勤怠管理システムは、タブレットで利用することも可能です。タブレットであれば、パソコンがない環境でも出退勤の打刻や申請ができるので、勤怠管理のさまざまな業務を効率化できます。

しかし「タブレットに対応している勤怠管理システムにはどのような機能がついているのか」と、わからない方もいるでしょう。

そこで本記事では、タブレットに対応している勤怠管理システムの主な機能と選び方を解説します。タブレットによる勤怠管理を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

1. タブレット対応の勤怠管理システムの機能

タブレット対応の勤怠管理システムが備えている機能は主に以下の5つです。

1. 打刻機能
2. スケジュール管理機能
3. 申請・承認機能
4. 自動集計機能
5. 通知機能

勤怠管理システムが備えている機能を活用すれば、業務の効率化につながります。

1-1. 打刻機能

タブレット対応の勤怠管理システムには、出勤・退勤の時刻を記録する打刻機能が搭載されています。

打刻時間を正確に把握しなければ、労使間で以下のトラブルが発生する可能性があるでしょう。

• サービス残業をさせていた
• 正しく給与を払っていなかった

タブレットを利用すれば、出退勤時の打刻が手軽になるため、打刻漏れやミスの防止にもつながります。

また、打刻機能は、勤務時間を計算するために必須ですが、長時間労働になっていないかを確認できるので、社員の健康管理もできるでしょう。

1-2. スケジュール管理機能

タブレットに対応している勤怠管理システムには、スケジュール管理機能がついています。これは、従業員や出勤日や休暇などの勤怠スケジュールを入力・閲覧できる機能です。

繁忙期や忙しい時間帯などは必要となる人員数が異なるため、さまざまな要素を考慮してシフトを作成しなければなりません。労働時間を超えないよう、法令を遵守したシフト管理が必要です。

システムを活用すれば、記録されたデータから複雑なシフトやスケジュールを自動で作成してくれます。そのため、シフトやスケジュール管理の担当者の負担が軽減されるでしょう。

1-3．申請・承認機能

タブレット対応の勤怠管理システムには、申請・承認機能が搭載されています。これは、休暇や残業などの勤怠に関する申請・承認を簡略化できる機能です。

例えば、社員の有給休暇や残業代の申請・承認などを、書類ではなくシステム上で完結できます。

メールや書面で申請する手間を省けるため、今まで時間がかかっていた申請・承認にかかる時間の節約につながるでしょう。

1-4．自動集計機能

タブレット対応の勤怠管理システムには、自動集計機能が搭載されています。これは、記録された勤務状況をシステム上で自動計算できる機能です。

例えば、社員の一人ひとりの勤務時間を自動で計算・集計が可能です。社員数が多くなればなるほど作業が増え、ミスが起こる可能性が高くなります。

自動集計機能を活用すれば、作業の効率化だけでなく、ミスを防ぐことにもつながるでしょう。

1-5．通知機能

タブレットに対応している勤怠管理システムの主な機能として、対応が必要な状況が生じるとアラームやメールなどで通知してくれる、通知機能があります。

例えば、以下のような場合に自動で通知を送ってくれます。

• 有給休暇が未消化の場合
• 残業時間が超過している場合

通知機能を活用すれば、有給を取得していなかったり、残業時間が多かったりする社員の発見につながるので、適切な勤怠管理が可能です。

2.タブレット対応勤怠管理システムには種類がある

タブレット対応の勤怠管理システムには、下記のような種類があります。

• 多機能型
• タイムレコーダー型
• 関連業務連携型

職種や業種によって使いやすさが異なるので、自社にあった種類を選びましょう。ここでは、これらの種類について解説します。

2-1. 多機能型

多機能型というのは、名前の通りさまざまな機能が搭載されているシステムです。

勤怠管理システムの機能はメーカーによって異なりますが、どのシステムにも共通しているのは出退勤の打刻機能です。多機能型は、打刻機能に加え残業時間のチェック機能や有給休暇の申請・承認機能、打刻漏れ通知機能などより正確な勤怠管理ができる機能が搭載されています。

また、機種によってはシフト管理機能やシフト自動作成機能が搭載されているものもあるので、業種によってはより勤怠管理業務の負担を軽減することが可能です。

機能が多いと、その分操作を覚えるのは大変になりますが、慣れると管理業務の効率を大幅にアップできます。

2-2. タイムレコーダー型

タイムレコーダー型というのは、タイムカードの代わりにアプリ自体を打刻機として使うことができるシステムです。

タブレットから勤怠管理システムアプリにアクセスし、「出勤」「退勤」を従業員がクリックすれば、出退勤のデータを保存・管理できます。オフィスに、アプリをインストールしたタブレット端末をオフィスに設置するという活用法もありますが、従業員のタブレットにアプリをインストールしておけば、リモートワークや店舗勤務、営業職などどのような雇用形態・職種でもオフィス以外の場所で打刻できます。
導入も運用も手軽なので、すぐに勤怠管理システムを導入したいという企業におすすめです。

