を上回ったときの評価段階のことを指し、目標を超えて成果を出したときや積極的な行動をした時に該当します。 |
5(大変良い) | 最もよいと判断される評価段階のことを指し、目標を大幅に超えて成果を出した場合や優れた行動をとったときに該当します。 |
ただし適切な評価基準は企業によって異なるので、具体的な評価内容や昇給ラインは組織の方針に合わせてカスタマイズしましょう。
6. 評価基準の作り方
5段階評価基準は、次の5つのステップで作成が可能です。
6-1. 目標設定
まず評価対象となる業務やプロジェクトにおいて、どのような成果を達成すれば評価に値するのか目標を設定します。
目標設定は5段階評価において、以下のような重要な役割を果たします。
- 目標を被評価者同士で共有するため
- 評価基準や項目を定めるため
- 目標達成のための具体的な行動計画を立てやすくするため
目標設定をすることで、自己成長やキャリアアップ、モチベーション向上につながる可能性が高まるので、5段階評価においてはまず目標を設定して共有しましょう。
6-2. 評価項目を作成
目標を設定したら、目標達成のためにどのような行動や取り組みが必要になるのかを具体的に考え、評価項目として設定します。
目標と評価項目は関連性が高いことから、行動や取り組み内容を具体的に洗い出すことで、目標達成のためのプロセスにも配慮した評価ができるのです。
評価項目は主に次の3つに分類できます。
- 業績や達成度、プロセスに応じて評価する業績評価
- スキルアップを評価する能力評価
- 勤務態度や仕事への意欲を評価する情意評価
職種や役職によって求められる成果や能力は異なるので、職種や役職によって変えることが大切です。
6-3. 評価基準を設定
評価項目を作成したら、次に評価する際の基準を設定します。なお評価基準の設定においては以下の点に注意しましょう。
- 評価者が平等かつ筋の通った評価ができるような内容にする
- 被評価者の目標達成度が明確になるようにする
- 評価結果に応じて個人にフィードバックしやすい仕組みを作る
最初に設定した目標や評価項目に応じて、5段階評価の「非常に良い」「良い」「普通」「悪い」「非常に悪い」と評価できるような基準を定めます。
6-4. 評価方法を決める
評価項目や基準を設定したら、実際の評価方法を決めましょう。評価方法は主に次のような形式があります。
- 自己評価
- 上司による評価
- 同僚による評価
評価方法を決めたら、実際に評価するための評価フォーマットや評価用のシステム導入の検討も必要です。
6-5. 評価結果を共有する
評価者による評価が終わったら、個人にフィードバックして、成果を認める点や目標達成のための改善点を共有します。
結果を共有することで、従業員に次の目標が生まれたり、次はどうやって達成しよう、といった意欲向上が期待できたりします。
7. 適切な5段階評価のためのツールで成果を可視化しよう
人事評価を5段階評価でおこなうことで、成果によってどのくらい評価されたのか明確になるといった特徴があります。
また「普通評価」があることで、評価をする側はプレッシャーを感じにくく、また被評価者も評価の影響で生活が変わる心配が少ないといったメリットがあるのです。
ただし、評価項目や基準をあいまいに作ってしまうと5段階評価がうまく機能せず、正しい評価ができず従業員の不満や不信感を招くおそれがあります。
5段階評価の導入を検討している企業では、評価基準の作成ポイントを押さえながら、企業や従業員のモチベーションアップに役立つような評価基準を作成していきましょう。
関連記事:中小企業にとって人事評価システムは必要?メリット・デメリットを知り導入すべきか判断しよう
人事評価制度は、従業員のモチベーションに直結するため、適切に設計・見直し・改善をおこなわなければ、最悪の場合、従業員の退職に繋がるリスクもあります。
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