基本給の決め方は?押さえるべきポイントや低いときのデメリットを解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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基本給の決め方は?押さえるべきポイントや低いときのデメリットを解説

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従業員を雇う際は、基本給を決める必要があります。基本給の決め方にはある程度の流れがあり、確認した上で適切な額を設定するのが重要です。

しかし、「基本給を具体的にどう決めればいいのかわからない」「基本給が低いとどうなるの?」と疑問に思う人もいるでしょう。

今回は、基本給の決め方について解説します。決める際のポイントや低いときのデメリットも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

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給与計算は間違いが許されない、確認作業が何回も必要な業務です。 また、給与明細の発行や、封入作業、郵送作業など従業員一人ひとりに対しての対応に手間がかかっている方も多いのではないでしょうか。

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1. 基本給の3つの決め方

報酬制度の設計方法

基本給の決め方は、主に以下の3つが挙げられます。

  1. 属人給|属人的要素で決定される
  2. 仕事給|労働者の実力を重視する
  3. 総合決定給|総合的な観点で決定される

それぞれ詳しく解説します。

1-1. 属人給|属人的要素で決定される

属人給は、労働者個人の属人的要素によって決められる給与を指します。属人的要素に含まれるのは、主に年齢や勤続年数、学歴などです。

しかし、基本給の中でどの部分を属人級とするのかを区別するのは難しい傾向にあります。そのため、職務に応じて決められる職務給を組み合わせる企業も多いです。

1-2. 仕事給|労働者の実力を重視する

仕事給は、労働者個人の能力や仕事内容、成果によって決められる給与です。仕事給に該当する給与は、以下が挙げられます。

  • 目標の達成度によって決められる給与
  • 労働者の職種や熟練度を基準とし労働市場などの相場で決められる給与
  • 労働者個人の職務遂行能力を基準として決められる給与
  • 責任の重さや職務の質によって決められる給与

いずれも労働の対価として支払われる賃金なため、実力を重要視した決め方といえます。

1-3. 総合決定給|総合的な観点で決定される

総合決定給は、属人給と仕事給の基準を総合的に見て決められる給与です。事業の規模が小さかったり雇用者数が少なかったりする企業では、総合決定給を採用するケースも少なくありません。

また、総合決定給はさまざまな要素を総合的に見て給与を決定するため、給与制度を柔軟に運用できるメリットがあります。一方で、給与の決定方法が不透明なために労働者から不満が出やすいのがデメリットです。

2. 基本給を決める際のポイント

ポイント

基本給を決める際のポイントは、以下の通りです。

  1. 基本給の賃金体系は従業員にわかるよう設定する
  2. 仕事給の詳細な金額を決める
  3. 仕事給の金額から属人給の金額を決定する

それぞれ詳しく解説します。

2-1. 基本給の賃金体系は従業員にわかるよう設定する

基本給を決める際は、属人給と仕事給のどちらに重きを置いた賃金体系なのかが従業員にわかるようにしましょう。例として、以下3つの基本給のパターンで考えてみます。

パターン 割合(内容) 割合(数値)
ケース1 属人給:仕事給 3:7
ケース2 属人給:仕事給 7:3
ケース3 属人給:仕事給 5:5

ケース1では、仕事への貢献度が重視される賃金体系であると従業員に伝わります。反対にケース2は、属人的要素が大きく影響する賃金体系です。ケース3は、属人的要素と仕事への貢献度をバランスよく重視しています。

しかし、仕事への貢献度を重視するケース1を採用する際は注意しましょう。個人がどれだけ働いたかは主観で左右される要素も大きく、従業員に給与を下げるための賃金体系と誤解される可能性があるからです。

従業員が不満を抱かないよう、組織風土や賃金の運用方法を考慮した上で慎重に比率を決めましょう。

2-2. 仕事給の詳細な金額を決める

属人給と仕事給の比率が決まったら、仕事給の詳細な金額を決定していきます。以下のように7段階の評価ランクを作り、上位にいくほど給料が上がるシステムにするのが一般的です。

ランク 仕事給の例
SS 180,000円
S 175,000円
A 170,000円
B 165,000円
C 160,000円
D 155,000円
E 150,000円

評価ランクが1つ上がるごとに、どれだけ金額が上がるかをシミュレーションしながら決定していきましょう。基本的にはランクBの金額を軸とし、上下3ランクの金額を決めていきます。

2-3. 仕事給の金額から属人給の金額を決定する

仕事給の金額をもとに、属人給の金額を決めます。属人給は給与のばらつきを吸収しつつ新制度へ移行させやすくするために、各グレードの上限と下限の金額のみを決めましょう

属人給の下限額と上限額は、属人給と仕事給の比率に合わせて決定します。例えば「属人給:仕事給=7:3」であれば、属人給と仕事給の上下限は7:3になるようにしてください。

属人給と仕事給を合計すると、各グレードの基本給になります。

3. 基本給が低いかを判断する方法

メルクマール

基本給が低いかを判断するために、以下のポイントを確認しましょう。

  1. 基本給には低いと判断できる目安がない
  2. 時給換算なら判断できる

それぞれ詳しく解説します。

3-1. 基本給には低いと判断できる目安がない

基本給は、低いといわれる具体的な目安がありません。基本給は給与の一部として考えられており、手当によって給与そのものが増えるためです。

以下のケースで考えてみましょう。

  • 基本給13万円+固定手当7万円
  • 基本給20万円(固定手当なし)

