職員が離職する理由は?会社都合や自己都合を改善するための取り組みを解説
更新日: 2025.8.19 公開日: 2025.3.10 jinjer Blog 編集部

従業員の離職理由は様々です。理由を正しく把握したうえで対処するのが、離職を防ぐ第一歩です。
本記事では従業員の離職理由について、厚労省発表のデータをもとに解説します。離職理由を加味した離職防止策もあわせて解説するので、ぜひ参考にしてください。
従業員の定着率の低さが課題の企業の場合、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
従業員満足度を向上させることで、従業員の定着率向上や働くモチベーションを上げることにもつながります。
しかし、従業員満足度をどのように測定すれば良いのか、従業員満足度を知った後どのような活用をすべきなのかわからないという人事担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような方に向けて当サイトでは、「従業員満足度のハンドブック」を無料でお配りしています。
従業員満足度調査の方法や調査ツール、調査結果の活用方法まで解説しているので、従業員のモチベーション向上や社内制度の改善を図りたい方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 厚生労働省発表の離職理由


2024年8月に厚生労働省が発表した2023年の雇用動向調査は男性は次のとおりです。
| No. | 男性の従業員の離職理由 | 割合 |
| 1 | その他の個人的理由 | 17.3% |
| 2 | 定年・契約期間の満了 | 16.9% |
| 3 | その他の理由(出向などを含む) | 14.0% |
| 4 | 職場の人間関係が好ましくなかった | 9.1% |
| 5 | 給料など収入が少なかった | 8.2% |
| 6 | 労働時間、休日などの労働条件が悪かった | 8.1% |
| 7 | 仕事の内容に興味をもてなかった | 7.4% |
| 8 | 会社都合 | 5.8% |
| 9 | 会社の将来が不安だった | 5.2% |
| 10 | 能力・個性・資格を生かせなかった | 5.1% |
一方、女性の退職理由として以下が挙げられます。
| No. | 女性の従業員の離職理由 | 割合 |
| 1 | その他の個人的理由 | 25.1% |
| 2 | 職場の人間関係が好ましくなかった | 13.0% |
| 3 | 労働時間、休日などの労働条件が悪かった | 11.1% |
| 4 | 定年・契約期間の満了 | 9.8% |
| 5 | 給料など収入が少なかった | 7.1% |
| 6 | その他の理由(出向などを含む) | 6.9% |
| 7 | 能力・個性・資格を生かせなかった | 5.4% |
| 8 | 会社都合 | 5.3% |
| 9 | 仕事の内容に興味をもてなかった | 5.0% |
| 10 | 会社の将来が不安だった | 4.6% |
参考:令和5年雇用動向調査結果の概況 3 転職入職者の状況 (2)転職入職者が前職を辞めた理由|厚生労働省
ここでは厚生労働省発表の退職理由を参考に、主な退職理由を解説します。
1-1. 労働条件が悪かった
労働条件が従業員の退職理由として大きな要因となることは少なくありません。過度な残業や不規則な勤務時間、長時間労働に加えて、過酷な労働環境が従業員にとって耐え難いものである場合、退職を選ぶことがよくあります。特に、過度の負担やストレスが日常的にかかる環境では、心身の健康に悪影響を及ぼし、長期的に働き続けることが難しくなります。また、休暇制度や福利厚生が十分でない場合も、従業員の不満の原因となり得るでしょう。
1-2. 職場の人間関係が良くなかった
職場の人間関係が悪化すると、従業員の退職を引き起こす要因となります。上司や同僚とのトラブルが続く場合、職場に対する不満が募り、最終的に退職しかねません。特に、パワハラやセクハラ、いじめといった問題が発生した場合、従業員の精神的な負担は大きくなり、業務に集中することができなくなります。また、コミュニケーション不足や意見の食い違いが解消されない場合、職場内の孤立感が増し、退職意欲が高まってしまうでしょう。
1-3. 給与が満足できなかった
給与が従業員の退職理由として最も一般的な要因のひとつです。特に、仕事に見合った報酬が支払われていないと感じると、従業員は自分の価値が評価されていないと感じ、モチベーションが低下します。給与水準が他社に比べて低いと感じた場合、より高い待遇を求めて転職を考える従業員が増えてしまうでしょう。
1-4. 会社の将来性に不安があった
会社の将来性に対する不安も、従業員が退職を決断する理由になるでしょう。例えば企業の業績が悪化している場合やリストラの話が出ている場合、従業員は自分の雇用が保証されていないと感じることがあります。このような不安は、従業員にとって大きなストレス源となり、早期退職を決意する原因となります。
2. 若手従業員が離職する理由