2-3. 関連業務連携型

すでに、給与計算システムやスケジュール管理システムなどを導入している場合は、関連業務連携型のシステムがおすすめです。

関連業務連携型というのは、すでに導入しているシステムとの連携ができるシステムです。給与計算システムと連携すれば、労働時間や残業時間の集計をしなくても、自動的に給与計算に反映されるので、集計作業の業務負担を大幅に軽減できます。特に従業員が多い職場やシフトが複雑な勤務体制の職場の場合、月末の締め作業には膨大な時間がかかります。

関連業務連携型のシステムであれば人的作業を減らせるので、バックオフィスの業務効率化に役立ってくれます。

3. タブレット対応の勤怠管理システムを導入するメリット

タブレット対応の勤怠管理システムを導入するメリットは以下の3つです。

1. 時間や場所の制約がない
2. 勤怠管理の効率化を図れる
3. 法律を遵守した勤怠管理を実現できる

ここでは、これらのメリットについて解説します。

3-1. 時間や場所の制約がない

タブレット対応の勤怠管理システムを導入すれば、時間や場所の制約を受けずに、打刻や休暇の申請ができます。従来の方法では会社で直接や社内パソコンからしか打刻・申請ができませんでしたが、タブレットがあれば外出先から打刻することが可能です。

例えば、営業や出張などで外出している場合でも、タブレットから出退勤時の打刻ができるので、わざわざ会社に寄って打刻する必要がなくなります。

外出中にも打刻ができるため、出退勤時の打刻忘れや漏れが少なくなるでしょう。

3-2. 勤怠管理の効率化を図れる

タブレット対応の勤怠管理システムを活用すれば、勤怠管理の効率化を図れます。その理由は、従来は手作業でおこなっていた社員の出退勤の計算や集計を、システムで自動化できるためです。

勤怠管理は、勤務時間の集計や時間外労働、シフト管理など、多くの作業が発生する業務です。タブレットで勤怠管理をおこなうと、システムが自動で計算したり入力したりしてくれます。

そのため、作業効率が上がり、ヒューマンエラーも減らせるでしょう。

3-3. 法律を遵守した勤怠管理の実現

タブレットで勤怠管理をおこなうと、法律を遵守した勤怠管理ができます。残業時間の上限に近づいている従業員や有給休暇を取得していない従業員に対して、メールまたはアプリで通知してくれる機能があるからです。

勤怠管理をおこなう場合は、以下のような法律を遵守しなければなりません。

• 有給休暇：年5日は必ず取得させる
• 法定休日：週に1日または4週間の間に4日は休日を与える必要がある
• 残業時間の上限：月45時間・年360時間

タブレットで勤怠管理をすると、有給を取得していなかったり、残業時間を超えそうになったりしている社員に通知できます。

タブレット対応の勤怠管理システムに搭載されている通知機能を活用すれば、法律に違反する前に対応できるでしょう。

参照：労働基準法35条｜e-Gov法令検索
参照：労働基準法36条｜e-Gov法令検索
参照：労働基準法39条｜e-Gov法令検索

4. タブレット対応の勤怠管理システムの選び方

タブレットに対応している勤怠管理システムの選び方のポイントは以下の5つです。

1. 社内のタブレットに対応しているか
2. 目的に合致しているか
3. サポート体制が整っているか
4. 打刻機能は自社にあっているか
5. 自社の予算範囲内か