上記のように、固定給で比べるとそれぞれに違いはありません。

3-2. 時給換算なら判断できる

基本給が低いといわれる目安がない一方で、給与そのものが低いかは時給換算で判断可能です。そのために、固定手当を含む固定給や月給を所得労働時間で割ってみましょう。

求められた金額を地域で定められている最低賃金時間額と比較し、金額が近い場合は給与が低いといえます。

時給が最低賃金を下回ると法律違反になるため、最低賃金を上回るよう時給を設定しましょう。

4. 基本給が低いと起こりうるデメリット

デメリット

基本給が低いと、以下のデメリットが懸念されます。

  1. ボーナスが少額になる
  2. 退職金が低くなる可能性がある
  3. 残業代が少額になる
  4. 各種手当を減額・廃止したときの減額幅が大きくなる

それぞれ詳しく解説します。

4-1. ボーナスが少額になる

基本給が低いと、ボーナスの額が少なくなる可能性があるので注意しましょう。

ボーナスは法律で支給が義務づけられていないので、企業によって算定方法や支給の有無が異なります。しかし、ボーナスの規定がある企業は基本給をもとに掲載しているところが多いです。

基本給を基準にボーナスを決めるケースでは、基本給の上下限の差によってボーナスにも同じような差が発生します。

ボーナスが基本給の3ヵ月分と仮定し、以下のケースで考えてみましょう。

基本給 手当 ボーナスの額
20万円 10万円 60万円
15万円 15万円 45万円

上記では、月額の固定給が同じ30万円でも、ボーナスで15万円の差が発生します。基本給が低いことで、従業員から不満の声が上がる可能性もゼロではありません。

4-2. 退職金が低くなる可能性がある

基本給が低くなると同時に、退職金も低くなる可能性があります。ボーナスと同様に、退職金も基本給を基準に算出するケースが多いためです。

一方で勤務年数に設定されたり、毎月の給与から一定額を積み立てたりするケースもあります。つまり、基本給の低さは必ずしも退職金の低さにつながらないということです。

また、退職金の支給は義務付けられていないので、少額もしくはない場合でも、法律上は問題ありません。しかし、「退職すると退職金がもらえる」とイメージしている人は多く、退職金を一般的な金額で受け取れない場合は、不満を覚えるでしょう。

そのため、基本給を安くするのを防いだり、金額の設定方法を工夫したりするのがベストです。

4-3. 残業代が少額になる

基本給が低くなると、残業代が安くなる可能性があります。「残業時間×1時間あたりの基本給や手当など×割増率」で残業代が算出されるためです。

ただ、賃金基礎額には諸手当が含まれるため、必ずしも基本給の低さが残業代の安さにつながるとは限りません。一方で諸手当がほとんどない企業では、基本給の低さがそのまま残業代の安さに反映されます。

残業代の減額を防ぐためには、安くない基本給に設定したり手当をつけたりする必要があるでしょう。

4-4. 各種手当を減額・廃止したときの減額幅が大きくなる

基本給を低く設定すると、各種手当てを減額もしくは廃止したときの減額幅が大きくなる可能性があります。基本給は労働契約法の関係で簡単に減額できない一方、手当は企業次第で減額や支給廃止が可能です。

基本給の割合が小さく、少ない分を手当で補っているケースで考えてみましょう。手当がなくなれば補っている分がなくなり、給与そのものが大きく減額されます。

やむを得ない事情で手当がなくなる可能性も想定し、基本給はなるべく低くなりすぎないように設定するのがベストです。

5. 基本給の引き下げに関するルール

報酬制度の種類

基本給は法律の関係で自由に引き下げられるものではないものの、ルールとして以下の目的では引き下げが可能です。

  1. 懲戒処分が目的であれば引き下げられる
  2. 会社の業績が悪化したときも引き下げ可能

それぞれ詳しく解説します。

5-1. 懲戒処分が目的であれば引き下げられる

基本給は、従業員に対する懲戒処分が目的であれば引き下げられます。労働組合や従業員代表が同意している就業規則に則った処分であるため、従業員の同意がなくても減額の実行は可能です。

ただし、従業員が就業規則で懲戒処分に当たる行為をおこなっており、処分内容に減給が明記されている場合のみに限ります。

5-2. 会社の業績が悪化したときも引き下げ可能

会社の業績が悪化したときも、従業員の同意なしに基本給を下げられます。ただし、基本給を下げるには業績の悪化を証明できるエビデンスが必要です。

さらに、経営陣への基本給の大幅な引き下げや報酬返上などを実施しても業績悪化を解消できない証明も用意しなければいけません。万が一業績が悪化し引き下げが必要な場合は、決定されているルール内で引き下げを実施するか、やむを得ない状況にあるとわかる証明を用意しましょう。

6. 基本給の決め方を理解して適切に給与設計しよう

メルクマールとKPIの違い

基本給には、主に属人給と仕事給の2種類があります。7:3など、それぞれの割合を決めて基本給を確定させるのが一般的です。

また、基本給が少ないと退職金やボーナスなどが低くなるデメリットも生まれます。結果的に従業員が不満を覚え、退職が相次ぐ可能性もゼロではありません。

基本給を時給換算し、少なくとも最低賃金を下回らないように設定しましょう。

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給与計算は間違いが許されない、確認作業が何回も必要な業務です。 また、給与明細の発行や、封入作業、郵送作業など従業員一人ひとりに対しての対応に手間がかかっている方も多いのではないでしょうか。

今回は「給与計算の手間を削減したいけど、この課題ってどの解決策が一番いいの?」とお考えの 給与担当者様向けに、「給与計算効率化BOOK」をご用意しました。 資料は無料ですので、ぜひご覧ください。

OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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