2024年6月に東京労働局が発表したデータによると、高卒で就職した若手労働者の離職理由として最も多かったのは、「仕事が合わない」でした。
男性で33.2%、女性28.2%、トータルで31.0%と占める割合も大きく、雇用のミスマッチによって離職しやすいことがわかります。
転職が気軽におこなえるようになった時代背景も相まって、仕事が自身に合わないと感じる従業員もいるのでしょう。
ここでは若手従業員が離職してしまう理由について解説します。
参考:学卒就職者の離職状況調査結果 2 高卒者の離職率状況(6)離職理由別状況|東京労働局
2-1. SNSでさまざまな情報に触れるため
若手従業員が離職を考える要因のひとつが、SNSを通じて外部の情報に触れる点です。SNSは、仕事に関する情報だけでなく、他人のキャリアや生活スタイル、仕事の環境に関する意見を簡単に得られるメディアです。このような情報は、若手従業員の価値観やライフスタイルに影響を与え、自分の仕事や企業に対する不満を強めることがあります。
2-2. キャリアについての考えの変化
若手従業員の間で顕著に見られるキャリアに対する考え方の変化のひとつが、兼業や副業への意欲の高まりと、定年まで一つの会社で勤める意欲の低下です。従来の一社で定年まで働くという考え方が薄れ、複数の仕事を持ち、より自由度の高い働き方を選びたいという意識が強まっています。
3. 離職理由が会社都合の場合に生じるデメリット


離職票に記載された離職理由が会社都合の場合であっても、罰則が科せられるようなことはありません。しかし、以下のようなデメリットを被ることがあります。
- 雇用に関連する助成金を得られない可能性
- 自社の風評被害の拡大
- 退職者から不当解雇を訴えられる可能性
3-1. 雇用に関連する助成金を得られない可能性
企業が従業員を解雇したり、契約を終了させたりする場合、会社都合による離職が発生すると助成金の支給に影響が出かねません。特に、企業が業績悪化や経営上の都合で解雇を行った場合、助成金の申請に関して、企業が受けられるサポートが制限されることがあります。
多くの助成金制度では、従業員が自主的に退職した場合や自己都合での退職には適用されない場合があり、会社都合による解雇や退職の際には、企業が特定の要件を満たしていないと助成金を受け取ることができません。
3-2. 自社の風評被害の拡大
会社都合で従業員が退職する場合、その理由が外部に知られることで、企業の評判に悪影響を及ぼすことがあります。特に解雇が不当である場合や、労働条件が劣悪であった場合、その情報がSNSや口コミを通じて広まることが考えられるでしょう。従業員の離職理由が公開されることで、他の従業員や求職者が企業に対して不信感を抱き、その結果として採用活動に支障をきたすことがあります。
また、企業の評判が悪化することで、取引先や顧客の信頼を低下につながりかねません。企業が労働環境や待遇に問題を抱えていることが広まると、社会的な信用が低下し、ブランドイメージの損失を避けることが難しくなります。
3-3. 退職者から不当解雇を訴えられる可能性
会社都合で退職が発生した場合、企業は不当解雇のリスクを負うことがあります。特に、解雇の理由が法的に不適切であったり、手続きが適正でない場合、退職した従業員が不当解雇を主張して訴訟を起こす可能性があります。解雇に関する規定や手続きは、労働法によって厳格に定められており、企業はこれに従わなければなりません。
4. 離職理由を改善するための取り組み