自社に最適なシステムを選びたい方は、ぜひ参考にしてください。

4-1. 社内のタブレットに対応しているか

勤怠管理システムを選ぶ際は、自社で使用しているタブレットに対応しているかどうか確認する必要があります。

機種が古かったりタブレットをアップデートしていなかったりすると、システムが使えない可能性があるからです。

自社で対応しているかどうかわからない場合は、無料のトライアルを実施しているシステムで試すことをおすすめします。

対応している機種を選ばなければ、導入費用が無駄になるので注意しましょう。

4-2. 目的に合致しているか

タブレット対応の勤怠管理システムを選ぶ際は、目的に合っているかを確認しましょう。目的に沿わないシステムでは、期待する業務改善の効果を得られません。

目的の具体例として以下が挙げられます。

• 出退勤時の打刻だけをタブレットでおこないたい
• 勤務時間の集計もしたい
• テレワークや出向など複数の勤務形態を管理したい

自社で効率化したい業務を検討してから、目的に合った機能が搭載されているシステムを選ぶことが重要です。

4-3. サポート体制が整っているか

タブレットで勤怠管理をおこなうときは、サポート体制が整っているシステムを選びましょう。

導入後のサポートがあれば、システムの使い方がわからないときにすぐに質問できます。またトラブルが起きた際にも迅速に対応してくれるでしょう。

メーカーによっては、導入の説明会を実施するなど手厚いサポートを提供しています。システムを使いこなすためにも、十分なサポートが受けられる製品を選ぶことが大切です。

ただし、サポート内容によっては有料になることもあるので、必要なサポートが無料か有料かどうかも確認しておきましょう。

関連記事：勤怠管理システムとは？はじめての導入にはクラウド型がおすすめ

4-4. 打刻機能は自社にあっているか

タブレット対応の勤怠管理システムを選ぶ際は打刻機能が自社にあっているかを確認しましょう。

フレックスタイム制や変形労働時間制など、勤務形態は企業によって異なります。そのため、勤怠管理システムの打刻機能が自社の勤務形態に応じているかを確認することが大切です。

4-5. 自社の予算範囲内か

タブレット対応の勤怠管理システムを選ぶうえでは、予算の考慮も欠かせません。導入を予定している勤怠管理システム、が自社の予算範囲内かを確認しましょう。

予算を考慮する際は導入にかかる初期費用だけでなく、毎月発生するランニングコストも意識することが大切です。特に、ランニングコストはずっと必要になるものなので、年間のコストを算出して、費用対効果が得られる価格かも確認しておくことをおすすめします。

5. タブレット対応の勤怠管理システムを選ぶ際の注意点

タブレット対応の勤怠管理システムを選ぶ際には、以下のような注意点があります。

1. 毎月固定で費用が発生する場合が多い
2. 社員が使いやすいシステムを導入する必要がある
3. 不正防止機能が搭載されているか確認する

ここでは、これらの注意点について解説するので、しっかりと把握してから勤怠管理システムを選定しましょう。

5-1. 毎月固定で費用が発生する場合が多い

タブレット対応の勤怠管理システムは、毎月固定で費用が発生するケースが多くなります。多くの勤怠管理システムがクラウド型のサービスを提供しているためです。

クラウド型とは、オンライン上のサーバーで提供されているサービスを、インターネットを通じて利用できるシステムのことを指します。一度の支払い額は安価になる場合が多いですが、毎月固定で利用料が必要です。

クラウド型のサービスは、保管するデータの量や通信量で料金が決まるため、社員数が増えれば増えるほど利用料金が割高になるので注意してください。

毎月利用料金がかかっても、業務を効率化することで人件費や労働時間の削減につながるシステムを選ぶことが大切です。

5-2. 社員が使いやすいシステムを導入する必要がある

勤怠管理システムは、社員が使いやすいものを導入しましょう。導入しても、社員が使いこなせないと意味がありません。

例えば、「打刻の方法は簡単で確実か」「申請・承認に手間がかからないか」など、実際に運用する社員が使いやすいシステムを選ぶ必要があります。

デモ版が用意されている場合は、従業員に実際に試してもらうことがおすすめです。

わかりやすくてシンプルな勤怠管理システムを選べば、社員がうまく使いこなすことで業務の効率化が図れます。

5-3. 不正防止機能が搭載されているか確認する

タブレット対応の勤怠管理システムを選ぶ際には、不正防止機能が搭載されているかもチェックしましょう。

勤怠管理システムは、タイムカードのように誰でも打刻できるという状況を改善できます。しかし、タブレットによる打刻ができると、例えば家の人に打刻してもらうことができてしまうので、打刻時に本人確認ができるものを選ぶ必要があります。不正防止機能があると、顔写真や生体記録による確認や、従業員ごとに異なるパスワード入力をおこなうので、他人による不正打刻を抑制し、正確に勤務状況の把握ができます。

6. 勤怠管理をタブレットでおこない業務の効率化を図ろう

勤怠管理システムは、タブレットでも対応可能です。勤怠管理をタブレットでおこなうことで、「勤務時間の管理・集計」「シフト作成・管理」「休暇などの申請・承認」などができるので、勤怠管理の業務効率化につながります。

従業員にとっても、場所を選ばず出退勤の打刻ができる、打刻忘れをしなくなるなどのメリットがあります。

また、残業時間の超過を知らせてくれる通知機能が搭載されているシステムもあるので、法律を遵守した勤怠管理も実現可能です。

勤怠管理業務の効率化ができれば、人件費や労働時間を削減することも可能になるので、ぜひ導入を検討してみてください。