オンボーディングとは?意味や目的・メリットから導入方法や事例などポイントを解説
更新日: 2024.10.1
公開日: 2024.5.27
OHSUGI
「オンボーディングの意味や目的は?」
「オンボーディングを導入するメリットは?」
「オンボーディングを導入する手順が知りたい!」
オンボーディングの単語を聞くようになったけれど、どのような意味・人事施策なのかをご存知ない方も多いのではないでしょうか。
オンボーディングとは、入社した従業員に対する業務支援策のことです。国内では大手企業を中心に、オンボーディングによる人事施策の取り組みが広がっています。
本記事ではオンボーディングの目的、導入するメリットについて詳しく解説します。またオンボーディングを導入する手順や効果的に取り入れるポイントについても解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
1. オンボーディングの意味とは|入社した従業員に対する業務支援策のこと
オンボーディングとは、企業や業務に初めて携わる従業員に対して業務支援をおこなう施策の一つです。新しい職場環境や業務に順応できるように、人事担当者や直属の上司だけでなく、企業もしくは部署全体で従業員を支援します。
オンボーディングの主な対象者は、新卒(既卒)・中途採用・出向者・部署異動などです。オンボーディングによる業務支援策は、雇用形態を問いません。正社員・契約社員・派遣社員・アルバイトなど、さまざまな従業員に対してオンボーディングによる支援策を実施できます。
1-1. オンボーディングとOJT・OFF-JTとの違い
オンボーディングとOJT・OFF-JTの違いは以下のとおりです。
施策の種類 | 目的 | 教育内容 | 支援する人物 | 支援する期間 |
オンボーディング | ・組織への順応・定着
・能力の発揮 |
業務知識のほか、企業文化や社内ルールを広く学ぶ | ・人事(採用)担当者
・所属する上司や先輩 ・他部署の上司や先輩 |
・入社前や配属前から、入社後や配属後の長期にわたって支援を実施する |
OJT | ・業務に必要なスキル・知識の習得
・即戦力化 |
業務知識が中心 | ・OJT専任の担当者
・直属の上司 |
・入社後に実務を通じて業務における総合的な支援を実施する |
OFF-JT | ・業務に必要なスキル・知識の習得 | 業務知識が中心 | ・外部講師
・Eラーニング |
・入社後に一定の期間で研修や自主学習の支援を実施する |
とくに、オンボーディングが組織への順応・定着や能力発揮を目的としている点は大きな違いといえます。業務について学ぶOJTやOFF-JTよりも広い意味での新人教育を表す言葉です。
従業員の支援策を検討する際はそれぞれの違いを理解したうえで、従業員に適した支援策を講じましょう。
2. オンボーディングの目的|企業の定着率をアップさせること
オンボーディングの主な目的は、企業の定着率をアップさせることです。企業の定着率をアップさせることで、採用コストや採用までにかかる時間を削減できます。従業員のスキルアップにもつながり、企業全体の生産効率の向上にも期待できるでしょう。
さらに企業の定着率が安定していると、企業経営が安定していると社外から認知されます。経営が安定することで、求職活動中の人材から魅力的な企業に感じられ、優秀な人材の確保も可能です。
2-1. オンボーディングが注目されている背景
オンボーディングが注目されている背景には、企業の人材不足が影響しています。
帝国データバンクの調査によると、2024年1月時点で正社員の人手不足と感じている企業は52.6%であると公表されました。また非正社員の人手不足を感じている割合は29.9%であり、約3割の企業が非正社員の人手不足だとされています。さらに、2023年に人手不足が原因で倒産した企業数は260件であり、2022年と比較すると約1.9倍も増加した結果です。今後も人手不足による企業の倒産は増加すると予想されています。
人手不足による企業の倒産を防ぐためには、従業員の確保・定着率アップは欠かせません。結果、オンボーディングによる従業員の支援策が注目されています。
参照:人手不足に対する企業の動向調査(2024年1月)|株式会社帝国データバンク
参照:人手不足倒産の動向調査(2023年)|株式会社帝国データバンク
3. オンボーディングを導入する3つのメリット
オンボーディングを導入するメリットは以下の3つです。