離職理由を改善するための取り組みとしては、以下が挙げられます。
- 社内のコミュニケーションを活性化させる
- 給与や労働条件を定期的に見直す
- 雇用時点でミスマッチを防ぐ
具体的に解説していきます。
4-1. 社内のコミュニケーションを活性化させる
人間関係の問題による離職を防ぐには、社内のコミュニケーションを活性化させるのが効果的です。
人間関係の問題があっても、限定的な輪のなかでは解決が困難です。例えば、上司がパワハラをしている場合、上司は問題を理解せず、無意識にふるまっている可能性があります。
なんらかの要因で上司の暴走が加速している場合にも、当事者だけでは正確に状況を把握して解決することが難しいものです。
組織全体で積極的にコミュニケーションの機会を設ければ、社内の客観性や多様性、相互理解を深められます。上司や部下、同僚、部門間の横断的な交流機会を増やせば、オープンで話しやすい土壌が定着し、人間関係の問題が解決しやすくなるでしょう。
年齢の近い先輩に悩みを相談しやすいメンター制度の導入や、上司と部下のコミュニケーションの機会である1on1ミーティングを設定するのも有効です。
風通しのよい職場環境づくりをおこない、従業員同士の人間関係の改善を図りましょう。
4-2. 給与や労働条件を定期的に見直す
給与や労働条件を定期的に見直すのも、従業員の離職を防ぐのに役立ちます。
自社の給与が適正であるか調査することは大切です。同業他社との給与差を調べれば、相場感がわかるでしょう。安易に給与を増やすのは困難かもしれませんが、適度なタイミングで昇格・昇給させることは可能です。
業務で功績をあげても報われないと、従業員は離れていきます。とりわけ、適切な社内評価制度が導入されていない企業では、給与が据え置きのまま長期間放置される傾向が見られるため改善が必要です。
また、時間外労働や休日出勤については、社内の業務効率を見直しましょう。特定の従業員や部署に業務が集中していないか調査し、極力負荷分散できるよう業務システムを見直すことで、一定の改善が見込めます。
働き方に柔軟性を設けるのも一つの方法です。例えば、在宅ワークやフレックスタイム制を導入すれば、ライフスタイルに合わせやすくなり、プライベートを重視したまま働きやすくなるでしょう。
4-3. 雇用時点でミスマッチを防ぐ
従業員を雇用する段階からミスマッチを防ぐよう努めることも大切です。
仕事が合わないからと従業員が早期離職すれば、企業と従業員の双方にとって時間や労力、経費を無駄にするデメリットが生じます。
企業側には、人材育成計画に狂いが生じる可能性もあるでしょう。最終的には全社の経営計画にも影響を与えかねないため、事前に防止策を講じるのが要肝です。
雇用のミスマッチを防ぐには、採用の段階で仕事内容や自社のカラーについて丁寧に説明しましょう。よい部分ばかり強調せず、デメリットについても伝えておく必要があります。
インターンシップ制度を導入し、自社や業界について学生に知ってもらうのも有効です。また、自社が求める人材をしっかり設定したうえで採用試験にのぞめば、希望にマッチする人材かどうかを精査しやすくなります。
5. 従業員の離職理由を把握し効果的な離職防止策を練ろう


従業員は、自己都合を理由に離職することが多いです。
具体的には、人間関係上の問題や、給与の低さ、労働時間・休日などの労働条件の悪さが大きな離職理由になっています。若手従業員の場合、仕事が合わないことが大きな離職理由です。
離職理由を把握したうえで、効果的な離職防止策を練りましょう。



従業員の定着率の低さが課題の企業の場合、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
従業員満足度を向上させることで、従業員の定着率向上や働くモチベーションを上げることにもつながります。
しかし、従業員満足度をどのように測定すれば良いのか、従業員満足度を知った後どのような活用をすべきなのかわからないという人事担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
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