- 採用コストを最適化できる
- リテンション(人材流出)対策ができる
- 従業員のパフォーマンス向上につながる
3-1. 採用コストを最適化できる
オンボーディングにより従業員の定着率がアップすることで、採用コストの最適化を実現できます。求人媒体への掲載費用や派遣業者に対する紹介手数料、採用に関わる社内人件費などの削減が期待できるためです。
無駄な経費を削減できると、職場環境の改善に費用を回せたり、従業員が満足する施策にコストをかけたりできます。
従業員満足度が向上することで、より優秀な人材を確保できるでしょう。
3-2. リテンション(人材流出)対策ができる
オンボーディングに取り組むことで、リテンション(人材流出)対策が期待できます。入社前に従業員の悩みや不安を解消することで、企業と従業員のミスマッチを防ぎ、企業や業務に対する理解を深められるためです。
入社前から既存従業員とコミュニケーションを図ることにより、入社後の会話もスムーズに実施できます。結果として、業務全体の生産性向上も期待できるでしょう。
3-3. 従業員のパフォーマンス向上につながる
オンボーディングにより入社前から従業員との関係性を構築できれば、従業員のパフォーマンス向上につながります。業務に必要な情報を前もって把握できるため、どのような能力・スキルが業務に必要なのか明確になるためです。
入社前に足りないスキル・資格があれば、従業員は前もってスキルを身につけたり、資格取得の勉強ができたりします。
従業員はスキルを所持した状態で入社でき、パフォーマンスの向上につながるでしょう。
4. オンボーディングの導入方法4ステップ
オンボーディングを導入する手順は以下の4つです。
- 対象となる従業員への支援策を検討する
- 入社前・入社後の支援スケジュールを計画する
- 支援計画に基づき施策を実行する
- 定期的な振り返り・改善点を出し合う
4-1. 対象となる従業員への支援策を検討する
まずは対象となる従業員の人数・経歴などを調査し、支援策を検討しましょう。
例えば新卒(既卒)社員の場合、企業や業務に対する不安を取り除き、入社日まで支援しなければなりません。
一方、転職者の場合は、待遇や業務内容の認識違いがないように、事前に待遇面や業務内容を細かく共有しておく必要があります。
従業員が採用に至ったまでの過程や、個人の能力・スキルに応じて、適切な支援策を検討してください。
4-2. 入社前・入社後の支援スケジュールを計画する
各従業員への支援策を検討したあとは、入社前・入社後の支援スケジュールを計画しましょう。
例えば採用から入社日までのスケジュールが短い従業員であれば、入社後の支援スケジュールを通常よりも長く取る必要があります。
また、業界・業種未経験でポテンシャル採用された従業員であれば、スキルを身につけるまで余裕を持たせた支援計画が必要です。
入社前後の期間を考慮したうえで、従業員に適した支援スケジュールを計画してください。
4-3. 支援計画に基づき施策を実行する
従業員に対する支援策・スケジュール計画を立てたら、計画に基づいて施策を実行しましょう。
もしスケジュール通りに支援ができない場合は、臨機応変に支援内容やスケジュールを変更します。
また、オンボーディングではさまざまな人が従業員に関わるため、担当者同士での情報共有が重要です。情報共有がスムーズにおこなえるツールなどの活用をし、企業全体で従業員を支援しましょう。
4-4. 定期的な振り返り・改善点を出し合う
オンボーディングによる従業員の支援を実施する際は、定期的な振り返りや改善点を出し合いましょう。各従業員の業務習得度や、目標達成の進捗を確認しながら、今後の取り組みについて話し合います。
もし、支援内容が従業員に合っていなければ、別の支援策を検討してください。
5. オンボーディングを導入した会社の成功事例
オンボーディングを導入した会社の成功事例を見てみましょう。ここでは、新卒採用を行うA社と、キャリア採用を強化しているB社の2社を通じて、効果的なオンボーディングの実例を紹介します。これらの事例から、企業が新入社員をどのようにサポートし、定着率を向上させているかが明らかになります。
5-1. 新卒採用の事例
A社では、個人の考え方や経験、感性を重視する企業文化が特徴です。このため、新入社員と育成担当者との関係が属人的になりがちですが、現場の上司やOJT担当者に育成を委ねつつ、客観的な視点でのサポート体制を構築することが求められています。
そこで、アセスメント・サーベイを活用し、育成の「仕組み」を整えることで新入社員を支援しています。また、新入社員とOJT担当者との相互理解を深めるための合同研修や、コミュニケーションを促進するためのチャットツールの導入も行っています。これにより、定量データの活用と「見える化」が実現し、優秀な人材の選別にもつながる相乗効果が期待されています。
5-2. キャリア採用の事例
B社では、キャリア採用を強化するために、全社員がキャリア入行者のサポートに必要な知識を得られるように「オンボーディングハンドブック」を全行に配布しました。このハンドブックは、100名以上のキャリア入行者からのアンケートやインタビューを基に作成され、「B社あるある」や「入行後の壁」といった具体的な情報を含んでいます。
その結果、ハンドブックが行内で大きな反響を呼び、各部店でも独自の取り組みを増やすきっかけとなりました。こうした動きは、キャリア入行者の受け入れ環境を大きく改善する要因となっています。
6. オンボーディングを効果的に取り入れるポイント
オンボーディングを効果的に取り入れるために、既存従業員に対してオンボーディングの知識と理解を深めましょう。従業員が新しい環境や業務に適応するためには、人事担当者や直属の上司だけでなく、企業全体の協力が必要です。ここではポイントを詳しく解説します。
6-1. 事前に人事がコミュニケーションを取っておく
オンボーディングを効果的に取り入れるためには、事前に人事が新入社員としっかりコミュニケーションを取ることが重要です。
このプロセスにより、現場と新入社員の期待値のズレを最小限に抑えることができ、スムーズなオンボーディングが実現します。通常、入社前のコミュニケーションは人事担当者が行いますが、担当者は自らの役割がオンボーディングの事前準備であることを意識して接することが求められます。
また、現場とのすり合わせも欠かせません。オンボーディングの実施計画が正確に伝わっていないと、新入社員は不安を感じやすくなります。したがって、社内での事前準備を入念に行うことが大切です。
6-2. サポート体制を整える
オンボーディングを効果的に取り入れるためには、サポート体制を整えることが不可欠です。
新入社員の適応を促進するためには、直属の上司や人事担当者だけでなく、組織全体で新入社員を支援する文化を築く必要があります。業務に直接関与しない社員も、積極的に声をかけたり、サポートを申し出ることで、安心感を提供することができます。
さらに、入社初期には「誰に相談してよいかわからない」と困惑する社員が多いため、相談できる相手を複数紹介しておくと良いでしょう。これにより、人間関係を築く手助けができます。また、誰にも聞けない状況を考慮し、マニュアルやリソースがどこにあるか明示しておくことで、新入社員が安心して業務に取り組める環境を整えることが重要です。
6-3. 最初は達成しやすい目標から設定する
新入社員がオンボーディングを受ける際、最初は達成しやすい目標を設定することが重要です。
入社した当初、多くの人が右も左も分からない状況に直面します。そのため、最初から大きな目標を提示してしまうと、達成のイメージが持てず、ストレスを感じてしまう可能性があります。そこで、目標を細分化し、一歩ずつクリアすることで、日々の小さな成功体験が新入社員のモチベーションを高め、成長を促します。このスモールステップ法を意識することで、確実に大きな目標に向かって進むことができます。
7. オンボーディングを取り入れて従業員のモチベーションを高めよう
オンボーディングとは、企業や業務に初めて携わる従業員に対しておこなう業務支援施策のことです。
オンボーディングに取り組むことで採用コストの最適化やリテンション対策、従業員のパフォーマンス向上につながります。
新しい職場環境や業務に適応できるように、従業員に合わせて支援策を検討し、適切なスケジュールを計画しましょう。
また人事労務の担当者は、入社する従業員の書類管理や各種申請などを含むさまざまな手続きが発生します。
人事に関する業務フローの改善を検討しているなら、人事労務に特化したシステムの導入がおすすめです。業務の効率化を図るために、ぜひ人事労務システムの導入も検討してみてください。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
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